クラス転移したけど俺だけステータス表記が違った 作:星野林(旧ゆっくり霊沙)
宿に戻った俺達は夕食を食べた後に、俺の部屋に集まって作れる様になった道具を確認していく。
「確認したけど、どうやら鉄や石は1キロで素材1つ分ってことになるらしい。鉄の剣だったらこんな感じで……」
俺は技の道具を作るを選択し、レシピの中から剣を選択する。
剣の素材は木材1つと鉄1つ。
インベントリの中から素材を選択して技を発動すると、俺の手元に鉄の剣が完成した。
「おお……」
「鉄製の道具が作れる様になったね……ということはフライパンとかも作れるってこと?」
「そうなる」
俺は鉄製の素材を選択して、再び技を選択すると、フライパンが完成した。
藤原さんは手に持ってコンコンとフライパンの底を手で叩く動作をする。
可愛らしい。
俺は3人分の椅子を作り出して、腰掛けて話をする。
「とりあえず、最初に今日の分配金がこれね」
「ありがとうね」
「ありがとう」
藤原さんとミンナに1万シンクの硬貨を渡す。
2人は直ぐに袋やポーチにお金を仕舞い、話を続ける。
「俺の能力を使って色々できそうな事を考えてみたんだが、ミンナと藤原さんから意見を言ってもらっても良いか?」
「うん、構わないよ」
「言えるほど頭良くないけど頑張る!」
まず使えそうな技としては、やっぱり道具を作るだろうか。
「繊維を選択できるようになって俺の持っている服で試したんだけど……古着でも新品の服みたいにできるのと、ある程度決まった柄を付けることができるんだよね」
繊維も道具を作るで変える事ができることが分かり、昨日の夜に寝る前少し試したが、古着を繊維素材としてカウントできることである。
これを使えば色々応用が効きそうであると考えられる。
それに器用と知識が上がれば作れる柄も増えるっぽい。
色に関しては染料が素材として必要になるっぽいが、それは後々またステータスが上がれば作れる様になるだろうし、何なら染料は買うことで事足りるかもしれない。
これは要実験であるが……。
「色々な服が作れるっていうのは大きいね。この町だと古着に関しては入手しやすいだろうし……ただ売るとしても、まだ信用が無いから、買い叩かれるだろうから、利益を沢山出したいなら農村へ行商人みたいに売りに行くのが良いかもね」
「なるほど……」
「剣とか他の道具もそうだけど、売るとなるとやっぱり信用が大切になる。市場で見習いの鍛冶師が自分の品を売っているけど、お金になることよりも商品の宣伝の方が大きいから、職人を目指す訳じゃなかったら町で作った道具を売って金策を……ていうのはやらない方が良いかな……逆に農村とかは誰が作った道具っていうのは気にしなくて、ちゃんと使えて安ければ買ってくれるから、名前を売るつもりがなかったら、そっちの方がやっかみは少ないよ」
この世界の常識を踏まえて意見を言ってくれるミンナはとてもありがたい。
技の道具を作るは、素材さえ有れば一瞬でできるからこれは金稼ぎにもなるぞ……と考えていたけど、町では信用が足りないっていうのは盲点だった。
売るなら町ではなく村か……。
村に行くって選択肢も出てきたな。
「道具を作るはこれくらいで……次に大豊作。20時間のクールタイムはあるけど、指定した作物を一夜で収穫状態にできるの……ステータスの種みたいに貴重な植物を増やすのにはうってつけだと思うけど?」
「それはねぇ……」
ミンナ曰く、自分達で消費する分には問題ないけど、商売する規模まで作ると、貴重な品ほど供給のバランスが崩れて値崩れしたりして周りから恨みを買ったり、国から警告が来たりするらしい。
転移者じゃなくてもちょくちょく大豊作に似た能力持ちが貴重な植物を大量に持ち込んで市場を混乱させることが各地で数年に1度単価で起こるらしい。
そうなった場合、その能力持ちは国営農場の従業員としてスカウトと言う名の隔離が待っているらしい。
やるなら程々に。
売買にならなければ国も見逃してくれるし、宿の庭でステータスの種を数種類育てたとしても、殆どの人がステータスの種は知っていても、花の種類までは知らないから……と忠告された。
俺も自由は失いたくない。
「逆に言うと、市場を壊さなければ一定量売ることもできなくは無いよ。自分の農園を持って、国に届け出を出して、契約した商人に卸す……これなら文句は言われないからね。規制されている植物や作物のリストがあるから、今度持ってくるよ」
「それはありがたい」
「あの、私が思いついたのだと、草原の離れた場所に薬草の群生地を作り出す……とかはどうなのかな?」
薬草1束平均50シンク。
これが冒険者ギルドでの買取価格で、薬草は需要に供給が追いついてない植物で、薬草園とかで栽培もしているらしいが、それでも足りなくて、冒険者ギルドに野生に生えている薬草を冒険者に採ってきてもらってなんとかしているらしい。
俺の大豊作を使えば、ある程度の群生地を作り出して、お金に変える事ができるんじゃないかなとのこと。
「確かに貴重な植物ではないけど、換金性の高い植物の群生地を作り出して……その情報を冒険者ギルドに売るって方法なら問題は無いね。考えたねぇフジワラ!」
群生地の場所を冒険者ギルドに売ることによって利益を他の冒険者と共有できるというのは警戒されにくくなる。
独占したら恨まれるが、供給なら感謝される。
優しい藤原さんらしい考えだ。
「それは全然ありだね。ただ群生地を作れるだけの効果がサイトウの大豊作にあるかどうかだけど」
「それは明日試してみれば良いな。上手くいけば、結構な金策になるんじゃないか?」
「試してみる価値は高いね」
ミンナも俺も賛成である。
それに多少残しておけば、ある程度の薬草は先に採取していて換金すれば纏った金にもなるしな。
大豊作の活用法はこれでいいだろう。
あとはステータスの種が纏った量手に入ったら、鉢植えで自分達用に育てるのも忘れずに。
次に収納についてだ。
これの使い道は指定依頼を受けたように大量の物を運ぶとかが一番使い道が多いように思える。
あとはやっちゃいけないけど、収納してインベントリの中に入れている状態だと他の人に何を持っているか分からない点も大きい。
密売とかにうってつけだと思うし、貴重品を持っていても怪しまれない。
盗賊とかに襲われてもなんとかなったりするんじゃなかろうか?
