不死の英雄伝 〜始まりの火を継ぐもの〜   作:ACS

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恐るべき師匠効果……。

あ、今回もおまけ付きです。

アノールに向かう時間が足りなくね? って方、時間軸もこの世界は歪んでますので大丈夫です。



不死の英雄伝 52

第五十二話 王の試練

 

大広間から見える、謁見の間にかかる霧。

 

王の試練。

 

霧の前に立ち、霧を越える覚悟を決める。

 

混沌の刃の事が心配ではあるが、いつまでもウジウジと何事に対しても迷っていては駄目だな、此処まで来れた以上俺ならやれるんだ。

 

 

霧を越えた先に俺を待っていた者達は、伝説だった。

 

その残虐性故に、四騎士の候補から降ろされた。

 

処刑人 スモウ

 

そして、大王グウィンに仕える四騎士の長。

 

竜狩りのオーンスタイン

 

 

処刑人スモウはその手に握るハンマーを構えながら、新しい受刑者が現れた事に狂喜して居るようだ。

 

 

そして、この謁見の間の二階から俺の居る一階まで飛び降り、同じ大地に立つ竜狩りのオーンスタイン。

 

 

彼はやはり騎士らしく、俺と同じ目線に立って正々堂々と戦うつもりなのか、二対一で戦う事を良しとせず、血気盛んなスモウに先手を譲ったようだ。

 

 

腕を組み、壁に背を預けている竜狩りは本当に手を出すつもりは無さそうだ。

 

 

ならば、俺の敵は目の前に居る処刑人。

 

 

背中の大剣にエンチャントを施して両手で構える。

 

鼻息荒く、その巨体は身体を揺らしながら突進する処刑人のハンマーを横っ飛びで回避したのだが、その際の風圧で弾き飛ばされてしまう。

 

 

完全に避けた筈なのに…‼︎

 

 

見た目通りの動きと戦い方だと言うのに、古城のゴーレムや最下層の竜よりもパワーがあると言う事に驚いた自分が情けない。

 

 

伝説の一角なのだから並外れた力があるのは当たり前か。

 

 

大剣を構え、一息に処刑人の懐に飛び込む。

 

ハンマーと言う性質上、先端部のみが脅威となり、後の柄の部分は対した物でもは無い。

 

 

そう思い大剣を振るったのだが、処刑人の脂肪に遮られてしまったため、傷が浅かった。

 

 

返す刀でもう一太刀浴びせようと振り抜いたのだが、二度目の斬撃は空を切る。

 

 

理由は単純、目の前の処刑人が跳び上がったからだ。

 

 

振り抜いた体勢のため碌に避けられず、踏み潰される。

 

 

全身がプレスされてしまい、虫の息となる。

 

だが、きっとこの一撃で死んでいた方が幸せだったのだろう。

 

 

処刑人は、辛うじて生きているだけの俺にトドメを刺すことなく、そのハンマーで俺を甚振り始めた。

 

 

手足を一本づつ、痛みを味合わせるように潰して行く。

 

 

激痛に襲われ、謁見の間に響き渡るほどの大声で悲鳴を上げてしまう。

 

 

不死の身体では、急所を突かれない限り、生半に死ぬことは無い。

 

 

その事が恨めしく、早く楽にしてくれと言う気持ちが湧き上がる。

 

 

しかし、命乞いや泣き言は言わない。

 

 

気概を折られてしまえばそれまでだ、2度と立ち上がる事が出来なくなる。

 

 

気の遠くなるような時間、拷問を受け続けた俺を救ったのは竜狩りの一撃だった。

 

 

竜狩りの持つ槍から雷が迸り、俺の胸を貫く。

 

ソウルとなり消えて行く身体に鞭を打ち、竜狩りの方へ顔を向ける。

 

 

騎士の情けか、部下の非礼の詫びか、一息に楽にしてくれた事に感謝をしながら俺は完全に消滅した。

 

 

篝火で人間性を使用し、生身を取り戻してから霧に向かう。

 

 

あの後、幾度となく再戦に向かったのだがその度に敗北し、処刑人に甚振られる。

 

 

途中からは混沌の刃で自刃して居たのだが、立て続けの敗北と拷問によって徐々に精神がすり減ってきた。

 

 

数えるのが億劫に成る程の死に心が折れそうだった。

 

 

そんな最中に、一つの光り輝くサインが見えた。

 

 

見間違う事の無い名前のサインが、俺の目に映る。

 

 

太陽の戦士 ソラール

 

 

俺の親友のサインだった。

 

