-キリエ-憐れみの賛歌   作:yasuteru

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第二十五章

 

 

 

-休息と修行-

 

 

 

-優しい朝-

 

 

 

みんな仲良しランド。

 

朝日がゆっくりと施設を照らし始める。

 

窓から差し込む光の中、

 

ウインナーはゆっくりと目を開けた。

 

まだ身体は重い。

 

胸の奥にも、消えない痛みが残っている。

 

「……ふう。」

 

 

コンコン。

 

 

「入るわよ。」

 

ドロップが朝食の乗ったトレーを持って、

 

部屋へ入ってきた。

 

焼きたてのパン。

 

温かなスープ。

 

果物まで添えられている。

 

「調子はどう?」

 

ウインナーは少し笑う。

 

「大丈夫だよ。」

 

その返事にドロップは呆れたように肩をすくめる。

 

「……相変わらずね。」

 

「今日は安静。」

 

「私もここに居るから。」

 

ウインナーは少し悲しそうに笑った。

 

「……はい。」

 

 

その瞬間。

 

 

ドドドドドド!!

 

 

廊下から激しい足音。

 

勢いよく扉が開いた。

 

「ウインナーお兄ちゃん大丈夫!?」

 

子供たちが一斉に飛び込んでくる。

 

部屋は一瞬で賑やかになった。

 

ウインナーは苦笑しながら頭を撫でる。

 

「大丈夫だよ。」

 

「ありがとう。」

 

すると子供たちは笑顔で言った。

 

「元気になったらたくさん遊ぼうね!」

 

「約束だからね!」

 

「鬼ごっこする!」

 

「かくれんぼも!」

 

ウインナーは心から笑った。

 

「うん。」

 

「約束。」

 

子供たちは満足そうに帰っていく。

 

静かになった部屋。

 

ドロップはその後ろ姿を眺めながら微笑む。

 

「……いいお兄ちゃんね。」

 

「本当に。」

 

 

 

-穏やかな昼-

 

 

 

ランドの広場。

 

子供たちが元気よく走り回っている。

 

ダイフクーは全力で追いかけっこ。

 

「待て待てぇぇぇ!!」

 

「捕まえてみろー!」

 

シャーベットは少し離れた場所で本を読んでいたが、

 

いつの間にか子供たちに囲まれていた。

 

「シャーベット先生ー!」

 

「本読んで!」

 

「先生……?むむ……。」

 

「仕方ない。」

 

読み聞かせが始まり、

 

子供たちは静かに耳を傾ける。

 

その光景を見ながら、

 

ラクガンは洗濯物を干していた。

 

「平和ですね。」

 

その横。

 

レイカが煙草を取り出す。

 

火をつけようとした瞬間。

 

ユリがじーっと見つめる。

 

「……子供たちいるけど。」

 

レイカは固まる。

 

数秒後。

 

「……はい。」

 

静かに煙草をしまった。

 

ユリは少しだけ笑う。

 

「よろしい。」

 

レイカは空を見上げるだけだった。

 

 

 

-それぞれの修行-

 

 

 

午後。

 

ランド各地で修行が始まる。

 

ラクガンはダイフクーとシャーベットを指導していた。

 

巨大な丸太を担ぎ、

 

全力疾走。

 

「まだまだ!」

 

「清く!正しく!根性だ!」

 

ダイフクーは汗だくになりながら笑う。

 

「うおおおお!!」

 

シャーベットも珍しく真剣だった。

 

「ぬおおお!重いっ!!」

 

一方、

 

ユリはドロップへ体術を教えていた。

 

「力じゃない。」

 

「流れを見る。」

 

ドロップは何度もをユリに挑む。

 

転び、

 

立ち上がり、

 

また飛びかかる。

 

「もう一回!」

 

「ええ。」

 

そして、別の広場。

 

ブリトーとウインナーも修行を続ける。

 

風を操る感覚。

 

禁貨との共鳴。

 

少しずつ、

 

確実に力は増していた。

 

その様子を、

 

レイカは腕を組んで静かに眺めている。

 

「……風が……。」

 

その一言だけ残して、

 

どこかへ歩いていった。

 

 

 

夕方。

 

ランドの食堂。

 

みんなで夕食を囲んでいた。

 

笑い声が絶えない。

 

ダイフクーが突然、

 

ニヤニヤしながらウインナーを見る。

 

「そういやよ。」

 

「お前ら。」

 

「距離が近くなったな!」

 

「確かに。付き合ってから余計だな。」

 

ウインナーは吹き出した。

 

「えぇ!?」

 

ドロップは顔を真っ赤にする。

 

「なっ……!」

 

「今も隣にピッタリ座ってるしな!」

 

シャーベットは真顔。

 

「確かに。」

 

ブリトーも頷く。

 

「僕もそう思ってた。」

 

「そ、そんなに近いかな?」

 

わざとらしく距離を取る二人。

 

レイカとユリが助け舟を出す。

 

「あまり冷やかしてやるな。」

 

「可愛いじゃない?ね?」

 

「…まあ若いな。」

 

ドロップは机へ突っ伏した。

 

「もうやだぁぁぁ……。恥ずかしい。」

 

食堂は笑いに包まれる。

 

久しぶりに、

 

何も考えず笑える夜だった。

 

 

 

-青き炎-

 

 

 

深夜。

 

誰もいない特訓場。

 

レイカは静かに立っていた。

 

左耳のピアスを外す。

 

そしてもう一つ。

 

二つ目も外した。

 

途端に、

 

身体から青い炎が揺らめく。

 

炎は美しい。

 

だが、

 

どこか不安定だった。

 

揺れ。

 

暴れ。

 

制御できないほど膨れ上がろうとする。

 

レイカは刀を握り締める。

 

「……なんとか。」

 

「ここまで扱えたらな。」

 

炎が揺れる。

 

その時だった。

 

後ろから足音。

 

ユリだった。

 

「……抑えきれないのが怖い?」

 

レイカは振り返らない。

 

「……まあな。」

 

青い炎が揺れ続ける。

 

ユリは隣へ立った。

 

静かに空を見る。

 

 

「その時は。」

 

「また止めてあげる。」

 

 

ピアスをつけ直し、

 

レイカは少しだけ笑う。

 

そして炎を消した。

 

 

「……同じことを繰り返してたまるか。」

 

 

夜風だけが二人の間を吹き抜ける。

 

静かな月明かりの下、

 

二人は並んで歩き始めた。

 

誰にも知られないように。

 

それぞれの過去と、

 

それぞれの未来を胸に抱きながら――。

 

 

 

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