クラス転移したけど俺だけステータス表記が違った 作:星野林(旧ゆっくり霊沙)
アオイとアカリの2人を連れて教会へ行く途中、裏通りへと続く道が気になり、ふと足を止めた。
「サイトウさん?」
「行政の人達と商人には報復したけど、闇ギルドの連中は下手人を倒しただけで、ダメージは入れられてないんだよな」
「そうやけど、闇ギルドに関わるのはあかんで、関わるだけでもリスクが付きまとう。うちら生きているってだけでも儲けもんやからそんなに気にしてへんから」
「そうか」
俺の中で燻るモヤモヤした気持ちを押し殺し、教会へ再び足を向ける。
教会へと到着した俺達はシスターに献金という名の代金を支払い、早速2人は転職を行う水晶に手を触れた。
「では頭の中に転職できるようであれば選択肢が浮かんでくるはずです……」
「アオイ、選択肢出てくるか?」
「出てきてるで……良さそうなのを考えているところや」
アオイの選択が終わり、水晶がより一層光り輝くが、それが収まると無事に転職ができたらしい。
続いてアカリも選択が終わったらしい。
「お付きの人も転職いたしますか?」
「あ、俺は別にいいです。今の職業で満足しているんで」
「そうですか……お布施が少々高額だったので勘違いしてしまいました」
「お布施が高額なのは気持ちということで」
シスターと話している間にアカリとアオイはステータスを確認して転職ができていることを確認できた。
「シスター、一応名前の感覚で選んだんやけど、職業に付いて聞いてもええか?」
「はい、もちろんです」
アオイの職業はヒーロー、アカリの職業は女将とのこと。
「女将は家事が凄く上手になりやすい職業ですね。宿に関連している人がなりやすい職業ですよ。ヒーローは珍しいです。私も初めて見ました。近接戦闘が得意になる上位職でもレアな職業ですよ。冒険者かなにかで? お二人共凄いステータスをしていますが」
「いや、まぁそんな感じやな」
「ステータスの種をいっぱい食べただけです」
「ああ、お金持ちだったのですね。でもそうでもすごいですね……」
とりあえずステータスの種によるって言っておけば一般人にステータスは誤魔化せる。
教会で転職もできたので、俺達は冒険者ギルドに戻り、2人を冒険者登録を行うことにした。
「スズナリさん、おはようございます」
「おう、おはよう。なんかあったのか? 3日間ギルドに換金しに来なかったから大丈夫か心配したぞ」
「泊まっていた宿が潰れることになって、拠点を移動させていたんですよ」
「なんだ、言ってくれよ。いい宿を紹介してやったのに」
「まぁ拠点は決まったんで、また明日からいつも通りにダンジョンアタックするんで」
「おう、それでこの嬢ちゃん達はどうした?」
「この子達が新しい仲間候補ですよ。冒険者登録したいんでお願いできますか?」
「ああ、構わないぜ」
スズナリもアオイとアカリのステータスを見て驚いていたが、長年ギルド職員をやっているだけあり、深くは聞かなかった。
こういう気遣いがありがたい。
ホノノカ姉妹も無事にアイアンの冒険者に登録を終えて、倉庫の方に向って、倉庫経由でホノカ亭に戻るのであった。
「ようやくしっかりとした前衛職ができたね」
「まぁでも誰かに武芸を習った感じでも無いから……アオイ、前衛としての技能を積むために剣技とかを教えてもらう道場に通うか?」
「ええん?」
「いや、俺ら教えられないし……」
「じゃあそうするわ。でも知り合いに道場の関係者はおらんで?」
「ちゃーんとさっき受付のスズナリに聞いてきたよ」
俺はスズナリから教えてもらった冒険者向けの道場を数箇所リストを渡した。
「はえ~、どこが一番強くなれそうなんやろ?」
「とりあえず数箇所回ってみて、それで良さそうなところに弟子入りすれば良いから」
「ういうい」
再び地上に移動してアオイを連れて道場のある場所へと移動するのだった。
「……」
えー、入門する道場を探していたんですけど、道場の師範と思われる人がニカって笑って俺とアオイを見つめていてめっちゃ怖いんですけど……。
ちなみに今居る道場は門下生を200人以上抱える大きな道場で、有力な冒険者が師範代として多数所属しているとのこと。
「種族が違うな。人の姿をしているが、人の上位にいる存在か……」
師範の人がアオイを見て核心を呟き始めた。
師範代や門下生が
「師範がこれほど興味を抱く少女は何者なのだ!」
と、ざわつき始めていた。
「保護者の方でよろしいか?」
師範が俺に話しかけた。
「は、はい!」
「この娘を1ヶ月我が道場に預けてみませんか。それで冒険者として必要な術を叩き込みますが……」
「アオイどうする?」
「……まぁ住み込みは覚悟したから十分や。しっかり習ってくるからアカリのこと頼むわ」
「了解」
「ホッホッホ……では入門ということじゃな」
この道場本来師範代による入門テストがあるって聞いていたが……なんかアオイは師範に気に入られて直ぐに連れて行かれるのだった。
