「座ってお姉ちゃん」
「いや、今それどころじゃなくて」
「座れ」
「はい」
ミヌークがクリスタルから引き出したもう1つの「過去の映像」──それが映し出したのは、世界の危機でも、凄惨な怪人たちのバトルロワイヤルでもなかった。どこか見覚えのあるアパートの、ひどくありふれた日常の光景。そして、画面の中で親しげに笑い合うオトノと飛電或人の姿だった。
どこからともなく流れてきた映像によって、クリスタルベースの空気は一瞬で凍りつき、軽々と修羅場の幕が上がる。
白いクリスタルから、まさかゼロワンの世界の情報が流れてくるなど予想もしていなかった。しかもそれが戦いの記録ではなく、飛電或人を軸とした日常的な一面が映されていたことなど、本来なら深く考察すべき異常事態のはずだ。ギガスタルやゼイン、ハンドレッドの謎など、気になることは山ほどある。
だが、オトノ姉妹にとっては、どうやらそれどころではないらしい。
(というかこっちとしては、あんたがあっちで色々してくれたせいで家にもいられなくなった結果なんだけど……!)
心の中で猛然と抗議するオトノを、ウタのハイライトの消えた瞳が真っ直ぐに射抜く。
「……したんだね?」
「えっ」
「私の見ていない所でお姉ちゃんが或人さんと【ライジングインパクト】するようなことがあったのかを私は聞いてるのお姉ちゃん」
「ウタ!!?」
唐突にゼロワンの必殺技を最悪な隠語として滑り込ませてきた妹に、オトノは思わず悲鳴をあげた。
ある意味では、ここには元の世界の身内や知り合いが他にいないからこそ、ウタも大胆にこんな狂ったセリフを言ってしまえるのかもしれない。だが、神聖なクリスタルワールドの拠点で大真面目に議論するような内容では断じてない。
しかし、一度火がついたウタの偏愛と妄想は、動き出したエネルギーのようにヒートアップし、綺麗なベースの空間を置き去りにして激しく躍動していく。
「【アタッシュカリバー】がお姉ちゃんと【オーソライズ】して【ゼロワンドライバー!】から【It's High Quality】な段階まで進んでいたとしたら……もう私はちょっと、ここから出たら或人さんと腹を割って話さなくては……」
「ウタの場合物理的に裂く方の話し方でしょ! というか誰のせいでこんな生活してると思ってるの……大体、ウタはどういう目線であっちゃんとあたしの関係性を問いているわけ!?」
必死にツッコミを入れながら問い詰める姉に、ウタはきょとんとした顔で首を傾げた。
「え……何、お姉ちゃん、まさか時空犯罪者に対して倫理観とかそういう目線で話してくるの?」
「あっちゃんの周りの事や妹の事を把握してないと思う、あんたがあたしのいない隙を見計らってあんたの【サウザンドライバー】と【ゼツメツ! Evolution!】してから【悪意! 恐怖! 憤怒! 憎悪!】を体に叩き込むことくらい把握してるんだから」
「ひいいいいい!!? なんてそこまでお姉ちゃんも把握してるの!? 或人さんの人権に対して申し訳ないと思わないの!?」
「それこそあんたが言えた事か!」
あまりにも高度(?)かつ物騒な姉妹の暴露合戦に、傍らで見ていたトレイナやメモルは完全に引き気味だ。ミヌークにいたっては、持っていたクリスタル探知機を落としそうになっている。
