クラス転移したけど俺だけステータス表記が違った   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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ジパング到着 宿決め

 ジパングに到着することを優先したので、毎日6時間近くキングスライムに乗って移動したのと、クリエイティブモードによる難所の飛行でのスキップが可能になったことで、移動時間が大幅に短縮。

 

 その結果、当初7日を想定していたが、5日でジパングの国境までたどり着くことに成功したのだった。

 

「ここが迷宮国家ジパング……かぁ」

 

 迷宮による利益で国を回している為、言ってしまえば都市国家とも言える。

 

 広さは東京都23区くらいの大きさでその中心部に巨大な塔がそびえ立っていた。

 

「次!」

 

 属国とはいえ国境なので、衛兵が立っており、手荷物検査と身分証の提示をしなければならない。

 

 まぁ俺達の場合収納の能力があるので、意味はないのであるが……。

 

「身分証の提示」

 

 俺達の番になり、身分証代わりになる冒険者のプレートを提示する。

 

「ふむ……冒険者か、犯罪歴は無し……通ってよし」

 

 プレート見ただけでわかるのかという話であるが、一応冒険者のプレートに犯罪歴があったりすると、ギルド側がプレートに注意書きをする場合があるらしい。

 

 他にも指名手配とかされていると国境付近には直ぐに通達が行く仕組みになっているとのこと。

 

 門をくぐると、外周部でも結構な賑わいで、普通の町くらい発展していた。

 

 奥に進めば進むほど賑わいは増していくが、普通の町との違いは奴隷商人が町中に立派な店を出していることだろうか。

 

 この国特有のシステムで、迷宮奴隷と呼ばれるらしい。

 

 俺達みたいな新人冒険者が迷宮に挑む際に多額の融資を行い、借金漬けにし、返済が滞ると奴隷にしてしまうという恐ろしいシステムであったり、各地の少数民族とかが売られていたり……。

 

 迷宮国家故に、迷宮の産物で経済を回しているので、潜る人を増やすため、ゲルマ王国よりも奴隷経済が発展していたりするらしい。

 

「光もあれば闇もある感じか……」

 

 凄い賑わっているように見える迷宮国家ジパングでも魔王との戦争の影響で、一流半から二流くらいの冒険者達が兵士として引き抜かれて、その穴埋めに今まで以上に奴隷が酷使されているとのこと。

 

 なんともまあ……闇が深そうな……。

 

 とりあえず宿探しから始めなければならない。

 

 出来れば迷宮に近い方が良いが、そういう宿は高級宿で、1日の宿泊費が5000シンクくらいすることがあり、貯金があるとはいえ、普通に過ごすことを考えるとなかなか難しい。

 

 立地的に中央のダンジョンから適度な距離かつ風呂がある宿であれば最高なのだが……。

 

 闇雲に探すといってもこの町は宿が多すぎるので、俺達は案内所という大きな町にはある、金を支払えば情報を色々教えてくれる場所へと向かった。

 

 

 

 

 

 

「いらっしゃいませ」

 

 案内所の壁にはびっしりと広告の貼り紙が貼られており、店員と思われるおばさんが俺達の対応をしてくれた。

 

「ふむふむ、風呂付き、出来れば食事付きで、1人1泊1000シンク以下の宿ね……それなら結構条件に当てはまるわよ」

 

「ありますか」

 

「ええ、ちょっと待ってね、リストを提示するから」

 

 おばさんは少しすると紙束を持ってきて、いくつか紹介してくれた。

 

 ただ1つ気になった宿があった……。

 

 他の宿が1泊900〜700シンクくらいなところ、その宿は1部屋1000シンクの6人部屋対応って書いていたので、5人で割ると200シンクの破格の安さであり、風呂付き、飯付きをうたっている。

 

「これ経営成り立っているんですか?」

 

「ああ、ホノカ亭ね……」

 

 話を聞くと、双子の姉妹が経営している宿で、彼女達の両親が不慮の事故で最近亡くなって、若い2人がきり盛りしているらしいが、料理の質の低下や宿の老朽化も重なって、経営が傾いているので、とにかく新しいかつ長期間滞在してくれる客を取りたいらしい。

