不死の英雄伝 〜始まりの火を継ぐもの〜   作:ACS

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遂にマヌス戦ですね。

それと90話を記念して、主人公達には後書きで麻雀でも打ってもらいましょう。

面子は主人公、放浪者、クラーナ、ビアトリスで行きます。


それと、結界の大盾の性能は以下の通りとなります。

・各カット率100%

・パリィ・スペルパリィ可能

・スタミナ回復1.5倍


不死の英雄伝 90

第九十話 深淵の主

 

 

何とか崖の上まで戻り、人間性の群の前にいる赤い鎖男の頭に飛び移り、一撃で両断する。

 

 

取り敢えずの脅威は去った、後は下へ向かうだけだな。

 

道なりに進み、白い楔石の原盤を見つける。

 

壁伝いに歩いたために横道に逸れてしまったが、何とか霧の前まで辿り着いた。

 

 

長かった道のりも、漸く終わりか。

 

 

取り敢えずは何回死ぬか分からんが、気を引き締めて行くとしよう。

 

 

霧を越えた瞬間、巨大な手に引きずり込まれ、深淵の底に到達する。

 

 

目の前に立ちはだかる深淵の主、その全身は深淵の泥で構成されている。

 

人間の持つ七つの大罪、傲慢さ、貪欲さ、嫉妬心、憤怒、貪食さ、色欲、怠惰。

 

それらが集まり固まって出来たような印象を覚えた。

 

彼の握る巨大な杖、最早鈍器と言えるようなそれは、禍々しい力を放っている。

 

彼の周りには五つの巨大な塊が浮遊している。

 

市街で侵入して来た魔術師が使った物と同じ魔術。

 

考えれば当たり前か、奴は深淵そのものと言ってもいい。

 

そして、闇術は深淵の力を利用した物、彼が使用できても不思議ではない。

 

 

俺の中にある割れたペンダントを求めて居るのだろう、咆哮を上げて向かって来た。

 

ゆったりと巨大な深淵の塊が俺に向かって発射される。

 

 

急遽光波を放ち、深淵の塊を吹き飛ばす。

 

同時にマヌスの懐に飛び込み、股の下から顔に向けて光波を叩き込む。

 

 

 

聖剣の魔力は深淵の穢れを祓う。

 

 

彼は顔を抑えながら闇の飛沫を放つ。

 

便宜上、それの名前を飛沫としたが、実際はそれどころの威力では無い。

 

彼の杖から放たれたのは深淵の濁流。

 

 

我々人間の使う闇術は、魔力で深淵のもつ本来の力をある程度制限する事で、深淵の汚染を回避している。

 

でなければ、自分は勿論の事、着弾点を中心に深淵の汚染が広がる可能性があるからだ。

 

弱体化に弱体化を重ねた深淵の力、それを魔力で更に制限する事で、闇術として漸く制御できるのだ。

 

 

 

だが、彼はそれをする必要が無い。

 

深淵その物である彼は、己や周囲の汚染など微塵も気にしない。

 

つまり、弱体化する前の原型のままの闇術を気兼ねなく使用できるのだ。

 

 

その一つが、この闇の飛沫。

 

深淵の泥を濁流のようにぶち撒け、辺りを汚染する。

 

結界の大盾を構え、地面に深淵歩きの大剣を突き立てながら、その濁流を耐え忍ぶ。

 

 

タチが悪い事に、この深淵は純粋な物。

 

俺の身体や精神をじわじわと汚染し始めている。

 

月明かりの光波を自分の足元に叩きつけて、強引に濁流の中から転がり出る。

 

 

自分に無理やり聖剣の魔力を叩き込んだ所為でかなり疲弊したが、なんとか深淵の汚染を祓った。

 

 

そのお陰で、身体の末端が焼け爛れてしまった。

 

追撃に備え、反撃に移ろうと思ったら、急に足が動かなくなった。

 

何事かと思い、足元に目を向けると、深淵の泥が腕となり俺の足を掴んでいる。

 

 

何でもありか。

 

 

この状態では、振り降ろされた杖を避ける事など出来ず、光波による迎撃も間に合わない。

 

篝火で再構築された後、割れたペンダントがまだ自分の中に有るのを確認してから、対策を考える。

 

 

先ずはあの深淵。

 

純粋なそれはただ防ぐだけでは汚染と言う脅威が残ってる。

 

結界の大盾では、濁流を防げはしても汚染は防げはしない。

 

汚染を防ぐつもりなら、月明かりの大剣を常に盾として使用して居なければならない。

 

 

光波が使えないとなると、竜狩りの槍と深淵歩きの大剣の二つしか使えない事になる。

 

そうなると、俺が使える手立てがかなり限定されてしまう。

 

物体の透過による防御無視の攻撃、結晶の力を込めた光波。

 

攻めにも守りにも転用できるため、それらが使えないのが最も痛かった。

 

 

純粋な実力勝負、深淵の力相手に魔術や闇術は効果が薄く、頼ることは出来ない。

 

 

他の武器を使おうにも、神具以外では擦り傷一つ残せない。

万一、彼の腕を斬り落としたりして分裂でもしてしまったら目も当てられん。

 

