-双守護者-
-試練の変化-
第四階層を突破した一行は、
新たに現れた石階段を静かに降りていく。
空気がさらに重くなる。
誰も言葉を発さない。
ブリトーが立ち止まった。
巨大な石扉。
今までよりも一回り大きい。
「……ここだ。」
石扉へ手を添える。
ゴゴゴゴゴ……
重厚な音を立て、ゆっくりと開いていく。
広がっていたのは、巨大な円形闘技場。
床には古代文字。
壁には巨大な炎台。
今までの階層より遥かに広い。
ダイフクーが辺りを見回した。
「嫌な予感しかしねぇな。」
その瞬間。
壁一面へ古代文字が浮かび上がる。
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第五階層
双守護者
守護者 ポタージュの影
守護者 スムージーの影
挑戦者 二名
第三者の介入を禁ずる
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「二人……?」
ケンが目を丸くする。
シャーベットも眉をひそめた。
「試練の形式が変わっただと?」
ブリトーも静かに呟く。
「今回は二人選ばれるのか……。」
その瞬間。
二本の光が床を照らす。
一つはレイカ。
もう一つはウインナー。
二人は顔を見合わせる。
レイカが小さく笑う。
「……俺たちか。」
ウインナーも頷いた。
「よろしく。」
レイカは短く答える。
「ああ。」
透明な壁が仲間達の前へ現れる。
二人だけが前へ進んだ。
黒い霧が集まり始める。
右側。
ポタージュの影。
左側。
スムージーの影。
二体同時。
静かに構えた。
-背中を預ける-
開始と同時に二体が動く。
ポタージュは一直線。
拳だけで距離を詰める。
スムージーは後方から無数の火弾を放つ。
「来る!」
ウインナーが風で跳ぶ。
レイカは正面へ踏み込んだ。
ガンッ!!
拳同士が激突する。
衝撃が神殿を震わせた。
その隙を狙い、
スムージーの火弾が降り注ぐ。
ウインナーが風を纏う。
「風よ!」
暴風が吹き抜ける。
火弾の軌道が逸れた。
「本物のほうが熱かったな。」
レイカは振り返らず言う。
ウインナーが笑う。
「前だけ見て。」
「後ろは僕が守る。」
レイカ。
「ふっ……了解。」
たったそれだけ。
それだけで十分だった。
-最強の連携-
ポタージュが再び突進する。
あらゆる障害物を透過し、
隙を突きに行くが、
レイカはそれに対応している。
「遅い。」
一方。
スムージーは遠距離からレイカばかりを狙う。
「させない!」
ウインナーが風で割って入る。
風刃。
旋風。
突風。
全てを撃ち落としていく。
ポタージュの影が距離を取った。
その瞬間。
スムージーが大技の構えに入る。
レイカが気付く。
「ウインナー。」
「任せて。」
風がレイカを包む。
「行くよ!」
猛烈な追い風。
レイカの身体が一瞬で加速する。
ケンが叫ぶ。
「速ぇ!!」
ブリトーも目を見開く。
「大会の時より……速い!」
レイカが呟く。
「いい風だ。」
ウインナーも微笑んだ。
「……君なら使いこなせると思った。」
レイカは一瞬でポタージュの懐へ。
拳。
肘。
蹴り。
一切止まらない。
そこへスムージーが援護へ入る。
しかし。
ウインナーがすでに回り込んでいた。
「させない!」
風がスムージーを押し返す。
二人は互いに一度も振り返らない。
それでも、お互いの位置を完全に把握していた。
ダイフクーが思わず笑う。
「息ぴったりじゃねぇか!」
ドロップは冷や冷やしている。
「ウインナー……勝って!!!」
ユリは落ち着いていた。
「……兄弟みたい。」
-炎と風-
ポタージュとスムージー。
二体が並ぶ。
同時に闇が膨れ上がる。
巨大な黒い奔流。
神殿全体を飲み込もうとする。
ウインナーが静かに言う。
「レイカ。」
「ああ。」
風が吹き荒れる。
炎が静かに揺れる。
レイカが刀を握る。
「我流・炎飛流。」
ウインナーが風を纏う。
「風のエチュード!」
「小夜嵐。」
炎と風。
二つの加護が一つになる。
レイカが駆ける。
ウインナーの風が、その背中を押した。
炎は暴風を纏い、
巨大な紅蓮の渦となって闇へ突き進む。
轟音。
光が神殿を包み込む。
静寂。
煙が晴れる。
ポタージュとスムージーの影は、
静かに立っていた。
やがて。
二体同時に身体へ亀裂が走る。
闇が剥がれ落ちる。
白い光へ変わり、
粒子となって静かに舞い上がっていく。
ウインナーがレイカの後ろで呟く。
「……ごめんね。」
「次会えた時は…友達になれたらいいな。」
神殿が大きく震え始める。
ゴゴゴゴゴ……。
透明な壁が消える。
中央の床が左右へ開き、
最後の石階段がゆっくりと姿を現した。
壁の古代文字が輝く。
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第五階層 攻略完了
第六階層 解放
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ウインナーは静かに息を吐く。
「ありがとう。」
レイカは肩を竦めた。
「礼を言うのは早い。」
ブリトーが最後の階段を見つめる。
「……いよいよ。」
その先に待つものは、誰にも分からない。
しかし、一つだけ確かなことがあった。
サラミッド最後の試練が、すぐそこまで迫っていた。