「というわけでアオイは1ヶ月は帰ってこないから」
「大丈夫なの……それ?」
「お姉ちゃん武芸のぶの字も知らないけど……」
「まぁ師範の先生から悪い人の感じはしなかったし、師範代達がランクの高い冒険者だから、今後の伝手を考えると悪くないかなって思ってな……俺達もアオイが頑張っている間に努力しないとな……ところでアリスが皆の武器を作るって話はどうなったんだ?」
『勿論作っているよ。ただ空き部屋で作るのもあれだから、隣に工房作ってくれないかな?』
「それもそうだな。もしかして武器を作るための施設から作っていたのか?」
『そうだよ。アイテムボックスみたいに簡単に作るんでも良いけど、仲間の武器だからしっかりした物使いたいじゃん』
「お、おう……」
忘れていたがアリスは元は職人として作られた存在なんだよな……そりゃ凝るか。
俺は直ぐにホノカ亭の横にアリスの工房を作り出す。
何でも水を大量に使うからと池の水を使わせてもらうよとも言われた。
ホノカ亭の裏にある池であるが、ちゃっかり無限水源化しており、水を君でも汲んでも減らないことがわかっていた。
技で水源を作ると無限水源になるという知見を得られた。
工房を作り、その中にアリスが使っていた部屋から機材を運び出すが、なんかSFっぽい機械が大量に使われていた。
魔法で動いているのだが、レーザー切断機とか分子調整機とかやべーものがゴロゴロ転がっていて、古代文明の技術の高さを改めて思い知る。
天変地異がなかった絶滅するわけないよ……こんな高度文明を築いていたらさ……。
そんなアリスの工房の中を覗きながらも、俺は新しく作った畑に今朝買った野菜の苗を植えるのであった。
翌日……現在俺達は49階層に挑んでいた。
地図でわかる範囲は50階層まで。
あとモンスターの強さ的に50階層までなら道中のモンスターでも大丈夫だろうと思うため、今後稼ぎ場所となる49階層と50階層に挑む事にしたのである。
あと換金の金額が高いのも理由だけど。
「どうも」
「ああ」
モンスターハウスに向かう道中で冒険者とたまにすれ違う。
広大なダンジョンとはいえ、1日に万単位で人がが潜っているため、地図で描かれている場所が限られている場所ほど人と会うことが多くなる。
基本他の冒険者と出会った場合は会釈して特に話さずにすれ違うのがマナー。
喋りかけてくる場合は無視するのが良いとされている。
それでもあくどい事をしてくる冒険者もいるのだが……。
「到着。じゃあキングスライム軍団頼むぞ」
キングスライムを放し、モンスターハウスの中はモンスターで溢れかえぅてすごいことになる。
モンスターハウスのモンスターが外に出ないように俺達も警戒するが、キングスライム軍団が殲滅を続けるので大丈夫そうだ。
キングスライム軍団も傷が特についている様子は無い。
俺自身レベル70を超えたことでステータスの数値がオールCになり、ステータスの数値が実質3倍になっている効果が如実に出ているらしい。
正直ステータス的には49階層のモンスターはキングスライムの素のステータスにだいぶ近づいているし、1000の数値を超えてくるモンスターもちらほらで始める。
「あと俺的にはうれしいのが」
49階層はキングスライムの1段階下のビッグスライムとホムンクルスの1つ下……ハイピクシーが出てくる点が良い。
ホムンクルスを合成で使うことが多かったので素体をこの階層で手に入れられるのはありがたい。
今頑張ってくれているキングスライム軍団もそのうちクラリンをリーダーにクイーンスライム娘へと素体があるから合成進化させてもいいかもしれない。
クイーンスライム娘の方がステータス上がるし、人型に成れるので、体内に武器を隠していて、人型になって使う……なんて芸当ができる。
アリスの武器次第だけど、そっちのほうが強そうではある。
そうこうしていると、モンスターを倒し終わり、回収フェイズに移行する。
ただ今日の目的は回収が終わった後からである。
「さてと、地図に描かれてないモンスターハウスの奥に行ってみますか……」
「おお、誰も来ない場所なだけあって、宝箱から出てくるマジックアイテムが豪華だ」
相手の名前がわかる眼鏡、ファイヤーボールを誰でも放てるようになる魔法の杖、自動計算機、モンスターを倒すほど強くなる剣……どれも高値で売れるマジックアイテムの数々である。
「ラミーが言っていたけど、時間が経過すれば質の良い物が宝箱から出てくるようになるんだな……」
『あぶ!』
アリスがまたミミックに噛まれてる。
宝箱にトラップが無いかの確認はニャンとカグヤがやってくれるが、ミミックがそれでも飛び出してくることがあるからな。
なぜがアリスを噛み付くが。
『この! アイテムボックスに加工してやる!』
アリスも意地になってミミックと戦っているが、いつも通りだ。
「あ、レベルアップした……お? 地図を作るって技を覚えた!」
ダンジョン探索で欲しかった技を俺はちょうど覚えられたのだった。