不死の英雄伝 〜始まりの火を継ぐもの〜   作:ACS

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アルトリの剣と盾の性能は以前の物を1.5倍し、亡霊を切れるようになりました。


ps
日間ランキング11位とは……。

恐縮の限りで御座います。

追記

気が付いたら日間ランキングが6位になっていました。

驚きで声が出ません。

アイエエエ⁉︎日間6位⁈日間6位ナンデ⁉︎


不死の英雄伝 109

第百九話 忘却して行く自分

 

 

水没したその遺跡へと足を向けると、見知った顔の亡者が居た。

 

鎖帷子に身を包んだ戦士、心が折れてしまったのか亡者となってしまったようだが、どうにも彼がどんな人物だったのかを思い出す事が出来ない。

 

 

顔は覚えていても、その人となりを忘れてしまっていたのだ。

 

 

ソラールやロートレクと言った者は覚えているが、その他の者の名前と人となりを忘却し始めている事を始めて自覚した。

 

 

 

盾を構えながら俺に向かってくる彼に向かって、月明かりの大剣の光波を放つ。

 

彼の盾は通常の物、そんな物ではこの一撃を防ぐ事など出来はしない。

 

 

その危険性を察したのか、彼は回避行動に移ったが、そこを狙ってアルトリウスの聖剣で突撃する。

 

回避行動の狙い撃ち。それは見事成功し、彼の生命を容易く刈り取った。

 

 

彼を討った後、聖剣を背負い直してから、一旦自分の記憶を整理する事にした。

 

 

 

先ずは俺の始まり、一番初めの記憶から。

 

始まりは、”不死院にて誰かから使命を受け取った事”。

 

どう言う思いからそれを受けたかは定かでは無いが、俺は確かに、そこで”誰か”から使命を託された筈だ。

 

記憶の欠落が激しく、何故、如何して不死院に居たかは分からない、だが此れだけは強く覚えている。

 

”折れてたまるか、屈してたまるか、亡者になぞなるものか”と言う思い、此れが今日まで俺を支えてきた物の原点なのだろう。

 

 

そしてこのロードランに到達、その後の事を殆ど忘却していて、黒騎士に殺された事しか覚えていなかった。

 

欠落した記憶を遡る、ソラールとの出会い、太陽の信徒となった事、鐘を鳴らした事、放浪者との戦い、魔術の習得。

 

 

次から次へと穴だらけの記憶を思い出しながら、ある一つの事に気が付いた。

 

 

それは、俺の記憶は戦いに関連した物、若しくは強烈に印象に残っている出来事しか残っていないと言う事。

 

 

会話は勿論、その時どう思ったか、何を考えていたか、何一つ分からず、どうやって勝利したのかだけを記憶していた。

 

 

不味いな、思ったよりも記憶の忘却が激しい。

 

アルトリウスやマヌスとの戦いで何度死んだか分からないが、恐らくはそれの所為でこの状況、全く笑えないな。

 

 

最近常套手段となり始めてきた死亡学習、それを辞めるべきだろう。

 

 

不死の身体だからこそ出来る死んで覚えると言う事、便利な反面こう言うデメリットがある事をすっかり忘れていた。

 

 

何時も以上に気を引き締めて行かないと、何れ右も左もわからぬ阿呆になってしまう、そうなれば精神の力なぞ役に立たん。

 

 

心機一転、肩の力を抜く事を忘れずに、気を引き締めながら行こうと決めながら、正面の細い橋の上を渡りながら水没した遺跡へ向かう。

 

 

橋を渡りきった先に、ギザギザの刃をした曲剣を両手に持つ亡霊が彷徨っているのが見える。

 

その数は二体、此方にまだ気が付いていない様なので、先手を取らせて貰う。

 

 

月明かりの大剣の光波、それを持って彼らを消し飛ばしたのだが、様子がおかしい。

 

消しとばしたと思っていた彼らは、直ぐさま姿を表し、襲撃者である俺に向かって接近して来ている。

 

再生、とは違うな、アレはそもそもダメージを負っていないのか?

 

 

光波による爆風は、確かに彼らを消し飛ばしたが、その消え方が気に掛かった。

 

普通なら、魔力の爆風によって身体が塵となり、最後はソウルの粒子となって消えて行く。

 

 

 

だが、彼らは爆風を受けた後は煙のように立ち消え、直ぐさまその姿を再び俺の前に表したのだ。

 

 

爆風では駄目そうだが、通常武器も通りそうに無い。

 

彼らが接近するのに合わせ、二人の間を走り抜け、それと同時に月明かりの大剣を振るい、彼らを斬り裂く。

 

手応えは無かった、しかも聖剣の一閃を受けたにも関わらず彼らは健在だった。

 

 

舌打ちをしながら、次は如何するかを考える。

 

 

俺が彼らへの対策に思考を凝らしていた隙に、亡霊達の腕が伸び、俺を滅多刺しにしようと両手の曲剣を叩きつけられる。

 

咄嗟に左手に着けたアルトリウスの大盾を使ってそれを防ぐ。

 

金属同士がぶつかり合う甲高い音が静寂の中に響き渡き、俺は断続的に振り下ろされる曲剣によってその場に貼り付けにされる。

 

 

その間に、もう一人の亡霊が俺の背後に回り込み、その冷たい刃を俺の喉元に添える。

 

 

俺はその動きに対して、目の前の亡霊を盾で殴りつける事で、一度四散させてから向き合おうとしたが、予想の斜め上の事が起きたのだ。

 

 

殴りつけた盾から確かな”手応え”を感じたのだ、それを感じた瞬間に背中のアルトリウスの大剣を逆手で振るい、俺の首を狙っていた亡霊を斬り捨てる。

 

 

成る程、この剣ならば彼らを斬れるのか。

 

 

殴り付けた亡霊を斬り捨てた後、俺は目の前に見える階段を上がって行った。

 

 




主人公の理が支配する世界を元にオリジナル作品作れそうだよね。

彼がラスボス物でさ。

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