-キリエ-憐れみの賛歌   作:yasuteru

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第二十九章

 

 

 

-旅立ち前の休日-

 

 

 

-ダブルデート?-

 

 

 

三日後の出発を前に、

 

一行は街へ買い出しへ来ていた。

 

歩くのは四人。

 

 

 

レイカ、ユリ、ウインナー、ドロップ。

 

久しぶりの街並みに、ドロップは上機嫌だった。

 

隣を歩くユリへ小さく囁く。

 

「ふふっ、ユリさん。」

 

「ん?」

 

ドロップは少しだけ悪戯っぽく笑った。

 

「ダブルデートだね。」

 

ユリは一瞬きょとんとした後、小さく笑う。

 

「……もう、若いわね。」

 

その会話を聞いていたレイカは、

 

面倒そうに煙草を咥えようとして、

 

「ウインナーさんよ。」

 

「おたくの彼女が何か言ってるぞ。」

 

ウインナーは困ったように笑う。

 

「僕も、四人で前から来てみたかったんだ。」

 

「ドロップ、昨日から凄く楽しみにしてた。」

 

「……可愛いよね。」

 

レイカは頭を抱えた。

 

「お前もお前かよ……ったく。」

 

そのまま歩いていたが、

 

ふと立ち止まる。

 

「あ、そういえば。」

 

「どうしたの?」

 

ウインナーが尋ねる。

 

「約束。」

 

「服、買ってやるよ。」

 

「え、覚えてくれてたの!?」

 

「……俺の服ばかり着るな。」

 

ドロップが目を丸くする。

 

「えええ!?いいなぁ……。」

 

レイカは財布を取り出した。

 

「もう全員買ってやるから、さっさと選べ。」

 

ユリは固まった。

 

「……。」

 

しばらく俯いたあと、

 

小さく顔を上げる。

 

「……私も、好きなのを選んでいいの?」

 

「そう言ってる。」

 

「……!」

 

ユリは嬉しそうに微笑んだ。

 

「ありがとう。」

 

 

 

四人は服屋へ入る。

 

ドロップは白と水色を基調とした、

 

可愛らしい服を次々と見て回る。

 

「ウインナー!」

 

「これどう?」

 

「似合ってるよ。」

 

「やった!」

 

「あ!あれも欲しい!」

 

満面の笑みだった。

 

一方ユリは、

 

落ち着いた藍色のロングワンピースを手に取る。

 

その上から白い薄手の羽織。

 

長い銀髪にもよく似合っていた。

 

レイカは腕を組み、

 

静かに頷く。

 

「……いいんじゃないか。」

 

ユリは少しだけ照れる。

 

「本当?」

 

「嘘ついてどうする。」

 

「……ふふ。」

 

その笑顔を見て、

 

ドロップが微笑む。

 

「ユリさん、すっごく綺麗!」

 

「ありがとう。」

 

その姿に街の人々も思わず振り返るほどだった。

 

レイカは照れ隠しのように顔を逸らす。

 

「……早く決めろ。」

 

四人は笑いながら店を後にした。

 

 

 

-腕輪研究会-

 

 

 

その頃。

 

みんな仲良しランドでは、

 

ダイフクー、シャーベット、ブリトーが、

 

腕輪の研究をしていた。

 

机の上には禁貨が並ぶ。

 

ブリトーが腕輪へ手を添える。

 

 

「まずはラビィオリ。」

 

近くの水溜まりに波長が広がり、

 

水が宙へ浮く。

 

まるで意思を持つように自由自在に動いていく。

 

シャーベットが感心する。

 

「完全に水を操れるな。」

 

ダイフクーも頷いた。

 

「水があるところだけしか使えないのが難点だな。」

 

続いて、

 

「カフェラテ。」

 

周囲の岩が浮き、

 

自由自在に動き始める。

 

「岩を操る能力か。」

 

「戦闘にも使える。」

 

「これも岩があるところだけか……。」

 

