大空スバルの部屋がノエル先輩の甘い沼になるまで 作:しまうまP
・ノエスバの妄想小説です。甘々・キス描写(リップ音)あり。スバルがめちゃくちゃ乙女化してます。
・ホロライブの二次創作ファンフィクションです。
・公式の二次創作ガイドラインを遵守しています。
・ハーメルン、pixivで同時連載しています。
『第1話:突撃、ノエル先輩!? 』
「おーい、ノエル先輩? カギ、開いてるっすよー?」
休日の午後。
大空スバルのワンルームの部屋にインターホンの音が鳴り響いた。
今日はお互いオフということで、白銀ノエルがスバルの家に遊びに来ることになっていたのだ。
スバルがパタパタと玄関へ向かい、ドアノブに手をかけた瞬間、ガチャン、と音を立てて勢いよくドアが開いた。
「スバルちゃんんん!!!!!!」
「うおっ!? 」
視界に飛び込んできたのは、いつもの配信での上品な騎士の姿……ではなく、ふわっとした私服に身を包み、両腕をこれでもかと大きく広げたノエルだった。
ノエルの目は完全に獲物を見つけた猛獣のそれであり、すさまじい熱量とデレデレの笑顔がそこにある。
避けるひまなんて、あるわけがなかった。
「ふにゅっ」
スバルの口から、およそ普段の配信では出ないような情けない声がもれる。
次の瞬間には視界がノエルのやわらかい銀色の髪と、圧倒的な、そう、圧倒的な「たわわな包容力」によって完全にうめ尽くされていた。
「はぁぁぁぁ……スバルちゃん、スバルちゃんっ! 会いたかったよぉ〜〜! 団長、今週の配信中もずーっとスバルちゃんに会いたくて限界だったんだからねぇ〜〜〜!」
「ちょ、タンマ!タンマっす!こ、これ以上はスバル、ペシャンコになるっすーーー!!」
スバルはバタバタと腕と足を動かし抵抗する。
しかし、そこはさすが白金(しろがね)の騎士。
見た目からは想像もつかないパワーで、スバルの華奢な体をこれでもかと自分の胸へと抱きかかえて離さない。
それどころか、すりすりと自分の頬をスバルの頬に寄せて幸せそうに目を細めている。
「んふふ、スバルちゃん、お日様みたいな良い匂いがする……❤ 団長、もうこのままスバルちゃんの匂いをクンクンしながら一日中過ごせるよぉ……」
「な、何言ってんすかこの人!?まじで怖いっす、ていうか顔近い!近すぎるっすよ……っ!はい!一回離れてノエル先輩!!まじで!!」
顔を真っ赤にしながら、スバルは全力でツッコミを入れる。
だが、耳元で聞こえるノエルの嬉しそうな吐息と、ぎゅっと抱きしめられている心地よさに、スバルの心臓はすでにいつもの倍以上の速さで脈を打ち始めていたのであった。
◇
◇
◇
『第2話:がんばり屋さんの特効薬』
「はぁ〜〜〜……もー……本当にノエル先輩は……距離感どころか加減のネジまでぶっ飛んでるっすよ……」
あれからひとしきり玄関でもみ合った末、なんとかノエルをリビングのソファに座らせることに成功したスバルは、トコトコとキッチンから麦茶の入ったコップを二つ運んできた。
「はい、これ麦茶ね」
「わぁ、スバルちゃんありがとう。……ねえ、こっち座って?」
ノエルはコップを受け取ると、自分のすぐ隣のソファをトントンとたたいた。
その目は、まだ諦めていないと言わんばかりに潤んでいる。
「いや、スバルは床に座るからいいっすよ」
「だーめ。ほら、おいで?」
「うぐっ……」
ノエルに腕をきゅっと引っ張られ、スバルは観念したようにソファの、それもノエルのすぐ隣に腰を下ろした。
お互いの肩と太ももがぴったりと触れ合う距離。
スバルはそれだけで、なんだか落ち着かない気持ちになって、無意味に麦茶をゴクゴクと飲み干した。
しばらくは、最近お互いにあった面白い配信の話や、ホロメンのウワサ話でワイワイと盛り上がっていた。
いつも通りの楽しい時間。
けれど、ふっと会話が途切れた一瞬の静寂の中、ノエルがスバルの横顔をじっと見つめていることに気がついた。
「……ん? なに?スバルの顔に何か付いてる?」
「ううん。……スバルちゃん、今週もいーっぱい、いーっぱい配信がんばってたなぁって思って」
「え? ああ、うん! 楽しかったし、みんなが喜んでくれるなら全然平気っすよ!スバルはぜーんぜん、なんのこれしきっすよ!
いつものように、笑ってみせるスバル。
その瞬間、ぽつり、と頭の上に温かいものが触れた。
ノエルの、大きくて柔らかい手だった。
それがゆっくりと、本当に愛おしそうに、スバルの髪を撫で始める。
「……ノエル、先輩……?」
「スバルちゃんはさ、いっつも周りのみんなを笑顔にしようって、ずーっと走ってるでしょ? 団長、そういうスバルちゃんのこと本当に尊敬してるんだよ」
ノエルの声は、さっきまでのテンションが嘘みたいに優しくて、穏やかで、まるですべてを包み込んでくれてるみたいだった。
「でもね……団長の前では、そんなに格好つけなくていいんだよ? 寂しいこととか、辛いこととかあったら、もっと団長に甘えて? ね?」
「な、何言ってるんすか、スバルは別に……」
強がろうとして、言葉が詰まった。
ノエルの手のひらから伝わってくる温かさが、スバルの心の奥にある『がんばらなきゃ』っていう目に見えない緊張を、ゆっくりと、優しく解きほぐしていくような気がした。
いつもマネージャーとして、アイドルとして、みんなを引っ張る側でいようとする大空スバル。
だけど、本当は。
本当は、たまには誰かに寄りかかりたくなることだって、ないわけじゃない。
「……スバル、だって……」
「うん」
「たまには……配信が終わったあと、急に部屋が静かになると……ちょっとだけ寂しくなったり……するっす……。今週の企画も……実はめちゃくちゃ不安で……みんなが本当に楽しんでくれたか、ずっと気にしてて……っ」
気がつけば、普段は誰にも言えないような弱い本音が、ぽろぽろと口から零れ落ちていた。
情けない。
恥ずかしい。
そう思って俯こうとするスバルの視界が、ノエルの優しい微笑みによって遮ぎられる。
「うん、うん……。そっかぁ、スバルちゃん、ひとりで不安だったんだね。もう隠さなくていいんだよぉ……。がんばったねぇ……偉いよ、スバルちゃん……」
その優しい肯定の言葉を聞いた瞬間、スバルの胸の奥がぎゅーっと熱くなって、視界がじんわりと涙で潤み始めてしまった。
(つづく)