不死の英雄伝 〜始まりの火を継ぐもの〜   作:ACS

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主人公のニコポでキアランを寝取ろう、と考えている皆さんに朗報です。

アルトリウス戦でメタくそにされたお陰で、完全に主人公の表情筋が死にました、具体的には某ファミレス漫画の猫組主人公のようにサイボーグ化が完了しております。


ニコポが死にましたね。

まだ感情自体はありますよ。


不死の英雄伝 82

第八十二話 深淵に飲まれた者達

 

 

市街へ向かう階段、左側は壁、右側は断崖絶壁、そこを気をつけながら降りて居たのだが、降り切った先で何者かに右へ突き飛ばされた。

 

 

死角から押し出すように体当たりをして来た者は肥大した頭部に異様に伸びた腕、鋭い爪を持った何かだった。

 

 

人間離れした膂力で吹き飛ばされた為、断崖から叩き落された。

 

 

地面に叩き付けられ、トマトジュースのように大地を赤く染める。

 

 

 

篝火で再構築されながら、さっきの敵について考える。

 

 

アレがウーラシールの市民達だろう、深淵による人間性の暴走、その果てがあの姿か。

 

 

再び階段を降りながら月明かりの大剣を抜き、壁を透過しながら、その裏に居る市民を両断する。

 

 

手応えはあった、だがすんなりとは斬れ無かったようだ。

 

裏に回って確認すると、胸を袈裟斬りにされた市民の遺体が転がっている、傷口を調べて見たが、やはりその斬り口は粗い物だった。

 

 

彼らには魔力に対する抵抗力が宿っているようだな、魔力の塊で出来た聖剣の刃では部が悪いか。

 

 

混沌の刃を構えながら、階段を続けて降りて行く。

 

 

階段の先では四体の市民がたむろしている、物音を立てて居なかったのに気取られてしまった。

 

 

彼らの中にある深淵の力が、俺の中にある人間性に反応したのだろうか? すべての市民が反応し、俺に襲い掛かってくる。

 

 

半歩引き、混沌の刃の居合い抜きで四体の市民の首を刎ね飛ばす。

 

四つの銀閃、それによって首を落とされた身体は、噴水のように鮮血を噴き出しながら倒れて行った。

 

 

しかしまぁ、深淵は凄まじいな。

 

アルトリウス戦の後に這い寄ってきた深淵、あれを受け入れていた場合、彼らのようになっていたのだろうか?

 

 

混沌の刃を納刀しながら、深淵の影響力に気を向けていた時だった。

 

 

突然、背後から何かに後頭部を殴り飛ばされた。

 

地面に叩きつけられながらも、その何かに視線を向ける。

 

そこには、首から上を斬り落とされた市民達が立ち上がっていた。

 

彼らはそれぞれの首の上に、新しく頭部を再生させていた。

 

本当に、深淵の力は凄まじいな……。

 

倒れた体勢から立ち上がり、月明かりの大剣を引き抜こうとし、…………再び地面に叩き付けられる。

 

 

二度目の奇襲に驚きながらそちらを向くと、俺が刎ね飛ばした頭部が肉体を再生させ、殴りかかって来た事が判明した。

 

 

八対一、その数の差によって袋叩きにされ、撲殺されてしまった。

 

 

10mも歩かない内から二度目の死、思わず失笑してしまった。

 

もういっそ亡者のままで進んで行こうか。

 

手持ちの人間性も後十数個だからな、無くなるまでは生身で居るけどね。

 

 

アルトリウスとの一戦で亡者化が急速に進んだのか、刀身に写る自分の顔が能面のようだった。

 

 

表情が死んだ、次は感情が完全に死ぬのだろうか? 何にせよ亡者のままと言うのはやはり宜しくないな。

 

 

生身を取り戻し、目を逸らしていた問題に向き合う事にする。

 

 

深淵に飲まれたウーラシール市民、彼らには白竜のような不死性が追加されている。

 

 

月明かりの大剣で斬った市民は再生する事は無かった、だが混沌の刃で斬った連中は再生、いや、あの場合は分裂か? ともかく倒せなかった。

 

月明かりの大剣以外に本当に効果は無いのだろうか? 取り敢えずは他の武器も一度試してみるか。

 

 

ソウルから黒竜の大剣とハルバードを取り出し、待ち伏せをしている市民で実験を試みる。

 

 

初めはハルバード。

 

死角から俺を突き飛ばそうとしている市民の頭部を石突きで殴り倒し、その背中に切っ先を突き立てる。

 

 

ハルバードの石突きと切っ先で傷を付けられた箇所が燃え上り、彼を火達磨にしたのだが、焼けながらも身体が再生して行く姿を見て、此れでは倒せないと言うことが分かった。

 

 

次は黒竜の大剣。

 

殴りかかってきた市民をパリィをして、心臓をぶち抜き、大剣に突き刺さっている市民を蹴り飛ばして経過を見る。

 

アルトリウス程では無いが、かなり早い速度で市民の身体が再生されてゆく。

竜の力が篭ったこの剣でもダメか、ならもう一つの力はどうだ?

 

 

立ち上がった彼の顔面に大剣の腹を横薙ぎに叩き付け、もう一度転倒させる。

 

その隙に、今度は黒竜の大剣に宿るカラミットの力を開放する。

 

刀身から漆黒の炎が噴き出し、周囲に存在する全ての物体を灰にする。

 

壁も階段も全てが塵となり、当然、市民も跡形無く消え去っていた。

 

流石に此処まですれば大丈夫か。

そう判断を下そうとしたのだが、灰の中から泥のような深淵が湧き出し、再び市民の形となった。

 

 

コレでも駄目か……。

 

ならば、深淵歩きの大剣はどうだ? コレの中には深淵の力だけで無く、神聖の力も篭っている。

 

 

試しに深淵歩きの大剣で市民の頭を貫ぬく。

 

すると、今までの事が嘘のようにあっさりと絶命してしまった。

 

二本の聖剣、コレしか彼らには通用しないみたいだな……。

 

特殊な力を持った武器で駄目だったのだから、他の物でも同じだろうな。

 

 

ため息を吐きながら、八体に増えた市民をどう処理するか頭を捻らせていった。





市民「俺TUEEEE‼︎」

うん、深淵の大剣の見せ場は無理矢理作ろう。



明日の更新は若しかしたら出来ないかも知れません。

独り身で集まってチョコパーティーやろうぜと抜かした奴が居まして。

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