不死の英雄伝 〜始まりの火を継ぐもの〜   作:ACS

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主人公の対人運が最悪な気がする今日この頃。

容姿を確認しよう。

オッドアイ、銀髪ロング。

ニコポ、ナデポ装備。

踏み台だから仕方ないのか(白目)


不死の英雄伝 126

第百二十六話 発破

 

 

ソラールとの一対一の戦い。

 

放浪者は俺が言った通りに手を出さないで居てくれるようだ。

 

今回は救う事が目的なのだから、彼を殺す訳には行かない、しかし向こうは構わずに殺しに掛かってくると言う状況。

人を殺さずに倒す何て事は初めての事だが、やるしか無い。

 

 

彼に致命傷を与えられない以上、月明かりの大剣の光波、ハルバードによる炎、黒竜の大剣の黒炎、竜狩りの槍と言った武器に宿る力は使用出来ない。

 

 

背中のアルトリウスの大剣を引き抜きながら盾を構え、彼の攻撃に備える。

 

ソラールは雄叫びを上げながら手に持つタリスマンを天高く掲げる。

 

そのタリスマンを中心にして、彼の手に雷の槍が発現する。

 

 

 

アレは光速で敵を撃ち抜く槍。

 

しかも鋭角に曲がる為、生半可な回避では容易く貫かれてしまうだろう。

 

しかし、俺は盾を構えて構わず接近する。

 

俺の手に握られている盾はアルトリウスの聖盾だ、凡ゆる魔術や奇跡等を完全に防ぐ事が出来る。

 

 

豪快なモーションで投擲された雷を、盾で受け止めながら彼へ肉薄し、雷の槍を投擲した体勢の彼の顔面を盾で殴り飛ばす。

 

その一撃でよろめいた彼の足を払い、一気に転倒させる。

 

 

寄生されている為なのか、彼の動きに切れはない。

 

寧ろ亡者の様に隙だらけだった、相手にすること自体は思った以上に容易かった。

 

倒れたソラールの背中を踏みつけながら、暴れられないように関節を全て外した後、頭の虫をアルトリウスの大剣の刃で殺し、その死体を彼の頭から慎重に引っこ抜く。

 

 

彼は虫を引き抜くと同時に気絶してしまった為、正気に戻ったかは分からない。

 

だが、出来れば正気を取り戻して欲しいと思う。

 

彼の関節をはめ直し、彼へ向けてのメッセージを残してから放浪者と合流する。

 

ー済まなかったな、さあ先に進もうー

 

 

ー彼奴が起きるまで待ってやっても良かったんだぜ?ー

ー正直、今彼が目を覚ましても、私は殴り付ける事しか出来ず、碌に発破を掛けてやる事は出来ないだろうさー

 

ー不甲斐ない、情け無い、きっとそんなくだらない在り来たりな言葉しか口に出来ないだろうー

 

ーだから私は書き置きをして置いたー

 

ー思いを伝える方法は一つでは無い、故に私の思いはそこに置いてきたー

 

ーアレで立てないならば其処まで、冷たいようだが彼は其処までの男だったと言う事さー

 

ーもっとも、私は彼はきっと立ち上がると確信しているがねー

 

ーまあ良いや、テメェの友人がどうなろうと俺には関係ねぇ話だしなー

 

ー後ろ髪引かれねぇってんなら先に進むぞー

 

 

 

 

 

 

そうして彼らが去って暫くした後、ソラールは目を覚ます。

 

残骸となった太陽虫。

 

彼はそれを見て我に返り、そして現実に打ちひしがれる。

 

 

ー全て、嘘だったのか…ー

 

ー俺は、ずっと、ずっと、その為だけに…ー

 

ーああ、俺の太陽…どうしたら良いんだ…どうしたら…ー

 

ー…太陽、俺の太陽よう…ー

 

心が折れてしまった彼は項垂れ、膝をつき、譫言のように太陽…太陽…と繰り返して居た。

 

 

そんな彼の視界の端に映った太陽メダル、そしてその側に書かれている書き置き。

 

彼はヨロヨロと其処へ近付き、其処に書かれている言葉に目を通して行く。

 

 

ソラール、本来ならば面と向かって君に言葉を投げ掛ける方が良いのだろうが、その君の有様を見てしまうと言いたいことも碌に言えなくなってしまう為、この様な形で言葉を残す事を許して欲しい。

 

君は言ったな、いつかあの太陽のような男になりたいと。

 

ならばその有様は何だ?

