不死の英雄伝 〜始まりの火を継ぐもの〜   作:ACS

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この作品の月光はフロムソフトウェア歴代の月光を束ねた物となっています。

名前は、代表してデモンズの月明かりの大剣を頂きます。


つまり、最強の剣ですね。(白目)

こんなもん修正待った無しだよ。



不死の英雄伝 69

第六十九話 MOONLIGHT SWORD

 

灼熱の炎が俺の内側を燃やし尽くす感覚、膝を着く事すら難しくなって来た。

 

 

白竜の一撃をまともに受けていた為、目を閉ざせばそれだけで意識が飛んでしまいそうだ。

 

 

弾き飛ばされたエスト瓶を探し、周囲に視線を彷徨わせる。

 

洞窟内最奥にある結晶に引っかかったエスト瓶、そこに向かうために痛む身体に鞭を打ち、這うようにして近づいて行く。

 

 

やっとの思いでエスト瓶まで辿り着き、なんとか回収する。

 

一息に中のエストを一気飲みし、身体の傷を癒す。

 

 

身体の内側で暴れていた熱が引き、何とか動けるようになってから、偉大なソウルに意識を向ける。

 

 

分け与えられた王のソウル。

 

 

白竜シースが嘗て、古竜を裏切った際、大王グウィンによって分け与えられたソウル。

 

 

成る程、これ程の熱ならば、世界を生命の炎で満たすことは造作も無い事だろうな。

 

大王グウィンが分け与えた物だと言うが、これ程の熱を帯びたソウルがたった一部?

 

太陽に例えられた大王ならではと言った所か。

 

 

コレが後、三つ。

 

 

唯の不死では、この熱に内側から燃やされ、灰になるだろう。

 

その為の王の試練か。

 

 

資格を持った者をふるいに掛ける役割も去る事ながら、その資格を所有する者を成長させる事も狙いだったのか。

 

ふらつきながらも立ち上がり、先程破壊された武器を回収する。

 

 

腰に付けていた剣は柄だけとなり、背中の大剣はそれすら残って居なかった。

 

愛着のある武器の残骸をソウルにしまう。

 

 

思う所は有るのだが、修復は難しいだろうな。

 

 

ため息を吐きながら内心で破壊された剣に謝罪し、今俺が握っている大剣に目を向ける。

 

 

蒼く、半透明な水晶状の刀身。

 

金で縁取られた柄と握り。

 

大剣だと言うのに、腰の片手剣より多少重い程度の重量。

 

魔力を込める事で放てる光波。

 

 

何より、その全身から溢れる神聖さと魔力。

 

正しく聖剣、この剣こそ最強。

 

 

握った瞬間に理解した、この剣はあらゆる物を透過し、任意の物だけを斬れる。

 

刀身に触れてみるが、そこには刃は無く、魔力の粒子が集まって形を成しているのだ。

 

斬るだけでは無く、鈍器としても使用できる剣。

 

 

美しい刀身は、月の明かりのように優しい光を放っている。

 

 

月明かりの大剣、月並みで安易ながらもそう名付けさせて貰おう。

 

 

名前に負けない程美しいその大剣を背負い、原始結晶の破片を拾う。

 

 

白竜を討った証として、そしてそれを忘れてしまわないように、一つ一つ欠片に願いを込めながら拾い集めて行った。

 

 

白竜を討った際に現れた篝火を灯し、ローガンの側にあった篝火に転移する。

 

願わくは、彼が正気で居ることを願って。

 

 

彼の様子を見に行ったのだが、彼はやはりと言うか、俺が分からないらしい。

 

 

しきりに実験の邪魔をするなと言っている彼の肩を叩き、正気に戻そうと努力したが、無駄だった。

 

 

 

彼は自分に干渉する男を敵とみなしたのか、 杖を抜き、魔術を放ち始めた。

 

 

