MNU サモンライド・ラストコール   作:黒影時空

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第10話「もしもあの時負けていたら」

 ヒューキャニオンとエンデルガスを攻略、クリスタルハザードが迫る中で怪人達の略奪戦の勢いも膠着を見せてくる、怪人達の勢力も時が経つごとに縮まっていったのが所以だろう、クリスタルハザードを終わらせてギガスタル復活を阻止するため、仮面ライダー達の戦いはまだ終わらない。

 

 残る世界は水の世界『ゴボルレイク』……だが、この世界も他の2世界のことを考えると、こちらも一筋縄では行かない可能性もある。

 だがまだ本格的には行動できない、使えるライドフィギュアをエンデルガスまでの間に全て使い切ってしまったのでまた全部使えるようになるまで待つ段階になるのだが、その前に下見くらいはしておきたかった。

 

「そろそろ……探しておきたいじゃない、あたしのベルト……」

 

 音ノ小路ゼロディドライバーはまだ見つかっていない、エンデルガスとヒューキャニオン、どちらでも見つかっていないならば最後に残されたゴボルレイクしか選択肢はない。

 少し見て回り、怪人と戦闘にならない程度に移動すればいい……と思っていたが、ゴボルレイクに向かうための青い水晶が機能していないので、やはりここで休むしかないようだ。

 

 あともう少し……そう思いたいが、クリスタルハザードが止められるかはともかく自分達の事情、クリスタルワールドから出られるのかどうかについては未だにアテがない。

 もしかしたらこのまま出られない可能性もあるが、戻るまでにもベルトは回収しておかなくては。

 自分が元の世界に帰る以上に、ウタをなるべくクリスタルワールドに滞在させておくわけにはいかない。

 

 それにしても……メモル達の安全のためとはいえ電話越しでしか話ができなくなったのが気がかりだ、ここのところ敵以外はずっとウタとしか話をしてないのでちょっと退屈に感じ始めたところもある。

 更に今はウタの方も何か考え事をしているのかゼッツのライドフィギュアを持って喋っている。

 

「ウタ? あのさ……」

 

「ああ……なんだっけ?」

 

「その、あたしのベルトを……」

 

「ああ……それも大事だった、大丈夫ちゃんと覚えてるから、でも今はちょっと少しずつ問題を片付けていかないと……」

 

「問題ね……確かに山ほどあるけど、クリスタルハザードに……ギガスタル? あたしのベルトさっきも言ったけど、あとジークの言うイレギュラー? の件に」

 

「そうなんだけどね、もしかしたらそこまで深々と考えるまでもないことかもしれないから……ちょっと行ってくるね」

 

「行ってくるって……待ちなさいあんた、一人でどこか行くなんてお姉ちゃん許さないんだから」

 

「いいから、これあげるから一人で見てて」

 

 引き止めようとするオトノにウタは小さめではあるがゼインのクリスタルを押し付ける。

 古いものではない、明らかについさっき手に入れたかのようなピカピカのもので……いつこんなものを拾ったのか?

 それに目を奪われた隙にウタは渦のようなものに乗って消えてしまった……。

 気になるが……オトノは不思議とそのクリスタルに目を奪われて……。

 

 ウタの姿はどこにもない。

 

 ──

 

 そしてクリスタルベースの遠く離れた場所、ウタがあまり寄りたくないというのでオトノもあまり行ってなかったが……メモル達も実のところ、自分達クリスタルワールドの安否は大丈夫なのか気になっていた。

 メモルからすればヒューキャニオンがほぼ木っ端微塵……とはいえ生活的には支障がないのかもしれないが故郷を別物にされ、ミヌークからすればエンデルガスがクリスタルの波に埋められてそのまま根こそぎクリスタルを黄金にされて回収されて何もかもすっからかん。

 