あとは行商をしたりするのに便利だろう。
今のレベルだと1.4トンだけど、更にレベルが上がれば、2トン、3トンと持ち運べる物が増えるし……。
「ちょっと気になったんだけど……良いかな?」
「なに? 藤原さん」
「いや、ミミックから作る収納ボックスとか内容量よりも仕舞う事が出来たり、内容量よりも軽く持ち運べる物マジックアイテムって言えばいいのかな? それを使えば、より多く物を運ぶ事ができるんじゃないかな?」
「その考えはなかった」
試してないけど、収納ボックスを買って、中に色々詰め込んだ状態で俺の技の収納を使ってインベントリに保管すれば……より多く、重い物を運べるんじゃないか?
「どうかな?」
「冴えてるねフジワラ。実際サイトウできそうなの?」
「たぶんできると思う……内容量に革命が起こるぞ……ちなみにそういう収納ボックスとかアイテムボックスとかのミミックを加工した商品って高いの?」
俺はミンナに質問する。
ミンナ曰く、凄腕の職人が作れば性能も値段も高いけど、内容量10倍で重さをアイテムボックスの重さだけで済むみたいなのは結構手頃な値段で買えるらしい。
見習い錬金術師は技術を上げる為に大量に作るし、需要もあるから、だいたい5000シンクから1万シンクで1個購入できるとのこと。
「これも明日以降にできるかどうか確認して……できるようなら色々な素材を分別して収納しておくことができるな!」
インベントリ整理にも役立つ。
これは良いアイデアだった。
ちなみに腕のよい錬金術師が作ると、内容量数百倍で重さが1キロ以下のリュックにすることができたりするらしい。
値段もその分高いけど、行商人は重宝しており、首都であるこの町が発展できたのも、アイテムボックスによる物流革命が起こった300年前かららしい。
「転移者がもたらした知識なのか、現地民がたどり着いたのか……」
「この発明はこの世界の住民で錬金術師の祖と言われる人が考案立証して、実用化まで至ったらしいわ。その弟子達がどんどん性能を上げて……あとミミックの人工養殖が280年前にできる様になったのも大きいと思うわ」
「ミミックを養殖って……始めて聞いた単語だわ」
「そう? モンスターでも人類の維持に必要なのは一部養殖されていたりするわよ。有名なのがミミックだけど、他には羊の様な植物系のモンスターのバロメッツや鶏の体にヘビの尻尾を持つ食用のコカトリス何かがメジャーかしら」
ちなみに養殖物をコカトリス、天然物をバシリスクと言うらしい。
お前は鮭か?
異世界らしいモンスターとの共存関係である。
ミミックを養殖しているのは驚いたが……。
とりあえず、アイテムボックスを購入して技の収納と組み合わせることで内容量を増やせるかというのは実験してみる必要があるので、明日依頼が終わったらやろう。
そして最後に捕まえると合成の組み合わせ。
これを活用すると雑魚モンスターを合成しまくることで、強いモンスターを生み出しまくる事ができる。
現状これが一番ぶっ壊れの能力だ。
「どんなモンスターでも使役して上位種にできるのはヤバいわね」
「うん、クイーンスライム娘みたいな感じで魔人にもできるって分かったし……ところで魔人って明確に人類の敵とかじゃないんですか?」
俺も気になっていたことを藤原さんがミンナに質問する。
「確かに魔王の尖兵として魔族がいるっていうのは確認されているけど、普通に人類と共存関係にある魔族も居るし……一概に悪とは断定できないわね。まぁこの国も魔族の居住エリアが決められていたりするけど」
「なるほど……」
意思疎通ができる分、普通のモンスター扱いではないらしい。
これは結構有益な情報かも?
まぁスライム娘には引き続きスライムの格好をしてもらった方が当面良いのには変わらないが……。
「でも使役しているモンスターが戦闘することで、経験値がサイトウにフィードバックして、レベルが上がって、全体の底上げになるのは凄く良いわね。というか人間の私達がほぼ戦闘には参加しなくても良いんだけど」
「うんうん……でも正直良かったと私は思う。大きくて強いモンスターを倒せる想像がつかないから、戦闘しなくても済むんだったら私はその方が良いし……」
ミンナは楽して強くも成れるのであればそれに越したことは無いと言い、藤原さんは戦闘しなくてもいいならその方がありがたいらしい。
まぁ現状俺はレベルを上げても技は増えるけど、強くなれてるかって言ったら微妙だしな……。
俺自身の戦闘は控えたほうがいいだろう。
「よし、とりあえず色々分かったし、これ以外にもまだまだ裏技みたいなのは発見できるかもな。とりあえず当面はレベルを上げる、近場で合成できるモンスターの種類を増やす。お金を貯める。藤原さんとミンナはレベルだけじゃなくて、自分のステータス数値を上げる方も頑張ってくれ」
「「了解!」」
「話し合い終了! じゃあ俺は風呂入ってくるわ。それと今夜はミンナのレベルを上げるからよろしくな」
「はーい」