不死の英雄伝 〜始まりの火を継ぐもの〜   作:ACS

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放浪者のテコ入れも順調ですね。

実はニト剣以外のテコ入れの意見を貰ったんですよね……。


デモンブランド&ソウルブランド。

こっちのルートだと、放浪者はシースの考察で触れた”英雄”の子孫となり、レガリアが一子相伝の宝物となります。

主人公にすら扱えない彼だけの特別な専用武器。

対となる魔剣と聖剣なのでデメリットは無く、レガリアにすると主人公の月光よりもチートな性能に。


裏の主人公だとか、真の主人公だとか言われてるから良いんじゃね(適当)


こっちを望む場合、テコ入れの方にお願いします。


それと、主人公の鎧が深淵の魔力と聖剣の魔力を浴び続けた結果、少し変質しました。


各種耐性が1.5倍になります、気休めにもなりませんが。

ギリギリ即死しない程度の性能と考えて下さい。

見た目も傷だらけで、あちこち黒ずんだり、煤けたりしています。




不死の英雄伝 95

第九十五話 泥の騎士

 

 

カラミットを始末した勢いに乗ってゴーを仕留めに行こうと思った矢先に、地面から火柱が立ち上る。

 

 

マヌスの炎の嵐、それはただの炎では無く、深淵に侵された業深き炎。

 

 

先ほどまで泥に包まれていた為、その不意打ちに反応出来ず吹き飛ばされる。

 

 

 

何時の間にか鎧が変質していたのか、その一撃を食らっても何とか耐えることが出来た。

 

 

乱暴にエストを飲みながら、ソウルから黒竜の大剣を取り出し、体勢を立て直しながら地面を焼き払う。

 

 

 

コレの目的、それはキアランの炙り出しだ。

 

 

 

彼女の気配遮断は目と鼻の先に居ても気が付かないほどのもの、何処にいるか分からないなら辺り一面を焼き払えばその内炎に引っかかる。

 

 

俺を中心に広がるカラミットの炎、その中の一点。

 

 

その炎の波の中に不自然な揺らぎを発見した。

 

 

深淵歩きの大剣でその一点を貫く。

 

 

確かな手応えと共に、目の前に現れた王の刃キアラン、彼女の胸には深々と刃が突き立っている。

 

 

そのまま、彼女と共に倒れこみながら強引に刃を押し込み心臓を完全に破壊し、そのまま身体を横に切り裂く。

 

 

模倣品とは言え、思い人の剣で死ねるなら本望だろう。

 

 

彼女の目を見ればそれは一目瞭然だった、その純粋な思いを信用したからこそ、彼女の頼みを聞き入れたのだから。

 

 

 

俺に襲いかかろうとする深淵の泥を月明かりの大剣の光波で消し去りながら、ゴーに肉薄する。

 

 

 

正確無比な狙撃、それは機械的な精密さだが、逆に言えばそれだけ攻撃を予測しやすいと言うことだ。

 

 

最善の選択が常に最良たり得ないとでも言えば良いのか。

 

 

常に最善手を選択する泥人形など恐れるものか。

 

 

途切れる間も無く一撃必殺の弾幕が俺を襲うが、死なない程度に避けながら、その中を突っ切る。

 

 

それと同時に、月明かりの大剣に魔力を込めてゆく。

 

 

必殺の間合いに入った所で、地面に向かって光波を放ち、彼の視界を奪う。

 

 

蒼い魔力の爆風によって、俺を見失ったゴーの手が止まる。

 

その隙に聖剣を交換し、魔力を急いで充填して行く。

 

 

 

本物ならば、こんな物が通用するはずが無い。

 

やはり泥は泥だな、本人達には程遠い。

 

 

 

深淵の大剣による特攻、それに合わせて背中の月明かりの大剣に力尽くで捻じ込まれていた魔力が暴発。

 

 

 

深淵歩きに匹敵する加速によって、大剣の刃がゴーの手に弾丸となって突き刺さる。

 

衝撃で弓を取り落としたゴーの身体を蹴って頭から月明かりの大剣で一刀両断にし、胸まで斬り裂いた所で魔力を爆発させ、彼を消し飛ばす。

 

 

 

残る四騎士は深淵歩きアルトリウスのみ。

 

 

 

幸運な事に、マヌスが追加の四騎士を召喚する事は無さそうだ。

 

 

いくら深淵の邪神と言えど、短期間にそう何度も彼らを召喚する事は出来ないようだな。

 

 

もしそれが可能ならば、マヌスだけに集中するしかなかった為、非常に有難い。

 

 

 

マヌスが左手を俺に向ける。

 

 

何かされる前に潰してしまいたかったが、アルトリウスがそれを妨害する。

 

 

先の爆撃で押されはしていたが、彼はそれを無傷で終わらせている、やはりこいつは別格だ。

 

 

 

迎撃の為に月明かりの大剣に込めていた魔力を暴発させ、彼の神速の一撃を回避する。

 

 

だが、アルトリウスに気を取られた所為で、マヌスの手から放たれた闇の収束砲に消し飛ばされた。

 

 

 

 

塵一つ残さず消されるとはな。

 

篝火で鎧や大剣を修理して行く。

 

 

やはり邪神の火力は侮れない、アルトリウスも残って居るのだからその厄介さは随一だ。

 

 

 

あの泥のアルトリウス、奴だけは恐らく他の四騎士とは作りが違うのだろう。

 

 

 

先の爆撃で、彼は仲間を護るように立ち回っていた。

 

いや、さっきの話だけでは無い、彼が召喚されてから、その動きは周囲の矢面に立つような動きだった。

 

 

 

深淵に飲まれた四騎士は、アルトリウスのみ。

 

若しかしたら魂の残滓や残留思念が混ぜられているのだろうか?

 

 

 

死後もその魂を深淵に利用されるとは………。

 

 

それほど、深淵の邪神には彼の強さが印象深いのだろう。

 

 

もしかすると、俺の偽物と対峙する可能性も現れたな。

 

 

修理が終わったので、改めて霧に向かう。

 

 

 

まあ良いさ、自分自身とぶつかろうと相手は泥人形だ。

 

 

 

鬼が出ようが蛇が出ようが、勝つのは俺だ。

 

 





因みに、深淵の四騎士は闇落ちとか飲み込まれたとかじゃなく、アルトリウスが深淵に飲まれた際にマヌスが記憶を覗き、再現した物です。


そして、アルトリウスだけは深淵に飲まれているので、魂と意識の一部を泥人形に組み込まれている為、限りなく本物に近い偽物になります。



深淵から解放されたと思ったら、人形として意識は有るのに身体の自由を奪われた上で、自分を解放してくれた恩人に襲いかからせられる。



作中最も不幸な男じゃ無いかな。

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