不死の英雄伝 〜始まりの火を継ぐもの〜   作:ACS

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いよいよタイトル詐欺になって来ましたね(白目)

一部ボスをカットしても60話越えるようなら原作名一旦変えます。

後二十話前後で終わる気しないけど。


不死の英雄伝 38

第三十八話 カタリナの騎士

 

目の前を巨大な鉄球が通り過ぎて行く、その際に蛇人がそれの犠牲になり挽肉となる。

 

 

その光景に尻込みしてしまい思わず足を止めてしまう。

 

 

装備を全て外し、深呼吸を一つ付いて気を落ち着ける。

 

 

転がる鉄球同士の間隔を計り、鉄球が通り過ぎた後に上に駆け上がる。

 

駆け上がった先の左側には小部屋があり、転がり込もうとしたのだが、目の前を雷が通り抜ける。

 

 

反射的に右に飛び退いてしまい、その先に足元の足場が無くなっていることに気が付いた頃には身体が宙に浮いていた。

 

眼下に見える崖の淵に掴まり、落下死を回避する。

 

 

崖からよじ登ると、玉ねぎのような鎧を身に纏った男が居た。

 

 

彼はカタリナのジークマイヤーと名乗り、私もあの鉄球に難儀して居るのだと言っていた。

 

 

-ほら、私は何と無く太って居るだろう?-

 

-ゴロゴロが速すぎるんだ-

 

-だから此処に座って難儀しておるんだ-

 

-何とかなるかも知れないだろう?-

 

-ガハハハハ-

 

 

中々マイペースな男らしく、そう言うと考え事をしながら船を漕いでいた。

 

 

しかし、彼の腕は本物らしく、上に戻る道筋で何体か蛇人が輪切りにされて居た。

 

新たな知人の強さに驚きながらも道を急ぐ。

 

 

鉄球そのものは等間隔で転がって来ていて、タイミングを計れば突破出来なくも無い。

 

確かに、彼は少々恰幅の良い身体をしているから難しいかもしれないが。

 

 

 

 

盾の裏からナイフを取り出し、鉄球を避けながら再び駆け上がり、コブラ頭が再び雷を放つ前にナイフを投げつけて、その行動を妨害する。

 

 

再度鉄球が転がって来る前に、左側の小部屋に転がり込む。

 

 

その後、装備を全て取り出して刀を構える。

 

先ほど、ナイフを投げ付けたコブラ頭が俺を追いかけてこの部屋に足を踏み入れる。そして、その瞬間に居合切りを放ちコブラ頭を両断する。

 

 

彼等は他の蛇人達とは違いウロコが柔らかいため、簡単に切り捨てられた。

 

 

血払いを済ませ、床を確認して行く。自分が今居る周囲に問題は無かったが、先に進む為の通路には感圧板が設置されている。

 

正面を警戒しつつ、慎重に盾を構えながら感圧板を踏む。

 

トラップが発動し、矢が放たれる。

 

 

しかし、正面からではなく背後から。

 

 

単調なトラップばかりだった為に意表を突かれてしまい、一発貰ってしまったが、しゃがむ事で続け様の二発は回避することに成功した。

 

 

 

幸いなことに通路の先には蛇人が待ち構えていたようで、俺が回避した矢をまともに食らっていた。

 

 

気を取り直して通路を越える。

 

どうやら、また鉄球が転がって居るらしく重低音が周りに響いていた。

 

二度、三度と鉄球が転がるのを確認した後、足を使ってタイミングを測り走り抜ける。

 

 

鉄球が再装填された瞬間に何とか発射台まで辿り着き、スライディングで射出される鉄球を回避することができた。

 

顔面スレスレを鉄球が弾き出された為に肝が冷えたが、なんとか間に合った。

 

 

発射台に付けられたレバーを回し鉄球が発射される場所を調節する。

 

その途中で壁が壊れる音が聞こえたが、先に進む事を優先する。

 

 

通路に設置された感圧板を大剣で起動させ、放たれた矢が再装填される前に移動する。

 

 

最早足がすくむ高さとなって居て、落下してしまえば助かることは無い。

 

更に足元の梁の幅も狭まっており、人一人がやっとと言った所で、更にはギロチン同士の間隔も狭まって居る。

 

 

躊躇えばギロチンによって、足場から叩き出されてしまうだろう。

 

ゆっくりと梁を歩いて行き、ギロチンの前まで移動する。

 

 

目の前では規則正しくギロチンが揺れている、そのリズムにゆっくりと目を慣らして行けば走り抜けられるはずだ。

 

 

数分、あるいは数十分だろうか、じっくりとギロチンの動きに目を慣らした後一気に走り抜ける。

 

 

何とか梁を越え向こう岸に到達する。

 

 

不安定な足場を走り抜けたせいか心臓がけたたましく鳴っていたので、深呼吸を一つつき、心臓を落ち着かせる。

 

 

腰から剣を抜き、盾を構えながら周囲の索敵をすると、左右にそれぞれコブラ頭と普通の蛇人が居る。

 

 

剣にエンチャントを施し、左に音送りを放ち、右の蛇人に向かう。

 

 

後ろのコブラ頭が音送りの着弾点に気を取られて居るうちに、正面の蛇人に斬りかかる。

 

 

狭い通路では、彼らの持つ大剣は取り回し辛く満足に振るえない。なので、その腕が動く瞬間は突きの動作の時だけだ。

 

 

予想通り放たれた突き、その大剣の腹を左手で払いのけて蛇人の体勢を大きく崩して、開いた胸を貫き、そのまま切り開く。

 

 

そして、背後の音送りの効果が切れると同時に魔法の矢をコブラ頭の額に放つ。

 

 

着弾の衝撃でコブラ頭の額が弾け、辺りに血と脳髄が混ざったものがブチまけられる。

 

 

あまり気分の良い光景では無いがそれらを越えて先を覗く。

 

 

視線の先には片足がやっとと言った幅の梁と、恒例のギロチンがあった。

 

そして、横からはコブラ頭が雷を吐き出して来ている。

 

 

恐らく、ここが最後の梁なんだろう、城の内部から外に向かう道が見えている。

 

 

 

俺は装備の点検をし、最後の難関を突破するために、問題が無いことを確認して行った。

 


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