-光と影-
-最後の試練-
第五階層を突破した一行は、
静かに最後の石階段を下っていく。
誰も言葉を発しない。
これまでとは違う緊張感が、その場を包んでいた。
階段を降り切ると、
目の前には今までで最も巨大な石扉が現れる。
中央には太陽を模した古代の紋章。
ブリトーはゆっくりとその扉へ手を添えた。
「……ここが最後。」
重い音が神殿中へ響く。
ゴゴゴゴゴ……。
石扉がゆっくりと左右へ開いた。
広がっていたのは、
まるで神殿の礼拝堂のような空間だった。
白い石畳。
高く伸びる天井。
無数の割れたステンドグラス。
しかし、そこへ差し込むはずの光は存在しない。
全てが闇に染まっていた。
その中央。
一人の男の影が静かに立っている。
ブリトーの表情が変わる。
「……パル。」
返事はない。
黒い闇を纏った影は、ゆっくりと拳を握った。
その瞬間。
壁一面の古代文字が淡く輝く。
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第六階層
守護者 パルの影
挑戦者 一名
第三者の介入を禁ずる
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一筋の光が、ブリトーの足元を照らした。
透明な壁が仲間たちを隔てる。
ウインナーは静かに言う。
「……行ってらっしゃい。」
ブリトーは仲間を見渡し、小さく頷く。
「ああ。」
静かに前へ歩き出した。
-闇へ堕ちた光-
パルの影がゆっくりと手を掲げる。
その瞬間。
漆黒の光が神殿中へ広がった。
「!」
無数の黒い光線が一直線にブリトーへ襲い掛かる。
風を纏い回避する。
しかし。
光は軌道を変え、再び追い掛けてくる。
ウインナーが驚く。
「追尾してる!」
シャーベットは静かに分析する。
「光じゃない。」
「闇そのものを凝縮した力だ。」
ブリトーは風で距離を取る。
しかし次の瞬間。
パルの影は目の前にいた。
「速い!」
黒い拳が腹部へ突き刺さる。
ドォォン!!
ブリトーは床を転がり、石柱へ激突した。
立ち上がる。
だが、影は止まらない。
拳。
蹴り。
闇を纏った連撃。
一撃ごとの重さが、
今までの守護者とは比べものにならない。
ダイフクーが思わず息を呑む。
「強ぇ……。」
レイカは静かに見つめる。
「……大丈夫だ。」
-風は、前へ吹く-
何度倒されても、ブリトーは立ち上がる。
息は乱れ、身体は傷だらけだった。
「はぁ……はぁ……。」
それでも目だけは、
パルの影を真っ直ぐ見つめている。
「君は……。」
「そんな力じゃなかった。」
静かな風が吹く。
ブリトーの腕輪が淡く光を放った。
優しい風。
懐かしい風。
まるで、昔から知っている誰かが、
背中を押してくれるようだった。
『大丈夫。そばにいるよ。』
風の声が聞こえる。
ブリトーは微笑む。
「……そうか。」
拳を握る。
風が静かに集まっていく。
ウインナーもその風を感じ、静かに笑った。
「……応えてる。」
「風が。」
ブリトーは深く息を吸う。
「ありがとう。」
「一緒に行こう。」
風が拳へ集まり始める。
その風は次第に黒い闇を押し返し、
優しく神殿を包み込んだ。
-未来へ-
パルの影が最後の力を解き放つ。
漆黒の闇が巨大な奔流となり、
神殿全体を覆い尽くす。
ブリトーは真正面から駆け出した。
風が背中を押す。
闇の中を一直線に突き進む。
「うおおおおっ!!」
腕輪のある左手を大きく引く。
「ウィンディ・パル!!」
左手から光が溢れ出す。
拳が一直線に突き出された。
ズドォォォォン!!
光が闇を切り裂く。
拳は真っ直ぐパルの影の胸へ届いた。
静寂。
闇がゆっくりと崩れ始める。
パルの影は静かにブリトーを見つめた。
その表情が、一瞬だけ穏やかな笑顔へ戻る。
何も語らない。
ただ静かに頷いた。
やがて身体は白い光となり、
天井へ舞い上がっていく。
ブリトーは静かに目を閉じた。
「……待ってて。」
「必ず、助ける。」
神殿全体が大きく震え始める。
ゴゴゴゴゴ……。
透明な壁が消える。
最奥へ続く巨大な扉がゆっくりと姿を現した。
古代文字が最後に輝く。
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第六階層 攻略完了
全試練 終了
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誰も言葉を発さなかった。
その扉の先にいる相手を、
全員が理解していたからだ。
レイカは静かに刀へ手を添える。
「……行くぞ。」
全員が頷く。
ゆっくりと、最終決戦の扉へ歩みを進めた。