クラス転移したけど俺だけステータス表記が違った 作:星野林(旧ゆっくり霊沙)
「お疲れさん、いやぁおかげで助かった……。明日からぎっくり腰をしていた元の運び屋も復帰できるからな。指定依頼は完了だ」
「いえ、こちらこそ5日も雇ってくださって助かりました」
異世界転移してから10日目、おっぱいの事を考えて風呂場でのぼせた日から3日後と言えば良いか。
俺は指定依頼であった建材屋の運搬依頼を達成することができた。
5日間走りっぱなしで足がパンパンだ。
日本の実家でもここまで走らされることなかったからな……。
俺が農家じゃなかったら絶対どこかで疲れ果ててぶっ倒れてたわ……。
もしくはステータスで体力のステータスがAまで伸びたおかげで耐えられたのかもしれないが……。
今の俺のステータスがこんな感じ。
名前 サイトウ・タカシ
年齢 17
性別 男
職業 農家/ファーマー
レベル 36
体力 A
気力 D
知力 D
器用 D
筋力 D
技
・捕まえる
・合成する
・鍛える
・道具を作る
・収納する
・大豊作
・図鑑
・名付ける
・範囲を拡大する(レベル1)
・穴を掘る
・鍬ワープ
レベルも順調に伸びて36レベル。
ポケ◯ンだったら御三家の最終進化が始まってもおかしく無いレベルである。
3日前に比べて技も3つ増えた。
1つずつ紹介していこう。
範囲を拡大するは農業系ゲームをやっているとわかるんだけど、例えばじょうろで水撒きをする際に1マスしか水を撒けない現象があると思う。
あれを3マスとか9マスといった広範囲散布できるって感じの技だ。
勿論この技水を散布するだけの技じゃない。
鍬を一振すれば指定した範囲が一気に耕されるし、木を伐採しようとすれば、メートル単位で分割して切断することができる。
で、時間を見て草原でこの技を剣を振るった時にどの様な動作をするか確認したところ、一定範囲に剣の当たり判定が出るようになった。
言葉で説明すると分かりづらいと思うが、普通剣は当たった場所しかダメージは入らない。
魔法を使えば飛ぶ斬撃みたいに剣の衝撃を正面に飛ばす事が出来たりもするが、俺の技を使うと面でダメージが入る。
もっと具体的に言おう。
普通の剣が正面マス先にダメージを与える技とするなら、飛ぶ斬撃が正面3マスにダメージが与えられる。
一方で範囲拡大を選択して剣を振るうと正面縦横3×3マスにダメージが行く広範囲技へと化ける。
神様が俺の技を選んでいるなら攻撃できる様にしちゃ駄目だろ……。
面で攻撃している為、剣に当たらなくても、範囲に居れば攻撃が当たってしまうのである。
だから他から見ると、変な場所で剣を振るって、モンスターが何故か吹き飛んだり、ダメージが入る謎現象が発生する。
奇妙過ぎる。
ただ剣だったらまだ良い。
そして俺は魔法の才能が無いらしいので魔法攻撃も使えない。
これもまだ良い。
試しにしてみた投擲でも当たり判定の拡大ができてしまったのである。
投擲でできるってことは弓矢とかの飛び道具でも攻撃ができるってことであり、俺の知力と器用がダブルでDになったことで道具を作るで害獣向けのクロスボウが作れる様になったのである。
クロスボウは普通の弓に比べて台座に矢を乗っけて、ねじ巻きで弦を引き、引き金を引くことで発射することができるため、弓を扱った事がない人でも比較的簡単に扱える武器だ。
その代わりに普通の弓矢に比べると連射できない欠点があるけど、器用と知力が上がれば連射できるクロスボウが作れるっぽいのでなんとかなりそう。
で、このクロスボウと範囲拡大を選択すると、矢の壁が迫っているようになり、矢が突き刺さった瞬間に複数突き刺さった様な傷跡が付く。
何なら矢が外れても範囲内なら当たった判定でダメージが与えられてしまうのである。
クロスボウは魔法攻撃に比べると威力は劣るらしいが、十分な殺傷能力はあるし、避けたと思ったら殺傷させられるというのは理不尽極まりない。
改めて言うが、俺のステータスをもし神様が付与しているなら、デバッグ作業はしっかりした方が良い。
わけわからん活用方法が生まれてしまうからである。
次の穴を掘るはシャベルを持った状態で穴を掘ると、土を一瞬でインベントリに移動させて、簡単に大穴を掘ることができる技である。
たぶん農家だから井戸を掘ったり、肥溜めを作ったり、用水路を引いたりするのに使える技なのだと思うが、これも範囲拡大適用である。
何なら範囲拡大の意味が別なのにもできて、砂利や石、鉱石とかの土以外の地中に埋まっている物も一緒に掘ることができてしまう。
勿論広範囲の大穴を開けることも可能。
うん、神様はたぶん馬鹿なんだと思う。
ちなみに斜め掘りして地下室を作るみたいなマイ◯クラフトみたいなことも出来たり……生き埋めになりたくないのでやるとしても芋や野菜を保存する穴蔵を作る時しか地下室は作らないと思うけど……。
で、一番喧嘩売ってるのが鍬ワープことクワープである。
鍬を振り下ろすと高速移動できるっていう馬鹿みたいな技であるが、範囲拡大と鍬ワープを組み合わせると、短時間で広範囲を耕すことができてしまう。
何なら鍬ワープ中は無敵状態になっているらしく、木に激突しても木の方が折れるという惨状で、悪質タックル仕放題である。
ちなみに移動速度はスライムに乗って移動するより速い。
新幹線くらい速度が出ると言えば良いだろうか。