 そして……トレイナもゴボルレイクに向かった先で何が起きるのかもわからない、クリスタルハザードによって悪化するか、ウタの手によって壊滅するかどっちかの極端。

 不安がないかと言えば嘘みたいなものだが……世界を救う救世主は彼女たちが召喚する仮面ライダーだ、それに賭けるしかない。

 そんなところで……また、最初の時のように大きなライドゲートの魔方陣が描かれて……。

 

「あら、皆さん良かったおそろいで……ちょっと私とお話しませんか?」

 

 悪魔が姿を現す。

 

 

 ──

 

「私はただ気になる事があってわざわざ足を運びました、貴方達がどれだけ役に立つのかはまだしも……今回の出来事が腐った茶番ではない事を証明してほしいだけなので、それ以外の事は喋らないで貰えますか? 時間の無駄なので」

 

「え……何? いったい何がしたいんだよ、大体ボクらの故郷を……」

 

「おい、聞こえませんでしたか? 響でも……おっと、お姉ちゃんでもそれくらい理解出来るくらいの思考は残してましたよ? 貴方は私の質問に答える、疑問を解消させる……それだけでいいんです」

 

 どこかから取り出したか、あるいはずっと持っていたのかポケットに手を入れて何かを出そうとしている……平和に生きていた彼女達でもただ事ではないことは分かる。

 

「はっきりと答えてくださいね、私これでも誤魔化しているかどうかは素振りで結構分かりますから……命が惜しいなら素直に答えてくださいね」

 

「……それが貴方の意思か、それともあの方の指示なのかそれだけははっきりと答えてもらえませんか?」

 

「その返答には答えます、私はお姉ちゃんと違って無警戒に言われた通りに出来ない形なので、お姉ちゃんが何の問題もなく皆さんを救う為にも必要なことです」

 

「…………」

 

 本当に、ただ言われた通りに答えないと自分達の命は危ない。

 オトノは仮面ライダー側であることは見てわかるがウタはめちゃくちゃ怪人側、命の瀬戸際なことは変わらないことに今更ながら察しがついたようで静かになる。

 

「騒がれるとお互い面倒になることは理解できて良かったです、解消したい点は沢山ありますが……そうですね、まずは根本から……貴方達が我々を召喚しましたか? 私もここに来る前にチェックしましたが、ライドゲートと呼ばれる魔法陣から仮面ライダーやお姉ちゃんは召喚されるんですよね」

 

「──今ここに来たときの物も、形が一致してましたので」

 

「それは……違います、クリスタルワールドでライドゲートを動かす力は残っていません」

 

「残っていない? 誰も使えないということですか? クリスタルハザードの前例があり、クリスタルという形で仮面ライダーの歴史が残されているのにそれの対抗手段と成り得る力が何故受け継がれてない?」

 

「それは……その昔のクリスタルハザードが起きたのは数千年も昔です、その存在も、仮面ライダーと呼ばれるものさえも知ったのも貴方がたが来てからで……」

 

「なるほど、貴方は嘘は言ってなさそうですね……まあ、それはそれでクリスタルワールドの安否が心配にはなりますが去った後の我々には知ったことでもないとして」

 

 ウタの手は緩まない、尋問は止まらずトレイナの水で出来た身体の首筋に何かを突き立てようと迫る。

 

「次は……ここに来た後にお姉ちゃんや私に何らかの細工はしましたか」

 

「細工!? なんでボク達がそんなことするんだよ!」

 

「なんではこちらが言いたいんですけど、まあアレがなければお姉ちゃんが今頃口だけのどうしようもない奴に感謝もしておくべきなんですよね」

 

「何か怪しいことでもあったのかホー」

 

「……わからないんですか? 私たちは右も左もわからない状態、来たばかりで貴方達に手を貸しているんですよ?」

 

 

「……どうしてお姉ちゃんは、何の疑問も持たずに右腕に付けられた道具で完璧にサモンライドの使い方を把握しているんですか?」

 

「……!」

 

 だがウタはその返事を期待しない、これを聞いた三人が『それもそうだ』という反応をしたのでこの内容は切り上げよう、サモンライドとデモンライドをこの世界に来て間もなく使いこなせた理由は何故からそれは後々課題になってくるかもしれないがすぐ解明されることはない……まあ、今のとある考察が当たってしまった場合、それも意味のないものになってしまうが。