久々に、絶望的な状況になってしまったな。

 

 

まあ、幸いな事に生身を失う事が無く篝火に転送されたのは有り難い。

 

 

死ぬたびに一々人間性を砕くのも、それをくべるのも面倒だと思っていた所だ。

 

 

ともかく、身体に染みつかせて覚えるしかない。

 

相手を知り尽くす事が出来れば、その内勝てるだろうさ。

 

 

不死身の化け物など存在しない。

 

 

アレの命が無尽蔵だというなら、この深淵歩きの大剣で死ぬまで殺してやろう。

 




因縁? 闇の王? 薪の後継者? 知らない子ですねぇ。

一つ、主人公と放浪者にはしがらみはありません

二つ、時代は現代

三つ、師匠は高三、ビアトリクスは高一、残りの二人は高二で同じ学校。

以上の設定です。


基本視点はビアトリス。

90話記念 不死の闘牌伝

唐突だが話がある。

金髪の先輩に誘われ、自宅にお呼ばれする事になってしまった。


コレは所謂、ソレのお誘いなのだろうか? わ、私にはそんな経験が無いのでよくわからないが、『夜空いてるか?』なんて聞かれたらそれとしか考えられない‼︎


つまり、遂に先輩が私を選んだと言う事だ‼︎


やった、これまで手作りのお弁当とか、さり気なく抱き着いたりとかした努力が実ったんだ‼︎

よ、良し、今晩は勝負下着を履いて行こう。



〜その夜〜

何故に私は雀卓を囲っているのだろう?

オマケにクラーナ先輩に、サイボーグ疑惑の湧いている先輩も一緒だ。

聞いてないよ、と先輩を睨みつける。


「あぁ?なんだよその眼、不満があるって言いたげしゃねぇか」

「お前の事だ、どうせ碌に内容も言わずに『夜空いてるか?』で済ませたんだろう? 期待して来れば麻雀の面子合わせ、文句の一つ言いたくなるだろうさ」


「うるせぇぞサイボーグ、敢えて言わなかったんだよ」


「それはそれは、非常にタチが悪いな」

「それと、手積みは面倒だ、今からでも雀荘にしないか?」


「馬鹿野郎、この間の場所でここら辺の雀荘は全部出禁になっちまったから、こうしてんじゃねぇかよ」


金髪先輩と、サイボーグ先輩が言い争いを初めてしまった……。


と言うか、目の前のクラーナ先輩を如何にかして欲しい。

大人顔負けのスタイルに美貌、私の寸胴体型と比べられているようでムカつく。

そもそも、この女狐は料理も出来ないくせに先輩を引っ張り回して居る。

非常にうらやm…………、非常に妬ましい。

決めた、身ぐるみ剥いでやる。

あの女狐が無様に負ける様を見せ付けられれば、先輩も愛想を尽かし、私の一人勝ちになるはずだ。


てか、出禁って何したんですか……。


彼女はまだ知らなかった………、自分に降りかかる不幸を。


東一局 親は私。

赤ドラ、ダブロン有りの半荘。

配牌がとんでもない、何コレどうなってるの?

1萬 2萬 3萬 、 1索 2索 3 索 、 1筒 2筒 3筒 、7筒 8筒 9筒、9筒 西。

配牌が神がかってる。

しかもドラ表示牌は8筒、数え役満。


これは、天の意思が私にあの女狐を飛ばせと囁いているに違いない。

きっと運命の女神は私と同じまな板なのだろう、巨乳は罪だ、私が引導を渡してやる。

この流れなら、女狐が当たり牌を掴むに違いない。


躊躇わず西を切りダブリーを掛ける。


「リーチ‼︎」


「 ロン 」


「…………え?」


「 おっと、俺もロンだ 」


「………………………え?」


先輩とサイボーグ先輩のダブロンの直撃、一瞬何が起きたのか分からなかった。

あれ? と言うことは、人和? 役満直撃?


「 済まないな、ビアトリスちゃん 」


サイボーグ先輩の配牌を見る。

一九牌と字牌がそれぞれ一枚ずつ、コレって十三面待ち?

と言うことは三倍役満?


「あーあ、んなところ切るからだぜ?」


金髪先輩の配牌を見る。

9索 9索 9索 、白 白 白 、發 發 發 、中 中 中 、西。


四暗刻大三元、西単騎待ち? 人和も含んで四倍役満?


「……お前ら、サマも程々にしてやれ。失神したぞ」

呆れながらクラーナが2人に苦言を零す。

「 イタズラ見てぇなもんだから良いんだよ、センパイ」


「まぁ、点が点だけにショックが大きかったみたいだがね」


要するに、サイボーグと呼ばれている彼は国士の牌をあらかじめ握っていて、配牌をすり替えただけ。

金髪の彼は積み込みをして、燕返しをしただけ。


無論、ビアトリスの配牌もサイボーグと呼ばれた彼が仕組んだ物だった。


その後、ビアトリスが目を覚ますと、彼らは夢オチと言うことにし、何事も無かった事にして麻雀を打っていった。



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