不死の英雄伝 〜始まりの火を継ぐもの〜   作:ACS

55 / 134
ようやく、アノール編が終わったぞ……。

過去最長の13話でした。

何時になったら火の炉に着くのかな(白目)


書庫、巨人墓場、イザリス、裏汁、何処から行きましょうか?



不死の英雄伝 55

第五十五話 薪の後継者

 

 

昇降機を上り、正面に見える大扉を開く。

 

 

扉の先には扇情的な身体をした女性が居た。

 

 

ーよく参りました、試練をこえた、不死の英雄よー

 

 

彼女の声は、俺の全てを見通されたような気分にされる程神秘的な声だった。

 

 

彼女の前に跪き、使命についての全容を聞く。

 

 

要約すると、今この世界が不死の呪いに犯され、デーモンが跋扈する世界になったのは始まりの火が消えかけているからだそうだ。

 

 

英雄様が大王グウィンの後を継ぎ、新たに始まりの火を継ぐ事によって世界が再び生命の炎に満たされる。それによって、不死の呪いは払われ、デーモン達は消え去り、再び世界は繁栄するでしょう。

 

 

彼女はそう締めくくり、俺に王の器を渡す。

 

 

ー後はフラムトが導いてくれるでしょうー

 

 

ーその器を所有する者は篝火と篝火の間を転移する事ができるようになりますー

 

ー是非、お役立て下さいー

 

 

王女の間から去った後、そばにあった篝火に触れ、祭祀場に自分を転送する。

 

ソウルとなり、篝火に取り込まれた俺はそのまま、祭祀場の篝火の前に再構築される。

 

 

フラムトに話しかける前に、火防女の元に向かい、彼女の魂を返却する。

 

 

ロートレクから取り返した魂は、彼女の遺体の中に吸い込まれ、再び生命の炎を灯す。

 

 

ー…あ、ありがとう、ございましたー

 

ー…私は、アストラのアナスタシアー

 

ーあなたのお陰で、火防の任を、続けることができますー

 

ー…そしてー

 

ー汚れた声をお聞かせしたことを、お許し下さいー

 

 

彼女の声は美しい物だったが、本人は汚れた声と自嘲し、辛そうだった。

 

話しかけるだけ、彼女を苦しめるだろう。そう思った俺は彼女にすまなかったと一言謝り、今度こそフラムトの元に向かった。

 

 

ーおお‼︎ お主、でかしたな!ー

 

ーまさか、王の器を持ち帰るとは‼︎ー

 

 

俺を出迎えたフラムトの第一声がそれだった。

 

もう何年もアノール・ロンドからの帰還者は居なかったのだろう。彼は非常に興奮している。

 

 

ー1000年を越え、ずっと探し求めていた者がやっと現れたか‼︎ー

 

ーウオオオーーーン!ー

 

ーすまん、少し興奮してしまったー

 

ーそれでは、その器のあるべき場所に、お主を案内しようー

 

ー準備は良いな。では、じっとしておれよ!ー

 

 

その言葉と共に俺を丸呑みにするフラムト、そのまま暫くすると、何処かで吐き出される。

 

ーここは大王グウィンの後を継ぐ者の神域だー

ーさあ、器を正面の台座に置くが良いー

 

 

フラムトの言葉に従い、台座に王の器を設置する。

 

 

器の中から光の柱が立ち昇り、天を貫く。

 

光が収まると、王の器の中に小さな炎が灯っていた。

 

その光景を見たフラムトの声が辺りに木霊する。

 

 

ーよろしいー

 

ーでは、わしフラムトが王の器であるお主に、探求者として次の使命を伝えようー

 

フラムトが話だした次の使命、それは王の器を偉大なソウルで満たすこと。

 

俺が大王グウィンの後を継ぐためには、それが必要不可欠だと言う。

 

彼と同じ要のソウルを所有する墓王ニトとイザリスの魔女。

 

グウィンのソウルを分け与えられた小ロンドの王達。

 

かつての大王の盟友、白竜シース。

 

王の器を満たすためには彼ら全てのソウルが必要だと言う。

 

フラムトは詳しい場所を教えてくれた後、最後にこう付け足した。

 

 

ー目的のソウルを持つ者は既にその役目を終え、あるいは道を誤っておるー

 

ーそれらのソウルを求め、倒す事、それは世界の蛇が認める正しい行為なのじゃー

 

ーお主が気にかける事など、何も無い。迷うでないぞー

 

 

 

ー……忠告は胸に刻んでおくよー

 

そう返答して、俺は次の目的地まで足を運んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

時間は、不死の英雄が世界の蛇フラムトに王の器を渡す前に遡る。

 

 

ーよく参りました、試練をこえた、不死の英雄よー

 

目の前に見える女に違和感を抱き、腰のコンポジットボウを構える。

 

 

弓矢を構えられたにも関わらず、身じろぎ一つしない女。こいつは多分……。

 

 

目の前の女の眉間に向かって構えた矢を放つ。

 

たった一本の矢で目の前の女はソウルとなり消えて行く。

 

 

ーハッ、やっぱしまやかしの類いだったかよー

 

そもそも、此処は大王の城だ。太陽の力を持つグウィン王が居るからこそ、此処は日が沈む事が無ぇんだったよな?

 

しかしだ、かの大王が隠れたにも関わらず、日が出たままなのが今まで引っかかっていたんだ。

 

 

幻影は目の前の女だけでなく、太陽すらも幻だったみてぇだな。

 

その証拠に、今周りは闇に包まれている。 この夜の世界こそが本当のアノール・ロンドだろうな。

 

ー神の姿に刃するものよー

 

ー我が名はグウィンドリンー

 

ー貴様の不敬は決して許されないー

 

ーアノール・ロンドの夜に果てよー

 

 

 

ー神の偶像を消しただけで粋がるんじゃねぇよー

 

ーそれよりだ。悠長にしてて良いのかよー

 

ー今からテメェをぶっ殺しにいくぜ?ー

 

ー小便は済ませたか?神様にお祈りは?ー

 

ー部屋の隅でガタガタ震えて命乞いする心の準備はOK?ー

 

ーまあ、自殺する時間はあるかもしれないから死ねば? これまじオススメだぜ?ー

 

 




次回、放浪者サイド、夜アノ編。

次に主人公が向かう場所についてアンケート取りたいんですよはい。

書庫→結晶魔術+月光で主人公の大幅強化

墓場→特に無し

裏汁→四騎士の装備等の入手

イザリス→放浪者との一時休戦&共闘

期間は放浪者がドリン様抹殺するまで。

その期間、復讐霊を募集します。

バタバタ殺されますがご容赦を。

アンケートは活動報告へ前回のおまけのアンケートとともにお願いします。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。