 

「それで……私の中で一番肝心なことですが……貴方達は知ってますか? 『カーレッジ・フレイン』という者を」

 

「カーレッジ……?」

 

「貴方が知らないならそれでいいというわけではありません、文献を隅から隅まで漁って徹底的に調べ上げてくれませんか、彼がいた痕跡が少しでもあるようなことが……いえ、それだけじゃ心許ない、首が存在しない真っ黒な血を流すバケモノがここにいないかも調べてください」

 

「な……なんでそんな奴らのことを? そんなに大事なのか?」

 

「ええ、私がこの世で一番嫌いな人達であり……彼らが関わっているというだけでクリスタルハザードが世界の危機から途端に茶番に変わります、凄くふざけた出来事にお姉ちゃんを巻き込んで、下手すれば本当にクリスタルワールドが滅ぶかもしれないくらいには」

 

「……敢えて、敢えて聞きますがこうして我々が貴方に逆らえばどうなります? 命を……」

 

「……私って殺せるならなんでもいいみたいに見えます? 一応そういう趣味はないですしお姉ちゃんや私みたいな人にも人権はありますから」

 

 ウタはため息を吐きながらナイフを捨てて……小瓶の中に水に漬けて酒のようになっているヘルヘイムの実を見せる。

 振り返るように説明する……ウタしか知らないが、これを飲むとその生物はインベスという怪物に変わり果てる。

 

「もしカーレッジがこの件に関わっている場合、私はこれをお姉ちゃんに呑ませます」

 

 それは言ってしまえば世界を救う事を放棄してクリスタルワールドを見捨てるという、他に救世主がいないからこそできる、そしてウタとオトノ以外に助けとなる存在が現れる事はないという確信から得た脅しであった。

 自分の世界がどうなろうがカンタンに見捨てられるという彼女たちにとっては想定していない選択肢を突き付けてきた。

 そうしてクリスタルワールドに牽制してしっかり脳裏に刻み込んだ後……ウタはまたオトノの所に向かうために離れていく。

 

 自分達を助けてくれるだったものは……とんでもない地雷だったのではないか、今になってそう考える。

 まさか本当に……カーレッジ・フレインという男がこのクリスタルハザードに関係するのなら……?

 

 ──

 

 そしてウタは帰る途中にまた、呼び止められる。

 ……あの男に。

 

「お前のお姉ちゃんとは色々話したけどこうして対面するのは〜……多分初めましてじゃないよなあ?」

 

「ジーク……」

 

 別のところでジークに呼び止められて、時空犯罪者二人が対峙する……いや、正確にはジークは『時空』犯罪者ではないのだが。

 

「俺もさあ、悪夢を楽しむ気持ちでワルいことはやってきたけど自分の世界だけで我慢したからさあ……やりすぎちゃったわけ妹ちゃんは」

 

「私のことはいいですよ……それに、貴方に聞いたほうが早いですしね、ゼッツのことは……」

 

「おっ、ゼッツちゃんのことでなんか気になる感じ? 通だな〜俺もやりあいたいな」

 

 ウタは……ジークにゼッツのライドフィギュアを見せる。

 ゼッツは他の仮面ライダーのライドフィギュアとは全く違う存在ではないか? そう感じてならないことを明かす。

 クリスタルをかき集めてカプセムを作り出し、キョウカライドチップを使わずとも姿を変えた……言葉を発したこともあり、知能もある。

 ……確信に至ったのはガッチャードもまた、新しい姿になろうとしていたのだがこれが不発に終わった。

 

 つまり……『仮面ライダーゼッツ』だけが異例。

 

「私とお姉ちゃんはゼインのクリスタルからここに流れ着いた仮面ライダーの歴史を見てきました、簡潔に言えば貴方達怪人側のようにライダー達にも無念や死を迎えた時をあり、その感情がこの場所で眷属として蘇った……そう認識していたはずですがゼッツはどうにもおかしすぎます」

