-キリエ-憐れみの賛歌   作:yasuteru

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第十八章

 

 

 

-夢への帰路-

 

 

 

-阿吽の呼吸-

 

 

 

遺跡の出口まで、あと少し。

 

その時だった。

 

轟音と共に、通路の壁が崩れ落ちる。

 

前から。

 

後ろから。

 

横から。

 

次々とゴーレムが姿を現した。

 

 

「オオオオオォォォ……!」

 

 

低い唸り声が遺跡中へ響く。

 

ブリトーが身構える。

 

「囲まれた……!」

 

ダイフクーも拳を構える。

 

「数が多すぎる!」

 

その瞬間。

 

ユリが静かに右手を掲げた。

 

 

「──止まれ。」

 

 

その一言と同時に、地面一面へ氷が走る。

 

白銀の世界が一瞬で広がり、ゴーレムたちの足元を凍りつかせた。

 

完全には止まらない。

 

しかし、その動きは確かに鈍る。

 

ユリは振り返ることなく、小さく呟く。

 

「レイカ。」

 

その声だけで十分だった。

 

レイカは口に咥えていた煙草を灰にする。

 

「……了解。」

 

「全員、一瞬伏せろ。」

 

「…え?っうわぁ!?」

 

一瞬。

 

炎の残像だけが遺跡を駆け抜けた。

 

次の瞬間。

 

無数の斬撃がゴーレムたちを駆け抜ける。

 

遅れて炎が爆ぜ、岩の身体は一斉に崩れ落ちた。

 

轟音。

 

そして静寂。

 

ブリトーは目を見開く。

 

「……速すぎる。」

 

スムージーも苦笑した。

 

「やっぱりお前化け物だな。」

 

レイカは何事もなかったように新しい煙草へ火をつける。

 

「行くぞ。」

 

その一言で、一行は出口へ向かって駆け出した。

 

 

 

-みんな仲良しランド-

 

 

 

遺跡を抜けた一行は、外の広場で一息ついていた。

 

レイカが抱えていた宝箱を開ける。

 

中には禁貨が眠っていた。

 

みんなで分けていると、

 

ウインナーのバンクが光る。

 

「ラスト、1枚か。」

 

ウインナーは静かに頷く。

 

最後の一枚を入れた瞬間。

 

バンクが眩い光を放った。

 

 

パキッ——。

 

 

乾いた音を立てて、バンクが割れる。

 

その中から現れたのは、大きな妖精のような存在だった。

 

丸い体に、大きな帽子。

 

ニコニコと笑いながら、宙へ浮かんでいる。

 

 

 

「ボクはバンキング!」

 

「願いを叶える案内人!」

 

 

 

仲間たちは驚きながら見つめる。

 

バンキングは笑顔で尋ねた。

 

「さあ、君の望みは?」

 

ウインナーは迷うことなく答えた。

 

 

「みんな仲良しランドを作りたい。」

 

 

その一言だった。

 

バンキングは満面の笑みを浮かべる。

 

「了解っ!」

 

光が空へ舞い上がる。

 

大地が揺れる。

 

遠くの景色が少しずつ変わっていく。

 

みんな仲良しハウスだった場所は、

 

広い庭園や畑、池、訓練場、小さな広場まで備えた、

 

大きな『みんな仲良しランド』へと姿を変えていた。

 

ウインナーがずっと夢見ていた場所。

 

ウインナーは目を潤ませながら呟く。

 

「みんな、ありがとう……。」

 

その隣でドロップが優しく微笑む。

 

「夢、叶ったね。」

 

ウインナーも笑顔で頷いた。

 

「うん、本当に良かった。」

 

その空気を見ていたダイフクーが、大きく伸びをする。

 

「一旦、見に行ってみるか?」

 

「みんな仲良しランドってのを!」

 

シャーベットも頷く。

 

「実物をまずは見てみないとな。」

 

ウインナーは嬉しそうにみんなを見る。

 

「ありがとう……!」

 

そしてレイカへ視線を向けた。

 

「レイカは大丈夫?」

 

レイカは煙を吐きながら静かに答える。

 

「……構わない。」

 

その一言に、一同の表情が明るくなった。

 

新たな帰る場所へ。

 

みんなの足取りは自然と軽くなっていた。

 

 

 

出発の準備を終え、一行は港へ向かう。

 

空は快晴。

 

海風が心地よく吹いていた。

 

ブリトーは海を眺めながら確認をする。

 

「今度帰る場所は、ウインナーの故郷なんだな。」

 

ドロップは笑顔で答える。

 

「そうよ!なんだか楽しみ。」

 

ダイフクーは肩を回した。

 

「オレは飯が食えりゃなんでもいい!」

 

シャーベットが呆れる。

 

「相変わらずだね。」

 

笑い声が響く中、船着場へ到着した。

 

そこには、スムージーが立っていた。

 

 

 

-再会を信じて-

 

 

 

スムージーは腕を組み、遺跡の方角を見つめていた。

 

「俺は残る。」

 

「まだあの遺跡には秘密がありそうだからな。」

 

ブリトーが少し寂しそうに尋ねる。

 

「一緒には来ないの?」

 

スムージーは笑った。

 

「また会えるさ。」

 

「何かわかったら連絡する。」

 

レイカも短く答える。

 

「無茶するなよ。」

 

スムージーは肩をすくめた。

 

「それ、お前が言う?」

 

「…それもそうか。」

 

その言葉に全員が笑った。

 

船がゆっくりと港を離れる。

 

スムージーは最後まで大きく手を振っていた。

 

その姿が小さくなっていく。

 

ブリトーは静かに呟く。

 

 

「また会おう。必ず。」

 

 

潮風が頬を撫でる。

 

仲間たちを乗せた船は、新たな帰る場所――

 

みんな仲良しランドへ向けて進み始めた。

 

 

 

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