クラス転移したけど俺だけステータス表記が違った   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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次の直近の目標 旅への準備 森中

 宿で飯食って、風呂にも入って後は寝るだけの状態にしてから、俺はミンナとマリーの部屋の扉をノックした。

 

「はーい」

 

「斎藤だ。ミンナに聞きたい事があって……入ってもいいか?」

 

「良いよ」

 

 許可が出たので、部屋の中に入る。

 

 2人も湯上がりなのか、ちょうど髪を梳かしている最中だったっぽい。

 

「悪いなこんな時間に」

 

「いや、時間的にはまだ早いし、私とマリーもこの時間は読書していたり、喋ったりして眠気がくるの待っていたりするから……で? 話ってなに?」

 

「いや、非戦闘職とはいえ、モンスターの繁殖までできるのが分かれば国に従業員として強制労働させられるんじゃないかって思って。大豊作でも悪用すれば国営農場の従業員として強制労働させられるって前に言っていたじゃん」

 

「ああ、確かに言っていたね。でもサイトウいい言葉があるよ……バレなきゃ良いってね。確かに王都で強力なモンスターを捕まえて、使役しているってことが広まれば、サイトウが転移者ってこともあるから上層部側から何らかのアクションを起こしてくる可能性があるけど、その前に……森で捕獲できるモンスター使役できるようになったら王都を離れたほうがいいと私は思うけどね」

 

「あ、やっぱり」

 

 ミンナの色々な忠告を聞いて、若干王都から早く出ていくことを勧めているように薄々感じていた。

 

「王都はお金が稼げているから居心地いいかもしれないけれど、他の転移者がお金をたかってくる可能性があるからね」

 

「ミンナ……他のクラスメイトの情報何か知っているのか?」

 

「……言っちゃうけど、私は転移者の監視役兼、何か国にとって害のある行為をした時に処罰を与える役目でもあるから、サイトウの情報は色々ぼかしながら上層部に報告していたんだ」

 

「じゃあ上層部は俺のステータスがおかしい事や色々な技を使えることを知っているのか?」

 

「いや知らないはずだよ。サイトウの能力として上に報告したのは収納の事だけ。あれは他の依頼でバレているから報告せざるえなかったけど、他のモンスターを使役できるとか合成できるとかレベルのこととかは書いてないね。書いて国が囲い込みに動く方が私にはデメリットだからね」

 

 ミンナはスライム狩りで十分な利益が出せて、欲しい衣服も作ってもらえる生活に満足していた。

 

 本人も見習いとはいえ宮廷魔道士に成れたことに一応の義理があるから国の指示に従い、報告書を作成しているが、呼び出しておいて強制労働をさせるほど異世界の人とはいえ面の皮が厚くは無いとのこと。

 

「サイトウも嫌でしょ……強制労働」

 

「それはまぁ……」

 

「一番良いのは僻地で数年生活することだけど、隠遁生活するのは可哀想だし、でも王都だと監視の目が多いから、色々バレる前に移動してしまったほうが国にバレにくくなる。冒険者としての実績とか、自分で生活基盤を整えてしまえば、国もとやかく言うことはなくなるだろうし」

 

「ミンナが俺や藤原さんの事を思って王都から遠ざけようとしている事は分かった……俺の能力が一番活かせて自由に動ける場所ってどこかあるか?」

 

「そうね……」

 

 ミンナは地図を広げる。

 

「よそ者が居ても不思議じゃなくて、冒険者として名声が上げられて……それで転移者でも自由に活動できる場所となると……」

 

 マリーがここじゃないって指を指し、ミンナも頷いた。

 

「迷宮国家……ジパング。ゲルマ王国の属国でかつて転移者が建国した迷宮と冒険の国」

 

 ミンナの話によると、国の中心に巨大な円柱状の塔がそびえ建っていて、その地下にジパングの国土の殆どに張り巡らされた地下迷宮があるのだとか。

 

 大量のモンスターと定期的に発見されるマジックアイテムや宝石、そして金、名声、力を求めて、多くの国から人が集まる……と説明された。

 

「ジパング……俺の元の世界の祖国も昔他国にジパングって呼ばれていたな」

 

「サイトウはモンスターを捕まえれば捕まえるほど強くなることができるし、迷宮のモンスターは数百種類を数えるって言われているから……きっと今後の糧になると思うよ」

 

