MNU サモンライド・ラストコール   作:黒影時空

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第15話「新たな世界線」

 

「えっと……えっと、どんな話してたんだっけ、めちゃくちゃ奏に刺されまくって、色んなもの見てたのは覚えてるけど」

 

「うん、先に言っておくけど間違っても諦めるようなことしたら本当に許さないからね、お姉ちゃんせっかくここまでやって私のアレとか突破したのに今更弱音とか信じられないから」

 

「な……なんか機嫌悪いのは分かったけど、改めてどうするの?」

 

「どうするって言われても……」

 

 実際、響の調子は戻ってきたがこのままギランガーデンに進んだところで頭がこんがらがるだけだ。

 またオレンジ色のガッチャードに会えばいいのか、また別の映像を見続ければいいのか……何にしても、実を言えば姉妹揃ってうんざりしていたところである、情報量の暴力はまるでこってりさせすぎた揚げ物料理のようで胃もたれしてくる。

 響をもとにしたクリスタルでこれなのだ、つまり消去法的に奏を元にしたクリスタルで作られただろう闇の世界『ヨールダーク』……普段の奏を知っているととても恐ろしく感じてしまう。

 

 しかしいずれはヨールダークに行かなくてはならないし、なんならすぐにでも行くことも選択肢にはあるのだが……よりによって奏かあ、という気持ちがあまりにも強いがそのせいで睨まれる。

 

「何? 文句ある?」

 

「文句あるような生活してるのが悪い……でもまあ、お姉ちゃんとしてこの際なんでも受け入れていかなきゃ、奏から一体どんな物が作られているのか……それに、ほら」

 

「本当に怖いもの見たときに何かあってもここにいるのはあたしと奏だけなんだからどんなに恥を晒しても問題ないというか」

 

「お姉ちゃん私のことなんだと思ってる?」

 

 何はともかくとして……今度は闇の世界たるヨールダークの中へ、そこに映されているのは……案の定辺り一面の闇、暗黒……そこからまた時空の渦が見える。

 ギランガーデンの例のことを考えると、自分の時以上に見るのが怖いが……ウタは臆せず飛び込んでいく。

 

「せっかくだから見ていくといいよ、私が時空でどんな風に思っていたのか……」

 

 時空の渦が映し出す奏目線の映像が幕を開ける……。——

 

 そしてまた足を運んだ先にあるのは、またついさっき見たようなクリスタルワールド、パラレルワールドで響きが始まりの書を片手に好き放題作ろうとしていたあの世界だ……ギランガーデンと同じものを奏が見ていたことになるので、オトノは首をかしげる。

 

「奏、一応説明してくれる?」

 

「いらないよ、あと少しすればわかるから……今はちゃんと傍観者になろう、響」

 

 オトノとウタは一次的に透明になる、ヨールダークは奏の思いのままにわりとなんでもありに姿を変えられるという、彼女を表したような無法。

 そんな中で並行世界の方の響は隠れたところで、たくっちスノーと対面する。

 

「響どうだ? この世界のはじまりの書は掴めたか」

 

「うん、この作品の『ハンドレッドライン』も掴めたしルート構築は任せるけど……スーパーアポロガイストってやつがいて、何か知らない?」

 

「スーパーアポロガイスト……ああ、あいつかぁ……昔さ、雪が監理局やってた頃にカーレッジが色々やってたんだよ、その時の部下にスーパーアポロガイストってマガイモノいたはずだ」

 

 

「その通りだ」

 

 響とたくっちスノーの前にスーパーアポロガイストと、更に別の怪人達が取り囲む。

 そのいずれもがアポロガイストのような紛い物の装飾を装着していた。

 

「私はスーパーアポロガイスト、黒影様に作られた迷惑な存在……そして覚えているか、スーパーヴヴァのことを!」

 

 アポロガイストは意気揚々と語るが、二人はこのノリについていけない。

 

「覚えてるも何も……どっちも当事者じゃねーんだけど」

 

「ならば戦おう、はじまりの書をかけてこのスーパーアポロガイスト、スーパーヴヴァ、スーパーゲンム、スーパーショッカー、スーパーフェニックス……」

 

 スーパーアポロガイストが何かを喋ってる途中にも関わらずウタがボタンのようなものを押して世界の状態が切り替わる、さすがにオトノもこれだけは見過ごすことは出来なかった。

 

「待って今の何!? そんなテレビのリモコン変える感覚で世界って変えられるの!?」

 

「ほらお姉ちゃん、そんなことより次の世界の出来事だよ」

 

