タイトル詐欺になって来たので、タイトル並びに原作名を変更致しました。
今回、応募していただいた白霊を使用させて頂きます。
その際に性能を多少調節させて頂いております。
それに伴い、タルカスの兄貴にはリストラさせて頂きます。
すまぬ兄ィ。
第四十話 ビックハット
スナイパークロスを仕舞い、古城への入り口前に戻る。
石橋の上は今だに爆撃されて居る、とりあえずは移動した事を悟られずに済んだようだ。
物陰を転々としながら上空から爆撃をしてきている敵を見る、巨大な火炎壺とその隣に奴隷の服装をした巨人。
恐らく、彼が先ほどから此方に爆撃を敢行してきているのだろう。
スナイパークロスを取り出し、矢を装填する。
スナイパークロスには専用の矢が有り、それが十本程度だったがさっきの場所に共に落ちていたのだ。
スコープを覗き狙いを定める。
狙いは火炎壺。
いくら飛距離が伸びて威力が高くなっていようとも、ボウガンではあの巨体には通用しないだろう。
だが、あの巨大な火炎壺を破壊するだけなら十分だ。
スコープの先の巨人が火炎壺を持ち上げるのと同時に、その手に抱えた壺を撃ち抜く。
手の中で火炎壺が爆発し、炎に包まれてしまった巨人は身体中に纏わり付く炎を消そうと暴れまわっている。
その結果、側に積んでいた火炎壺に引火し大爆発が起こり、爆風と衝撃が古城に響き渡る。
思わず耳を押さえてしゃがんでしまったが、巨人奴隷が居場所ごと跡形なく消し飛んだのを確認出来た。
ともかく、これで爆撃をされる心配が無くなったな。
静かになった石橋を渡った先に籠のような牢があった。
どうやら、下で拾った鍵はこれに使うためのものらしい。
少し調べてみたら、この籠牢は昇降機のような作りになっているようだ。
中に足を踏み入れ、下に降りて行く。
着いた先は古城の入り口。
準備をして来いとでも言うのだろうか?
どうせだから壊れた壁でも見に行ってみるか。
壁が壊れたのはジークマイヤーと出会った場所の手前の部屋だった。
壁に大穴が空いていて、その先には大量の籠牢が吊り下げられて居る。
そして、その中の一つの籠に大きな帽子を被った男が囚われて居るのが見えた。
彼の名はローガン。
魔術の研究のためにロードランに訪れ、捕まってしまったらしい。
-私には魔術を教えてやることしか出来ないが、助けては貰えないだろうか?-
そもそも助けない理由は無い。
その上魔術も教えて貰えると言うのだから万々歳だ。
鍵を開けて彼を開放し祭祀場まで連れてゆく。
お互いに人心地着いた後で、改めて自己紹介をし、魔術を教えてもらう。
彼はグリックスの師匠らしく、彼より更にワンランク上の魔術を教えてくれた。
ソウルの槍と追尾するソウルの塊。
俺が新しく覚えた魔術の名前だ。
どちらもローガン独自の魔術らしく、探究心の賜物だと言っていた。
世には神は無く、神秘も無く、ただ有るのは真理のみ、それを明らかにするのは知のみだ。
これが彼の持論らしく、それ故に彼らの国では異端扱いだったらしい。
グリックスから新たに杖を貰い、古城へ戻る。
その道中で古城前の篝火に触れて、魔術を記憶する。
新たに記憶したのは追尾するソウルの塊。
ソウルの槍も使いたかったのだが、俺の現在の理力では発動させることができなかった。
古城に足を踏み入れると来た時には無かったサインが二つ見えた。
柱の陰に隠れている其れらに触れてみると。
狂舞のシン
太陽見習い テイス
彼らを一言で表すなら筋肉。
圧倒的な肉体美、針金細工のような身体、漢の中の漢達だった。
さ、最近のロードランは肌を晒すのが流行りなのか?
困惑しながら彼等を召喚する。
地面から湧き出るように、太陽賛美をしながら現れた二人の筋肉。
本当に彼等は太陽の信徒なのだろうか?
何かの間違いでは無いのだろうか?
二人の筋肉は召喚されるなり、俺の周りをぐるぐると周りだした。
彼らはその合間合間にお互いポージングを取り独特なコミニュケーションをとって居た。
頭を押さえ、先に進もうと言うジェスチャーをしたのだが、狂舞のシンが自分の上半身を親指で指差している。脱げと言うのか?
それに伴い、太陽見習いのテイスも自身の上半身を指差している。脱げと言うのか…
恐る恐る鎧に手を掛ける。
目の前の筋肉達は、ハリー、ハリー、ハリー、ハリー、と急かしてくる。
-さぁ、旅はこれからだ-
-お楽しみはこれからだ-
-ハリィィィィイ‼︎ ハリー‼︎-
幻聴だろうか?
こいつらは俺が脱がなきゃ梃子でも動きそうに無い。
結局、俺も鎧を脱ぐことを強要され上半身をさらけ出す。
彼らに比べて貧相な身体をして居るためか、優しい目をした筋肉達は俺の肩を叩いて来た。
-気にするな、お前はまだまだ若い-
-これからゆっくりと筋肉を鍛えて行けばいいさ-
その目が語っていた。
一人ずつ筋肉共の顔をぶん殴って先に進む。
何故殴られたのか分からない、と言った顔をして居たが当たり前だ。
誰が貴様らみたいな筋肉達磨になるか。
正直、すまんかった。