「なるほど……で、王都からジパングまで地図で見ると結構離れているように思うけど、どれぐらいの距離があるんだ?」

 

「ここから徒歩で1ヶ月半。1日30キロ歩く計算でね」

 

 約1200キロ……東京から熊本までの距離か……思ったよりも遠いな。

 

「路銀は4人で10万シンク有れば足りるし、足にキングスライムに乗って長距離走破できるのであれば日数も短縮することができるよ」

 

「なるほどねぇ……」

 

 選択肢の1つとして考えて良いかもしれない。

 

 それに俺の目標は大農園の主になること。

 

 冒険者として名を挙げても目標から遠ざかりそうだか? 

 

「その事についても考えているよ。勇者がどれぐらい強いか未知数だけど、過去の勇者は魔王が現れた際に数年で討伐まで持っていったって記録があるから、勇者や各国の軍が前線を押し上げて新しく入植を募った時に立候補すればいいんじゃないかな?」

 

 危険な地域であれば冒険者として名声が高い方が優先して土地を得られるんじゃないかなってミンナは説明する。

 

 確かに、ゲルマ王国とかは貴族が領地として管理しているから、大農園の主になりたかったら、自身も貴族に成れるように努力しなければならない。

 

 転移者が貴族になろうと動けば権力者達がどの様な反応をするか……勇者と転移者の扱いを考えればろくな事にはならないだろう。

 

 となると冒険者で名声を得て、開拓に立候補するのが一番手っ取り早く成り上がれるのか。

 

「うん、ミンナいい情報をありがとう。そして皆の将来の事をしっかり考えていてくれて助かった」

 

「どういたしまして……でも土地持ちになるってことは相応のお金が今度必要になってくるから、スライムでちまちま狩っているのを続けていても目標金額には届かないからね」

 

「ちなみにどれくらいお金を持っていたら良いんだ?」

 

「200人の村を作るのに1億シンク必要って言われているの……町として機能させるなら20億シンク。それを基準にすれば良いと思うよ」

 

「……確かにスライムで毎日5万シンク稼いでいても、6年はかかるな……そんなにちまちましていたらいい土地は取られるし、大農園の管理なんてのも不可能か」

 

 迷宮国家に行けばもっと稼げるのかってミンナに聞くと、

 

「1日で1億シンク稼いだ冒険者の話を数年に1度は聞くレベルで成功者の話はゴロゴロ転がっているよ。離れているこの国にもね」

 

「夢があるな」

 

「ええ、そうね」

 

 ミンナと話して新しく目標が決まった。

 

 迷宮国家ジパングに行くという目標が。

 

「そうだな……一応路銀として5倍の50万シンク貯めよう。今のペースだと10日も掛からないで貯まると思うから、そしたら出発しようか」

 

「うん!」

 

「わかったわ」

 

「今日はどうする? 捕獲状態になって鍛えるをしておくか?」

 

「そうね……明日から森に行くならステータスを上げておいて損は無いと思うから、私は受けるわ」

 

「私も」

 

 ミンナとマリーの2人は直ぐに捕獲状態となり、鍛えるを選択。

 

 50レベルになるのに8時間かかるっぽい。

 

 その後藤原さんにも今後の目標を伝え、森に行く前に鍛えておこうと藤原さんも捕獲状態にして鍛えるの技を使用するのだった。

 

 

 

 

 

 

 翌朝、俺達は町から東に8キロ程離れた地点にある森へと来ていた。

 

 鬱蒼と茂る木々……現代の人はマイナスイオンと称するが、この世界の人々は瘴気と表現する独特な空気が漂っていた。

 

「キングスライム軍団よし! 防衛にクラリンとメタリン、回復役のポーションスライムよし!」

 

 森に入る前に入念に確認をしておく。

 

 藤原さんもクロスボウを構え、クラリンを先頭に、俺、ミンナ、マリー、藤原さん、メタリンの順番で森の中に入っていく。

 

 町の近くにある森なので、結構な頻度で木材を採取するために、伐採を行なっているらしいが、それでも森の増殖スピードと釣り合うくらいで、広大な森が広がっていた。

 