 

「ここに注意書きで2ヶ月以上滞在してくれるパーティーに限りこの値段と書かれているでしょ」

 

 よく見ると小さく注意書きでそんなことが書いてあった。

 

 普通ならこんな地雷みたいな宿には泊まりたくないのだが、俺だけでなくミンナ以外の藤原さん、マリー、そしてアリスはこの宿に何かを感じるって言っていた。

 

「オススメはしないけどどうする? うちとしても知り合いの娘さんたちだから力になってやりたい気持ちはあるけど、商売だからねぇ」

 

「とりあえずこのホノカ亭に行ってみます。ダメそうなら紹介してくれた別の宿に向かいます」

 

「はいよ」

 

 俺は100シンク情報料として支払い、ホノカ亭へと向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

「ここがホノカ亭」

 

 外観は悪くない。

 

 老舗の宿って感じがするし、しっかり掃除されているなっていうのを感じる。

 

 中に入ってみると、カランカランとドアベルが鳴り、タタタっと2人の足音が聞こえてきた。

 

「お客さん!」

 

「お客さんやな!」

 

 赤髪と青髪の少女達が出迎えてくれた。

 

 マリーと同じ年くらいだろうか……。

 

「こんにちは、他所から来た冒険者やってる斎藤です。仲間の藤原、ミンナ、マリー、アリスの5人何だけど、部屋は空いてますか? 一応案内所の紹介を受けてきたんだけど」

 

「あ、空いてるで! こっちや!」

 

 ちょっと関西弁っぽく話す青髪の少女が案内してくれた。

 

 宿の中をみるが、掃除は行き届いているものの、ところどころ補修の跡が見れる。

 

 少女達がやったわけじゃないんだろうが、外観よりもボロっちく感じてしまう。

 

 6人部屋に案内されると、広々とした部屋……なのだが、洗濯されてはいるが布団が古くなっている感じで、ちょっと色が黄ばんでいたり、クローゼットの引き戸の立て付けが悪くなっていて上手く開かなかったり……。

 

 お風呂を見せてもらったが、男風呂が故障しており、男女混浴になっていたりと色々問題が散見される。

 

 修理をする費用を捻出することができないっぽいな。

 

 掃除は行き届いているから、頑張っていることはよくわかる。

 

 台所でもレシピ本を開いて料理の練習をしていたのだろう。指に包丁でケガしたきり傷ができていたりして、頑張っているが、空回りというかなんというか……。

 

「斎藤君……泊まってあげない? 混浴でもいいからさ……斎藤君ならここの問題何とかしてあげられるんじゃない?」

 

「うーん……」

 

 藤原さんに言われて少し悩むが、確かに自分達より幼い少女達が必死に頑張っている姿を見ると、家族で支え合って農園をやりくりしていた実家を思い出してしまう。

 

「……わかった。俺もここに泊まろうと思う」

 

 他の女性陣達も了承してくれて、結局ホノカ亭に泊まることになるのだった。

 

 

 

 

 

「若女将さん達の名前を確認しても良い?」

 

「あ、はい! うちがホノノカ・アオイです」

 

「私がホノノカ・アカリです!」

 

 青髪の方がアオイで、赤髪がアカリらしい。

 

 まぁ、名前からしてそんな予感はしたけど……やっぱりそうだったか……。

 

「とりあえず6人部屋を5人で使っても良いってことだよね」

 

「そうやね。食事は朝食と夕食付き、別料金で昼食も作るわ」

 

「昼食は要りますか?」

 

「とりあえず夕食を食べてから考えることにするよ。出来れば汗を流したいから、先に女性陣から風呂入らせてもらっていい?」

 

「は、はい、じゃあ私が案内します」

 

 風呂場に女性陣が移動し、俺は残ったアオイに2ヶ月分の宿泊費を先に払う。

 

「これ宿泊費ね」

 

「6万シンクですね……今お釣り出しますから」

 

「あ、迷惑かけるからお釣りの4000シンクは君達へのチップね」

 