 次の映像では戦っている仮面ライダーガヴと……あのゼインのクリスタルでガヴの変身者に王手をかけていたあの男……グラニュートだったようだが。

 

「赤ガヴ、お前は生まれてきたのが間違いだったんだ」

 

「させるかあっ!!」

 

 ……と、ここでまた割り込んできたのがたくっちスノー、この瞬間にウタは結構響くくらいの舌打ちをしてオトノも唖然としたがそれどころじゃないようだ。

 

「首無しの怪物……そうか、お前がたくっちスノーか、はじまりの救世主、りりすた革命団とか名乗るふざけた連中……」

 

「りりすた革命団そんなことになってんの!?」

 

「ランゴ・ストマック! どうやら俺とアンタは深い縁で結ばれているみたいなんでな……譲れないな、ショウマの命だけは!」

 

「たくっちスノー、どういうこと?」

 

「お前は知らなくて当然だ、俺も知ったのは最近だからな……まさか闇菓子の起源となる爺さんが、その男が生まれたプロジェクトに携わっていて、あの穀潰しのクソ親父がそいつと同じ仕事を」

 

 

「あっなんかもういいです」

 

「ちょっと待って今めちゃくちゃとんでもない事言おうとしてなかった?」

 

「うん、だから切った」

 

 めちゃくちゃドライにガヴの話を遮って、今度はまたガッチャードのようだったが……漆黒の亜人、人間とも思えないその姿をしたものがガッチャードを追い詰めて……そして相変わらずたくっちスノーがいる。

 

「ギギスト!! ……まさかとは思ったが、お前が!!」

 

「ああ、理解するぞ……その困惑も怒りも、たくっちスノー……我が兄弟格にして片割れ」

 

 

「またか……」

 

「ねえ奏、ちょっとそうやって切るのダメな癖ついちゃうから、お姉ちゃんちょっと話気になってきたから」

 

 何かいい感じの情報が開示されそうなところで奏はいつもきり上げて別の映像になるが、肝心なところで終わるが何度も繰り返されていき……しまいにはもう目を逸らして耳を塞いでしまう、相当ストレスが溜まっているらしい。

 

「見たいならお姉ちゃんだけ一本だけ好きに見てもいいよ、私はこれ以上見るとおかしくなる」

 

「元々おかしいみたいな頭してるくせに……」

 

「ぶっ殺すぞ」

 

 今まで聞いたことないほどにおっかないトーンで発してきたので一旦無視して1から見てみることにすると……今度はまたゼロワンの話になる……ヒューキャニオンで見た『仮面ライダー滅亡迅雷』の話だ。

 

「METSUBOUJINRAI will be extinct」

 

「今なんて言った……」

 

「なんかびっくりするくらいあっちゃん出てこないわねこの話……いや、ふーちゃんも気になるんだけど」

 

 不破と滅亡迅雷の一騎打ち……本来ならありえない光景だ、滅亡迅雷netはあの日消えてなくなった。

 飛電或人は出てこないし、先程と違ってたくっちスノー達彼らが出てくることもない……だがそんな時だった。

 狙い澄ましたかのように……彼らが来た。

 時空の渦から真っ白なオーラを放ち……仮面ライダーと、あの男が。

 

「真なる悪を根絶するため……我が力を監理局のために」

 

「いいね絶好のシチュエーションだ、ゼインをテストするにはぴったりだね」

 

「ゼイン!? それにあそこにいるのってカーレッジ!?」

 

 なんと割り込むように仮面ライダーゼインとその仲間のようにカーレッジが現れて、滅亡迅雷と立ち向かうように現れるが……不破は怪しんで銃を向ける。

 

「お前もなんだ……あいつらの仲間か!?」

 

「そういう言い方はやめてくれよなぁ、もう……俺たちは一応この物語を管理して守ってやってる立場なんだからさ、主人公の俺のこと労ってくれないと」

 

「シャドー・メイドウィン・黒影……」

 

「ああごめんごめん、そうだった……一応暇つぶし兼お仕事なんでね、仮面ライダー滅亡迅雷を潰してリオン・アークランドも潰して……やることは多いが、盛り上げどころにはぴったりだな!」

 

 まるで遊び、いや……何かしらのショーのように大きな包丁を構えて滅亡迅雷の方へ……。

 が、それを止めるように、滅亡迅雷を押しつぶすように黒いものが現れて……形が変形されて恐ろしい色のゼロワンとたくっちスノーが現れた。

 

「あっ、ちゃんと見つけてくれたんだたくっちスノー」

 

「見つけてくれたんだじゃねーんだよ! お前がアークゼロワンなんて作ってきて扱いに困ったからクーリングオフしてきたんだよ!」

 

 二人が何か言い争っている中で……映像が途切れて突如として墓場のようなおどろおどろしい空間が鮮明になる。

 近くには闇色のクリスタルのような物体が沢山あるので……まさか、今まで見ていたものが全て幻覚?

