-つかの間の平穏-
-模擬線-
一方、
広場ではケンがブリトーに模擬戦を
木の枝を持って申し込む。
「今日は勝つからな!」
「……何回目?」
五分後。
ケンが転ぶ。
「くそぉ!」
「まだまだだね。」
「絶対追い越す!」
「まだまだ追いつけないよ。」
そこへレイカが通る。
「お兄ちゃん!」
「ブリトー倒して!」
「……自分で勝て。」
「えーー!?」
「……はぁ。」
「その元気はどこから湧くんだ。」
ブリトーが笑う。
「頑張れ。」
「絶対抜かす!」
レイカはほんの少しだけ口元を緩めた。
「……気持ちだけは一人前だな。」
-宿の屋根-
夕日を眺めながら二人で座る。
レイカとダイフクー。
遺跡での出来事以来、
たびたび二人で話すことが増えた。
ダイフクーが笑う。
「最近さ。」
「普通に話せるようになったよな。」
「そうか?」
「最初なんて怖かったぜ。」
レイカは少し黙る。
「……悪かった。」
「え?」
「今謝った?」
「二回言わせるな。」
ダイフクーは腹を抱えて笑う。
「変わったな、お前!」
「……お前らのせいだ。」
「俺は今のお前好きだぜ。」
「気持ち悪い。」
「なんだよ!褒めてるんだぞ!」
「いらん、気持ち悪い。」
「二回も言うなよ!」
「まあでも。」
「思ってるより話が合うことが分かったぜ。」
「……そうか?」
「マフィアの服装を決める時に。」
「ネクタイの色決めてただろ。」
「ああ。」
「声揃えて、青!!ってな。」
「あ、こいつとは気が合うぞ!」
「って思ってあれなら話しかけてたらよ。」
「ほら、こうやって普通に話せるだろ?」
「……安直なやつだ。」
「照れるなよ~!!」
「吹き飛ばすぞ。」
「やめろって!!!」
二人は顔を見合わせ、思わず笑った。
-静かな広場-
ユリが夕日を眺めながら、
店の完成を見届けている。
そこへ、
シャーベットが真剣な表情で口を開く。
「聞きたいことがある。」
「何?」
「氷の加護についてだ。」
ユリの表情も真剣になる。
「……どうして?」
「風の加護。」
「炎の加護。」
「どちらも見た。」
「なら。」
「氷の加護も存在するだろう。」
「ユリは加護を受けている。」
「間違いないか?」
「ええ。私には氷の加護がある。」
「一族の関係もあるとは思うけど……。」
「……俺にも選ばれる可能性はあるのか。」
ユリは少し考えて答えた。
「可能性はある。」
「でも。」
「選ぶのは加護。」
「私たちじゃない。」
「努力したから与えられるものでもない。」
「運命みたいなもの。」
シャーベットは静かに頷いた。
「ふむ。」
「では。」
「実力をつけた方が早いか。」
「……頼む。」
「稽古をつけてくれ。」
ユリは驚いたあと、優しく笑う。
「……いいよ。」
「でも。」
「ドロップがついていけてるだけで。」
「私は結構厳しいと思う。」
「それでも大丈夫?」
その時。
後ろから声が飛ぶ。
「……嘘つけ。」
振り返ると、レイカが壁にもたれていた。
「聞いてたの?」
「全部。」
「盗み聞きなんて悪趣味だな。」
「盗み聞きしていない。」
「普通に聞いていた。」
「……まあ、頑張れ。」
ユリは苦笑する。
「じゃあ。」
「明日から特訓ね。」
シャーベットは静かに頭を下げた。
「よろしく頼む。」
ダイフクーもそこへ駆けつける。
「レイカ!置いていくなよ!」
「……普通に歩いたぞ。」
「色んなものに目移りするからだ。」
「ここの街の飯は全部美味そうでな……。」
「って、珍しい組み合わせだな。」
「ユリ、シャーベットが何かしてないか?」
「人聞きの悪い。」
「頼み事をしていただけだ。」
「お前の頼み事なんてろくな事ねえだろ。」
「……修行をつけてって頼まれたの。」
「んな!?せこくないか!?」
「俺も強くなりてえのに……。」
「もうお前は怪力でいけるだろ。」
「怪力だけでは通用しねえだろ!」
「レイカ?修行つけてあげたら?」
「……俺は何人見ればいいんだ。」
「断らないんだ。」
「……はあ。」
「条件。」
「俺に腕相撲で勝ったらいいぞ。」
「……ユリ、お前がつけてくれないか?」
「え?」
「俺、腕を失いたくない。」
「本当に人聞き悪いなお前。」
「いや、ガチだぞ。」
「……毎朝。」
「ウインナーとブリトーは鍛錬している。」
「一緒に混ざればいい。」
「気まぐれで俺が来て見てやる。」
「本当か!!」
「……ダイフクー。レイカ毎朝起きてる。」
「よかったね。」
「っよっしゃ!!サンキューな!」
「はあ……。騒がしいやつばかりだ。」
「やはり不器用なんだな、君は。」
「……もうそれでいい。」
夕日に照らされる
4人の影が、
昔より距離が近い気がした。