そして、

 

「ハラペーニョ。」

 

小石へ触れる。

 

瞬間。

 

黄金へ変化した。

 

「やっぱり金になるな。」

 

「ただし一時的にしか変化しない。」

 

 

「スムージー。」

 

手のひらから炎が出ている。

 

「燃えているな……。」

 

シャーベットが記録を書き込む。

 

ダイフクーが首を傾げる。

 

 

次にポタージュの禁貨。

 

「身体が霞がかっていく......。」

 

「うわっ!」

 

「ラクガンが目の前に!?」

 

「びっくりした!どこから来たんだ?」

 

シャーベットが顔を上げる。

 

「転移能力……?」

 

「最後に触れた人のところって感じか。」

 

部屋に静寂が流れた。

 

禁貨の力は、

 

まだまだ未知数だった。

 

 

 

-最後の夜-

 

 

 

夜。

 

みんな仲良しランドは静かな時間を迎えていた。

 

子供たちは施設内の遊び場を、元気に走り回り、

 

コクトーやカクザトーと鬼ごっこをしている。

 

ラクガンは食堂で夕食の準備。

 

ダイフクーとシャーベットは、

 

風呂上がりに牛乳を飲んで笑っていた。

 

ブリトーは一人、

 

空を眺めていた。

 

 

「パル。」

 

「待ってろ。」

 

「必ず迎えに行く。」

 

 

拳を強く握る。

 

 

 

一方、

 

ハウスの庭では、

 

レイカとユリが静かに腰掛けていた。

 

ユリが買った服を見つめる。

 

「ありがとう。」

 

レイカは空を見上げる。

 

「似合ってたからな。」

 

ユリは少し照れながら笑った。

 

「珍しい。」

 

「素直。」

 

「……うるさい。」

 

二人の間に静かな風が流れる。

 

 

 

少し離れた場所では、

 

ウインナーとドロップが子供たちに囲まれていた。

 

「また遊ぼうね!」

 

「もちろん。」

 

ドロップも笑う。

 

「帰ってきたらいっぱい遊ぼ!」

 

「約束!」

 

「ドロップお姉ちゃん!」

 

パインがドロップを指さしている。

 

「ウインナーお兄ちゃんのこと頼んだわよ!」

 

「任せて。パインに言われたらなおさらね。」

 

「ウインナーお兄ちゃん。」

 

「キウイ?どうしたの?」

 

「無事で帰ってきてね!僕も強くなるから!」

 

「絶対、帰ってくるからね。」

 

子供たちの笑顔を見て、

 

ウインナーは静かに呟く。

 

「必ず守る。」

 

その決意を、

 

ドロップだけが優しく聞いていた。

 

 

 

-旅立ち-

 

 

 

翌朝。

 

巨大な気球船の前へ全員が集まる。

 

荷物も積み終え、

 

出発準備は万端だった。

 

ラクガンが頭を下げる。

 

「皆さん。」

 

「どうかお気を付けて。」

 

ダイフクーは拳を握る。

 

「よし!」

 

「次は遺跡だ!」

 

シャーベットも頷く。

 

「今度こそ真実へ近づく。」

 

ブリトーは静かに腕輪へ触れた。

 

「パル。」

 

「待っていてくれ。」

 

レイカは煙草を一本咥え、

 

空を見上げる。

 

「……骨が折れそうだな。」

 

ユリが隣で笑う。

 

「長い旅になりそうね。」

 

ドロップは元気よく手を挙げる。

 

「出発ー!」

 

ウインナーも頷いた。

 

「みんな。」

 

「行こう。」

 

気球船がゆっくりと空へ浮かぶ。

 

みんな仲良しランドは少しずつ小さくなっていく。

 

新たな遺跡。

 

新たな真実。

 

そして、新たな戦いへ。

 

一行を乗せた気球船は、

 

朝焼けの空へ向かって静かに進み始めた――。

 

 

 

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