不死の英雄伝 〜始まりの火を継ぐもの〜   作:ACS

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主人公「ここは…神の国なのか?!」

新宿

東京タワーが赤い理由。


不死の英雄伝 43

第四十三話 到達 アノール・ロンド

 

太陽賛美を捧げ終わった俺は、ゴーレムを倒した際に現れた光の輪を調べていた。

 

 

これと言って変わった所の無いものなのだが、ゴーレムを倒したと同時に現れたのだから何かあるはずなのだ。

 

 

調べながら首を傾げていると、空から何かの羽ばたく音が聞こえてきた。

 

 

そちらを見ると蝙蝠のような翼を持ったデーモンが此方を目掛けて降りてくる所だった。

 

 

大剣を構えて、降りてくる彼らを迎え打とうとしたのだが、いつの間にか後ろに回り込まれ羽交い締めにされてしまった。

 

 

必死に抵抗してみたが振り払う事ができずに、何処かに運ばれて行く。

 

 

暴れていた俺を大人しくさせたのは、太陽に照らされた神秘的な城だった。

 

 

神の国、王都 アノール・ロンド。

 

蝙蝠達は此処まで連れてくるのが仕事だったのだろう。俺を降ろすと、各々自分の居場所に戻って行った。

 

 

俺はそんな事、気にも止めずにただ目の前の朝焼けとも夕焼けとも言える太陽の光を眺めていた。

 

 

大王グウィンの城とは聞いていたが、これ程の物だとは。

 

 

何時迄もその光景を眺めていたかったのだが、先を急ぐので惜しみながら階段を下って行った。

 

 

目の前に居る巨人の兵士達が道案内なつもりなのか、俺の進むべき道を指差している。

 

 

 

その案内の通りに進むと篝火と全身を鎧で包んだ女が立っていた。

 

 

篝火に触れながら彼女の話に耳を傾ける。

 

 

曰く、此処は神の国アノール・ロンド、王の器を求める英雄がその試練を受ける場所。

 

大王グウィンが隠れてしまってからは棄てられた都となったらしい。

 

 

 

そんな場所にも勇者の導きは必要だろ?

 

彼女はそう言いながら俺の肩を叩き、頑張ってくれよ勇者様。と言ってくれた。

 

 

皮肉なのか、純粋に期待しているのか、中々にキツイ事を言ってくれるな。

 

 

彼女は此処の火防女らしいので病み村で手に入れた火防女の魂を使ってエスト瓶を強化してもらう。

 

 

そして、ここの篝火を注ぎ火の秘儀を使い最大まで強化する。 人間性を捧げられた篝火の炎は身の丈程の高さとなって居る。それに伴い、エスト瓶の中身が倍程に増えていた。

 

 

火防女が言うには、篝火のある部屋から外に出ると正面に昇降機がある、その先に君の求めている”王の器”への試練が待っているよ。との事だ。

 

 

 

彼女の言葉に従い、昇降機を下って行く。 降りた先には、不死教区で戦ったガーゴイルが見えた。

 

 

腰の刀にエンチャントを施しガーゴイルに向かって走り出す。

 

目の前のガーゴイルは薙ぎ払うように口から雷を吐いているが、その雷が俺に当たる前に踏み込み、首を斬り落とす。

 

 

ソウルとなり消えて行くガーゴイルと入れ替わるように全身を不快感が襲う。

 

 

正面から湧き出るように現れた闇霊。

 

 

何時もの放浪者、だがその装いは変わっている。

 

 

左手にはグラーグの魔剣が、右手には装飾の施されたレイピアが握られている。

 

そして、背中にはツヴァイヘンダーと呼ばれる特大剣とルッツェルンと呼ばれる武器が背負われている。

 

最後に、腰にはナイフが数十本程とショートボウよりもやや小ぶりな弓が付けられていた。

 

 

奴は俺の世界に侵入出来た事を確認すると、ナイフを俺に向けて投擲し飛び掛かってくる。

 

 

飛来するナイフを盾で防ぎながら刀の突きを彼に向けて放ったのだが、狙い済ましたかのようにグラーグの魔剣で弾かれる。

 

 

奇しくもパリィと同じような形となり胴を大きく晒してしまう。

 

 

彼は右手に持ったレイピアにいつの間にか炭松脂を塗っていたようで、その炎に包まれた刺剣で残像が残る程の神速の突きの連打を放つ。

 

 

体勢を崩した隙に全身を滅多刺しにされてしまい、俺の身体中を炎が包む。

 

だが、退く事はせずあえて腰の片手剣を抜き、横薙ぎに放浪者に打ち付ける。

 

 

その判断は正しかったらしく、彼は両手の武器を腰に戻し背中の特大剣に手を掛けていた。

 

 

退いていた場合、あの特大剣で叩き切られていただろう。

 

 

そのまま切り捨てるつもりだったのだが、彼の服には何か仕込まれて居たらしく、切断まで至らない。

 

腹部を打ち付けられ、その身体をくの字に曲げる放浪者、だが彼もただでは転ばない男のようで、既に腰の魔剣に手を伸ばしていた。

 

 

それを見て、彼の足にスライディングをかまし体勢を崩し、そこに剣を振り下ろす。

 

 

だが、まだ追撃は終わらせ無い。

 

 

頭部への振り下ろしを受けても、闘争心で立っている彼の足を剣で払い、今度こそ前のめりとなり転倒した彼を空中へ打ち上げる。

 

 

空中で身動きが取れない彼の胸にハルバードを投擲しトドメを狙ったのだが、彼はハルバードを防ぐ為に両腕を交差させる。

 

 

そして、彼は地面に着地する瞬間に呪術の火を取り出し、俺に向けて炎の塊を投げつける。

 

それを盾で防いだのだが、その隙に奴を見失ってしまった。

 

 

今回の奴との戦いは今まで以上にキツイものになりそうだな…。

 

 




放浪者「これが我が師直伝の技‼︎」

放浪者「奥義‼︎ エターナルレイド‼︎」


主人公「その身に刻め‼︎」

主人公「神技‼︎ ニーベルン・ヴァレスティ‼︎」

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