3話更新とは誰も思うまい。
Q、ネトマですが、オーラスで、下家に僅か3順で国士一発ツモされた私の気持ちを答えなさい。
ところで、実機の主人公は黒騎士キラーなのかな?ヒドラを倒すついでに斧槍持ちを倒したら斧槍をドロップ。
後は地下墓地の大斧だね。(白目)
第七十二話 ウーラシールの霊廟
ライオン達の遺体を後にした俺は先にあった篝火に触れ、側に居るキノコに視線を合わせる。
アレは、何だ? 新手のデーモンか何かか? いや、それにしては敵意が無い、寧ろ友好的な視線をしているな。
そのキノコに話かけると、此処についての詳しい話が聴けた。
此処はどうやら深淵に飲まれる前のウーラシールらしい、時空の歪みに引きずり込まれたから、自分の世界では無いのは薄々気が付いては居たが、まさか過去に移動するとは…。
思わず天を仰いだ俺は悪くないはずだ。
大概の出来事は経験したはずだから、もう何事にも驚かないと思っていたが、流石にコレは予想外だ。
気を取り直し、キノコの話の続きに耳を傾ける。
俺が助けたウーラシールの宵闇は、元々この時代の者らしく、何らかの事故によってあのクリスタルゴーレムに捕まっていたらしい。
そこを俺が救出しめでたしめでたしとなるはずが、そうは問屋が降ろさなかったらしく。
深淵を溢れさせている古い人の魔物に捕まってしまったらしい。
まるで出来の悪い三文芝居を聞いている気分になって来た、その先の言葉は言わなくても分かる。 助けてくれと言ってくるんだろ?
想像通り、キノコは俺に宵闇様を助けてくれと頼み込んできた。
人名救助に正義感を持っていたのは昔の話だ、今は自身の亡者化の進行により、どうしてもドライな考え方になってしまっている。
しかし、このキノコはもう一つ俺に大切な情報を伝える。
この割れたペンダント、これが無ければ元の時代には戻れず、且つコレを求めている深淵の王が居る限り、同じく元の時代には帰れない。
それは頼み事と言うより脅迫に近い、苦笑いを浮かべながらキノコの願いを受け入れる。
その深淵の王とやらが招待状も寄越さず、アポ無しで拉致してくれた張本人なら十分に後悔して貰おうじゃ無いか。
悪いが礼儀作法なんてのは微塵も覚えちゃ居ない、だから好き放題やらせて貰うぞ。
このキノコから修理の光粉を購入する。
こいつは修理箱から溢れる粉と同じもので、武器にふりかける事で耐久値を大幅に回復できる代物だ。
篝火に触れた際、粗方の装備は修復して置いたが、持っていて損は無い。
篝火から離れ、道なりに進むと、開けた場所に出た。
あのキノコの言葉では此処は王家の庭と呼ばれていて、庭師や石の守護者が周囲に散在しているらしい。
そう言われると、何となく雰囲気が黒い森の庭に似ているような気がする。
橋の向こうに見える庭師達、案山子が農具を持って動いていたらあんな具合になるのだろうな。
アレらは俺に気が付いては居ないようだ。
背中の月明かりの大剣を引き抜き魔力を込める。
光波の着弾点やその射線などが頭に浮かぶ。
その軌道に沿って刃を振るい、庭師達を狙撃する。
放たれた光波は着弾点ごと周囲の地形を抉り取り、庭師の身体を跡形無く消し飛ばす。
どうやら、彼らにはまだこの剣は通用するようだ。
先の爆音で周囲の庭師が此方に向けて走ってくる、恐らくある程度のネットワークのようなものが展開されていて、何処かが襲撃されたら直ぐに分かるようになっているみたいだな。
四つ又鋤とでも言えば良いのだろうか?
