不死の英雄伝 〜始まりの火を継ぐもの〜   作:ACS

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ラスボスに関してお知らせが。

この作品のラスボスはグウィンに決定しました。

まぁ、パリィ取れますし怯みも取れますから楽勝ですよね(実機では)


尚、パーフェクトグウィン王となる模様。


不死の英雄伝 105

第百五話 明鏡止水の境地

 

 

殴り飛ばされたにも関わらず、俺の心や思考は澄み切っていた。

 

 

確かに、彼らは途轍もなく厄介だ。

 

 

アルトリウスのような踏み込み、強烈な拳、体重と速度を乗せた拳の前には、人体なぞゴミクズ同然だろう。

 

 

数も十体、無視しようにも数が多過ぎる上にあの踏み込みだ、とてもじゃないが逃げられる物では無い。

 

 

もっとも、彼らも無敵と言う訳では無い。

 

 

やはりその身体がキノコである以上、炎に弱く、ハルバードの一撃で容易く燃え上がる。

 

 

弱点がハッキリしている分やり易いと言えばそうなのだが、事はそう単純では無い。

 

 

実は、先ほど斬ったキノコが轟々と全身から赤い炎を上げながらも立ち上がり、自らの身体から滲み出ている黄金松脂を両手に塗っている。

 

 

ちょっとやそっと炎に包まれた程度では倒せないみたいだな。

 

 

 

拳法家のような独特な構えから繰り出される炎と共に雷を纏った拳の連撃、震脚、水面蹴り、正拳突き。

 

 

その身体からは想像もつかない身のこなしは、俺をジリジリと岸壁まで後退させて行く。

 

 

ギリギリまで攻勢には出ない、奴らの動きを見切る為に追い詰められているだけなのだから、この程度は危機の範疇ですら無い。

 

壁に背を当てるまで追い詰められた俺を見て、彼は好機と見たのかそのまま決めに掛かったようだ。

 

彼が背中を俺に見せ、そのまま凄まじい勢いで俺を押し潰そうとした為、観察をここら辺で切り上げ、混沌の刃による居合い斬りで横一線に斬り捨てる。

 

 

彼らの動きは素早いし破壊力も抜群だが、いかんせんリーチが短いのが欠点だな。

 

いくら強力な一撃だとしても、当たらなかったら意味は無いのだ。

 

 

不意を突かれた為に一撃を貰ってしまったが、気を抜かなければ反応可能な速度だ。

 

 

吹き飛ばされた際に、一緒にへし折れた樹木にハルバードで傷を付ける。

 

 

燃え上がる倒木を槍に見立て、切っ先の爆破を利用して射出し、残るキノコの内の一体を貫く。

 

 

後八体、彼らはその巨体の所為で、集団で殴りかかる事が出来無いようなので遠慮なく数を減らさせてもらう。

 

 

月明かりの大剣の光波を彼ら全員に向けて放出して、様子を見る。

 

固まっている彼らを容赦無く光波の爆風が襲ったが、仲間の影に隠れたりなどをした結果、彼らの半数が無事だった。

 

 

四体になったおかげか、彼らの攻勢が始まる。

 

飛び蹴りやアッパー、更には倒木を大鎚のように振り回すなど、彼らは豪快に暴れ始めた。

 

 

流石に四体同時には捌けないため、一番簡単な奴から順を追って仕留めて行く事にする。

 

 

肘鉄を放ってきたキノコをパリィし、その隙を狙ってサマーソルトを仕掛けてきたキノコの足を踏み台に跳び上がる。

 

 

かなりの威力だったのか、この黒い森の庭を一望できる高さまで弾き上げられたが、取り敢えずは想定の範囲内だ。

 

 

落下しながら月明かりの大剣にエンチャントを施し、上空から光波による奇襲を仕掛ける。

 

 

光波の矛先は倒木を振り回していたキノコ、彼はそれを持っている以上、鈍重な動きにならざるを得ず、この光波の一撃を回避する事は不可能だ。

 

 

結晶の力を宿した光波は、彼を跡形無く消滅させたが、まだ終わりでは無い。

 

 

俺の予定では、上空からの奇襲で残りの三体も共に消し飛ばすつもりだったのだが、残念な事に残りの連中は木の下に身を隠していて、狙いが付けられなかった。

 

 

ならばと、背中のハルバードを取り出し、着地の瞬間に備える。

 

 

予想通り、俺の着地を狙っていた一体が、腰の捻りを加えた右ストレートを叩き込んできた。

 

 

その拳の軌道上に、ハルバードの切っ先を置き、彼の拳をカウンター気味に消し飛ばす。

 

ハルバードははじき飛ばされてしまったが残りは二体、アレが無くとも何とかなる。

 

 

今度は俺から彼らの間合いに飛び込み、相手の迎撃を誘う。

 

 

迫る拳や脚。

 

突き出された掌底打ちの下を潜り、彼の股から一気に斬り上げる。

 

 

その俺の背後に向かって回し蹴りを放った彼を回避するため、月明かりの大剣を暴発させて、その場を回避する。

 

 

俺と彼の距離が開き、一種の緊張が生まれる。

 

 

数分間の睨み合いの末、俺から打って出る。

 

彼はカウンターを狙って居たようで、俺に向かって完璧なタイミングで拳を打ち下ろそうとしている。

 

 

彼の拳が伸びきる前に、彼の顔面に黒い火炎壺を叩きつけ、怯みを取る。

 

 

彼が怯んだ瞬間に、混沌の刃で胴を両断して決着。

 

 

 

その後、周りに敵が居ない事を確認してから、弾かれたハルバードを回収しに行った。

 





ハルバードの過労死に涙不可避。

地味に刀身を暴発されまくってる月光ェ……。

相変わらず、主人公の武器の扱いは雑いね(白目)

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