無敵状態で新幹線並みの速度で75キロの物体が激突したら大抵のモンスター倒せるぞ……。
何なら鍬ワープで距離を取る、クロスボウ発射、鍬ワープで距離を取るの繰り返しでクロスボウが聞く相手なら完封できるという事実……。
うん、俺だけ別ゲームやっている気分である。
これにはミンナと藤原さんも苦笑いであった。
ミンナと藤原さんは俺が指定依頼を受けていた3日間、ミンナは藤原さんの魔法の練習だけでなく、クラリンにも魔法を教えていたらしい。
流石見習いとはいえ宮廷魔道士……そこらの魔法使いとは違うってか。
クラリンは元々水系の魔法をある程度は使えていたが、ミンナに教えられて、水系由来の回復魔法と土系の魔法も覚えられたっぽい。
絶対鍬で耕していたり薬草植えたりで土いじりしていたから、土魔法を覚えたくなったんだろうが……。
クイーンスライムになったことでキングスライム時代よりもMPやマジックが伸びていたので、普通にクラリンの攻撃魔法は強力である。
総合力だとミンナを普通に超えてしまっているので、ここらへんのモンスターにタイマン勝負で負けることはまずないだろうってミンナが言っていた。
で、キングスライム達は3日間引き続きスライム狩りに従事してもらって、薬草採取とスライムの魔石売却、俺の依頼報酬を合わせると、3日間で15万シンク稼いでいた。
で、皆で話し合った結果、貯金しているよりはステータス向上に使った方が良いからと、3日間の稼ぎである15万シンクでステータスの種ガチャに挑むことに。
今一番運が高い藤原さんにお金を渡して、種の注文を冒険者ギルドで行い、俺がインベントリに格納して何の種か確認する。
「さあ、来い!」
ミンナと藤原さんも願っている。
1つ目……体力の種。
2つ目……魔力の種。
3つ目……防御の種!
「よし、よしよしよーし!」
「大当たり!」
「見事にばらけたね!」
思わず冒険者ギルドの中でガッツポーズしてしまった。
周りの冒険者が一瞬こっちを見たが、直ぐに興味を失い、各々会話を続ける。
俺はちょっと恥ずかしくなって椅子に座り直す。
「じゃあこれで前に当てた筋力の種と合わせて4種類ある状態ってわけか!」
「そうなるな。大豊作のクールタイムも切れてるから今夜鉢植え作って、宿の庭で育てさせてもらう。そうすれば明日には50粒くらいにステータスの種が増えているってわけだ」
「私の貧弱ステータスも見れる数字になるね!」
藤原さんのステータスは職業が家事手伝いということで、一際低くなっていた。
ラックは上限が100って決まっているステータスだし、スピードは多少遅くても、キングスライムって移動手段が今あるので特段必要を感じない。
魔力の種はMPとマジックが両方1上がる他の種と比べるとコスパ最強の種なので一番の当たり種。
事実5種類のステータスが上げられる。
「大豊作様々だね……これでステータスをある程度整えられる。こんな成り金みたいな真似ができるとは思わなかったけど……」
「でも数値が上がっても、実際に体になじむのは1ヶ月くらいかかるんだよね? ミンナさん」
「うん、そうだねフジワラ。でもこれで大豊作を繰り返して一流って言われる各種1000のステータスを超える事が出来れば、そう簡単に死ぬことは無くなるからね。マジックのステータスが上がれば覚えられる魔法も、魔法の威力も上がるから家事手伝いって職業でもある程度は戦えるようになると思うよ……あとそれだけステータスが育てばもしかしたら教会で職種の変化ができるかもしれない」
「「職種の変化?」」
俺と藤原さんがハマってしまった。
ミンナ曰く、10歳から15歳までに一度教会で職種の確認が行われるのだが、ステータスが育ったり、別の仕事に従事して経験を積むと違う職種に変化することがあるらしい。
それは転職の儀式とも言われているらしいが。
「お布施で1000シンクかかるけど、私達なら支払える額だし、もっと上位の職業に成れる可能性が有るなら賭けてみてもいいんじゃないかな?」
「よし、じゃあステータスの種を増やして、2人のステータスを上げて、転職の儀式をするのが次の目標かな! 目指せ上位職業!」
「「おー!」」
新しい目標も決まり、宿に戻り次第、女将さんに許可を貰って、道具を作るで鉢植えの数を増やして、各種ステータスの種を鉢植えに植えて、大豊作を範囲指定。
明日の朝に育つのを願うのであった。
「ふぁー」
風呂場で湯船に浸かって、疲れを癒す。
依頼で走りまくったから足がパンパンなので、入念にマッサージを行う。
「今のところ順調そのもの。勇者の園田とかよりも上手くいってるんじゃないか? 順調過ぎて怖いくらいだけど……」
あと気になるのはレベルの成長がスライム狩るのでは数を倒しても上がりにくくなってきた点か。
安全に金を稼ぐって言うのは十分にできているし、ここらでそろそろ試してなかった角うさぎとデカスズメの合成をそろそろ試してみてもいいかも。
あとはまたスライムを捕まえて、金属とかのモンスターと道具の合成でどう進化するのかっていうのも試してみたい。
「うん、やってみたい事は多いな。でも今日は頭真っ白にして疲れを癒やそう」
こうはいう時に捕獲状態で数分待機すれば体力や不調が全快するミンナや藤原さんが羨ましく思う。
「異世界に転移して10日目……無事に終了っと」