彼らは武器とも呼べぬ農具を持って突貫してきた。
ハルバードの炎で焼き払いながら先に進んだ俺を歓迎してくれたのは、最早岩石の塊と呼んで差し支えない斧を持った守護者達だった。
魔力を圧縮させ、大剣に実体を持たせて鈍器とする。
守護者は二体、地面を揺らしながら俺に接近して来る彼等にも光波を放ち、迎撃を試みるが、魔力の爆風を受けても怯みはしなかった。
混沌の刃で両断しようにも、斬鉄や斬岩は咄嗟に放った一撃で可能な物では無い。
迎撃や回避などの守りには入らず、逆に此方から打って出る。
二体も居る以上怯んではジリ貧となる、こうして戦っているだけでも他の庭師や守護者に気取られる可能性が出てくる為、悠長な戦いは出来ない。
振り下ろされる二つの大斧を回避し、光波の着弾点に向かって鈍器となった大剣の突きを放つ。
放たれた大剣の突きは、先ほどの一撃でダメージを負っていた守護者の胸に大穴を開け、その核を剥き出しにする。
追撃を放とうとした刹那、上空に弾き飛ばされる。
何が起きたかを確認すると、守護者達は振り降ろされていた大斧を地表ごと強引に引き上げたようだ。
結果、それに巻き込まれ、空中に放り出されたみたいだ。
その俺を叩き潰そうと、改めて大斧を振り上げる守護者達。
空中で大剣の刀身に魔力を込め、墜落する直前で光波を地面に叩きつける。
地面を抉る勢いの魔力による爆風、それに弾き飛ばされながらなんとか守護者達と距離を離す。
身体の痛みを無視して、すぐさま彼らが一列に並ぶように位置を調節する。
そして、核が剥き出しとなった守護者に向かって結晶槍を放ち、それを破壊する。
結晶の槍は石の身体を核ごと貫き、その後ろにいた守護者の胸に風穴を開ける。
一撃で二つの核を破壊された彼等の機能は完全に停止した。
最近は、戦うことでしか生きていることを実感出来なくなってきた。
亡者化の進行は記憶や感情を容赦無く奪って行く。
相手を殺し、相手に殺されるような戦いの中だけはその忘却の恐怖から俺を救い出してくれるのだ。
相手の刃を避けるため、此方の刃を当てるため、相手の息の根を止めるため、此方が生き延びるため。
戦いの中では、それが常に頭を巡り、余計な事を考える暇が無い。
無駄な人斬りはしないつもりだが、その思いすら何時まで続くものやら。
大剣を背負い直した俺はそう自嘲し、道を探し始めた。
お ま け 不死の英雄外伝 〜 闇の落とし子 〜
第13話 アイアンゴーレム
クソッ、なんで不死教区の篝火にあの女はスタンバッてんだよ。
しかも、約束を覚えてやがったのか手料理を作って来たみてぇだが、あいつの料理は何なんだよ。
なんか、もう、アレだ、スゲェ平均値みてぇな味だった。
取り立て不味くはねぇが、かと言ってうめぇかと聞かれると首を傾げるような味だ。
見た目も置物みてぇな見た目してやがった、どうやったらそんな物が出来るんだよ。
それに、また持ってくるとか抜かしてたような気がする。
もう勘弁してくれ……。
気を持ち直し、センの古城の城門前に立つ。
こんな所、誰が素直に攻略するかっての。
鉤爪ロープを取り出し、城壁に引っ掛け登って行く。
最上階、この霧の先にゴーレムが居るんだったか。
師匠が言うには此処が登竜門らしいな、まぁ俺には楽勝だろうがな。
背中のツヴァイヘンダーを抜き、霧を越える。
奴が無造作に降った斧、恐らくアレが空気の刃を放つ斧だな。
師匠の辞書には何でも乗ってんだな。
地面の出っ張りを影にして放たれた刃を回避し、ゴーレムの足元に滑り込む。
踵を一閃、特大剣の一撃は、ゴーレムの不安定な身体を揺らす。
周囲に壁は無く、断崖絶壁。
足元がおぼつかないゴーレムのもう片方の踵に突きを放ち転倒させる。
しかし、転けた先に地面は無い。
古城の上から転落したゴーレムはバラバラとなって機能を停止した。
ー……なんつーか、予想通りに事が運び過ぎて不安だなー
ーアノール・ロンドに向かう前に、師匠に呪術の火を強化して貰いに行くかー
ー次いでだ、小ロンドの深淵とやらにも挑んでみるかねー