「い、いいんですか!」

 

「いいのいいの。その分ダンジョンで稼がせてもらうから……出来れば後の庭でちょっと作物を育てたいんだけど、一角使っても良いかな?」

 

「どうぞどうぞ。一応何を育てるか聞いても?」

 

「うーん、まぁいっか……ステータスの種を育てる」

 

「す、ステータスの種ですか! 栽培が難しいと言われているあの!?」

 

「そう、それ。黙っててくれるなら君達姉妹にもステータスの種少し分けるけど」

 

「いいんですか?」

 

「その代わりに育てているのは黙っていてよ。アオイとアカリってステータスの役職が料理に適してなかったりするんじゃない?」

 

「案内所の人に聞いたんですか?」

 

「案内所からは料理が微妙って聞いてね……技術不足か、職業が向いてないかのどっちかかなって」

 

「……今知り合った人にいうのもあれなんですが、うちの役職は掃除屋でアカリが見習いメイドなんですよ……どっちも役職としては下位職になるので、なかなか厳しくて……両親の手伝いも掃除と受付ばっかりやってきた弊害なんですけど……」

 

「そうなのか……料理だけどもしよかったら藤原さんに学ぶと良いよ。彼女基本的な料理は作れるし、役職が家事手伝いからハウスキーパーに転職できた感じだから」

 

「は、ハウスキーパー! メイド職の最上位の役職じゃないですか! なんで冒険者やってるんですか?」

 

「確かに藤原さんは戦闘能力は低いけど、ステータス的には頼りになるし……」

 

「ダンジョンにはなるべく連れて行かないほうが良いですよ……戦闘職以外で行くと痛い目見ますよ」

 

「やっぱりそうなのか?」

 

「うちも潜ったことはないんやけど、大丈夫やろと油断して挑むと大抵大怪我をするか命を落とすので……」

 

「肝に銘じておくよ」

 

 そんな話をしながら、俺は部屋の鍵を受け取ると、部屋で荷物整理を行うのであった。

 

「さてと、ちょちょっと布団を綺麗にしますか」

 

 黄ばんでいた布団を手で掴み、インベントリに収納すると、繊維素材に戻してしまう。

 

 そしてよ横の布団を見ながら黄ばみを取った状態で、再び布団に再加工すれば、新品同然のきれいな布団に生まれ変わる。

 

「よしっと、あとはガタついている扉を修繕して……」

 

 俺はクローゼットの扉のガタつきを直し、他にも床が抜けそうな板を木材で張り替えて、上から周りと同じ色に塗り直したり、部屋に置かれている椅子の背もたれのクッション部分がぺったんこになっていたので、綿を詰めなおしたりしていった。

 

 そして、アオイを呼んで、庭の一角を許可取って鍬で耕し、ステータスの種を蒔いて、大豊作の技をかける。

 

「これで明日の朝には収穫できるはずだ」

 

「はえ~農業系の能力持ちだったんですか」

 

「まぁそんなもんだ。あと部屋の布団ちょっと見てもらいたんだが……」

 

「あ、黄ばんでますよね……すみません」

 

「いや、しっかり洗濯しているのはわかるから謝ることはないんだけどさ」

 

 俺はアオイと風呂場から戻ってきたアカリを連れて部屋に戻ると、布団が綺麗な白色に直っていることに2人は気がついた。

 

「能力で新品同然にすることができるからもしよかったら他の布団も綺麗にしようか?」

 

「い、いいんですか!」

 

「いいよ」

 

「お姉ちゃん! よく見たらクローゼットのガタつきや床のきしみも直ってるよ! 椅子の背もたれも!」

 

「もしかしてこれ全部さっきの短時間に?」

 

「ああ、これから長くお世話になるから軽く修繕したけど」

 

「お客さんに手を煩わせてしまってすみません! でも本当に助かりました! お金払うので宿の修繕手伝ってくれないでしょうか!」

 

「お願いします!」

 

 アオイとアカリに頭を下げられたが、別に俺は気にする必要は無いよとお代は結構だからと依頼を受けるのだった。

 




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