-キリエ-憐れみの賛歌   作:yasuteru

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第十一章

-初めての力-

 

 

王都の騒動。

人々が逃げ惑う中、一人の少女の頭上へ

 

巨大な瓦礫が落ちようとしていた。

「きゃああ!」

その瞬間。

ブリトーが飛び出す。

「まずい!」

腕輪へ視線を落とす。

茶色の禁貨が光っていた。

「カフェラテの岩の力を使えたら……!」

そう呟いた瞬間。

腕輪が淡く輝く。

ブリトーの手が前へ伸びた。

「……え!?」

地面が揺れる。

岩がせり上がり、落下する瓦礫を受け止めた。

轟音。

しかし少女は無傷だった。

ブリトーは驚いたまま、自分の手を見つめる。

「使えた……。」

「本当に……。」

 





-能力の条件-

 

 

騒動が収まり、一同は王城へ戻る。

ブリトーは興奮気味に話した。

「分かったんだ!」

「何がわかったんだ?」

「仲間の名前を呼んだ瞬間、能力が使えたんだ!」

シャーベットは眼鏡を押し上げる。

「つまり、禁貨だけじゃない。」

ダイフクーは腕を組む。

「すごい仕組みだなそれ!」

レイカは煙草へ火をつけた。

「なるほどな。」

ブリトーは腕輪を見つめた。

現在見つけた三枚の禁貨が、

月夜に照らされて、輝いていた。

 

 

「……後はウインナー達だけだな。」

 

 

 

 

-涙の理由-

 

 

ウインナーとドロップが城へたどり着く。

皆、二人に何かあったと悟り、

 

誰からも口を開かない。

静寂の中、

 

ウインナーは静かにユリへ歩み寄る。

「ユリさん。」

「ドロップをお願いしてもいいかな?」

ユリは優しく頷く。

「ええ。」

ドロップは俯いたまま、

小さく肩を震わせていた。

涙を流した跡だけが残っている。

ユリがそっと肩へ触れると、

ドロップは何も言わず抱きついた。

静かに。

ただ静かに泣いていた。

ウインナーはその姿を見届けると、

 

悲しい笑みを浮かべながら、

何も言わずその場を離れた。

 

そこへダイフクーが大きく伸びをする。

「……まあとりあえず!」

「今日は休もうぜ!」

「堅苦しい服から開放されたいぜ……。」

シャーベットは苦笑する。

「君は蝶ネクタイだけだろ。」

その一言に、

張り詰めていた空気が少しだけ和らいだ。

レイカも小さく笑う。

「確かにな。」

 

 

-わからない気持ち-

 

 

その夜。

ユリの部屋。

ドロップはベッドへ腰掛けたまま俯いていた。

 

ユリは問いかける。

 

「何があったの?…話せたらでいいよ。」

 

「……あのね。」

 

「ウインナーに告白されたんだ。」

「どうしたらいいのかな。」

「私……。」

涙がまた零れる。

「なんで泣いてるのかも分からない。」

「嬉しかったのかな。」

「悲しかったのかな。」

「何も分からないよ……。」

取り乱すドロップを、

ユリは静かに抱きしめた。

「今は分からなくていい。」

「焦らなくていい。」

「私はそばにいるから。」

「ゆっくり休もう。」

その言葉だけで、

ドロップは安心したように目を閉じた。

 

-言葉にした勇気-

 

 

王都の屋根。

夜風が静かに吹いていた。

ウインナーは一人、

星空を見上げていた。

「はぁ……。」

「……ドロップを悲しませてしまった。」

その声の後に、

後ろから煙草の香りが漂う。

レイカだった。

 

「隣……いいか?」

 

「うん。」

隣へ立ち、

同じ空を見上げる。

しばらく沈黙。

そして静かに口を開く。

「……悲しんでいるだけとは限らない。」

ウインナーは振り向く。

レイカは続けた。

「ウインナーは想いを伝えた。」

「それだけだ。」

夜風が二人の間を通り抜ける。

レイカは煙を吐き、

少しだけ苦笑した。

「……気持ちを真っ直ぐ伝えられることは、凄いことだと思う。」

「……俺には出来ない。」

「まあ、その、なんだ。……そう落ち込むな。」

その言葉に、

ウインナーは少しだけ笑った。

「ありがとう。」

風が静かに吹く。

遠く離れた部屋では、

ドロップもまた眠りにつこうとしていた。

二人の答えはまだ出ない。

それでも。

言葉にした勇気は、

確かに二人の未来を少しだけ動かしていた。

 

 

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