クラス転移したけど俺だけステータス表記が違った   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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旅の準備 2

 昨日掘った大穴の中で釣りを行なったが、釣れたのは琥珀の他に水晶や翡翠の原石などを釣り上げることができた。

 

 同じ場所だと釣れる回数に限りがあるのか、3時間粘ってみたが、一定時間過ぎるとピタッと釣れなくなってしまい、残念ながら古代天使の化石はアリス以外釣ることができなかった。

 

 まぁしゃーない。

 

 ちなみに一番釣れたのは石炭である。

 

 森での活動は一昨日から同じで、違いと言えば、テディベア達にハチミツを探させたところ、地中に巣を作るタイプのハチの巣を掘り起こしてハチミツとハチ系モンスターを仲間に加えることが出来た点くらいかな? 

 

 変化点は。

 

 昼メシに即席のコンロを作って、パンケーキを焼いて、採れたてのハチミツをかけて食べるのは滅茶苦茶美味しかった。

 

 そんな感じで今日1日も終わり、キングスライム軍団から集められた素材を解体及び素材ごとに分別してからアイテムボックスに収納していく。

 

 アリスのおかげで、収納量が多くなったため、昨日よりもモンスターの素材を無駄なく収納することができた。

 

 明日換金する時が楽しみである。

 

 

 

 

 

 アリスには再び捕獲状態に戻ってもらい、俺、ミンナ、マリー、藤原さんの4人は町に戻ると、宝石商人のところに向かった。

 

 宝石商ということで、貴族達が住むエリアに店を構えている場所のため、同じ町の中でもそのエリアに行くには門があり、そこで身分証を提示しなければならない。

 

「アイアンの冒険者が何のようだ」

 

「森を探索中に土魔法を使ったところ、宝石が産出したので、宝石商に売り込みにいきたいのですが」

 

「ふむ、サンプルはあるか?」

 

「ではこれを」

 

 俺は適当な琥珀を衛兵に渡すと、衛兵の1人が走って確認しに向かった。

 

 十数分待たされたが、ちゃんと本物の琥珀だと証明できたために、中に入ることを許された。

 

「付添い人が元見習い宮廷魔道士でシルバーランク冒険者故に通すが、琥珀が本物でも本来は通せる身分じゃないからな」

 

 とも忠告された。

 

 それで去ることも可能だが、ミンナにボソッとサンプルの琥珀は衛兵達で分け合ってくださいって言ったほうが心象が良くなるよ……とアドバイスを受けて、明確に賄賂だけど、さっきのサンプルの琥珀を渡すことに。

 

「おお、分かっているな。アドバイスを1つ……宝石商は服装を見て相手を判断するから、冒険者の服装だと足元を見られるぞ」

 

 とも教えてくれた。

 

 なるほど、ドレスコード必須か。

 

 衛兵に許可を貰って、営門の中で着替えてもよいかと、500シンクほど握らせると、許可が降り、俺達は着替えることに……。

 

「こういうのは慣れてない人が少ない方が良いから、フジワラとマリーは捕獲状態で待機しておいてくれない? 私が金持ちのフリをして、サイトウに召使いのフリをさせるから」

 

「了解」

 

 ということでミンナに合うドレスを俺が即席で作り、藤原さんとマリーは捕獲状態になってもらう。

 

 俺も召使いの服装……と言ってもスーツ姿であるが……に着替えてから営門を出るのであった。

 

 

 

 

 宝石商の場所はミンナが知っていて、まっすぐ案内してくれた。

 

 周りの屋敷は平民と貴族で資金力に大きな差があるように、豪勢な家々が建ち並ぶ。

 

「中央通りは目立つから、より力のある貴族の屋敷が多いの。逆に力の弱い貴族は表通りから離れた場所に屋敷を持つけどね」

 

「なるほど……」

 

 あんまり格式張った貴族になりたいって願望はないので、本物の貴族達が住むエリアの独特な空気は気が参る。

 

