クラス転移したけど俺だけステータス表記が違った   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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宿決め 2

 ホノカ亭の布団だけでなく、タオルや座布団等の敷物、シーツとか布製品をアオイとアカリの2人に運んでもらい、俺は次々に新品に再加工して渡していった。

 

「す、凄い! サイトウさんって複数の能力を持っているんですか? それともこれも魔法?」

 

「秘密にできる?」

 

「え? 聞いちゃいけなかった感じですか?」

 

「俺が異世界人って言ったらどう思う?」

 

「異世界人……あ、転移人ですか! もしかして勇者と一緒によばれる! この前隣のゲルマ王国で勇者の召喚に成功したって話を聞いたので……もしかして」

 

「それに巻き込まれた1人なのよ……まぁ役職は農家で、能力はファーマーっていう農業とかに関係する能力がほとんどだけど……俺が冒険者やれているのはモンスターを捕まえて使役できる能力があるから何だけどね」

 

「あぁなるほど! モンスターテイマーだったんですね。でもそれだと農家じゃなくてモンスターテイマーとか魔物使いとかの役職になるんじゃ?」

 

「モンスター捕まえてるの能力由来だからな……ちょっと一番わかりやすいのこれかな」

 

 俺はステータスオープンと言って彼女達に俺のステータスを見せる。

 

 後々思うとステータス見せるのは迂闊だったが、アオイとアカリが誠実な人柄と客の個人情報を守るタイプで広まることはなかったが、ミンナに忠告された。

 

 で、ステータスを2人が覗き込むと、数値ではなく英語表記だったり、ズラッと並べられた技に驚いていた。

 

「もしかしてこの技全てが能力だったり?」

 

「そう。どれがどんな能力かは2人への信頼が足りないから言えないけど、布団とかを綺麗にできるのも、庭でステータスの種が育てられるのも能力由来何だよね」

 

「す、すごい! すごいやん! サイトウさん!」

 

「でも冒険者よりも田舎で農業をやっていた方が大成できそう?」

 

「うん、俺もそう思うよ。だから冒険者として金を稼いで、勇者がきっと人類の勢力圏を押し返してくれるから、その空いた土地に入植して大農園を作るのが俺の夢なんだ」

 

「転移者だからかもせんけど、夢が独特やね……普通冒険者って財宝とか見つけて金持ちになりたい、プラチナ冒険者になって皆からチヤホヤされたいみたいな事を夢にするけど」

 

「でもお姉ちゃん、言ってしまえばサイトウさんはある程度お金が貯まったら冒険者辞めて、田舎に行くっていうのは普通の冒険者の成功者の感じに似てない?」

 

「確かに……そう言われてみれば」

 

 2人は俺の夢を馬鹿にするのではなく、自分の価値観と照らし合わせて、確かに……と納得がいった様子。

 

 これだけでも普通に好感が持てる。

 

「とりあえずお金も支払ったし、数日はこの宿で旅の疲れを癒してからダンジョンに挑もうと思うんだけど……その間に宿でガタが来ている部分は直すよ」

 

「いいんですか?」

 

「だって当面お世話になる宿だから、その宿が困ってたら助けるのも長く居座る客としては当たり前だと思うけど」

 

 まぁ普通は客にそんな事をやってもらうなどありえないけど、自分達より幼い少女2人がきり盛りしているのにただ何もしないのは俺の良心が痛む。

 

 布製品を綺麗にするのを終えたくらいで、女性陣が風呂から上がってきたので、俺は藤原さんに、

 

「アオイとアカリの2人の料理を見てやってくれないか。藤原さん、料理得意でしょ?」

 

「え、うん。良いけど……お店で出せるような料理は作れるか分からないよ」

 

「普通に一般的な家庭料理で良いからさ……もしかしたら2人はそれすらできない可能性があるから」

 

「うん……わかった」

 

 藤原さんに若女将の2人を見てもらって、俺は風呂に入りに行くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

「湯船が本来2つ使えるところ片方しか使えなくて……シャワーも3分の1が壊れているのか……」

 

 使えるシャワーもノズルにガタが来ていたり、水圧が弱かったり……。

 

 生き残っている風呂は適温で大丈夫そうだけど、これ早く修理しないとまずいかもしれないな……。

 

「残った湯船が壊れたら、風呂なくなっちゃうしな……俺の能力だと井戸掘りはできても魔道具で湧かしている湯船を作るのは難しいからな……」

 

 お湯を出すだけならシャワーみたいにお湯を出す魔石を取り付ければ解決するが、排水を含めた物を直すのは今の俺には難しい。

 

「アリスならできるか?」

 

 アリスの錬金術や古代の技術を含めれば修理できるかもしれないと思うが、まぁ最悪貸付ってことで融資して修理業者呼べばいいか。

 

「ふう……直感的にここの宿が良いって俺だけでなくミンナ以外の3人も感じたってのが気になるな。何かあるんだろうな……普通の宿とは違う何かが……」

 

 ミンナが言っていたが、冒険者になって直感は大切にした方が良いと言っていた。

 

 特に嫌な予感は大抵当たると思ったほうが良いと。

 

 ホノカ亭は嫌な予感ではないが、何かを感じたので、直感に従った。

 

「まぁ若女将の2人も悪そうな性格をしているわけじゃないし、若干情報喋りすぎた気がするけど、長期間滞在するからバレるだろうし……他の客が来るまでは自由にやらせてもらうか……店の修復とかの恩を売っておけば、俺達の損になるようなこともしないだろうし……」

