-キリエ-憐れみの賛歌   作:yasuteru

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第四十七章

 

 

 

-つかの間の平穏-

 

 

 

-模擬線-

 

 

 

一方、

 

広場ではケンがブリトーに模擬戦を

 

木の枝を持って申し込む。

 

「今日は勝つからな!」

 

「……何回目?」

 

五分後。

 

ケンが転ぶ。

 

「くそぉ!」

 

「まだまだだね。」

 

「絶対追い越す!」

 

「まだまだ追いつけないよ。」

 

そこへレイカが通る。

 

「お兄ちゃん!」

 

「ブリトー倒して!」

 

「……自分で勝て。」

 

「えーー!?」

 

「……はぁ。」

 

「その元気はどこから湧くんだ。」

 

ブリトーが笑う。

 

「頑張れ。」

 

「絶対抜かす!」

 

レイカはほんの少しだけ口元を緩めた。

 

「……気持ちだけは一人前だな。」

 

 

 

-宿の屋根-

 

 

 

夕日を眺めながら二人で座る。

 

レイカとダイフクー。

 

遺跡での出来事以来、

 

たびたび二人で話すことが増えた。

 

ダイフクーが笑う。

 

「最近さ。」

 

「普通に話せるようになったよな。」

 

「そうか?」

 

「最初なんて怖かったぜ。」

 

レイカは少し黙る。

 

「……悪かった。」

 

「え?」

 

「今謝った?」

 

「二回言わせるな。」

 

ダイフクーは腹を抱えて笑う。

 

「変わったな、お前!」

 

「……お前らのせいだ。」

 

「俺は今のお前好きだぜ。」

 

「気持ち悪い。」

 

「なんだよ!褒めてるんだぞ!」

 

「いらん、気持ち悪い。」

 

「二回も言うなよ!」

 

「まあでも。」

 

「思ってるより話が合うことが分かったぜ。」

 

「……そうか?」

 

「マフィアの服装を決める時に。」

 

「ネクタイの色決めてただろ。」

 

「ああ。」

 

「声揃えて、青!!ってな。」

 

「あ、こいつとは気が合うぞ!」

 

「って思ってあれなら話しかけてたらよ。」

 

「ほら、こうやって普通に話せるだろ?」

 

「……安直なやつだ。」

 

「照れるなよ~!!」

 

「吹き飛ばすぞ。」

 

「やめろって!!!」

 

二人は顔を見合わせ、思わず笑った。

 

 

 

-静かな広場-

 

 

 

ユリが夕日を眺めながら、

 

店の完成を見届けている。

 

そこへ、

 

シャーベットが真剣な表情で口を開く。

 

「聞きたいことがある。」

 

「何?」

 

「氷の加護についてだ。」

 

ユリの表情も真剣になる。

 

「……どうして?」

 

「風の加護。」

 

「炎の加護。」

 

「どちらも見た。」

 

「なら。」

 

「氷の加護も存在するだろう。」

 

「ユリは加護を受けている。」

 

「間違いないか?」

 

「ええ。私には氷の加護がある。」

 

「一族の関係もあるとは思うけど……。」

 

「……俺にも選ばれる可能性はあるのか。」

 

ユリは少し考えて答えた。

 

「可能性はある。」

 

「でも。」

 

「選ぶのは加護。」

 

「私たちじゃない。」

 

「努力したから与えられるものでもない。」

 

「運命みたいなもの。」

 

シャーベットは静かに頷いた。

 

「ふむ。」

 

「では。」

 

「実力をつけた方が早いか。」

 

「……頼む。」

 

「稽古をつけてくれ。」

 

ユリは驚いたあと、優しく笑う。

 

「……いいよ。」

 

「でも。」

 

「ドロップがついていけてるだけで。」

 

「私は結構厳しいと思う。」

 

「それでも大丈夫?」

 

その時。

 

後ろから声が飛ぶ。

 

「……嘘つけ。」

 

振り返ると、レイカが壁にもたれていた。

 

「聞いてたの?」

 

「全部。」

 

「盗み聞きなんて悪趣味だな。」

 

「盗み聞きしていない。」

 

「普通に聞いていた。」

 

「……まあ、頑張れ。」

 

ユリは苦笑する。

 

「じゃあ。」

 

「明日から特訓ね。」

 

シャーベットは静かに頭を下げた。

 

「よろしく頼む。」

 

 

ダイフクーもそこへ駆けつける。

 

「レイカ!置いていくなよ!」

 

「……普通に歩いたぞ。」

 

「色んなものに目移りするからだ。」

 

「ここの街の飯は全部美味そうでな……。」

 

「って、珍しい組み合わせだな。」

 

「ユリ、シャーベットが何かしてないか?」

 

「人聞きの悪い。」

 

「頼み事をしていただけだ。」

 

「お前の頼み事なんてろくな事ねえだろ。」

 

「……修行をつけてって頼まれたの。」

 

「んな!?せこくないか!?」

 

「俺も強くなりてえのに……。」

 

「もうお前は怪力でいけるだろ。」

 

「怪力だけでは通用しねえだろ!」

 

「レイカ?修行つけてあげたら?」

 

「……俺は何人見ればいいんだ。」

 

「断らないんだ。」

 

「……はあ。」

 

「条件。」

 

「俺に腕相撲で勝ったらいいぞ。」

 

「……ユリ、お前がつけてくれないか?」

 

「え?」

 

「俺、腕を失いたくない。」

 

「本当に人聞き悪いなお前。」

 

「いや、ガチだぞ。」

 

「……毎朝。」

 

「ウインナーとブリトーは鍛錬している。」

 

「一緒に混ざればいい。」

 

「気まぐれで俺が来て見てやる。」

 

「本当か!!」

 

「……ダイフクー。レイカ毎朝起きてる。」

 

「よかったね。」

 

「っよっしゃ!!サンキューな!」

 

「はあ……。騒がしいやつばかりだ。」

 

「やはり不器用なんだな、君は。」

 

「……もうそれでいい。」

 

 

夕日に照らされる

 

4人の影が、

 

昔より距離が近い気がした。

 

 

 

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