 これが本来のヨールダークの世界、いや……ヨールダーク自体が奏の意識とシンクロするように組み合わされただけだったのかもしれない。

 ウタの方を見ると横になって倒れ込み、息が荒く顔色も良くない。

 

「奏!? どうしたの一体!? そんなに気に入らなかった!?」

 

「ああ……私のことはいいから、さっさとクリスタルを何個か回収して撤退して……」

 

「え!? そんなこと言われても……」

 

 こんな調子ではクリスタル集めも中々捗らないような気がしてならない、少しは削り出せそうだが……ウタの体調の方が気になってしょうがないので入り口近くにあるクリスタルを削ってから一旦出ることにする。

 少し硬いがコツを見つけると綺麗にごつごつと割れる……まるで音ノ小路奏の感情を表しているかのように取れたものは……削った後に形が変わる、それはライドフィギュアに変化する時の反応だが……クリスタルは一瞬だけ仮面ライダーの形になった後に粉々に砕けてしまった。

 

「え!? そんなことあるの……仕方ない奏、奏──!!」

 

 今は奏をなんとかしなくては、砕け散ったクリスタルをポケットに詰め込んでヨールダークから脱出……しようとして、そういえばトレイナの反応がないから転送しようとしても難しい、ヨールダークから抜け出す方法はまた体を傷つけるしかない?

 仕方ないので奏を落ち着かせる為に思い切りハグする。

 

「お、お姉ちゃん……このままチューもしてぇ」

 

「贅沢言わないの」

 

 甘えるウタを尻目に真っ暗な墓場のような場所で一旦落ち着かせてウタの話を聞くことに。

 

「えっと……見たところあたしというか、ギランガーデンで見てきたものとそう変わらない気がするんだけどウタは何が気に入らなかったの?」

 

「何って……お姉ちゃん気付かないの? あれたけ露骨に私が目をそらしたのに」

 

「目をそらした……ああ、あの悪者が衝撃的な事実を伝えそうなあの時」

 

「衝撃的な事実!!!? ふざけてるのか!! あいつはカーレッジの関係者、あいつの兄弟! あいつの仲間、元凶があいつ!! どこに行っても何をやってもカーレッジたくっちスノーカーレッジたくっちスノー!! 結局全部そこに行き着いてもううんざりなんだよ!!」

 

 ウタの本気の怒号が墓場にこだまする。

 実のところそうだ、あの映像に限らずこれまで起きてきたこと、響と奏がゼロワンの世界で巻き込まれたあの事件でさえ元を辿れば原因はカーレッジ、たくっちスノーのどちらかに起因している。

 元々たくっちスノー自体カーレッジ絡みなので結局は同じことだが……どんなに遠くに行っても知らない世界に行っても結局オチはそれなので、全く無関係の奏としては興ざめらしい。

 オトノからすれば言われてみればそうだという感じこそするが、そこまでか? という話もある

 

「ええ? 確かになんかこんなのばかりだなぁとは思ったけど……仕方ないんじゃないの? 元々そういう風に作られたのがあたし達の生きてた空間だから」

 

「だからってこんなあっちこっちに知り合いばかりでイカれてると思わないんですか? 何もかも全部クソ野郎の掌の上で動いてるとか、私がお姉ちゃん相手にあれこれやってたパターンみたいなの考えてなかった? ……ああ考えてないか、だから私逮捕されてもこうして帰ってきたし」

 

「それにさ、ほら……あたしやりりすた革命団もそういう後処理を向こうでも頑張ってたんじゃ」

 

「そもそも、なんで或人さんやお姉ちゃんがそれに巻き込まれてる形なの? あいつらの問題なんだから次々と敵も味方も増やさないように善処すればいいのに、あのメンヘラショタコンかまってちゃん野郎は反省はともかくなんで今更善行ツラして主人公の真似事なんてしてるんですか?」

 

「ウタ……あんたって本当嫌いな人にはめちゃくちゃ口悪いわね」

 

「だから言ったじゃんお姉ちゃん、私はあいつのこと嫌いだって、たくっちスノーの性格とかよりも時空全体が甘やかすような流れで彼を中心にして地球が回っているようなあの感覚が嫌いで……全部ぶっ壊れちゃったらいいのになあって、そしたら本当に壊れちゃったのは本当に愉快に思ってるけどね、プフフ……」

 

