続く予定の無い単発クロスオーバー寄せ集め   作:絹毛鼠

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魔法使いの嫁との世界観クロスオーバー。コラソン夢&救済もの。
ネタだけ。


見習い魔法使いのロシナンテ(魔法使いの嫁クロス)

厚いベールの裏。

無粋なセメントの壁の向こう。

雨に霞む木々の奥。

その世界は、私たちのすぐそばに息づいている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……よし、今日の営業は終了。使った薬の仕込みを始めないと」

 

 夕暮れの、風が冷たくなるころ。今日も一日が終わったと、顔を隠すローブを外して家の外へと出た。

 店先の『OPEN』の看板をカランと裏返し、『CLOSED』に切り替えて工房へと戻る。薬草と澄んだ水、そして様々な神秘的で童話的なモノで溢れた独特な空間がワタシの工房だ。

 今日処方したのは、大工仕事中に腕を折った男に傷薬と骨が丈夫になる薬、妊娠中の奥方につわりが楽になる薬、不眠症の少女に悪夢避けの水とよく眠れる枕。あとついでに、酒を飲みすぎた老爺に酔い覚ましの薬。

 減った薬をリストアップしながら材料を書き出し、ここ千年ほど贔屓にしている店に仕入れの手紙を送る。手紙は鳥の形となって、ひとりでに飛んでいった。かつての時代と違って、直接店先に並ばなくても買える店は減ってしまっているので素材の調達も苦労する。

 

「ふむ……月桂樹をそろそろ仕入れたほうが良いかな。ただの樹木なら麓の花屋に売っていることもある。明日は町に降りてみるかね」

 

 20年ほど前にこの島へと移り住んだが、ここはなかなか悪くない。自然、霊、人の温厚さ、そのうえで国の端っこと言う田舎。老いない魔法使いが隠れ住むにはうってつけの村だ。

 大抵の物は自給自足で何とかなるし、特別なものを手に入れるには魔法使い御用達の通販が無料配送範囲内。この村での生活は順風満帆だ。

 

 

 そんないつも通りの毎日に、波乱の風が吹き荒れたのはこの一時間後の事だった。

 

 

 

 

 

「営業時間の後にすまない! この子供を診てくれないか!?」

 

 そう言って、男は壊さんばかりの力を込めて扉を叩いた。驚いた拍子に薬の調合を失敗したのはあとで請求するとして、慌ててローブを羽織り玄関へと走る。

扉を開けるとそこには、扉を通れるか心配になるほどの大男と、それに抱えられた黒髪の子どもがいた。

 子供は顔を伏せて男にしがみついており、見るからに病院(ここ)に来たくなかったと全身で訴えていた。

 

「……患者をえり好みする気はないがね。病院嫌いの愚患者は嫌いだよ」

「ああ、ちょっと別の病院で言われたことで気に病んでるだけだ。俺が宥めるから、どうか診てやってくれないか」

「なんだ、余命宣告でもされたかい?うちの病院より、隣の島に総合病院がある。そっちで見てもらったらどうだ」

「その医者がとんでもないヤブだったからここに来たんだ。まともに診ることすらしてくれない医者だとは思わなかった」

「診てもくれない……? ああ、精神の病気かい? たしかに、あそこは精神の病気を存在すら認めてなかったっけ」

「そうじゃねぇ! とにかく一回診てくれ!」

 

 そのあとも幾度か問答をしたのち、縋りつくような目にワタシは根負けした。診察室に案内し、その顔を見た瞬間、ワタシは大男の顔を引っ叩いて子供にマスクを着けさせた。

 

「なっ、何すんだ!」

「バカめ! ちょっと前まで珀鉛病が流行ってたんだ! 白斑の症状があるならせめてマスクをつけて病院に連れてこい! 皮膚の病気も十分あり得るが、素人が感染症か否かの判断をするな。ここはお前の家じゃないんだよ!」

「あ、ああ…それは、すまなかった」

「いきなりすまないね、坊や。次からはちゃんとマスクを付けて来院するように」

「………ふん」

『おや、この子からはとても鉛の匂いがするね。鼻が曲がりそうだ』

 

 ぶす暮れている少年を尻目に、肩に使い魔であるドラケイが顎を乗せてそう呟いた。妖精である彼女は普通の人には見えないことにいい気に、よく診察室へと顔を出す。人の望みに応えて幻を見せる彼女は、その能力を生かして相手の困っている事、つまり症状を見抜くことに長けている。こちらとしては大助かりなので、そういう時はご褒美をあげている。

