-夢への帰路-
-阿吽の呼吸-
遺跡の出口まで、あと少し。
その時だった。
轟音と共に、通路の壁が崩れ落ちる。
前から。
後ろから。
横から。
次々とゴーレムが姿を現した。
「オオオオオォォォ……!」
低い唸り声が遺跡中へ響く。
ブリトーが身構える。
「囲まれた……!」
ダイフクーも拳を構える。
「数が多すぎる!」
その瞬間。
ユリが静かに右手を掲げた。
「──止まれ。」
その一言と同時に、地面一面へ氷が走る。
白銀の世界が一瞬で広がり、ゴーレムたちの足元を凍りつかせた。
完全には止まらない。
しかし、その動きは確かに鈍る。
ユリは振り返ることなく、小さく呟く。
「レイカ。」
その声だけで十分だった。
レイカは口に咥えていた煙草を灰にする。
「……了解。」
「全員、一瞬伏せろ。」
「…え?っうわぁ!?」
一瞬。
炎の残像だけが遺跡を駆け抜けた。
次の瞬間。
無数の斬撃がゴーレムたちを駆け抜ける。
遅れて炎が爆ぜ、岩の身体は一斉に崩れ落ちた。
轟音。
そして静寂。
ブリトーは目を見開く。
「……速すぎる。」
スムージーも苦笑した。
「やっぱりお前化け物だな。」
レイカは何事もなかったように新しい煙草へ火をつける。
「行くぞ。」
その一言で、一行は出口へ向かって駆け出した。
-みんな仲良しランド-
遺跡を抜けた一行は、外の広場で一息ついていた。
レイカが抱えていた宝箱を開ける。
中には禁貨が眠っていた。
みんなで分けていると、
ウインナーのバンクが光る。
「ラスト、1枚か。」
ウインナーは静かに頷く。
最後の一枚を入れた瞬間。
バンクが眩い光を放った。
パキッ——。
乾いた音を立てて、バンクが割れる。
その中から現れたのは、大きな妖精のような存在だった。
丸い体に、大きな帽子。
ニコニコと笑いながら、宙へ浮かんでいる。
「ボクはバンキング!」
「願いを叶える案内人!」
仲間たちは驚きながら見つめる。
バンキングは笑顔で尋ねた。
「さあ、君の望みは?」
ウインナーは迷うことなく答えた。
「みんな仲良しランドを作りたい。」
その一言だった。
バンキングは満面の笑みを浮かべる。
「了解っ!」
光が空へ舞い上がる。
大地が揺れる。
遠くの景色が少しずつ変わっていく。
みんな仲良しハウスだった場所は、
広い庭園や畑、池、訓練場、小さな広場まで備えた、
大きな『みんな仲良しランド』へと姿を変えていた。
ウインナーがずっと夢見ていた場所。
ウインナーは目を潤ませながら呟く。
「みんな、ありがとう……。」
その隣でドロップが優しく微笑む。
「夢、叶ったね。」
ウインナーも笑顔で頷いた。
「うん、本当に良かった。」
その空気を見ていたダイフクーが、大きく伸びをする。
「一旦、見に行ってみるか?」
「みんな仲良しランドってのを!」
シャーベットも頷く。
「実物をまずは見てみないとな。」
ウインナーは嬉しそうにみんなを見る。
「ありがとう……!」
そしてレイカへ視線を向けた。
「レイカは大丈夫?」
レイカは煙を吐きながら静かに答える。
「……構わない。」
その一言に、一同の表情が明るくなった。
新たな帰る場所へ。
みんなの足取りは自然と軽くなっていた。
出発の準備を終え、一行は港へ向かう。
空は快晴。
海風が心地よく吹いていた。
ブリトーは海を眺めながら確認をする。
「今度帰る場所は、ウインナーの故郷なんだな。」
ドロップは笑顔で答える。
「そうよ!なんだか楽しみ。」
ダイフクーは肩を回した。
「オレは飯が食えりゃなんでもいい!」
シャーベットが呆れる。
「相変わらずだね。」
笑い声が響く中、船着場へ到着した。
そこには、スムージーが立っていた。
-再会を信じて-
スムージーは腕を組み、遺跡の方角を見つめていた。
「俺は残る。」
「まだあの遺跡には秘密がありそうだからな。」
ブリトーが少し寂しそうに尋ねる。
「一緒には来ないの?」
スムージーは笑った。
「また会えるさ。」
「何かわかったら連絡する。」
レイカも短く答える。
「無茶するなよ。」
スムージーは肩をすくめた。
「それ、お前が言う?」
「…それもそうか。」
その言葉に全員が笑った。
船がゆっくりと港を離れる。
スムージーは最後まで大きく手を振っていた。
その姿が小さくなっていく。
ブリトーは静かに呟く。
「また会おう。必ず。」
潮風が頬を撫でる。
仲間たちを乗せた船は、新たな帰る場所――
みんな仲良しランドへ向けて進み始めた。