-キリエ-憐れみの賛歌   作:yasuteru

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第二十章

 

 

 

-平和の終わり-

 

 

 

-恋のライバル?-

 

 

 

みんな仲良しランドには、

 

今日も子供たちの笑い声が響いていた。

 

広場ではウインナーとドロップが散歩をしている。

 

その時だった。

 

「ウインナーお兄ちゃーーん!」

 

元気よく飛びついてきたのは、パイン。

 

十一歳になった少女は、

 

勢いよくウインナーへ抱きついた。

 

「おかえり!」

 

「久しぶり!」

 

ウインナーも笑顔で頭を撫でる。

 

「ただいま。」

 

その光景を見ていたドロップも微笑む。

 

「仲良しね。」

 

しかし。

 

パインはじっとドロップを見つめた。

 

視線は自然と左手へ向く。

 

そこには青いブレスレット。

 

パインは少し頬を膨らませた。

 

「……お姉ちゃん誰?」

 

ウインナーは少し照れながら答える。

 

「僕の大切な仲間だよ。」

 

その一言に、ドロップも少し頬を赤くする。

 

パインはますます面白くなさそうな顔をした。

 

「ふーん。」

 

その横ではキウイが頭を抱えている。

 

「また始まった……。」

 

キウイは密かにパインへ想いを寄せている。

 

しかし当の本人は、ウインナーしか見えていない。

 

「お兄ちゃんは私のお兄ちゃんなんだから!」

 

パインはドロップの前へ立ちはだかる。

 

ドロップも困ったように笑った。

 

「はいはい。」

 

ウインナーだけが慌てる。

 

「ま、まあまあ二人とも!」

 

その様子を見ていたラクガンは遠くから笑っていた。

 

「平和だなぁ。」

 

青空の下。

 

笑い声だけが広場へ響いていた。

 

 

 

-みんなで遊ぼう-

 

 

 

ランドの芝生広場。

 

子供たちが集まり、大騒ぎしていた。

 

「鬼ごっこだー!」

 

ダイフクーは拳を鳴らす。

 

「よし!全員まとめて来い!」

 

全力疾走。

 

子供たちも負けじと走り回る。

 

「待て待てー!」

 

その姿に笑いが絶えない。

 

シャーベットは積み木を前に真剣な表情だった。

 

「この角度なら崩れないぞ。」

 

横では子供たちが積み木を積み上げている。

 

「すげー!」

 

「高くなった!」

 

一方。

 

ブリトーだけは困っていた。

 

「僕……どうすれば?」

 

その時、小さな子供が手を掴む。

 

「お兄ちゃん鬼ね!」

 

「鬼?」

 

「鬼はね、みんなを追いかけるんだよ!」

 

「わー!逃げろー!」

 

あっという間に追いかけ回される。

 

転びそうになりながら走るブリトー。

 

その姿にドロップも笑った。

 

「ふふっ。」

 

ウインナーも優しく笑う。

 

「楽しそうだね。」

 

少し離れた場所。

 

ラクガンは洗濯物を干しながら、その光景を見守っていた。

 

「こういう毎日が続けばいいんだけどな。」

 

穏やかな風が吹き抜ける。

 

誰もが幸せそうだった。

 

 

 

-語られない過去-

 

 

 

ランドの外れ。

 

木陰でレイカが煙草を吸っていた。

 

その隣へユリが腰を下ろす。

 

「昔、何があったの?」

 

レイカは空を見上げる。

 

煙がゆっくり流れていく。

 

「……ユリなら話してもいいか。」

 

少しだけ間が空く。

 

「誰にも言うな。」

 

「特にウインナーには。」

 

ユリは静かに頷いた。

 

レイカは目を閉じる。

 

「実は──」

 

その時だった。

 

 

 

-霧-

 

 

 

ランドの中央から白い霧が立ち上る。

 

あっという間に視界が奪われた。

 

「なんだこれ!」

 

ダイフクーが叫ぶ。

 

ブリトーも辺りを見回す。

 

「何も見えない!」

 

子供たちの笑い声だけが遠くから聞こえる。

 

そして。

 

「きゃあああーー!!」

 

悲鳴。

 

その声に全員が駆け出した。

 

ユリとレイカも同時に飛び出す。

 

数秒後。

 

霧が晴れる。

 

そこには誰もいなかった。

 

遊んでいた子供たちが。

 

全員、消えていた。

 

ウインナーの表情が変わる。

 

「キウイ!」

 

「パイン!!」

 

ドロップも必死に辺りを探す。

 

「どこ!?」

 

静寂だけが広がる。

 

その時。

 

空から静かな声が響いた。

 

 

 

「やっと来たかい、ウインナー。」

 

 

 

全員が空を見上げる。

 

ウインナーだけが震える声で呟いた。

 

 

「……その声は。」

 

「スパム先生!!」

 

 

霧の向こう。

 

人影だけが静かに立っていた。

 

その表情は見えない。

 

味方なのか。

 

敵なのか。

 

誰にも分からなかった。

 

静まり返ったランドに、

 

風だけが静かに吹き抜けていく――。

 

 

 

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