「それに今ここで話していてもキリがなくなってきたし……今は、ここの件を済ませてあっちゃんの所に帰ってから改めて話すことにして……」
オトノは強引に話を打ち切った。これ以上は精神的にも、クリスタルワールドの治安的にも限界だった。
ハァ、と大きくため息をつきながら、オトノは自分の手元を見る。
改めて、手元にゼロワンのライドフィギュアがないことが、戦力としても精神安定剤としてもひどく気がかりだった。ウタを御するためにもあの社長の力が今すぐ欲しい。
だが、今は立ち止まっている暇はなかった。目的は決まったのだ。
怪人たちの手に渡る前に、あの「白いクリスタル」を回収し、ゼインの元へと先回りしなければならない。ジークやグリオン、そしてハンドレッドの脅威が迫る中、これ以上の長考は全滅を意味する。
「トレイナ、ミヌーク、転移の準備をお願い。ウタ、あんたも行くわよ」
「はーい、お姉ちゃん。でも、あの映像の続きはあとでじっくり見せてね?」
「見せない!」
ウタの探知機とミヌークの技術を組み合わせ、白いクリスタルが放つ特異なエネルギーの座標へと狙いを定める。新しい場所へと転移する準備が、次々と整えられていく。
光に包まれながら、オトノはふと背筋に寒いものを感じていた。
世界の滅亡を賭けた戦いに赴くというのに、頭の片隅をよぎるのは、全く別の危機感。
……もしかすれば、このクリスタルワールドのハザードが解決し、万が一このまま無事に元の世界へ帰還できたとしてだ。
その後に待っている「ウタの襲撃」を受けるかもしれない飛電或人の身が、今一番危ないのではないだろうか。
(あっちゃん……どうか私が帰るまで五体満足で生き延びててね……! なんとかまた監獄叩き込んでおくから……)
心の中でそう強く願いながら、オトノはウタの手を引っ張り、白き結晶の輝きが待つ未知の戦場へと足を踏み入れた。
──
こうやってヒューキャニオンに訪れるのも何度目だろうか……そろそろ機械化を止めなくては、メモルにとって可哀想な状態なので本格的に自然溢れる世界に戻しておきたいが……誰がこんな風にしてしまったのか?
現在ここに蔓延っているのはロイミュード、バグスターウイルス……そして、見慣れない謎の怪人。
「ウタ、ガッチャードとゼッツの怪人ってどんな名前だっけ? グラニュートはおおよそわかったけど」
「ガッチャードは錬金術を用いた……メギドってものだったような、いや、ケミーとも聞いたかなぁ……それで、ゼッツの方は確か、ナイトメア……?」
「じゃあその3つの陣営を警戒した上で……白いクリスタル、またはゼインを警戒して……あっ、来た!」
手に持ってる探知機が白いクリスタルに対する大きな反応を見せる、それが異様に力強く各地を動き回っているので……これはクリスタルというよりゼインの反応である!!
もしこれを奪われるようなことがあれば、『ギガスタル』が……何より、何か重要なことを知れる大事な鍵となる状態が途切れてしまうのではないか!?
オトノはすぐに反応のあるところに向かいたいのだが……少し遠い。
「仮面ライダーとしてバイクが欲しいところだけど……」
「お姉ちゃん大丈夫だよ、ここにちょうどいい羽虫がいるから」
「メモルをエンジンにするのは無しの方向性で! というかあんたも今は一応普通の人間なこと忘れないで!」
(逆に言うと普通の人間じゃなかったらボクはどうなっていたんだ!?)