 

 ウタの考察に対してジークは笑って答える、それは馬鹿にしているわけでもなく、答えを見つけたからでもなく……楽しんでいるかのような笑い方だった。

 

「違う? ゼッツか他と違う? そりゃそうだ、姉妹共は手出し出来ないから俺がネタバラシしちゃうけどさ、Codeナンバーセブンって死んでないもん」

 

「は……はあ!? 死んで……死んでない!? でも確かにあの男は、眉間を弾丸に撃ち抜かれて確かに……まさかマガイモノ!?」

 

「いいや、生物学的にはごく普通の好青年……一つ違うところは、『予知夢』を見られるってこと」

 

「予知夢……! ま、まさかその男!! 死ぬ直前でその歴史を夢ということにしてもう一度物語をやり直した!?」

 

「おっ、察しがいいじゃん妹ちゃん! そっちの言い方だとそうなるわけ?」

 

「……ある意味では私も同じようなものですので、なるほど、やっぱりカーレッジが関わってる」

 

 つまりは仮面ライダーゼッツの本来の変身者はあのクリスタルで見た歴史のように一度は始末されてしまう……という結末を夢オチに強引に変えてしまい、その経験を『予知夢』という形で覚えながらもう一回同じ歴史を歩んでいる段階という。

 つまりは、一旦夢として切り離されたイレギュラーな歴史こそがライドフィギュアのゼッツ……やっていることで言えば、ライドフィギュアが夢を見る状態としてゼッツだけ明晰夢だという。

 

 何故ジークがそれを知っているのかというと……ジークがゼッツに合ったのはその予知夢の後だというわけ、更には……ジークの姿まで透けていく。

 

「なっ……まさか、貴方まで!!」

 

「俺はちょっと違う、まあ死んだって言えば死んだのかな? でも俺の場合は身体が特別だからさ、消滅したりした程度で終わらないわけ……例えばそう、俺を必要に思って頭に入れた奴がいればいくらでもそこに現れる」

 

「な……なんかそれズルいってお姉ちゃんなら間違いなく言う! じゃあ貴方は正真正銘! クリスタルワールドにいるのは……ただの茶番!!」

 

「それの何が悪い? 必要とするやつはここにもいて、今向こうでもそういう感じってだけのこと……そんじゃまた! クリスタルハザードの方も結構楽しんでるから、例のお姉ちゃんにもよろしくな」

 

「くっ……待てジーク!! ならば貴方にとって、私や響のことを仮面ライダー世界のイレギュラーと呼んだのは、クリスタルワールドに召喚されたからではなく……もっと別の観点から、存在自体が間違いみたいに言ったのは!?」

 

「いずれ分かるいずれ! 本来ならこの時空にもいられない存在だというのがなぁ!」

 

 そうしてジークは楽しそうにだが……粒状になって蝶になり消え去る……本当に彼はこの異世界にとって部外者となる存在だったらしい。

 だが次に信用ならないのはこのゼッツのライドフィギュア、他とは違う理屈は理解できたが……そうなると尚更怪しく見える。

 これは本当に『ゼッツ』なのか?

 

 

 ──しかし結論を急ぎすぎることはない、今はただ彼らのように眠りにつこう。

 お姉ちゃんが心配だ。

 

 ──

 

 

「……奏、おかえり」

 

「お姉ちゃん、待たせちゃってごめんね……ちょっと気になることがあったから聞きに来ただけなんだけど」

 

「まさかと思うけど酷いことしてないでしょうね」

 

「本当にまさかだよ、私でもそこまで過激な事は進んでやる性格じゃないしそういうのが楽しいって訳じゃないから……そうそう、ジークが……」

 

 奏は響にジークが話していたことを伝える……ゼッツは死の直前で結末を変えた特殊例であり、言うならば彼は死なず……というよりは死んだこともそれに至る流れも強引に全てなかったことにした状態という。

