-キリエ-憐れみの賛歌   作:yasuteru

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第五十五章

 

 

 

-双守護者-

 

 

 

-試練の変化-

 

 

 

第四階層を突破した一行は、

 

新たに現れた石階段を静かに降りていく。

 

空気がさらに重くなる。

 

誰も言葉を発さない。

 

ブリトーが立ち止まった。

 

巨大な石扉。

 

今までよりも一回り大きい。

 

「……ここだ。」

 

石扉へ手を添える。

 

 

ゴゴゴゴゴ……

 

 

重厚な音を立て、ゆっくりと開いていく。

 

広がっていたのは、巨大な円形闘技場。

 

床には古代文字。

 

壁には巨大な炎台。

 

今までの階層より遥かに広い。

 

ダイフクーが辺りを見回した。

 

「嫌な予感しかしねぇな。」

 

その瞬間。

 

壁一面へ古代文字が浮かび上がる。

 

 

 

第五階層

 

双守護者

 

守護者 ポタージュの影

 

守護者 スムージーの影

 

挑戦者 二名

 

第三者の介入を禁ずる

 

 

 

「二人……?」

 

ケンが目を丸くする。

 

シャーベットも眉をひそめた。

 

「試練の形式が変わっただと?」

 

ブリトーも静かに呟く。

 

「今回は二人選ばれるのか……。」

 

 

その瞬間。

 

二本の光が床を照らす。

 

 

一つはレイカ。

 

もう一つはウインナー。

 

 

二人は顔を見合わせる。

 

レイカが小さく笑う。

 

「……俺たちか。」

 

ウインナーも頷いた。

 

「よろしく。」

 

レイカは短く答える。

 

「ああ。」

 

 

透明な壁が仲間達の前へ現れる。

 

二人だけが前へ進んだ。

 

黒い霧が集まり始める。

 

右側。

 

ポタージュの影。

 

左側。

 

スムージーの影。

 

二体同時。

 

静かに構えた。

 

 

 

-背中を預ける-

 

 

 

開始と同時に二体が動く。

 

ポタージュは一直線。

 

拳だけで距離を詰める。

 

スムージーは後方から無数の火弾を放つ。

 

「来る!」

 

ウインナーが風で跳ぶ。

 

レイカは正面へ踏み込んだ。

 

 

ガンッ!!

 

 

拳同士が激突する。

 

衝撃が神殿を震わせた。

 

その隙を狙い、

 

スムージーの火弾が降り注ぐ。

 

ウインナーが風を纏う。

 

「風よ!」

 

暴風が吹き抜ける。

 

火弾の軌道が逸れた。

 

「本物のほうが熱かったな。」

 

レイカは振り返らず言う。

 

ウインナーが笑う。

 

「前だけ見て。」

 

「後ろは僕が守る。」

 

レイカ。

 

「ふっ……了解。」

 

たったそれだけ。

 

それだけで十分だった。

 

 

 

-最強の連携-

 

 

 

ポタージュが再び突進する。

 

あらゆる障害物を透過し、

 

隙を突きに行くが、

 

レイカはそれに対応している。

 

「遅い。」

 

一方。

 

スムージーは遠距離からレイカばかりを狙う。

 

「させない!」

 

ウインナーが風で割って入る。

 

風刃。

 

旋風。

 

突風。

 

全てを撃ち落としていく。

 

ポタージュの影が距離を取った。

 

その瞬間。

 

スムージーが大技の構えに入る。

 

レイカが気付く。

 

「ウインナー。」

 

「任せて。」

 

風がレイカを包む。

 

「行くよ!」

 

猛烈な追い風。

 

レイカの身体が一瞬で加速する。

 

ケンが叫ぶ。

 

「速ぇ!!」

 

ブリトーも目を見開く。

 

「大会の時より……速い!」

 

レイカが呟く。

 

「いい風だ。」

 

ウインナーも微笑んだ。

 

「……君なら使いこなせると思った。」

 

レイカは一瞬でポタージュの懐へ。

 

 

拳。

 

肘。

 

蹴り。

 

一切止まらない。

 

 

そこへスムージーが援護へ入る。

 

しかし。

 

ウインナーがすでに回り込んでいた。

 

「させない!」

 

風がスムージーを押し返す。

 

二人は互いに一度も振り返らない。

 

それでも、お互いの位置を完全に把握していた。

 

ダイフクーが思わず笑う。

 

「息ぴったりじゃねぇか!」

 

ドロップは冷や冷やしている。

 

「ウインナー……勝って!!!」

 

ユリは落ち着いていた。

 

「……兄弟みたい。」

 

 

 

-炎と風-

 

 

 

ポタージュとスムージー。

 

二体が並ぶ。

 

同時に闇が膨れ上がる。

 

巨大な黒い奔流。

 

神殿全体を飲み込もうとする。

 

ウインナーが静かに言う。

 

 

「レイカ。」

 

「ああ。」

 

 

風が吹き荒れる。

 

炎が静かに揺れる。

 

レイカが刀を握る。

 

 

「我流・炎飛流。」

 

 

ウインナーが風を纏う。

 

 

「風のエチュード!」

 

 

 

「小夜嵐。」

 

 

 

炎と風。

 

二つの加護が一つになる。

 

レイカが駆ける。

 

ウインナーの風が、その背中を押した。

 

炎は暴風を纏い、

 

巨大な紅蓮の渦となって闇へ突き進む。

 

 

 

轟音。

 

 

 

光が神殿を包み込む。

 

静寂。

 

煙が晴れる。

 

ポタージュとスムージーの影は、

 

静かに立っていた。

 

 

やがて。

 

二体同時に身体へ亀裂が走る。

 

闇が剥がれ落ちる。

 

白い光へ変わり、

 

粒子となって静かに舞い上がっていく。

 

ウインナーがレイカの後ろで呟く。

 

 

「……ごめんね。」

 

「次会えた時は…友達になれたらいいな。」

 

 

神殿が大きく震え始める。

 

 

ゴゴゴゴゴ……。

 

 

透明な壁が消える。

 

中央の床が左右へ開き、

 

最後の石階段がゆっくりと姿を現した。

 

壁の古代文字が輝く。

 

 

 

第五階層 攻略完了

 

第六階層 解放

 

 

 

ウインナーは静かに息を吐く。

 

「ありがとう。」

 

レイカは肩を竦めた。

 

「礼を言うのは早い。」

 

ブリトーが最後の階段を見つめる。

 

「……いよいよ。」

 

その先に待つものは、誰にも分からない。

 

しかし、一つだけ確かなことがあった。

 

サラミッド最後の試練が、すぐそこまで迫っていた。

 

 

 

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