-旅立ち前の休日-
-ダブルデート?-
三日後の出発を前に、
一行は街へ買い出しへ来ていた。
歩くのは四人。
レイカ、ユリ、ウインナー、ドロップ。
久しぶりの街並みに、ドロップは上機嫌だった。
隣を歩くユリへ小さく囁く。
「ふふっ、ユリさん。」
「ん?」
ドロップは少しだけ悪戯っぽく笑った。
「ダブルデートだね。」
ユリは一瞬きょとんとした後、小さく笑う。
「……もう、若いわね。」
その会話を聞いていたレイカは、
面倒そうに煙草を咥えようとして、
「ウインナーさんよ。」
「おたくの彼女が何か言ってるぞ。」
ウインナーは困ったように笑う。
「僕も、四人で前から来てみたかったんだ。」
「ドロップ、昨日から凄く楽しみにしてた。」
「……可愛いよね。」
レイカは頭を抱えた。
「お前もお前かよ……ったく。」
そのまま歩いていたが、
ふと立ち止まる。
「あ、そういえば。」
「どうしたの?」
ウインナーが尋ねる。
「約束。」
「服、買ってやるよ。」
「え、覚えてくれてたの!?」
「……俺の服ばかり着るな。」
ドロップが目を丸くする。
「えええ!?いいなぁ……。」
レイカは財布を取り出した。
「もう全員買ってやるから、さっさと選べ。」
ユリは固まった。
「……。」
しばらく俯いたあと、
小さく顔を上げる。
「……私も、好きなのを選んでいいの?」
「そう言ってる。」
「……!」
ユリは嬉しそうに微笑んだ。
「ありがとう。」
四人は服屋へ入る。
ドロップは白と水色を基調とした、
可愛らしい服を次々と見て回る。
「ウインナー!」
「これどう?」
「似合ってるよ。」
「やった!」
「あ!あれも欲しい!」
満面の笑みだった。
一方ユリは、
落ち着いた藍色のロングワンピースを手に取る。
その上から白い薄手の羽織。
長い銀髪にもよく似合っていた。
レイカは腕を組み、
静かに頷く。
「……いいんじゃないか。」
ユリは少しだけ照れる。
「本当?」
「嘘ついてどうする。」
「……ふふ。」
その笑顔を見て、
ドロップが微笑む。
「ユリさん、すっごく綺麗!」
「ありがとう。」
その姿に街の人々も思わず振り返るほどだった。
レイカは照れ隠しのように顔を逸らす。
「……早く決めろ。」
四人は笑いながら店を後にした。
-腕輪研究会-
その頃。
みんな仲良しランドでは、
ダイフクー、シャーベット、ブリトーが、
腕輪の研究をしていた。
机の上には禁貨が並ぶ。
ブリトーが腕輪へ手を添える。
「まずはラビィオリ。」
近くの水溜まりに波長が広がり、
水が宙へ浮く。
まるで意思を持つように自由自在に動いていく。
シャーベットが感心する。
「完全に水を操れるな。」
ダイフクーも頷いた。
「水があるところだけしか使えないのが難点だな。」
続いて、
「カフェラテ。」
周囲の岩が浮き、
自由自在に動き始める。
「岩を操る能力か。」
「戦闘にも使える。」
「これも岩があるところだけか……。」
そして、
「ハラペーニョ。」
小石へ触れる。
瞬間。
黄金へ変化した。
「やっぱり金になるな。」
「ただし一時的にしか変化しない。」
「スムージー。」
手のひらから炎が出ている。
「燃えているな……。」
シャーベットが記録を書き込む。
ダイフクーが首を傾げる。
次にポタージュの禁貨。
「身体が霞がかっていく......。」
「うわっ!」
「ラクガンが目の前に!?」
「びっくりした!どこから来たんだ?」
シャーベットが顔を上げる。
「転移能力……?」
「最後に触れた人のところって感じか。」
部屋に静寂が流れた。
禁貨の力は、
まだまだ未知数だった。
-最後の夜-
夜。
みんな仲良しランドは静かな時間を迎えていた。
子供たちは施設内の遊び場を、元気に走り回り、
コクトーやカクザトーと鬼ごっこをしている。
ラクガンは食堂で夕食の準備。
ダイフクーとシャーベットは、
風呂上がりに牛乳を飲んで笑っていた。
ブリトーは一人、
空を眺めていた。
「パル。」
「待ってろ。」
「必ず迎えに行く。」
拳を強く握る。
一方、
ハウスの庭では、
レイカとユリが静かに腰掛けていた。
ユリが買った服を見つめる。
「ありがとう。」
レイカは空を見上げる。
「似合ってたからな。」
ユリは少し照れながら笑った。
「珍しい。」
「素直。」
「……うるさい。」
二人の間に静かな風が流れる。
少し離れた場所では、
ウインナーとドロップが子供たちに囲まれていた。
「また遊ぼうね!」
「もちろん。」
ドロップも笑う。
「帰ってきたらいっぱい遊ぼ!」
「約束!」
「ドロップお姉ちゃん!」
パインがドロップを指さしている。
「ウインナーお兄ちゃんのこと頼んだわよ!」
「任せて。パインに言われたらなおさらね。」
「ウインナーお兄ちゃん。」
「キウイ?どうしたの?」
「無事で帰ってきてね!僕も強くなるから!」
「絶対、帰ってくるからね。」
子供たちの笑顔を見て、
ウインナーは静かに呟く。
「必ず守る。」
その決意を、
ドロップだけが優しく聞いていた。
-旅立ち-
翌朝。
巨大な気球船の前へ全員が集まる。
荷物も積み終え、
出発準備は万端だった。
ラクガンが頭を下げる。
「皆さん。」
「どうかお気を付けて。」
ダイフクーは拳を握る。
「よし!」
「次は遺跡だ!」
シャーベットも頷く。
「今度こそ真実へ近づく。」
ブリトーは静かに腕輪へ触れた。
「パル。」
「待っていてくれ。」
レイカは煙草を一本咥え、
空を見上げる。
「……骨が折れそうだな。」
ユリが隣で笑う。
「長い旅になりそうね。」
ドロップは元気よく手を挙げる。
「出発ー!」
ウインナーも頷いた。
「みんな。」
「行こう。」
気球船がゆっくりと空へ浮かぶ。
みんな仲良しランドは少しずつ小さくなっていく。
新たな遺跡。
新たな真実。
そして、新たな戦いへ。
一行を乗せた気球船は、
朝焼けの空へ向かって静かに進み始めた――。