クラス転移したけど俺だけステータス表記が違った 作:星野林(旧ゆっくり霊沙)
「アオイ、アカリゲットだぜ!」
という何時もの定番は置いておいて、とりあえず2人を直ぐに外に出す。
「これがサイトウさんの別の能力……」
「人間もテイムできるなんて聞いてないよ……」
「言ってないからな。でも仲間になったからにはこちらが全面的にバックアップするから安心してくれ……でだ、まずはもう捕まえてくれる可能性は低いけど、金を盗んでいったおじさんを捕らえてもらう為に行政に相談すること、そして支払いの再度遅延を願い出た方がいいんじゃないか?」
「いや、サイトウそれは悪手だ」
ミンナのストップが入る。
理由を聞くと、行政側は一部なら資金が戻ってくることを期待して1ヶ月の猶予を与えてくれたことになるので、支払い能力が無いと分かれば早期にきり上げて差し押さえに動く可能性が高いとのこと。
場合によってはその場で捕らえられて奴隷として売られる可能性もあるので、黙っていた方が良いらしい。
まぁ日本と行政能力にも差があるし、この国の法律では奴隷が認められているから、そういうこともあるのだろう。
「アオイ、アカリ……サイトウの能力がバレると更に面倒くさいことになるから、秘密にしておいてくれ。その代わりに恩恵は凄いから期待していると良いよ」
「「は、はい!」」
こういう時に城に勤めていたミンナは法律関係にも詳しいので助かる。
借金を返済する必要はあるが、俺達にとって都合のよい拠点ができたというのは大きい。
従業員であるアオイ、アカリの2人も捕獲して秘密の共有もしたし、借金の返済を手伝っている間は俺達の情報を他所に漏らすことも無いだろう。
さてさて、大幅にダンジョンの踏破計画が狂ったのは事実。
金策に重きを置かなければならない。
俺達は風呂に入って汚れを落とした後に、食堂に集まり、地図を広げる。
「安全と金策両方を考えると30階層でモンスターを倒していくのがいいね」
ミンナが30階層で出てくるモンスターを紙に書き出していく。
5階層のボスだったストーンゴーレム、スケルトンの上位種のポーンスケルトン、少し大きく知能が人並みにあるホブゴブリン、吸血コウモリ、額に銀の小判を付けているシルバーキャット。
あと星型で中央に少し大きな魔石が埋め込まれていて、同階層の他のモンスターを召喚するスターマンというモンスターも少数湧くらしい。
「でだ、狙うとしたらモンスターハウスに飛び込んで、仲間のモンスターにモンスターハウスのモンスターを倒してもらうのが一番金になるかな」
ただ長時間戦っていると流石に目立つので、長時間戦うなら工夫が必要になる。
「とりあえず明日はこれで挑んでみることにしようか」
どれぐらい稼げるか分からないが、支払期限日はあと25日後……それまでに200万シンクを稼ぎ出さないといけない。
最悪貯蓄が50万シンクあるので、そこから出せば150万シンクで何とかなるが、今後の事を考えると最終手段にしたい。
「明日から朝食食べたら朝一で潜る。今日から夜はなるべく早く寝るようにしてくれ」
『「「了解!」」』
俺もキングスライムや戦闘が得意な仲間のモンスターのレベルを61レベルまで上げておく。
レベル分並列して鍛えるを選択できるから、今の俺だと61体は同時に鍛えられる。
(アオイとアカリは後々だな。時間ある時にレベル上げておこう。もしかしたらレベルの補正もあって藤原……綾乃みたいに真ん中すっ飛ばして上位職でも更に希少な職業に成れる……みたいな事があるかもしれないし)
とりあえず彼女達に関しては後。
レベルを上げたモンスター達で物量で殴る。
これに限る。
(とりあえず、どれだけ稼げるか分からないけど、明日1日でどれぐらい稼げるか計算して……最低でも平原でスライム大量に狩るよりは稼げてくれないと……)
そんな事を考えながら、俺は眠るのだった。
翌朝、朝食を食べた俺達は早速ダンジョンに挑む。