 キングスライム軍団は15体は平原でスライム狩りを、残りの15体が森に先行して入って、モンスターを弱らせて連れてこいって指示を与えていた。

 

 がさがさがさがさと藪の中からモンスターが飛び出してくる。

 

 異世界では定番のモンスター……ゴブリン。

 

 緑色の小人で悪そうな顔と獣臭が凄い。

 

「でいりゃぁ!」

 

 襲いかかってきたゴブリンに俺は鉄の剣を振るう。

 

 広範囲設定をしていたためか、一振でゴブリンの体に無数の傷跡がつき、今にも息絶えそうなほど弱っていた。

 

 俺はゴブリンを見つめて捕獲を行う。

 

 確率は99%……捕まえられないということはなく、森に入って1発目のモンスターとして捕まえることに成功。

 

 森の中をどんどん進んでいくと、少しひらけた場所に出たので、俺が木々を切り倒して、木材に加工し、適当な椅子とテーブルを作り出した。

 

「よっこいしょっと。森に来たわけだけど、どんなモンスターが生息しているんだ?」

 

「そうだね……」

 

 ミンナ曰く、森に住むモンスターは熊、鹿、キツネ、タヌキ、コウモリ、犬、オオカミ、ネズミ、うさぎ、あとゴブリン系が多く生息しているらしい。

 

 イエローベアーは縄張りに入らないのと、小熊に危害を加えなければば襲われる確率は低いらしいが、ゴブリンと野犬、オオカミは森の中を動き回っていて、獲物を見つければ襲いかかってくるので危険らしい。

 

「キングスライムが早速何か捕まえたか?」

 

 キングスライムの1体が何かを捕まえたらしく、俺の方に近づいてくると、キングスライムにイエローベアーの親子が逆立ち状態で突き刺さっていた。

 

「う、うわぁ……」

 

 シュール過ぎる光景に俺達ドン引き……。

 

 熊って言うから凄く警戒していたが、イエローベアーの見た目は体毛が黄色いパンダみたいな見た目と言えば良いか……。

 

 凶悪そうな顔つきではなく、くりくりの目で口も小さく、若干デフォルメされた様な見た目であった。

 

「これは雌だからね。雄はもっと強面だよ」

 

「そうなんだ……」

 

 ミンナがそう言うが、キングスライムに弱らせられて、今にも死にそうなので、捕獲していく。

 

 図鑑を確認すると、イエローベアーはこれで最終形態らしく、別のモンスターとの合成をお勧めされた。

 

「じゃあ熊の方に名前をつけて……首切りうさぎと合成できるっぽいな……小熊含めて3体合成してみるか」

 

 というわけで、強いは強いのだが、キングスライムに比べると微妙な強さであった首切りうさぎとイエローベアーを合成。

 

 そうするとテディベアという1.5メートルサイズの熊のぬいぐるみっぽいモンスターになった。

 

「きゃわわ!」

 

 藤原さんが3体のテディベアに抱きつくと、モフって音が聞こえてきた。

 

 愛くるしい見た目で強そうには見えないのだが、図鑑でステータスの数値を見てみると……

 

 HP 2500

 MP 50

 パワー 1500

 ガード 1000

 マジック 100

 スピード 550〜750

 ラック 45〜80

 

 とイエローベアーのステータスが

 

 HP 600

 MP 50

 パワー 800

 ガード 300

 マジック 50

 スピード 250

 ラック 50

 

 なので、ぬいぐるみみたいな愛くるしい見た目して、ステータスはしっかり暴力的。

 

 試しに木を殴ってみてと頼むと、元母熊の個体が木をぶん殴り、メキメキっと一撃で倒してしまった。

 

 人に当たったらひとたまりもない威力である。

 

 とりあえず個体名として熊の種類から取って、母熊はクマザー、額に月っぽい印がある子をツキノワ、レッサーパンダっぽい黄色と白毛で縞模様の子をレッサーと名付けた。

 

 試しに道具を持たせたところ、知能も高いらしく、斧を振るったり、スコップで地面を掘ったりとかの簡単な動作はできるっぽい。

 

 更に体を縮ませることもできるっぽく、最小で肩に乗せられるサイズまで小さくできた。

 

 とりあえず3体にはキングスライムに乗ってもらって、他のモンスター狩りに向かわせるのであった。

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