 

 なんか色々考えるときはいつも風呂に入っている気がするな。

 

 実家にいた頃からそうだけど、考えを整理する時に入浴していると考えがまとまるんだよなぁ……癖だろうな。

 

「ふう……しっかし……俺の周り見事に女ばっかりだな……男で気兼ねなく喋れる奴が欲しい……」

 

 そんな事を考える俺だった。

 

 

 

 

 

 

 

 風呂から上がって、食堂に向かった俺は、他の女性陣達が台所を覗いているのが気になった。

 

「どうかしたか?」

 

「あ、サイトウ……実はね」

 

 マリーが説明してくれたが、ホノノカ姉妹は料理の腕がとてもお客さんに出せるレベルではなく、基礎的な事から藤原さんが教えていたらしい。

 

 で、藤原さんが2人に色々教えながら料理を作っている様子が面白くて3人は暖かい目で見守っていたとのこと。

 

「マリーもせっかくの機会だから料理を覚えてみれば?」

 

「……確かに! 趣味として料理を覚えるのは楽しいかも……ここなら料理の勉強をするっていう理由で台所に立っても邪険にされることはないだろうし!」

 

「まぁ今日は中途半端なタイミングで参加したら迷惑だからやめておきなよ」

 

「はーい」

 

 そうこうしていると、料理が出来上がり始め、食器によそい始めたので俺達はテーブルに移動することに。

 

「いただきます!」

 

 作られた料理は肉じゃがとアボカドっぽい果実とモヤシを軽く炒めてレモンで和えた物、キャベツとじゃがいもの味噌汁、それにご飯という感じで藤原さんが得意とする家庭的な料理であったが、どれも美味しい。

 

 アオイとアカリの2人も自分達が手伝ったのもあるが、ちゃんと美味しい料理が出来たと喜んでいた。

 

 味音痴というわけではないっぽい。

 

『手が痛々しいね……ヒール』

 

 アリスが2人の傷だからけの手を見て可哀想に思ったのか、治癒の魔法をかけて上げると、きり傷とか火傷痕が綺麗に治り、いきなり痛みが引いたことに驚いていた。

 

 ニコッとアリスが笑うと、ホノノカ姉妹は嬉しそうにお礼を言っている。

 

「食器はうちとアカリが洗っておくので……本当にありがとうございます!」

 

「助かります! 皆さんはうちにとっての救世主です!」

 

 2人は深々と頭を下げる。

 

 そんなことしなくていいのにって手で制する。

 

「じゃあ明日宿の修繕するから、補修してほしい場所朝に教えてね」

 

「「はい!」」

 

 俺達は部屋に移動するのだった。

 

 

 

 

 

「明るくて元気な子達で良かったね」

 

「そうだな」

 

 俺は2人にステータスを見せたって事を話すと、ミンナが若干呆れ気味に、

 

「サイトウ気を緩め過ぎ、確かに王国から離れたからゲルマ王国に連れ戻されるってことは無いけど、あなたの能力は奴隷に落としてでも欲しがる人は多いんだから。それにこの国ではゲルマ王国よりも奴隷への法制度が緩いんだから……気をつけてよ」

 

「すまん、でも2人には何れバレると思ったからな」

 

「もう……」

 

 それ以上はミンナは何も言わなかったが、俺は気をつけようと気を改める。

 

「数日は旅の疲れを癒やすでいいだろ。町を散策とかして、ダンジョンに挑むのは1週間、遅くても2週間以内が良いな」

 

『そうですね、焦っても仕方がありませんからね』

 

「うん。いいと思うわ」

 

 アリスとマリーの2人も納得してくれた。

 

「さてと、俺は明日ここの宿の補修をするから、ミンナ引率でアリスとマリーの3人はこの町についていろいろ調べてくれないか。ダンジョンに挑むのに奴隷を購入したほうが良いならそれも俺は視野に入れてるから」

 

「奴隷……買うの」

 

「場合によってはな」

 

 藤原さんが複雑そうな顔をしているが、ヴァンパイアかつ元王女のマリー、古代天使のアリス、転移者かつ色々な能力持ちの俺、同じく転移者の藤原さん……ミンナ以外何か抱えているやべぇ面子である。

 

 秘密を共有できるほど信頼関係を築ける仲間が得られるのであれば良いが、だったら奴隷買って契約で縛ってしまった方が手っ取り早かったりする。

 

「うん、情報漏洩気にするのにホノノカ姉妹に喋ったの俺自身行動が矛盾してるじゃねぇか!」

 

 自分自身で突っ込みを入れたが、やってしまったことは仕方がないので切り替えていく。

 

「一応どんな奴隷が売っているのか、相場はどれくらいかとか調べてくれないか?」

 

「『了解』」

 

「藤原さんはホノノカ姉妹に引き続き料理を教えたり信頼関係の構築をお願い、役職が料理下手に関与しているならステータスの種を与えてステータス上げて上位職に転職させるっていう更なる恩を売り込んで縛るから」

 

「わかった」

 

 とりあえず明日以降の方針を固めた俺達は道中の町で買ったお菓子を広げて食べようとするが……

 

「せっかくだからホノノカ姉妹を呼ぶか。女子だからお菓子好きでしょ」

 

「じゃあ私呼んでくるよ」

 

 マリーが部屋を出てホノノカ姉妹を呼びに行き、ホノノカ姉妹を含めてお菓子パーティーを開くのであった。

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