 

急いで彼を召喚する。

 

 

黄金の身体をした彼の霊体が太陽賛美をしながら現れる。

 

 

ーどうした? 貴公らしく無い顔をしているぞ?ー

 

 

ーなに、この先の者たちに中々手こずって居るだけさー

 

ー君が来てくれたなら百人力だー

 

 

ーそうか、ならば行こうでは無いかー

 

 

ーああ、頼むぞ、ソラールー

 

 

ーよし、頼まれたー

 

 

俺たちは共に霧をくぐり抜け、目の前の二人と対峙する。

 

 

今回は2対2、竜狩りも参戦して来るだろう。

 

 

だが、不思議と負ける気がしなかった。

 

 

あの放浪者に実力の違いを思い知らされ、ロートレクをこの手で討ち、処刑人によって惨殺されて、すっかり弱気になっていた心に新たに火が灯る。

 

 

腰から混沌の刃を引き抜く、重い武器では彼らに対応出来ない。

 

そして、現時点で最強の武器はこの一振り以外に無い為だ。

 

さっきまでは、この刃の魅力に取り憑かれてしまいそうで、使うのをためらっていたのだが。

 

 

今回はソラールが居る。 もし、俺が人斬りになってしまいそうになったら必ず止めてくれると言う安心感がある。 恐る事は無い。

 

 

ーソラール ー

 

 

ーどうした?ー

 

 

ーこんな時代だけど、生き残れよー

 

 

ーふっ、貴公こそー

 

 

ーそれは良かった。来るぞ、共に勝利をー

 

 

 

 




お ま け 不死の英雄外伝 〜闇の落とし子〜


ああは言ったものの、俺は東に行ったことはねぇ、だから東の連中の食文化なんざ知ってる訳がねぇ。

あぁ、そういやシバの野郎が東の出身だっつってたな、彼奴に頭を下げるのは癪だがこの際しかたねぇ。


ー師匠、準備すんのに出かけて来るからなー

ー俺が帰るまでにキッチリ強化しとけよー


ーそうか、楽しみにしているよー

ーそれとー

ー気を付けて行って来るんだぞ、馬鹿弟子ー


ー……あぁ、分かってるよー

チッ、毎度毎度餓鬼じゃねぇんだぞ。


俺は病み村の昇降機の下に居るシバの元に行き、料理について聞く。


ーふむ、珍しいなー

ーあんたから俺に話しかける事も、その内容もー


ー喧しい、とっとと教えやがれー

ーテメェなんぞに頭下げるなんざ、吐き気を催すような気分なんだよー


ーまったく、礼儀を知らん男だー

ー料理、だったな。ふむ、あんたの注文に合うものと言えば刺身あたりかー


ーサシミ?ー


ー新鮮な魚の身を一定の薄さで切った物だー

ーそれを生のまま醤油、此方ではソイソースか。それを付けて食べる物だー

ー後、山葵も忘れるなよ?ー


ーゲテモノじゃねぇか‼︎ー

ー他にはねぇのか他には‼︎ー


ー失敬な、変わった物と言った注文に沿ったまでだぞ?ー

ーまぁ良い、他の物も教えてやろうー


ようやく東の料理のレシピを入手出来たのだが、魚だと?
こんなとこに居るわけねぇだろが。

面倒だがしょうがねぇ、森まで行くしかねぇな。


その後、俺は森にある動く木を越えた先にある湖で釣り糸を垂らしてんだが一向に釣れやしねぇ。

つか、さっきからカエルしか釣れねぇってのはどうゆう事だよ、魚は水のある所に居るんじゃねぇのか。

五十匹ほどにまで釣り上げられたカエルを全て魔剣で燃やし河岸を変える。

次の場所は小ロンド。

もう、彼これ3時間は糸を垂らしてんのにピクリともしやがらねぇ。

さっき、ビアトリスとか言う無口な根暗女が俺の事を可哀想な物を見る目で眺めながら去って行った。裸にひん剥くぞ。


苛つきながら釣竿を睨みつけて居ると、ようやく当たりが来た。

ーキタキタキタァァァァア‼︎ フィィィィィシュ‼︎ー

全力で引き上げると、針の先には骨格だけの魚が釣り上げられていた。


ーおいおい、オレを釣っても食うところないぜっ‼︎ー

ー……でもカルシウムくらいならとれるぜー

ーそもそも、ロードランで食える魚を探すなら灰の湖に行かねぇとなー


俺は釣った魚を叩き付け、また病み村に戻る事になった事に頭を抱えるのだった。


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