不死の英雄伝 〜始まりの火を継ぐもの〜   作:ACS

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ようやく頂上ですぜ。


不死の英雄伝 39

第三十九話 センの古城 頂上部

 

ギロチンを突破する際に直面している問題点は二つ。

 

 

一つは不安定な足場、片足を乗せるのがやっとの幅な梁の上を歩いてギロチンを避けなければならないと言うこと。

 

もう一つは左にいるコブラ頭の蛇人、こいつは口から雷を吐き出してくるために、避け場の無い梁の上ではどうしようもない。

 

 

杖を取り出し、ソウルの矢を放つ。

 

 

額を狙った一撃は四本の腕で防がれてしまう。

 

そして、その腕の隙間から雷が吐き出され、左手に持っていた杖を撃ち落とされてしまう。

 

 

壁に身を寄せながら相手の射角から外れ、次の手を考える。

 

 

盾の裏のナイフを五本取り出し、右手で握る。本当なら毒ナイフを投げたいんだが、相手は蛇。投げるだけ無駄だろうな。

 

 

ナイフだけでは決定打に欠けてしまうが、杖を撃ち落とされてしまったため遠距離攻撃が可能な物はこれしか無い。

 

 

倒す必要は無い、雷撃を撃たせないようにすれば良いだけだからな。

 

 

壁から身を乗り出し彼の四本の手の平を射抜く、こうすることで本命の一本を抜けないようにするのが目的だ。

 

 

四本の腕を潰されたコブラ頭は、刺さったナイフを抜く事が出来ないため、大きく口を開き、雷撃を放つ。

 

 

放たれた雷撃をバックステップで回避し、彼が口を閉じた瞬間に顎を狙いナイフを投げる。

 

 

下から掬い上げるように顎を撃ち抜き、上顎と下顎を縫い付けて口が開けないようにする。

 

 

これで左の蛇人は無力化出来た。

 

後は四つのギロチンだけだ。

 

 

一歩一歩、綱渡りのように慎重に歩いていき、ギロチンの前まで辿り着き、揺れているギロチンの隙間を大股でなんとか二つ抜ける。

 

 

これでギロチンは後二つ。

 

 

先ほどと同じ要領で大股でギロチンを抜けたのだが、安堵感から緊張の糸が切れてしまいバランスを崩してしまう。

 

 

咄嗟にハルバードの刃を梁に引っ掛けて落下を間逃れる。

 

 

 

あ、危なかった、つい気を抜いちまった。

 

 

ハルバードの柄を慎重に登って行き、今度は気を抜かずに渡り切る。

 

 

階段を上がり城の外に出る。

 

 

陶器の割れる音と共に熱風が俺を襲う。

 

 

そちらに顔を向けると巨大な火炎壺のような物が割れていた。

 

 

あの大きさだともう爆撃だな。

 

 

上空からの爆撃はどうやら場所を転々として居るらしく、着弾点は黒焦げていた。

 

 

上空からの爆撃に気を付けながら、ひたすら上を目指す。

 

 

だが、すぐに爆撃をしている者に気付かれてしまったらしく、石橋を渡っている最中に爆撃をされてしまう。

 

 

 

着弾前に影が差したために左側に見える石橋に飛び乗って爆撃を回避出来たのだが、先ほど俺がいた石橋を重点的に爆撃されてしまっている。

 

 

一旦、目の前に見える小屋に身を隠して爆撃をやり過ごす。

 

 

小屋の中には以前不死教会で戦った鎧を身に纏った男が立っていた。

 

 

彼もまた、心の折れてしまった一人だった。

 

 

彼の騎士団は巡礼の旅でロードランを訪れ、全滅したと言う。

 

そして、全滅した騎士団は亡者となり各地に現れるようになったらしい。

 

 

彼はその光景に心が折れてしまい、以降此処でこうしているという。

 

 

悪あがきをしたいのなら道具を用立ててやる、と言ってくれたのでそのお言葉に甘えさせてもらう。

 

 

彼から、黒い火炎壺と緑化草を10個ずつ購入する。

 

この火炎壺は普通の火炎壺と違い火力が大幅に強化されたものだと言う。場合によってはデーモン相手でも通用するのだとか。

 

 

そして、緑化草。

 

これは簡単に言えば滋養強壮材らしい。

 

これを服用する事でスタミナの回復が早くなり走り続けていても疲れにくくなるそうだ。

 

試しに一つ服用し、この小屋の中にあった階段を駆け下りて行く。

 

 

螺旋階段のような階段を下り切っても息切れ一つせず、軽く息を吐くだけで済んで居た。

 

 

勢いで降りてきたは良いのだが、奥には何か鍵のようなものが落ちているのが見えていて、その前にはコブラ頭が居て此方を威嚇している。

 

 

だが、今の俺は緑化草によってスタミナが強化されているため、走りながら一気に距離を詰める。

 

 

普段なら此処で足が止まるのだが、今回は走っている状態から更に踏み込み一気に抜刀する。

 

 

放たれた神速の居合い切りによって、何が起きたのか分からないまま首を刎ね飛ばされたコブラ頭は、口を開いたまま絶命した。

 

 

鍵を拾った後は再び上に戻り、今だに止まない爆撃を避けるように石橋から飛び降りる。

 

 

かなりの高さだったが、ちゃんと受け身を取ったので落下死はしなかったのだが、代わりに両足を骨折してしまった。

 

 

折れた足をエストで直しながら近くにボウガンが落ちているのを発見した。

 

 

鋼作りのこのボウガンにはスコープが付いている。

 

 

このスコープは倍率も変えられるらしく、狙撃に特化しているようだった。スナイパークロスとでも呼ぼうか。

 

 

 

不死教会でボウガンを破壊されて以来、それに代わる物を手に入れる事が出来なかったため、非常に助かった。

 

 

それに、このボウガンは鋼作りだから早々に壊れないだろうし、いざとなれば鈍器としても使えそうだ。

 

 

 





もうスナイパーワロスなんて呼ばせないよ。

頑張って活躍させます。

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