「無いなら作るしかないわね!」
ここには仮面ライダーの歴史があり、その数だけ資源がある……それを好きなようにこねてこねて作り替えたらあら不思議。
あっという間に仮面ライダーゼロワンがたまに使うバイクことライズホッパーの完成だがオトノはまだ唸っている。
「なんか……こうしてみると可愛くないデザインね、あっちゃんとしてはそれでいいかもしれないけどあたしはなんか嫌……」
「お姉ちゃん……それこだわるくらいなら最初から或人さんにオーダーメイドしてもらえばいい話じゃない?」
「あっそっか、じゃあ仕方ないけどこのままで行きましょう」
オトノは諦めるようにしてライズホッパーに跨り、ゼインのいそうなところに飛ばしていき……ウタはその後ろ姿を眺めるようにして別のライズホッパーを作り始める、もちろんメモルは気づかれず置いてかれた。
「……なんか段々昔のノリのお姉ちゃんに戻ってきて扱いやすくなってきたなぁ」
「オトノって、昔はどんなやつだったの?」
「昔? これでも或人さんに会うまでは……子供っぽくて無邪気で、負けることが嫌で、でも辛いことがあるとすぐ泣いて……」
「今のオトノを見てると信じられないな……或人って奴凄かったんだな」
「ええ、それはもうお姉ちゃんの全てをめちゃくちゃにしてくれた……罪な人です、何度も殺したいと思ったくらいには、嫌いですね」
──
「よいしょっと!!」
ライズホッパーはクリスタルと機械化でゴツゴツした道も綺麗に乗り越えて目的地へ……その場所では、真っ黒なエグゼイド……『仮面ライダーゲンム』がまるで要塞のように大きな鎧を付けて、仮面ライダーゼインと激突している。
更にはその余波だけでバグスター達が全滅していくようにも……。
「うわぁ……怪人そっちのけでどうかしてる仮面ライダー達のバトルが始まってる……クリスタルワールドからすればいい迷惑ね……」
「でもよぉ、ガキからすれば好きなものだぜ? 昔からゴジラとウルトラマンがどっちが強いか? みたいなの、笑えるよなあ〜、人間みんなバケモノが競い合うのが大好きなんだ」
「うわっ!?」
オトノの真後ろから楽しそうに語りかけてくるものなので驚くが……そこにいたのは、あの映像の中に居た存在、ゼッツと因縁のある懲役1000年の化け物、ジーク……!
「ジーク……だったっけ? 妹がよく知ってたわ、あんたと同じくらい狂った犯罪者の」
「あーあー……なんだっけ? 今はウタって名乗っているんだっけか、オトナの事情ってやつかねえ……ま、んなことより今は俺たちがクリスタルワールドにいるってことが肝心だ」
ジークは考えが読めない……一見すると能天気、しかしあれはよく似ている、ウタと同じ目をしているからだ、
「……あのさおじさん、クリスタルワールドで何をしたいかって聞いてもどうせ答えてくれないんでしょ? だったらあたしはこう言うわ、あんたの執着先は何?」
「おいおい、俺をお前の妹と一緒にしないでくれよ心外だなぁ、たった一人の可愛いお姉ちゃんを、お人形のように愛でたくて、心をぶっ壊そうと周りを見境なく仕留めて孤独にしてほくそ笑んでる例のサイコ妹! 俺がアレと同じように見えるって言いたいのか?」
「じゃあ、なんで懲役1000年分も罪を?」
「……ゼッツちゃん達ならともかく、お前達にそれを知る権利はない、何故ならお前やその妹は、この仮面ライダー達の世界で場違いな〜?」
「存在自体が間違いのイレギュラーだからだよ」
ジークは話すだけ話した後に、紫色のカプセルのような物を剣に差し込んで2つに分離させていくと……クリスタルと一体化するように取り組まれていく。
『パニッシュ!』
『フェイス・ユア・シンズ!』
『フェイス・ユア・シンズ!』
「変身」
『ドォーン・ドォーン・ドォーン!』
『ナイトメア・ライダー!』
変身音と共にクリスタルが砕け……現れたのは、黒と銀、紫を基調とした禍々しい形状の仮面ライダー……『ドゥーン』の姿だった。
ジークもまた……仮面ライダーであり、明確にこちらに殺意を向けてきている。