 

その惨状は何だ?

 

君が何を思っているかなんてのは俺には分からない。

 

しかし、一つだけ分かる事がある。

 

君が目指した”太陽”はこんな物では断じて無い。

 

こんな地獄の釜の底で、こんな醜い虫けらを照らすのが君の夢だったのか?

 

君が語ったのは、こんなくだらない物だったのか?

 

周りの人間が呆れ返る程愛して止まない君の太陽とは、本当にこの様なちっぽけな物だったのか?

 

なあソラール、太陽の信徒ソラールよ。

 

お前は、コレで本当に満足なのか?

 

俺は信じているよ。

 

我が友の夢は、吹けば飛ぶような紙のような夢幻では無く。

 

山をも越える巨岩のごとくに強大な夢なのだと。

 

太陽万歳‼︎

 

 

誰が書き置きをしたのか、それはソラール自身が良く知っている男だった。

 

奇想天外な発想をし、奇抜な戦い方をする、自分と同じ変人。

 

ソラールは涙を流しながらその書き置きを穴が空くほど読み返し続けていた。

 

この時、折れた彼がどう思ったかは誰にも分からない。

 

しかし、彼は涙を拭い、再び顔を上げて地上に向かって行った。

 

その顔に憂いは無く、夢に向かって一直線な少年のようだった。





あったかもしれない会話 ⑦

放浪者「一々人をからかいやがって…」

主人公「期待通りの反応を返す君がいけないのだよ」

放浪者「うるせぇよ変人、こうなりゃ知恵比べだ」

主人公「唐突だな」

放浪者「本気で殺し合いなんぞしたらお互いタダじゃ済まねぇだろうがよ」

主人公「一理あるが…………君に知恵などあるのかね?」

放浪者「単純に知識比べだよ、棘のある言い方しか出来ねぇのかよテメェは」

主人公「安心したまえ、私は君以外には礼儀正しいよ」

放浪者「………、ルールはジャンルの問わないクイズで勝負して答えられなかった方があの楔のデーモンを一人で片付ける、それで良いな?」

主人公「ああ、構わないよ」

放浪者「じゃあ、俺から行くぞ?」

放浪者「『汚名挽回』について答えろ」

主人公「………」

放浪者「答えらんねぇみてぇだな」(ドヤァ

主人公「答えても良いのか?」

放浪者「答えられるならな」(ドヤァ

主人公「『挽回』という言葉には『巻き返しを図って本来の良い状態に戻る』という意味がある。
そのため『汚名挽回』は『汚名を被っている状態から元に戻る』という解釈が可能なため、『汚名返上』と同じ意味であるととらえることもできる。
似たような用法の言葉として『疲労回復』を思い浮かべれば理解しやすいだろう。
また、同じ『挽回』を用いた言葉でも『遅れを挽回する』『劣勢を挽回する』という言葉が一般的に使われているが、これも遅れや劣勢をもう1度得る、と言う意味では使われない。
なお、この説を正とする場合、『汚名挽回』は『汚名の有る状態から、良い状態へと回復する』と言う意味である。
『汚名返上』は、汚名を返上した後の状態を問わないため、根本的に意味の違う新語である、とする説もある。
また、『(悪い意味で)汚名をもう1度得る事』と言う意味で『汚名挽回』を使ってしまった場合、『挽回』を誤った意味で用いていることになるため、明らかに言葉の誤用となる、恥ずかしい思いをしたくなければ使わない方が良いだろう」

放浪者「お、おう」

主人公「この説には反論もあってな?」

主人公「次いでだ、そちらも込みで回答してーー」

放浪者「いや、いい‼︎、大丈夫だ‼︎」

主人公「?そうか、なら私のターンだな」

主人公「私からの出題はーー」

放浪者「俺の負けでいいよ、もう……」

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