 今回は妖精の嫌いな金属の匂いがしたため口を挟んできたようだ。鉛のにおい……鉛中毒だろうか。

 

「とりあえず血液検査をしてみよう。その間少し待っていてくれ」

「………わかった」

 

 手早く注射器で血液を採取し、薬品と混ぜて経過を見守る。………赤血球が足りてないな。それに金属の含有量を表すまじないの試薬がどえらい色に染まり始めてる。こんなの見たことなくてちょっと引いた。いつぞや鉛の化粧品が流行した時もこんなんじゃなかったぞ。

 

「確認するがな少年。ここ最近で激しい腹痛や手足のしびれ、全身のだるさや頭痛なんかの症状はあるか?」

「………! ああ、ある!」

「そんな目を輝かせて言うもんじゃない。……十中八九、鉛による中毒症状だな。代謝と共に排出させる薬を定期的に処方するが、皮膚に症状が出るのは聞いたことが無いし試薬の結果を見た限りかなり重症だ。手探りの治療になるし完治できるという保証はないぞ。それでもいいか?」

 

 少年と大男は目をまん丸にして固まっている。ただでさえ時間外の仕事なのだから早く終わりたい。早く返事してほしい。

 

「い、いいのか!? おれは珀鉛病だぞ!?」

「珀鉛病は感染症だろう? お前のそれは金属中毒だ、うつりはしない。つまりお前のそれは珀鉛病じゃない。検査もしない見かけでの判断は危険だと分かってよかったな」

 

 そう言ったら少年は声を殺して泣き始めた。なぜだ。

 

「薬はまず夕食後に飲め。そのあと経過を観察させてもらうから、今日は入院だ。2階の空き部屋に布団を敷くからそこで寝るがいい。」

 

 その後、二人が野宿を繰り返していたと知ってさらに大男を説教した。患者にはまずあったかい布団と清潔な部屋をあてがえ、基本だぞ。

 

 

 少年はロー、大男はコラソンと名乗った。二人が家に泊まった次の日、ワタシは少年の病室に集まって朝食を食べながら二人に治療の支払いについて話をすることにした。

 

「まず、お前が時間外に殴りこんできたせいで調合に失敗し廃棄物になった薬品代の1000ベリー。それと鉛流しの水が一日3000ベリーの支払い。しかし、ワタシの条件を呑むなら1000ベリーだけで済ませてやる」

「条件……? いや、金ならちゃんと払う! 今の手持ちは少ないが、船に戻ればある程度の蓄えはあるぞ!」

「金額の問題じゃない。お前の体質の問題だ。昨日から見ていたが……お前は夜の愛し仔(スレイ・ベガ)だ。そのドジっ子体質は改善できるし、しなければ命に係わる」

 

 大男はすさまじいドジ……ではなく、妖精からのいたずらがひどかった。まさかとは思ったが、ドラケイに確認してはっきりとスレイ・ベガだと判明した。彼らは短命のはずだが、どうやら男は普通以上に体が頑丈だったらしい。26歳まで生きているのは奇跡だ。

 

「その、すれい……べが? ってなんなんだ?」

「その説明をする前に、まずはこれを見ろ。……おいで、ドラケイ」

『まったく、私たちの愛し子(ロビン)のためじゃなかったら、人間に姿なんて見せないのよ?』

「「うわぁっ!?」」

 

 二人の間から妙齢の美女……の姿をしたドラケイが顔をのぞかせた。気配無く忍び寄った、どころではなく、まちがいなくそこにいなかった人物が現れたのだ。声も上ずる。

 ドラケイはふわふわと浮いてワタシの後ろで空中に寝そべる。その様子に二人は目を剥いた。

 

「の、能力者か?」

『やぁーねぇー。今は何をしても私たちじゃなくて悪魔の実(メウヴット)ばっかり。世界が海ばかりになったときに私たちの土地は増えたけど、居場所は相変わらず御伽話の中ね』

「彼女はドラケイ。ワタシの使い魔(ファミリア)で、川の妖精(・・)。そしてワタシは、絶滅寸前の魔法使いの一人さ。あいさつ代わりに、ちょっとした魔法を見せてやろう」

 

 そう言ってポケットの中から、到底入り切らないようなサイズの杖を取り出す。

 