「あいつのライドフィギュアで来い……ゼインはどちらかのもの……の前に、これは選別だ!」
ドゥーンはキョウカライドチップをオトノに投げ渡し……回りを警戒しながら、チップを入れた上でサモンライドを行う。
トレイナの強化が施されたことによって以前みたいにちょっとしたことでエネルギーを使い切ることもないだろう。
「サモンライド!」
『サモンライド! ゼッツ!』
そうしてキョウカライドによって変化したゼッツは……以前と違い、赤色のライン状の部分が緑色に変化していた、随分地味な強化である。
しかし効果の方は全く地味じゃなかった。
『リカバリー!』
なんと、ゼッツはジークが持っていた物によく似た緑色のカプセルを使用すると……自分の持っていたベルト、機械化された周囲まで……まるで元に戻るかのように修復されていく、どういうわけかこのゼッツには治癒能力があるらしい、いや治癒と呼ぶにはあまりにも異常なほどの力、工場を一発で破壊するあのインパクトといい……。
「異常、と思ってる? それこそがゼッツ、悪夢の力を自由自在に組み替えてやりたい放題できるんだ、とんでもないだろ? まっ、それも俺と会う前に……」
「直った! あたしのベルトが元に戻ったわ!! よし……プログライズキーもちゃんとある! やっと変身できるわ……変身!」
『メロディーライズ!!』
『The figure of zero is important to winThe・ZEROZERO!!』
こうしてオトノは……遂にベルトの力を取り戻して、仮面ライダーゼロゼロに変身する。
『チャーミングラビットプログライズキー』も『ドリーミングユニコーンプログライズキー』も五体満足で、ピンク色でゼロワンに近いデザインの、自分だけの姿。
ライドゲートの方も右手に付けられているのでこのままサモンライドも可能そうだ。
「このままヒューキャニオンを取り戻すためにも……ジーク! 覚悟ぉ!」
「うん、なるほどね、それが仮面ライダーゼロゼロ……もういいか、俺は実際どういう姿なのか見たかっただけだから……もう充分なんだよなっ!」
ドゥーンが指を鳴らすと……なんと、ゼインと戦っていたゴッドマキシマムゲーマーのゲンムの身体が少しずつ変化していき、鮮やかで紫色の蝶の群れになっていく。
あれはバグスターでもクリスタルでもない特殊な存在だったらしい……。
「悪夢の力をクリスタルとちょっと細工すればこの通り、さて……悪夢を楽しもうぜ?」
更に広がった蝶の群れは、周囲を包み込むように広がっていき……空は変わり、一部分が欠けて常に三日月のような形状となった真っ赤な月が輝く。
──
ドゥーンが作り出した『悪夢』の空間──。
そこは、禍々しい闇の中に浮かび上がる、奇妙な劇場だった。
オトノが立たされていたのは、遠くからアイドルのステージを見下ろすような、少し離れた薄暗い観客席。その視線の先にある眩いスポットライトに照らされたステージには──間違いなく、ここにいる者と全く同じ姿をした、もう一人の自分とウタがいた。
ただし、その姿はあまりにも異常だった。
ステージの上の二人の首には、冷徹な鉄の首輪がはめられている。そして、その首輪から伸びる太い鎖は、頭上の滑車を経由して互いを一本で繋ぎ合うように天井へと吊り下げられていた。
ジャラ、と冷たい金属音が響く。
「深層心理から作り出したお前の中の悪夢……ある意味では、お前が本来訪れるべき未来を客観視する気分はどうだ?」
いつの間にか観客席の隣に音もなく佇んでいたジークが、楽しげに、それでいて底冷えするような声で語りかけてくる。
「未来……」
オトノは呟き、ステージから目を離せなかった。
夢か現実か分からない。だが、あの壇上にいる姉妹の状況は凄惨の一言に尽きた。
連動した鎖と首輪。一本の鎖で繋がっているということは、どちらかが強引に動けばその分だけ鎖が巻き上げられ、もう片方の首が絞まり、足が宙に浮いてしまう。
そして、苦悶する二人の真ん中には、ぽつんと一本の鍵が置かれていた。首輪には鍵穴がついている。
