-初めての力-
王都の騒動。
人々が逃げ惑う中、一人の少女の頭上へ
巨大な瓦礫が落ちようとしていた。
「きゃああ!」
その瞬間。
ブリトーが飛び出す。
「まずい!」
腕輪へ視線を落とす。
茶色の禁貨が光っていた。
「カフェラテの岩の力を使えたら……!」
そう呟いた瞬間。
腕輪が淡く輝く。
ブリトーの手が前へ伸びた。
「……え!?」
地面が揺れる。
岩がせり上がり、落下する瓦礫を受け止めた。
轟音。
しかし少女は無傷だった。
ブリトーは驚いたまま、自分の手を見つめる。
「使えた……。」
「本当に……。」
-能力の条件-
騒動が収まり、一同は王城へ戻る。
ブリトーは興奮気味に話した。
「分かったんだ!」
「何がわかったんだ?」
「仲間の名前を呼んだ瞬間、能力が使えたんだ!」
シャーベットは眼鏡を押し上げる。
「つまり、禁貨だけじゃない。」
ダイフクーは腕を組む。
「すごい仕組みだなそれ!」
レイカは煙草へ火をつけた。
「なるほどな。」
ブリトーは腕輪を見つめた。
現在見つけた三枚の禁貨が、
月夜に照らされて、輝いていた。
「……後はウインナー達だけだな。」
-涙の理由-
ウインナーとドロップが城へたどり着く。
皆、二人に何かあったと悟り、
誰からも口を開かない。
静寂の中、
ウインナーは静かにユリへ歩み寄る。
「ユリさん。」
「ドロップをお願いしてもいいかな?」
ユリは優しく頷く。
「ええ。」
ドロップは俯いたまま、
小さく肩を震わせていた。
涙を流した跡だけが残っている。
ユリがそっと肩へ触れると、
ドロップは何も言わず抱きついた。
静かに。
ただ静かに泣いていた。
ウインナーはその姿を見届けると、
悲しい笑みを浮かべながら、
何も言わずその場を離れた。
そこへダイフクーが大きく伸びをする。
「……まあとりあえず!」
「今日は休もうぜ!」
「堅苦しい服から開放されたいぜ……。」
シャーベットは苦笑する。
「君は蝶ネクタイだけだろ。」
その一言に、
張り詰めていた空気が少しだけ和らいだ。
レイカも小さく笑う。
「確かにな。」
-わからない気持ち-
その夜。
ユリの部屋。
ドロップはベッドへ腰掛けたまま俯いていた。
ユリは問いかける。
「何があったの?…話せたらでいいよ。」
「……あのね。」
「ウインナーに告白されたんだ。」
「どうしたらいいのかな。」
「私……。」
涙がまた零れる。
「なんで泣いてるのかも分からない。」
「嬉しかったのかな。」
「悲しかったのかな。」
「何も分からないよ……。」
取り乱すドロップを、
ユリは静かに抱きしめた。
「今は分からなくていい。」
「焦らなくていい。」
「私はそばにいるから。」
「ゆっくり休もう。」
その言葉だけで、
ドロップは安心したように目を閉じた。
-言葉にした勇気-
王都の屋根。
夜風が静かに吹いていた。
ウインナーは一人、
星空を見上げていた。
「はぁ……。」
「……ドロップを悲しませてしまった。」
その声の後に、
後ろから煙草の香りが漂う。
レイカだった。
「隣……いいか?」
「うん。」
隣へ立ち、
同じ空を見上げる。
しばらく沈黙。
そして静かに口を開く。
「……悲しんでいるだけとは限らない。」
ウインナーは振り向く。
レイカは続けた。
「ウインナーは想いを伝えた。」
「それだけだ。」
夜風が二人の間を通り抜ける。
レイカは煙を吐き、
少しだけ苦笑した。
「……気持ちを真っ直ぐ伝えられることは、凄いことだと思う。」
「……俺には出来ない。」
「まあ、その、なんだ。……そう落ち込むな。」
その言葉に、
ウインナーは少しだけ笑った。
「ありがとう。」
風が静かに吹く。
遠く離れた部屋では、
ドロップもまた眠りにつこうとしていた。
二人の答えはまだ出ない。
それでも。
言葉にした勇気は、
確かに二人の未来を少しだけ動かしていた。