「はあ……なんかこれでよかったのかなぁ……まあ、とりあえずヨールダークでまた何個か手に入ったからまたギランガーデンに行くわよ」

 

「はあ……仕方ないなぁ」

 

 かくして、クリスタルの力でもう一回ギランガーデンの方へ……今度こそ何かしらいいクリスタルが得られることを期待して。

 

 ——

 

 とりあえずクリスタルを手に入れる上でとっておきの作戦は思いついた、奏とシンクロしているであろうヨールダークのことを考えると……響と連動しているギランガーデンでも同じ事が理論上は出来るかもしれない。

 そこでオトノは自らウタに頼んで意識を消してもらいギランガーデンの真実を見ようと図る。

 

「本当にいいのお姉ちゃん……今こんな調子だと効くのが分からないけど」

 

「正直体をあんたに預けるのも怖いけどやるしかないでしょ……さっさとやって」

 

「うん、じゃあやってみるよ」

 

 オトノに対してもう一回強めの衝撃を与えた後にマインドコントロールのような細工をする、本来奏が響に施す予定だった姿……そうして奏の命令通りしか効かないように仕込むつもりだったか今回はそうもいかないので、一旦オトノを寝かせてギランガーデンに向かう。

 

 するとそこにあったのは……まるで天空の遺跡とでも呼称すべきか、かなり神聖な雰囲気を感じられる空にそびえ立つ広い場所に出た。

 ヨールダークの時と同じく、これが本来のギランガーデンの姿と見ていい……これなら、あの鬱陶しい空間も映像も声も、全部無視して奥に進むことが出来る。

 

 しかしオトノの方はまだ不完全だったようであり、またノイズと共に別世界の姿が流し込まれようとしているが……それを無視してなんとか奥に進もうとする。

 

「奏、奏〜!」

 

 響の声が邪魔をする……無視して、奥へ……奥へ。

 

「ねえ奏、遊ぼう!」

 

「あたしの言うこと聞いて、ちゃんとしなさい」

 

「うるさいなぁもう! お前なんて響じゃない!」

 

 文句を漏らして走り、見捨てるように光の中へ……ようやくクリスタルっぽいものが見えてきたので削ろうとすると、砕けたそばから再生してまた新しいクリスタルが生える、壊れたそばから増えるように無限にクリスタルが作られているようだ、時空のように……。

 

「……まあ、適当に回収して帰ればいいか」

 

 そうつぶやき、ウタは取れる限りのクリスタルを回収してなんとかヨールダークへ帰ってくる。

 オトノはまた目を覚ましているようで、ウタの持っていたクリスタルを興味深く眺めている。

 

「その感じだとギランガーデンのクリスタルも変な感じだったみたいね」

 

「ああうん……これ、何のためにクリスタル集めてたんだっけってなってくる……」

 

「そこは忘れちゃダメでしょウタ!! クリスタルワールドの人々が闇菓子にされるかもしれないから交換条件としてあたし達がクリスタルを回収してるんじゃない!」

 

「なんかもうその人達どうでもよくない? だめ?」

 

「ああもう……あたしもそんな感じだけにおおっぴらに責められないんだけど完全に面倒になってきてるわねウタ……」

 

 ここまでの映像の暴力で頭がパンパンになってきた二人、まともな思考力も失われかけている段階も迫り本格的にまずい。

 こんなときに二人が取るべき大事な行動は……。

 

「ねえお姉ちゃん……なんか頭痛くなってきたしもう寝ない?」

 

「まあ確かに目もじんじんしてくるし……けど大丈夫なの、こんなところで寝て……あたし達の安全は保証されてるの?」

 

「今更そんなこと考えてもしょうがないでしょ……それに今更安全とか気にする? 私たちもう……」

 

「ああ……それはそうなんだけどさぁ……」 

 

 そうしてオトノは眠りにつこうとする……が、少し止まる。

「ちょっと待って、雰囲気的にここで寝るのちょっとやなんだけど……どうせならギランガーデンの方行かない?」

 

「別にいいけど……寝るときに変なこと考えないでね、変に頭が巻き込まれるかもしれないから」

 

「ああ、うん……善処はしておくから」

 

 どうやらギランガーデン←→ヨールダークの如来はクリスタルで可能らしいので、またクリスタルで光の世界に戻って改めて雑魚寝をする。

 向こう側はどんな風になっているのだろうか? 時空の外はどうなっているのか? 自分達が負けた後に作られた時空、あの2世界の並行世界で見た時空……どんな風になっているのか? 色んな事を知りすぎただけに頭の中は大騒ぎだが……不思議と寝るまではあっという間であった。

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