-キリエ-憐れみの賛歌   作:yasuteru

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第五章

 

 

 

―水面に映る記憶―

 

 

 

ー氷漬けの再会ー

 

 

 

ユリが氷を解かす。

 

 

「寒かったぁぁぁ!!」

 

 

ラビィオリは飛び起き、

 

そのままブリトーへ飛びつく。

 

「ブリトー!!」

 

「生きてたのね!!」

 

ブリトーも目を潤ませる。

 

「ラビィオリ……!」

 

再会を喜ぶ二人。

 

その横でレイカは煙草をくわえ、

 

「知り合いだったのか。」

 

と呟く。

 

 

「サラミッドの仲間だよ。」

 

 

「やっと……見つけた。」

 

 

ー街の食堂ー

 

 

 

一行は街の食堂へ入る。

 

久しぶりの再会に乾杯しながら、

 

ラビィオリが語り始める。

 

 

「目が覚めたら、この街にいたの。」

 

「何も覚えてなくて。」

 

「街の人が助けてくれたのよ。」

 

「今じゃ仕事もしてるし、ご近所さんも優しいし。」

 

 

生活に溶け込んでいるラビィオリに

 

みんな驚く。

 

「適応能力高いな…。」

 

「どこでも生きていけそう。」

 

「だからね、ブリト―。」

 

「仲間を探すのをお願いしたい。」

 

「私は…ついていけない。」

 

ブリトーは少し寂しそうな顔をする。

 

「……そうか。」

 

ラビィオリは肩をすくめる。

 

「旅なんて面倒だし。」

 

「お肌も荒れるし。」

 

「野宿なんて絶対イヤ。」

 

 

 

その瞬間。

 

ドロップが笑う。

 

「ラビィオリらしいわね。」

 

「相変わらず美容にうるさい。」

 

ラビィオリは即座に振り向く。

 

「何よ!」

 

「サラミッドでもそうだったけど!」

 

「あんた!若いからって余裕ぶらないで!」

 

「あぁ!若いって妬ましい!」

 

ドロップも負けじと言い返す。

 

「知らないもん!」

 

「そんなの!」

 

ダイフクーは大笑い。

 

ウインナーは苦笑い。

 

シャーベットは一言。

 

 

「相変わらずの狂乱ぶりだな……」

 

 

食堂中が笑いに包まれた。

 

 

 

ー美の師匠ー

 

 

 

食事が終わる頃。

 

ラビィオリの視線がユリへ向く。

 

じっと見つめる。

 

そして固まった。

 

ユリはレイカに対して、

 

色気を使ったラビィオリに警戒する。

 

が、視線が気になって声をかける。

 

 

「……何。」

 

「え、待って。」

 

「あなた、肌、綺麗すぎない?」

 

 

ユリは首を傾げる。

 

 

「え?」

 

「え?じゃないわよ!!」

 

 

ラビィオリは立ち上がる。

 

 

「何使ってるの!?」

 

「化粧水は!?」

 

「睡眠時間は!?」

 

 

質問攻め。

 

ユリは困ったようにレイカを見る。

 

 

「助けて……何この子……。」

 

 

レイカは煙草を吸いながら、

 

「……すまん、専門外だ。」

 

とだけ答えた。

 

 

その瞬間からラビィオリは、

 

「ユリ姉様!」

 

と呼ぶようになった。

 

 

「やめて、そんな良いものじゃ……。」

 

「いいえ!ユリ姉様のお肌、まつ毛、髪の毛!」

 

「全てが素晴らしいのよ!!」

 

「まさしくこれが、「美」を体現している!!」

 

「確かに、ユリさん本当に綺麗よね……。」

 

「ドロップまで……。」

 

「あんたと気が合うなんて癪だけど。」

 

「よくわかってるじゃない?」

 

「っるさいわね。突っかかることしか頭にないの??」

 

「乳飲み子のくせに、目上に対して生意気な小娘ね!」

 

「はあ!?若作りのババアに言われたくないわよ!?」

 

「なんですって!?」

 

「なによ!?」

 

 

ラビィオリとドロップの痴話喧嘩が、

 

ユリを挟んで行われていた。

 

その後、冷徹な顔をしたユリはボソッと、

 

 

「……二人とも、静かにね?」

 

 

「「…………はい。」」

 

 

と、一言で二人を黙らせた。

 

男子はひそひそと話す。

 

「……ブリトー、レディは怒らせるとこわいからな。」

 

「覚えておけよ。」

 

「……勉強になるよ。ダイフクー。」

 

 

 

ー水色の禁貨ー

 

 

 

別れ際。

 

ラビィオリは急に立ち止まった。

 

「あ。」

 

ポケットを探る。

 

小さな水色の禁貨を取り出した。

 

「そういえば。」

 

「目が覚めた時から持ってたの。」

 

ブリトーは驚く。

 

「禁貨……?」

 

ラビィオリはブリトーの左腕を見る。

 

不思議な腕輪。

 

空いている穴。

 

「これに入るんじゃない?」

 

半信半疑で禁貨をはめる。

 

 

カチリ。

 

 

静かな音が響いた。

 

腕輪が淡く水色に光る。

 

全員が息を呑んだ。

 

しかし、それ以上何も起きない。

 

ラビィオリは笑った。

 

「ま、何か意味あるんじゃない?」

 

「また見かけたら声を掛けてね!」

 

その言葉だけを残し、街へ戻っていった。

 

 

ー腕輪の光ー

 

 

 

数日後。

 

一行はまだ街に滞在していた。

 

ブリトーとダイフクーは市場を歩いている。

 

すると。

 

 

一人の男が袋を抱えて走ってきた。

 

 

「泥棒だーー!!」

 

 

街中が騒ぎになる。

 

ブリトーとダイフクーは顔を見合わせる。

 

「追うぞ!」

 

「おう!」

 

路地裏へ飛び込む泥棒。

 

あと少し届かない。

 

水たまりがある。

 

「くっ……。逃げ足が早いぞ!アイツ!」

 

「ラビィオリが居るなら!」

 

「水たまりで動きを止めれるのに……!」

 

 

その瞬間。

 

 

ブリトーの左腕が光った。

 

 

腕輪にはめられた水色の禁貨が輝く。

 

自然と手が前へ伸びる。

 

「え……?」

 

 

次の瞬間。

 

 

水たまりの水が球体となって現れた。

 

勢いよく泥棒を包み込み、

 

その場へ拘束する。

 

街中が静まり返った。

 

ブリトー自身も驚いていた。

 

 

「僕が……?」

 

 

左腕の腕輪は静かに輝きを失う。

 

「一瞬だけど、光っていた……?」

 

その腕輪には、

 

まだ誰も知らない秘密が隠されている。

 

風は静かに吹き抜け、

 

新たな運命を運び始めていた――。

 

 

 

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