<響け、響け、森の息吹。

 光れ、光れ、水面の日差し。

 隣にいる友人よ、私の肩を叩いておくれ>

 

 ワタシの魔力が部屋に満ちる。それによって、それまで姿を隠していた隣人たちが一斉にすっころんだ(・・・・・・)

 

『おいおい子守歌(ララバイ)! いきなり矢面に立たせるなんてマナーがなってないぜ!』

「おやピクシー、今まで散々彼を転ばせていたくせに、マナーを君が問うのかい?」

『滑稽な噺を血に戴く男だぜ!? ピエロにするのが礼だろうさ!』

「なるほどなるほど。ではコラソンに妖精除けの香の作り方でも教えるかね。彼へのいたずらなら存分に楽しんだろう?」

「な、なんだこいつら!?」

 

 いきなり少年の布団の上に現れた小人たちに、二人は食事どころではなくなった。ワタシの目には昨日から映っていたが、二人の前に姿を見せるのは初めてだろうから軽く説明してやった。

 

「こいつはピクシー。いわゆる羽の生えた小人、いたずら好きな妖精の代表だ。コラソン、お前がやけにドジなのは彼らにいたずらされたせいだ」

「なっ……おれのドジが、こいつらのせい?」

「正確には、お前の夜の愛し仔(スレイ・ベガ)という体質に惹かれたせいだな。お前はこういった、妖精を惹きつける才能がある」

「待て待て! いきなりの事で流しちまったが、魔法使い!? 本物なのか!?」

「本物だとも、坊や。今のは妖精を妖精の世界から転ばせる(・・・・)魔法でね。近くにいる妖精の姿を、少しだけ見えるようにするのさ」

 

 二人がふと周りを見回してみれば、周りには様々な不思議な生き物が目に入った。燃えるトカゲ、宙を泳ぐ魚、羊のような虫。見たことも聞いたこともない不思議な生き物。それらは元からそこにいたように寛いでいる。騒いでいるのはコラソンの足元やローのベッドにいた羽の生えた小人だけだ。

 

「今は一時的に見えているだけだが、薬や訓練を積むことで常に見えるようになる。先ほどの条件の話がそれでね。お前には、ワタシの魔法使いとしての弟子になってもらいたい」

「魔法使いの……弟子?」

 

 妖精たちの姿が見えなくなったところで、男に話を切り出した。

 

「これはお互いにとって益のある取引だろう。魔法使いとしての訓練を積めば妖精たちを無意識に引き寄せてドジを踏むということも減るし、お前の寿命も延びるし、治療費はかからない。ワタシから見れば従業員が増える。どうだ?」

「どうだって言われても……正直、まだ信じきれない。それに、寿命が延びるって何のことだ? ローはともかく、おれは健康体だぞ?」

「スレイ・ベガは魔力をつかさどる器官の一部がひどく脆い。普通の医師ではその器官を見ることは出来ないからな。壊れてしまえば命に係わる。魔法使いならその治療や対策も打てるし、不幸を運ぶ妖精への対抗策も取れる。

 まずは坊やの治療中だけでもいい、魔法使いとしての訓練を受けてみろ。坊やの治療薬を自力で作れるようになれば、入院する必要もないだろう?」

「……うーーーん」

 

 コラソンはしばらく悩んでいたが、ローの治療薬を自分で作れることと、まずは治療中だけのお試しと言うことで魔法使いとしての訓練を受けることとなった。

 

 そこでワタシは、コラソンのドジが妖精だけでなく生来のものも確かにあったのだと痛感することとなったのだった。




薬売りの魔法使い
実は名前も決まってない女主。
「夜」「子供」という条件を満たすことで強力な守りの魔法を使うことが出来ることから子守歌(ララバイ)の異名を持つ。
ワンピース世界のガチ中世の年代の生まれ。900年前には進んだ文明があったらしい世界なので、少なくとも2000年は生きてる。それでもまだまだ若い。
素直じゃない子供好き。甘やかさないけど面倒見はいい。
愚患者とヤブ医者は嫌い。多分師匠がFGOのアスクレピオスとかナイチンゲールみたいな人だった。


このあと魔法使いの嫁的なイベントをこなしつつ一旦別れた後、ミニオン島で死にかけたコラソンを保護したり、二人で身を隠しながら薬売りをしたり、ドフラミンゴがのっとったドレスローザに潜入したり、ハートの船に乗ったり、ワノ国でモモの助を守るために奮闘したりする。
誰か書いて。
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