(田舎から出てきて初めてビル街を見た時とかも場違い感を感じた事があったけど、それに近いな)

 

 高校がそれなりの都会にあったので、田舎から通学していた俺はそう感じる時がたまにあった。

 

 そんなことを考えていたら、宝石商の店に到着し、店内に入る。

 

 カウンターにはヒキガエルのようにブクブクに太った店主らしきマダムと従業員が客の対応にあたっていた。

 

「いらっしゃいませお客様。本日はどの様な用件でしょうか?」

 

「宝石と宝石の原石を入手したので売りに来たのだけど」

 

「では私が対応させてもらいます」

 

 初老の感じのよい男性店員がミンナと俺の相手をしてくれるらしい。

 

 俺はボロが出ないように黙っていて欲しいってミンナに言われているので無言を貫く。

 

「ではコチラになります」

 

 ミンナが俺に合図を出したので、琥珀の塊とある程度形を事前に整えていた水晶の塊数個、それに翡翠の原石を取り出す。

 

「何とも量が多いですね」

 

「ええ、土魔法の鍛錬をしている最中に出土したのをある程度洗浄してから持ってきたわ」

 

「失礼ながらステータスを確認してもよろしいでしょうか」

 

「わかったわ。ステータスオープン」

 

 ミンナは店員にステータスを見せると、店員は納得したように頷いた。

 

「では鑑定作業に入りますので、少々お待ちを」

 

 店員がその場で鑑定を始める。

 

 鑑定をする魔法かマジックアイテムがあるようで、店員が眼鏡をかけると魔法陣が眼鏡の周りに浮き上がっていた。

 

「ふむ……どれも本物の様ですね。品質も最高級とまでは活きませんが上物です。重さが」

 

 秤で重さを量っていき、金額をメモし始める。

 

 それを最終的に水晶に映して俺達に見せてくる。

 

「琥珀が12万5000シンク、水晶がこの大きさですと1本4000シンクが6本なので2万4000シンク……で本題の翡翠の原石ですが、35万シンクになりますね」

 

 翡翠の原石はラグビーボールくらいの大きさであったが、それでこの値段が付くとは……。

 

 時々店員がヒキガエルのマダム店主に目線を送っているので、店主が念話かなんかで話し合って買い叩いてそうだが、こっちとしては、49万9000シンクの値段になるのであれば十分すぎるので問題ない。

 

 ミンナが少し悩むふりをするが、耳元で了承を伝えると、

 

「ええ、この金額で了承するわ」

 

 と、売却が成立。

 

 マダムニッコニコである。

 

 分かりやすいなぁ……。

 

 ミンナが売却関係の書類にサインをして、お金が入った袋を受け取り、足早に店から出るのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 宿に戻った俺達は藤原さんとマリーの2人も実体化させて、ミンナを労った。

 

「本当にお嬢様みたいだったよ」

 

「お疲れ様ですミンナさん」

 

「ふひー、疲れた……気づかれだわ……」

 

 本当にミンナはよくやってくれた。

 

 教えてくれた衛兵にも感謝だが、見習いとはいえ城に勤めていた経験のあるミンナのおかげで、買い叩かれてはいたと思うが、十分に利益を出すことができた。

 

 これで皆と約束していた旅費が貯まった事になる。

 

「うん、明日冒険者ギルドで素材を換金したら、旅をする準備に移ろうか。ミンナ、野営しなきゃいけない場面とかもあるんだよな?」

 

「キングスライムに乗って移動すれば、大抵どこかの村や町には行けると思うけど……」

 

 ミンナは地図を広げて駒を置く。

 

 だいたい50キロから60キロ先に町が、20キロ圏内に村がある感じ。

 

 キングスライムに乗って安全に移動できる距離だと……1日210キロ程度か? 

