クラス転移したけど俺だけステータス表記が違った 作:星野林(旧ゆっくり霊沙)
数日後……早朝のランニングを終えてから、俺は冒険者ギルドに行くと、前日に預けていた素材の換金額を受け取りに行く。
数日前までは換金を待っていたが、次第に慣れて、当初の予定通り、前日に素材を渡して、翌日に前日の換金されたお金を受け取る仕組みになっていた。
「はい、昨日の分の365万シンク」
「スズナリさん、毎日ありがとうございます。これが今回の分で、今日は冒険休むんでよろしくお願いします」
「おう。じゃあ俺も明日は1日休むから、今日の分の素材のお金は明後日に渡すな」
「了解です」
信用取引が成立するようになったので、互いに信用が芽生えているのを実感する。
冒険者ギルドを出ると、ポツポツと雨が振り始めたので、俺は慌てて傘を技で作り出して差し、倉庫の方に向かう。
すると倉庫の前に1ヶ月間別れていたアオイの姿が見えた。
「アオイじゃん」
「サイトウさん、おっすやで」
「道場はもういいのか?」
「いや、まだ通わないかんけど、基礎は叩き込まれて、あとは週1で通う事になったわ……うち居ない間に何か変化あったん?」
「1人新人が増えた。男のバトラーだ」
「ふーん、仲間増えたん」
「まぁホノカ亭で詳しく話すよ」
倉庫の中に入ると、雨が本降りになったが、俺達は倉庫の中の転移のクリスタルを触れると、ダンジョン30.5階層のホノカ亭へと飛んだ。
「お帰りなさい……あ、お姉ちゃんお帰り!」
「ただいまアカリ、元気にしとったか?」
「うん! 元気だったよ!」
俺とアオイがホノカ亭に戻ると、朝食の準備を終えて、皆を起こしに行こうとしていたアカリと鉢合わせた。
そしてその近くには……
「おはようございます! サイトウさん! ……と……アオイさんですね!」
「美少年やん!」
朝食準備の手伝いをしていたバトラーがひょっこり出てきて、俺とアオイに挨拶をし、アオイはバトラーを見て思わず美少年と言い放つ。
俺とアオイは雨に濡れた服を着替えに行き、そして朝食をみんなと一緒にいただく。
「へぇ、49階層と50階層で金策を続けていたん?」
「ああ、一応その下の階層の地図も時間を見て作り続けていて、今60階層までは地図を埋めることができたから、今度から狩場を59階層と60階層に切り替えようと思ってな」
「2階層に渡って狩るのはなんでなん?」
「モンスターハウスの湧き直しの時間的な問題で、狩場を制限しているんだ……あれ? アオイに前に話してなかったか?」
「1ヶ月間武術を習う計りですっかり忘れとったわ。あとはバトラーが加入した流れを聞いてもええか?」
「それはバトラーに聞いたほうがわかりやすいか? バトラー話せるか?」
「はい!」
バトラーが話し始めるが、だいぶ脚色入っていて、なんか俺達の事を褒め称えるような感じになっていたので、時々ツッコミを入れて訂正しながら事情を話していく。
「なるほど、それで今は鬼って種族になったと」
「はい! ステータス的にも前よりも強くなれたのと、この額に出ている角もサイトウさんが作ってくれたニット帽で隠せば普通の人にしか見えませんし! 今は日中は皆さんに着いていって、素材回収の手伝いと、戻ってからは掃除や洗濯、朝食の仕込みの手伝いをしています!」
バトラーは奴隷としてある程度料理は出来るように仕込まれていたらしく、料理の腕は料理練習中のアカリ以上で、普通に戦力になっている。
朝食は俺がランニング行くタイミングで一緒に起きて、綾乃やアカリ、ラミーと一緒に皆の朝食を作ってくれていた。
「はえ~、じゃあうちが居ない間に色々やってくれてたんやな。ありがとうな!」
「いえいえ、アカリさんからアオイさんの事は頼りになるお姉さんと聞いていたので、会えて僕も嬉しいです」
ニコっとバトラーが微笑むと、
「うお、美少年に素直に微笑まれると気持ちがええな!」
アオイ興奮ぎみ。
せっかくだしバトラーはアオイに前衛の基礎を教わればって俺が話したことで、アオイはバトラーに空いた時間稽古を付けるようになり、おかげで不足していた前衛がアオイとバトラー2人が加入したことによって整うのだった。
『できたぁ! できたできたできた!』
朝食を食べ終えて、俺は裏の畑の手入れをしていると、アリスの工房で叫び声が聞こえた。
俺は大丈夫かなーって様子を見に行くと、そこにはアリスが作り出した武器っぽい物が並べられていた。
『あ、主様! ちょうど良かった! 皆を呼んで欲しいな!』
「お、おう……」
俺が女性陣やバトラーを招集すると、アリスが全員分の武器が今完成したと伝えられた。
『お待たせしました! ちょっと主様が重機や車っていう面白い物を見せてもらったから、武器を作り直すことにして時間が掛かったけど、納得のいくものができたよ!』