 その言葉を聞いて響は暗い顔をする……それは、ちょっと視線を誘導させるためにとっておいたあのクリスタルだった。

 

 

「奏……あたしこれをみて思い出したことがあるの、クリスタルワールドに来る前にあたしは何をしていたのか」

 

「えっ……まさか、その時の内容が?」

 

「改めて一緒に見る?」

 

 響がクリスタルの粒をライドゲートにセットする……するとだ、また何度見た光景か分からないが映像が流れてくる……だがそれはこれまた、これまでの映像とは異なるものだった。

 

 ──映し出されたのは、『仮面ライダーリバイス』の世界、そこに響はいたのだ。

 

「……あたしはその時、リバイスの世界へ引っ越ししたクラスメイトのお祝いのために色んな友達を連れて遊びに行った」

 

 しかしそこで事件が起きる、リバイスの世界にもいる……『悪魔』が人々を追い込んでいく……どころではない。

 向こうにとっての全ての元凶たる悪魔の祖……それこそが響達、いや時空の宿敵たる『最高完璧の主人公』カーレッジ・フレインだった。

 

「あたしもリバイスの世界の仮面ライダーも戦った、でもその時だけはおかしくて……どういうわけか、向こうにとって都合のいい流れは続くし、あっちゃん達も連絡が取れないし……」

 

 映像の中のリバイスの世界はカーレッジが顕現してからどんどん劣勢になっていく、響も応戦した……手を尽くした、しかし報われることはなく……彼女は『仮面ライダーデモンズ』の変身者と共に、無数の怪人の群れに向かっていく道を選んだ、それが決して勝てない戦いだっとしても……。

 

「予想はしていたが、やはりとんでもない数だな」

 

「なんとかなると思う?」

 

「分からない…………だが、なるべく多く倒しておきたい…………どうやら、今回は本当に我が命を賭けることになりそうだ」

 

「あたしもそうかも」

 

 

「あたしもなんだかんだ生きてて…………気がついたら正義のヒーローになっちゃって…………失ったものとか、辛かった事も多いけど…………」

 

 

「なんか…………こんな終わりなら、不思議と悪くないかも、ま、死ぬのは嫌ではあるんだけど…………」

 

 

「あっちゃん! あたし、なんだかんだあって……幸せだった!!」

 

 

「我が命をかけて…………世界を守る!!!」

 

 

「「変身!!!」」

 

 デモンズとゼロゼロはデッドマンに向かっていき…………

 

 

「やめろ!!!」

 

 思わず奏が叫ぶくらいには映像に手を伸ばして本気になっていた、こんなものが事実だとしたら……つまり、これが直前の記憶で、このあとクリスタルワールドに来たとしたら、……自分達もまた『同じ』になってしまう。

 

 

「……うん、そうみたい、奏」

 

「どうやらあたし達もさ、あの時死んじゃったからここに来た……そう、こんなところで……こんな、こんな……えうっ、うっ」

 

「お姉……ちゃん……」

 

 

「ごめんなさいっ……ごめん、奏ぇ……っ! あたし、結局勝てなかった……! あたしも全然上手くやれなかったから、カーレッジに負けてっ……あの世界も、あっちゃんも何もかも、みんな死んじゃって……全部滅んじゃったあ!!!」

 

 響が仮面ライダーになってから泣くところを見たのは初めてかもしれない。

 生意気で、よく突っかかってくるが想定外のことが起きると子供のように泣き出す響。

 そうなるように仕向けたのは自分のはずなのに、自分に甘えるように支配したかったのに。

 

 

「……響、ごめんね、あの時私がそばにいなくて、お姉ちゃんはよくやったよ」

 

 

 理解したくなかった真実。

 自分達はもう既に詰んでいたのだ、帰る世界などもうどこにもない。

 自分達も……あの飛電或人も仲間達も皆死んでしまい、この世全ての世界はカーレッジによって滅ぼされた後、クリスタルワールドに歴史の欠片として双子は流れ着いた。

 ただ……それだけのことだった。 

 

 

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