 

 ジパングまでが約1200キロだから長く見積もっても1週間で行ける計算になる。

 

「だから道中の宿に泊まることはできるだろうね。心配なのは道中のモンスターに襲われたりすることの方かな?」

 

「結構凶悪なモンスターとかいるの?」

 

 藤原さんがミンナに聞く。

 

「いや、凶悪というより……面倒くさいというか……時期によっては牛の群れの移動とカチ合う事になるかもしれなくて……」

 

 牛飼いが町に牛を売りに行くのに、長い行列ができるらしく、その群れが橋とかを使っているときに出会ってしまうと、数時間足止めみたいな事が起こるらしい。

 

 その時にもしかしたら野営するかもしれないと説明を受けた。

 

「とりあえず必要なのは3日分の食料と路銀、あと洗濯物が干せなかった時の為の着替え……食料以外は全部あるね……」

 

「じゃあ明日食料の買い出しに行って、天候が良さそうな日に出発しようか」

 

「そうだね。バーバラ(女将)にも伝えておかないと」

 

 そんな事を話し合うのだった。

 

 

 

 

 

 

 翌日、天気は晴れなので、藤原さんが旅行前に洗濯できる物は全部洗濯して、今日干しておくからと張り切っていた。

 

 バーバラさんにも数日後にはこの町から出ることを伝えると、寂しくなるねと言われたが、旅行で必要になる保存食を作るときに昼間なら台所を使っていいからと許可ももらい、俺とミンナ、マリーの3人は冒険者ギルドで昨日の分の素材を換金後に旅で必要な品や他所で買えなそうな物を購入していくことにした。

 

 一番最初に向かったのはシノンの居る錬金術のお店。

 

「シノン買い物しに来たぞー」

 

「あ、サイトウじゃん! いらっしゃい!」

 

 すっかり顔なじみになっていたが、彼女にも拠点を移してジパングに行くこと、数日後には出発することを説明した。

 

「そっかー寂しくなるね! せっかくいっぱい色々な物を買ってくれる上客だったのに!」

 

「こらシノン!」

 

「あ、いて!」

 

 また母親にチョップされていたが、それは御愛嬌。

 

 とりあえず布や糸、ゴムに水やお湯を生み出すマジックアイテムを購入していく。

 

 ジパングまでの旅だと1ヶ月以上かかると思うからこれも買っていった方が良いよ。

 

 シノンがマジックアイテムを紹介するが、それは簡易トイレであった。

 

「糞尿を練炭に錬金するトイレで、臭いも気にしなくて済むし、1個で100回は使えるから便利だよ。旅で使わなかったとしてもジパングのダンジョンで使うことができるんじゃないかな?」

 

「それいいな、幾らだ?」

 

「1個400シンク」

 

「そうだな……とりあえず5個買おうか」

 

「まいどあり!」

 

 水やお湯を生み出すマジックアイテムも購入できたし、あとアイテムボックスに簡単に取り付けられるショルダーベルトも購入して、食料品を売っている店へと移動するのだった。

 

 

 

 

 

 

「保存食と言っても3日分が1ヶ月程度持てば十分だから、凄い気にする必要は無いよ」

 

 魔法で釜や窯が作れるので、米を炊くことは簡単にできるため、お米を10キロほど、それに日干しされた魚やベーコン、ソーセージ等のベターな保存肉。

 

 あとはチーズと漬物系を少々、調味料類を買っておけば何とかなる。

 

 道中にも食べられるモンスターがいたりするので、そいつらを狩れば事足りる計算だ。

 

「思ったよりも早く準備できちゃったな」

 

「宿で保存食作る必要も無いね……」

 

 買った食料品をアイテムボックスの中に仕舞って、宿で洗濯していた藤原さんを誘って町で飯を食いに行くことにした。

 

 珍しく天ぷらとうどんが食べられる店があるらしいので、そのお店に行くと、滅茶苦茶混んでいて、相席することになってしまった。

 

「「あ!」」

 

 皆バラバラの席に座ることになってしまい、その中で俺が相席した場所には後藤が横にすわっていたのである。

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