「どれどれ?」
並べられている武器を見てみると、どれもなんか近未来的でカッコいい。
例えば前衛のバトラーの為に作られた武器は消防斧と呼ばれる斧に近い見た目をしていたが、グリップに取り付けられているボタンを押すと、ブレードが高速で振動して威力を上げたり、瞬時に光の盾を展開したりすることができる多機能斧になっていた。
アオイは道場に行く前に扱い易い剣の形状を希望していたので、軍刀っぽいとにかく頑丈さに重きを置いた刀剣を四振り作っており、その鞘が背中の腰に取り付ける感じで✕にクロスする感じで収納するようになっていた。
ボタンを押すと柄に刃が格納されるので、実際にはライトセイバーとかに近いかも。
前中衛のカグヤとニャンは対となる剣斧(スラッシュアックス)と呼ばれるグリップを回転させることで剣にも斧にも切り替えられ、距離を気にせずに戦える武器を渡されていた。
ステータスのゴリ押しで技能を思わなくても、硬い敵には斧、リーチが欲しい時には剣で戦える様にしているらしい。
で、後衛組には指輪で遠距離で魔法を放つことが出来るドローン(飛行するクリスタル……SF兵器のビットとかに似ている)の様な物を作っていた。
普段はリュックサック型の装置に格納されていて、両手に指輪をハメれば指と脳の感覚で動かすことができるらしく、魔法をより立体的な攻撃ができる補助装置無のだとか。
魔法の威力を高める効果もあるとのこと。
ミンナとマリーの2人に渡されて、俺にはハンドガンタイプの魔銃と呼ばれる、俺自身に魔力が無いから魔石からエネルギーをチャージして、魔法の弾丸を射出する武器を渡された。
「主様には必要かわからないけど一応ね!」
ごちゃごちゃアリスから言われたが、とにかく強い武器を作ってもらったのである。
「アリス、ありがとうな。大切にするよ」
『はい、これでモンスターをバッタバッタと倒しましょうね!』
まぁ、武器を使うってなったら俺が使役しているモンスター軍団を突破されている場合なので、相当追い込まれている状態だけど……な。
とりあえずいつでも使えるように練習しておこう。
バトラーをオーガと合成してからの数日で、俺のレベルは95まで上がっていた。
おかげでまた2つ技を覚えた訳なのだが……いよいよ大台の100レベルが近づいたおかげか、自動掘削みたいな残念技ではなく、普通にぶっ壊れの技を覚えさせてきた。
1つ目は遺伝子組換え……合成と似ていると思ったかもしれないが、合成はモンスターや動物、人間が主体だったが、遺伝子組換えは植物が主体と言っていい。
本来なら何世代も配合しなければならない植物、作物の因子の優劣を調整したり、普通の自然界ではあり得ない……根っこはジャガイモで茎から上はトマトが成るみたいな植物を作り出せる。
モンスターでもそうで、各モンスターの遺伝子を抽出することで、亜種のモンスターを繁殖するを組み合わせると、生み出すことができる。
使い方次第では、本来性別が無くて繁殖できないモンスターに性別を与えて繁殖させる……みたいな使い方もできたりするっぽい。
合成、繁殖する、スポナーを作る……今までの技を組み合わせると相乗効果でヤバいことになりそうな技である。
そしてそれ以上に95レベルで覚えた技はヤバかった。
時間操作である。
ポイントを指定した場所の時間の流れを変更できるという恐ろしい技であり、農業で使えば、大豊作を使わなくても作物を直ぐに収穫できるまで時間の流れを早められる。
ダンジョンで使えば、モンスターハウスで起こっていた湧き時間のクールタイムをスキップしたり、宝箱のマジックアイテムの質を時間をすっ飛ばすことで意図的に高める事ができるのである。
ただ設定するのに5分の時間が必要なので、戦闘中に使うのは現実的ではないが……。
これインベントリというか捕獲状態の人にも時間操作は適応され、鍛えるで1レベルから95レベルまで上げるのに丸2日かかるようになっていたんだが、それを5分に短縮することができるようになったのである。
流石に時間を巻き戻して若返りみたいな事は出来ないっぽいけど。
それでも十二分に強い能力である。
「これ100レベルになったらどんな技を覚えられるんだろうか……」
今の調子だと、あと数日後には100レベルに到達する。
そこでレベルアップが終わるか分からないが……区切りで覚えられる技だから期待しても良いだろう。
「でも次は59階層と60階層で金策して、地図作りが進めば70階層前後で金策を行いたいな……目指せ20億シンク!」
20億シンクまで残り19億2000シンク……。
ここから俺達は稼ぎを加速させていくことになる。