そろそろ100話越えますね、100話越えたら記念にダクソ2でジェレマイア完コスでホストを焼いてやる。
無印でやれ? じゃあ市街だな。
第八十九話 灰色の狼
眼下には深淵によって実体を得た人間性のような物が山ほど漂っていた。
大中小、様々な大きさの人間性は蠢き合い、犇めき合っていた
奥に進むほど、深淵歩きの大剣が強く反応している。
左、左、左。
ひたすら左側を主張し続け、俺の行く手を誘導して行く。
それに従うと決めたが、左は断崖絶壁。
とてもじゃ無いが何かあるとは思えなかった。
下、下、下、 彼の大剣は尚もその先を指し示している。
腕を組みながら、どうしたものかと首を捻っていると、急に足場が消えた。
壁に深淵歩きの大剣を突き立てて落下を避けたが、さっきまで居た足場は幻影だったみたいだな。
下には道が隠されている、この剣は此処を示していたのか。
その道に着地すると、衝撃が殺されていた、これは落下制御か。
高所からの着地の衝撃を消す魔術、それが辺り一帯に掛けられているようだ。
ご丁寧にこの場所を隠していた点とこの落下制御、助けて欲しい者でも居るか、殺して欲しい者が居るのか、どっちだろうな。
大剣の案内で移動していたが、ある一点で強烈に反応し始めた。
俺の意識を乗っ取り掛けるほどの強い反応、彼の大剣は、俺の左腕を無理矢理動かし壁を斬り裂いた。
幻影の壁、それを切り開いた先に見えたのは、朽ちた盾を下敷きにしている狼だった。
その周囲には結界のようなものが張られている。
そして、彼を囲むように漂っている人間性、彼らは結界に阻まれあの狼を襲えないで居るようだ。
あの狼を助けてくれと、この剣は今まで訴えていたのか……。
月明かりの大剣に魔力を込め、彼らを吹き飛ばす。
光波の爆風によって深淵の力が祓われ、彼らは唯の人間性になる。
一旦、安全な場所まで彼らを誘い出してから光波で一掃したのだが、その余波を受けても、結界に揺らぎは無かった。
その結界まで近付き、中で眠っている狼の頭を撫でる。
途端に彼は目を覚まし、気持ち良さげな声を上げ、俺の手を舐める。
恐らくこの子がシフなのだろう、正気を失う前のアルトリウスが頭を撫でるような動作をしていたから小動物だとは思っていたが、狼とはな。
俺はどうやら気に入られたようで、暫くの間、俺に仔犬のようにじゃれ付いていた。
気が済むまで撫でてやると、彼は感謝の遠吠えを上げながら消えていった。
彼の足元にあった朽ちた盾、その見た目とは裏腹に、強力な力を放っている。
その盾は恐らく深淵歩きの物、剣と盾が共鳴している所からしても間違い無いだろう。
どうせ、この剣はキアランに渡すのだ、ならばこの盾も共に渡してやろう。
左手の紋章の盾をこの結界の大盾と換装する。
この盾にも特殊な力が宿っているようだ、握っただけでそれが分かる。
新たな盾も手に入れた事だし、上に戻る前に周囲の散策を済ませてしてしまおう。
深淵に汚染された人間性達を祓いながら周囲を散策を終えたが、見つけたのは古びた呪術書一冊だけだった。
黒炎。
ウーラシールに迷い込んだ呪術師が、深淵の闇に見出した呪術。
放たれる黒い炎は尋常な盾など吹き飛ばしてしまうだろう。
説明文にはそう綴られているが、正直呪術は使ったことが無いため、扱いに困っている。
呪術の火は持っているから使えない事は無い。
ただ、俺には魔術や闇術がある為、火力不足な気がしないでも無い。
あの放浪者なら有効な使い方の一つや二つは思いつくのだろうが……。
まあ良いさね、これも深淵の業だ何かに使えるだろう。
呪術書の半分は、研究資料となっている。
深淵の泥、それは純粋な生命の力の塊。
それを利用すれば神のごとき力を得る事が出来る。
神にしか出来ない生命の創造。
神すら蝕む生命の汚染。
それを闇の泥で再現する事ができる。
それら全ては生命に対しての冒涜。
神をも恐れぬ諸行。
深淵の主は闇の力を得た邪神とでも呼べば良いのか。
私にそれを言う資格は無いだろうが、何と恐ろしい物か。
狂気に堕ちる前に、呪術師の禁忌を犯した私は此処で生命を断つつもりだ。
誰か、この業を飲み込める者にこれを託す。
願わくば、その者が善なる者であるように祈ろう。
闇の力の魅力に耐えられず、自身の火が汚染される事も厭わず研究した男の独白。
闇の力を得た邪神、か。
アルトリウス以上に手こずる可能性が出てきたな。
気を引き締め直して上に戻る道を探し始めようか。
この作品の人間性( モブ ) は人間性を確定ドロップ。
ナデポが遂に発動しましたね(白目)