通常の冒険者ギルドと違って1日中冒険者ギルドが開いているので、ジパングの早朝は逆に冒険者が少ない。
ダンジョンが開かれる朝6時頃は深めに潜る上位の冒険者が殆どで、その人達が入場し終わると、8時頃まではポツポツで、8時から10時にかけてが入場のピークタイムっていうのをダンジョンに潜る前の事前準備で知っていたため、6時半という今の時間は穴場の時間だったり。
ダンジョンに潜った俺達は1階中央の下り階段まで到着すると、皆捕獲状態に戻り、俺はクリエイティブモードになって、一気に地下30階層まで床抜けを行う。
落下している浮遊感がしてそれがむずむずする。
落下している距離的に30階層だろうなって場所の通路に降り立った俺は、他のメンバーを外に出す。
「2分もせずに地下30階層か……普通に来るんだったら片道2時間半は掛かるんだけどね」
「往復5時間を往復4分に短縮って……他のパーティーやってらんねぇな」
とりあえず現在地がわかる場所まで移動してから地図を確認する。
目星はつけていたが、2分ほど歩くと大部屋に行き着き、モンスターだったり宝箱が置いてあったり……。
「うん、宝箱が置いてあるってことはたぶんここらへんだ」
地図を持っていたミンナが場所を特定する。
とりあえず宝箱を開いてみようとアリスが近づくと、ミミックであり、ガブッと齧られた。
防御力の高いアリスは特にダメージを受けることなく処理してアイテムボックスに速攻加工していたが。
他にもこの部屋にいたモンスターはニャンとカグヤが俺の作った六角棒(鬼の金棒と言ったほうがわかりやすいか)を振り回して、速攻倒して安全を確保。
「ここから東に進んだところに1箇所目のモンスターハウスがあるね」
「じゃあ……キングスライム軍団にエレキマッスル、テディベア達を出すか」
戦闘能力が高いモンスター達を出してモンスターハウスに突撃させる。
「皆、スターマンってモンスターは弱らせてこっち持ってきてくれ。捕獲するから」
『ん、『はーい』』
代表してクラリンとメタリンが返事をしてくれた。
モンスター達が突っ込むと、無数のモンスターが転送されてきて、部屋中に大量のモンスターで溢れかえる。
仲間のモンスター軍団の数も多いので、日曜日のショッピングモール並みに激混みである。
ただ仲間のモンスター軍団はステータスに補正がかかっている影響か、30階層程度のモンスターの攻撃だとダメージも入らずに虐殺が続く。
途中でキングスライムが弱らせたスターマンを運んできてくれて、俺が捕獲していく。
20分くらい虐殺が続くと、モンスターの召喚が終わったらしく、どんどん仲間のモンスター軍団に倒されて数を減らしていった。
30分後には片付いて、大量の魔石と亡骸、宝箱が転がっていた。
「回収!」
仲間達と一斉に回収作業を行う。
モンスターの亡骸を集めて、範囲指定し、技の剥ぎ取りを選択してモンスターの素材を一気に分解したのを分別しながらアイテムボックスに詰め込んだり、宝箱を開けていって、中身を確認し、ミミックだったらアリスに渡してアイテムボックスに加工。
魔石を拾って袋に集めること20分。
ようやく全てが片付いた。
「マジックアイテムが5個……幸先は良しか?」
マジックアイテムであれば最低1万シンクになるので、それが5個宝箱から出たので5万シンク以上は確定。
他、魔石が600個、素材も結構な量集まっている。
「よし、ミンナ。次のモンスターハウスに移動しようか」
「うん」
モンスター軍団は一度収納して、別の場所に移動。
モンスターハウスに到着したらモンスター軍団を出して戦わせ、その間主力メンバーは休憩。
モンスターが湧かないくらい倒し終わったら全員で素材の回収を繰り返すこと5回。
30階層のモンスターハウスを全て回りきり、モンスターハウスの湧き直しが時間かかるのか出てこなくなってしまった。
「よし、じゃあ俺達が降りてきた場所まで戻ろう」
30階層に床抜けで降りてきた場所に印を付けていたので、そこまで戻り、横の壁を範囲拡大からの穴を掘るで大穴を空けた。
