不死の英雄伝 〜始まりの火を継ぐもの〜   作:ACS

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遂に五十話の大台になりましたね。(白目)

終わらない第一章。


不死の英雄伝 50

第五十話 断罪

 

 

複数戦の基本は各個撃破、本命であるロートレクとの決闘には邪魔者が二人居る、先ずはその二人だ。

 

 

ソウルからスナイパークロスを取り出し、左側に居る魔術師に向かって発射する。

 

 

彼はその凶弾を盾で防ぎ、俺にソウルの矢を放つ。

 

放たれたソウルの矢をエンチャントの施された大剣で切り払う。

 

 

魔術で強化されて居る大剣ならではの迎撃法だ。

 

 

右側にいた霊体が盾と槍を構えながら、足を止めた俺に向かって突進してくる。

 

大剣は振り下ろした状態だ、スナイパークロスもリロードが間に合わない。

 

だが、俺の周囲にはソウルの塊が浮いている。

 

彼の足がソウルの塊の射程範囲に入り、周囲の塊が反応して彼を襲う。

 

 

彼の構えていた木製の盾が、ソウルの塊によって大きく弾き飛ばされる。

 

 

それによって開いた胴を袈裟斬りにする。

 

今までの魔法の武器とは違い、深い青に染まった大剣は、霊体の身体を鎧の上からでも容易く両断する。

 

 

あの放浪者のようなヘマはしないように、左手のスナイパークロスで彼の上半身を殴り飛ばす。

 

 

その際に、彼の盾を掠め取り、俺に魔術を放とうとして居る霊体に投げ付ける。

 

 

発射体勢に入った彼は、射線を外す事も出来ずに、飛来する盾に向けてソウルの矢が放たれる。

 

 

元々、霊体の持ち物だったので大分消えかけてはいたのだが、壁にするには十分だった。

 

ソウルの槍、ビックハットローガン独自の魔術、その威力はかのグウィン王の雷にもたとえられる程のもの。

 

 

杖の先にソウルが集まり、魔力によって形をなして行く。

 

そうして放たれた魔術はランスのような形を形成し、壁として投げ付けた盾を貫通、その先に居た魔術師の胸に風穴を開ける。

 

 

膝から崩れ落ちた霊体を、大剣で正中線にそって両断、完全にトドメを刺す。

 

 

過剰攻撃なのだが、ロートレクと対峙した際に横槍を入れられたらお終いだ。

 

 

ロートレクも俺との決闘を望んで居たのか、俺ごときならば彼ら二人でも十分だと思ったのか、腕を組みながら此方を品定めするように眺めていた。

 

一旦、ソウルの塊を張り直す。

 

そのあと、俺は右手の手甲を外し手袋を取り出すと、ロートレクの足元に投げ付ける。

 

 

今では元が付いてしまうが、友人であった彼に対しての最後の礼儀、決闘の申し込みをする。

 

 

通常、一方が決闘を申し込み、他方が受諾すれば決闘が行われる。申し込みの方式は、相手の足元めがけて白手袋を投げるか、顔を白手袋ではたくことによって行い、相手が手袋を拾い上げれば受諾となる。ただしこれ以外に、決闘状を送りつける方法や、代理人を向けて決闘を申し込む場合もある。

 

今回、立会人は居ないし手袋も白くは無いが別に構わない。

 

 

彼も騎士ならば、この行動の意味を理解しているだろう。

 

 

ロートレクは、感心したような声を漏らしながら手袋を拾い、俺の決闘を受け入れる。

 

 

お互いに名乗りを上げ、武器を構える。

 

彼は両手にショーテルを、俺は右手に大剣を、左手にはハルバードを握っている。

 

 

先に仕掛けたのは俺、ソウルの塊を張っている為に攻めに出た方が良いはずだからだ。

 

 

ロートレクとの距離が狭まり、ソウルの塊が反応して五つの塊が同時に発射される。

 

 

ロートレクは腕を交差させ、そのまま俺に向かって走り出す。

 

回避すると思って居たのだが、そのまま突っ切られるとは思わず、懐に飛び込まれる。

 

 

大型の武器を使っていた為にこのショートレンジに対応出来ず、首にショーテルの刃が迫る。

 

 

コレで負けてしまえば今度こそ、彼を逃がしてしまう。

 

逃がすつもりは無い為に、倒れ込むつもりで思い切り上体を逸らして彼の凶刃を回避する。

 

 

その体勢から左手のハルバードでロートレクを横殴りにする。

 

腰の入らないこの体勢では、一撃で決めることは出来ない為に、炎のハルバードによっての攻撃だ。

 

 

ロートレクは迫るハルバードを左手のショーテルで受け止めたのだが、このハルバードはその刃で傷を付けられた物を問答無用で燃やし尽くす。

 

 

ロートレクは追撃を放とうとしたのだろうが、左手に握るショーテルが燃え上がった為にそれを断念し、距離をとる。

 

 

左のショーテルが燃え上がるのに合わせて、大剣の突きを放っていたのだが、空振りに終わってしまった。

 

 

だが、ロートレクの左手のショーテルは使い物にならなくなっている。

 

 

しかし、此方も大剣のエンチャントが切れてしまった為ハルバードを両手で握り、杖を取り出してソウルの塊を張り直す。

 

その後、杖を仕舞うふりをしてハルバードと共に握り込む。

 

 

今度仕掛けてきたのはロートレクからだった。

 

 

それに対して、真っ直ぐにハルバードの刺突を放つ。

 

 

驚いた事に、ソウルの塊も、ハルバードの刺突も、彼は甘んじて受け止め、瀕死となった彼の身体からは淡い光が漏れていた。

 

 

ショーテルの一閃。

 

それにより、ハルバードが両断されてしまう。

 

ロートレクは、俺の武器を破壊した事で勝利を確信したのだろう。

 

そのまま返す刀で俺の首を狙っていた。

 

 

だが、その刃が俺の首を刎ねる前に、俺の魔術が発動する。

 

 

ソウルの槍がロートレクの胸に風穴を開ける。

 

俺の杖が目に映り、何が起きたのかを理解したロートレクは、血反吐を吐きながら大笑いし始めた。

 

 

ーク、ククッ…ー

 

ーじ、実に…貴公らしい、一撃…だっ、たー

 

ー私の…死を、気に、病むな…ー

 

ー殺して…いるんだ…ー

 

ー殺されも、するさー

 

 

彼はそう言い残し、息を引き取った。

 

 




ロートレク死す‼︎

寵愛GETだぜ‼︎

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