だが、鍵は一つ。つまり、どちらか片方のみが、もう一人を犠牲にして助かることができる。
ジークがわざわざ『悪夢』と表現するのも頷ける、極めて悪趣味な空間。
だが、オトノが本当に戦慄していたのは、その残酷なルールに対してではなかった。
一度も体験したことのないはずの光景。それなのに、どうしてこれほどの、悍ましいまでの既視感(デジャヴ)があるのか。
「さあ、超人気バンド姉妹『メロディーリズム』の白鳥の歌だ。とびっきりのパフォーマンスでデスコンサートを盛り上げるんだ」
ジークの言葉と同時に、おぞましい機械音が鳴り響き、ステージを狂ったような音楽が満たす。
それを合図に、ステージの上のオトノが鍵のある場所を目指して猛然と駆け出した。
だが、もう一本の鎖が引かれ、ウタの顔が苦痛に歪む。ウタもまた、負けじと鎖を引っ張り、オトノを妨害した。
もつれ合い、罵り合う二人。ステージのオトノは、手にしたマイクを躊躇なく振り下ろし、ウタの頭部を執拗に殴りつけてまで、這いつくばって鍵に向かおうとする。
痛い。見ていないはずなのに、頭が割れるように痛い。
「止めても無駄だって。これはそういう悪夢だから、俺達にどうこうする術はない。ナイトメアで構成されただけの普通の夢でもないしさ」
ジークの嘲笑を余所に、ステージの惨劇は加速する。
殴られたウタが血を流して倒れ込み、鎖が緩む。その隙に、遂にステージのオトノが鍵の場所まで辿り着いた。震える手で鍵を拾い上げ、自身の首輪に差し込んだ──その、瞬間だった。
カチリ、と硬質な音が響く。
だが、外れたのは首輪ではなかった。
──凄まじい勢いで巻き上がった鎖が、彼女の頭部と身体を、綺麗に、そして無慈悲に引き剥がした。
ゴトリ、と空に浮き上がる生首。ドサリと倒れる肉体。
「……」
観客席のオトノは、ただそれを見つめていた。ピクリとも動かず、悲鳴をあげることもなく、ただ静かに血に染まるステージを凝視している。
「へえ、何のリアクションもないわけ? 確かに、お前は今回『夢主』じゃないから、現実的にも精神的にもダメージを直接受けるわけじゃないけどさぁ。冷たいねえ」
「現実味が無さすぎるから……なのかしら、まあそれでも、あたしが死んだ間際のウタのあの気が狂ってるとしか思えない顔は……凄く解像度が高めに感じたけど」
ジークが拍気抜けしたように肩をすくめる。
ステージの上では、鍵が無くなったことで床がガラガラと崩落を始めていた。
間もなく、残された夢の方のウタも、その底無しの穴で吊り下げられて命を落とすだろう。
ここまでを完全に外部の目線、観客としての目線で見せられたオトノ。
ジークがわざわざ自分をこの悪夢の特等席に招いたことには、明確な意味があった。ジークの放つ目線や目的は、仮面ライダーたちに対する歪んだ執念だけで動いている、あのクリスタルワールドの怪人たちとは根本的に異なるのだから。
「……あれって、あたしの深層心理じゃないでしょ」
オトノは、低く、冷え切った声で言った。
「確かに最悪な悪夢だけど……あたしの記憶にはない。でも、魂が知ってる。……多分これはウタ、いえ……」
オトノはゆっくりとジークの方を振り向いた。その瞳には、先ほどまでの怯えや混乱はなく、確かな覚悟の光が宿っている。
「ここで隠すこともないし、はっきり言うけど。──これは『奏(かなで)』の物よね」
その名が紡がれた瞬間、空間のノイズが一段と激しく跳ね上がった。
ジークは一瞬だけ目を見開いたが、すぐに狂気じみた、しかしどこか満足げな笑みをその顔に浮かべる。
「ハハッ……! なるほど、やっぱり気づくか」
ジークは一歩、オトノへと距離を詰める。そのサングラスの奥の瞳が、獲物を値踏みするように妖しく光った。
「自分の立場を理解したか? ゼロワンの世界の『オトノ』……いいや」
ジークは楽しげに、その本当の名前を唇に乗せる。
「──『音ノ小路響(おとのこうじ ひびき)』」
この小説をサモンライドの二次創作として予定・構想した時から主人公は彼女以外ないと思ってました。