「これ、ダンジョン崩落したりしないよね」
「しないんじゃないか?」
一応壁を補強したりして、セーフティエリアを作って、騙し絵みたいなダミーの壁で出入り口を隠す。
「これでよし……あとは」
先ほどの捕まえまくったスターマン軍団を出す。
「スターマン達、お前らモンスターを召喚出来るよな? この部屋にこのフロアのモンスターを順次召喚してくれ」
するとスターマン達は体の魔石をピカピカ光らせて返答すると、次々にモンスターを召喚していく。
召喚されたモンスターは困惑するが、こちらを見つけると襲いかかってくる。
「じゃあここは私に任せてもらおうかな!」
マリーが前に出ると右手の指をピストルみたいな形にしてまっすぐ伸ばし、
「サンダーボルト!」
そう叫んだ。
バチバチっと指先から無数の落雷が飛び出し、部屋中にいた敵モンスター達に連鎖しながら感電させていく。
一見電撃が効かなさそうなストーンゴーレムもマリーの電撃攻撃の威力が強すぎたのか、身体中から煙を出してバラバラに砕け散った。
その間もスターマンは召喚を続け、マリーが電撃を放出し続けるので、召喚された瞬間に感電死するモンスターが続出。
山積みになる宝箱、散らばる魔石、電撃なのであまり傷つかない素材……10分後、30階層のボスモンスター以外を全て召喚し終えたのか、スターマン達の召喚は終わり、褒めて褒めてと俺の周りに集まってきた。
「よしよし偉いぞ」
1体ずつ撫でて褒めてから捕獲状態に戻していき、散らばった素材を回収していくのであった。
「30階層のモンスターを狩り尽くして、6時半からスタートで、今の時刻が13時。魔石だけでも4000個買取価格が5個で200シンクだったはずだから……これで16万シンク。マジックアイテムが20個で最低20万シンク、他素材多数だから……45万シンクくらいは稼げたんじゃないかな?」
「森や平原で稼いでいた頃よりもやっぱり稼げるな。これなら5日で200万シンクは稼げるか……はぁ……良かった……」
俺はホッと胸をなで下ろした。
何なら借金全額の2000万シンクも2ヶ月かからず完済できる計算である。
「今日のでサイトウレベル上がった?」
「ああ、2レベル上がった」
「あれだけ倒して2レベルだけか……」
「まぁモンスターの強さ的にはイエローベアー以下って感じだから妥当じゃないか? でもこの調子ならもう少し下の階層に行っても良いかもな」
「今でも十分に稼げていると思うけど?」
そうは言っても、俺の目標は大農園を作ること。
20億シンクとはいかなくても、それに近い金額は稼ぎたい。
1日45万シンクで仲間達にお小遣いとして1万シンク渡すとすると……アオイとアカリ2人も含めると8人で8万シンクは絶対に渡す。
となると37万シンク……1年頑張っても1億2000万シンクにしかならない。
これでは目標金額に10年単位でかけなければならない。
そんな悠長にしていたら勇者である園田が魔王倒して、解放された土地の分配も終わっているだろう。
長くても5年で貯めたい。
「まぁ基本30階層で今日みたいに稼ぐので良いと思うんだが、仲間の強さ的にもっと下の階層でも稼げると思うから、情報集めながら、下の階層にもね……ね!」
「はいはい、リーダーのサイトウに従いますよ私達は!」
ミンナも折れてくれたし、マリー、アリス、ニャン、カグヤも頷く。
「基本下の階層の偵察は俺がクリエイティブモードでやるし、捕まえられそうだったら捕まえて、データ引っこ抜くから……一応護衛としてアリス借りるけどいい?」
『私は構いませんよ』
「でも、とりあえずこの階層のボスに挑みません? ボスは25階から30階層下の強さのモンスターがでてくるんですよね?」
「マリーの言う通り、今日はボスに挑んでみて……出来れば下の階層を探索するサイトウとアリスの2人をメインに戦ってみようよ」
ミンナがそう提案して、俺とアリスで30階層のボスに挑む事になるのだった。