結晶の閃光を放ち、結晶槍を飛ばし、結晶の塊を展開する。

 

 

最早彼は結晶の力に魅入られてしまっている、ならば約束を果たそう。

 

放たれる結晶をハルバードで焼き払いながら彼の懐に飛び込む。

結晶の力に拘る彼は、腰に曲剣があるにも関わらず、それを抜く事は無かった。

 

混沌の刃による居合抜き、それは彼の身体を両断した。

 

 

ローガンの遺体から、彼の杖と、結晶が付いた杖、最後に魔術書を手に入れる。

 

 

白竜の息。

 

その魔術はその名の通り白竜シースの吐く閃光を魔術にした物、彼の持つ狂気の力は喪って居るようだが、それでもその力は強力だ。

 

魔術書に目を通し終えた俺は、彼の遺体を庭に持って行き、墓を建ててやる。

 

 

そう言えば、聖女も亡くなって居たっけ……。

 

彼女も、埋めてやらないとな……。

 

 

大剣の試し斬りをしながら、書庫牢まで足を進める。

 

 

彼女の遺体は亡者となり、牢屋の中を彷徨っていた。

 

 

亡者となる事を嫌った彼女は自ら誇り高い死を選んだ、だがそれは無駄に終わってしまった。

 

 

虚ろな瞳で辺りを彷徨っている姿は見るに忍びなかった。

 

気付かれないように彼女の背後に接近して行く。

 

 

背後から肩を掴み、心臓を一突きし、息の根を止める。

 

胸から生える刃を正気のない目で見つめる聖女は自分の死を悟ったのか、心なしか安らかな顔をしながら、今度こそその生命を終わらせた。

 

 

彼女の遺体を背負い、来た道を引き返す。

 

 

巨人墓場の時を思い出すな、あの時とは違い背中の彼女は亡骸となってしまっているが。

 

 

ーすまない、ペトルスー

 

ー君との約束を破ってしまった…ー

 

ーその事に憤りを覚えなくなってしまった俺を怨んでくれー

 





お ま け 不死の英雄外伝 〜闇の落とし子〜

第10戦 月光蝶

最後の石の騎士を仕留め、ようやく月光蝶の霧前に到達する。


ーあ〜疲れた、サッサと済ませて帰ろうかねぇー


ー……………ー


ーあんだよ、何が言いたげじゃねぇかー


ー…………別にー


ーケッ、まぁ良いやー

ーテメェが何を考えているかは大体検討が付くー

ー初めに言っとくが、テメェのその考えている通りになんざならねぇって事だー

ー諦めなー


ー………何も言ってないー


ーそおかよー


ビアトリスと共に霧に入る。

月光蝶、確か人工生物だったか。


師匠が言うには炎に弱いんだとよ。


特に言うこともなく、月光蝶は瞬殺だった。


そもそも俺一人で十分だったのに、固定砲台のビアトリスまで加わりゃ三十秒もいらねぇはな。


花を抜き、その蜜を小瓶に移す。


ビアトリスは後ろで何か考えてやがるが、関係ねぇか。


ー俺の用事は終わった、じゃあなー


ー………待ってー

踵を返した俺のフードが掴まれる。

それにより首が締まり、息が一瞬止まる。


ーゲホッ、テメェ、何しやがるんだー


ー頼みがあるー


ーふざけんな、何でテメェの頼みなんか聞かなけりゃー


ーアルトリウスの契約の指輪ー

ー私は、それを探しているのー


ー……正気か?ー


ー貴方に手伝って欲しいのー

ー私一人では灰色の大狼に勝てないー

ー私に出来ることなら何でもする、だからー


縋るような目で見やがって、鬱陶しい。


ー…………チッ、行くぞー


ー………!、それじゃあー


ー何も言うんじゃねぇ、俺のキャラじゃねぇんだとっとと終わらせるからなー


こんなに甘くなっちまったのも師匠のせいだよ畜生。

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