クラス転移したけど俺だけステータス表記が違った 作:星野林(旧ゆっくり霊沙)
即席で作った住居というか宿だけど、風呂場はまだ設備が整ってなくてシャワーだけだったり、トイレが各部屋に1つではなく、各フロアに3つとかで不便な扱いで申し訳ないと思っていた。
しかし、少年少女の若い兵士達は難民キャンプみたいな場所で生活するよりずっと快適だと喜んでいた。
(よかった……ボディソープやシャンプー大量に買っておいて……)
皆で分けながら使ってもらったが、なんとか人数分に行き渡り、あと人数分ギリギリの寝具を用意したので、彼ら彼女らはお腹いっぱいになると倒れるように眠ってしまった。
翌日、俺達は各島の解放作戦を開始。
俺がクリエイティブモードで別の島に移動し、別の島に到着したら、攻撃を開始。
マリーが植物は燃やさないけど人やモンスターを燃やすヘルファイヤーという魔法を放つと、島中から悲鳴や叫び声が聞こえてくるが、燃え終わると、魔王軍の焼死体がいたるところに転がっているので、スライム軍団に掃除をお願いしたり、ミンナは雷撃の魔法で、島中に雷撃を浴びせ続けて、大半の魔王軍を殲滅。
山本もポーションがぶ飲みしながら裁きの礫で魔王軍を殲滅していき、1日半で魔王軍は占領していた4つの島とそこに駐留していた約50万以上の兵士を失うことになった。
最後に残っている五の島には俺が向かい、ゴーレム、星の戦士、エレキマッスル軍団を放出し、魔王軍を殲滅するように指示。
島中から悲鳴が上がっていたが、8時間後には魔王軍の反応は少なくなっていった。
というか追い込まれた魔王軍は人間の死体を生贄に捧げてアンデットドラゴンを召喚して、形勢逆転を狙ったけど、アオイがアリスに作ってもらった巨大な剣でアンデットドラゴンを両断して討伐。
最後のあがきをしていた魔王軍の司令官は捕縛されて、アリスに記憶を読んでもらった後は殺気だった冒険者の中に放置したら、吊るし上げられて、槍て串刺しにされていた。
人の形はしていたが、魔王軍の指揮官が若干エイリアンぽい顔をしていたから、罪悪感は何か湧かなかった。
「で、アリス。記憶を読んでどうだった?」
『うーんとねぇ』
アリスによると、ヤシマ王国を攻める魔王軍は二級戦線だったらしく、本隊ではないとのこと。
しかし、魔王軍全体が人間の軍に比べると少数……全体で500万くらいしか居ないらしく、人間を攫って人間牧場じみた事を行って数をなんとかかさ増ししていたらしいが、それでも魔王軍は徐々に数を減らしている。
それ故に初期の電撃的な侵攻ができなくなり、人類の軍勢と泥沼の消耗戦を繰り広げているらしいが……。
ただ二級戦線であるが、送り込んでいた65万の魔王軍の将兵を失ったのは、魔王軍の戦線を縮小せざる得ない要因になりうる。
それに魔王軍はヤシマ王国を再び攻め込むだけの余力は数年は無いだろうとも言われた。
「じゃぁその事をエリーゼに教えて、ヤシマ王国の王族に伝えてもらわないとな」
ただ気になる情報もあった。
魔王軍には今の俺達……アカリくらいのステータスを持つ猛者が魔王を除いて4人いるらしく、今回の侵攻失敗でそいつが出張ってくる可能性がなきにしもあらず……とのこと。
「そうなったらこっちも全力で抵抗しよう。今は各島にまだ魔王軍の残党が居るかもしれないから、そいつらの討伐が先だろ。でもここまで大多数を倒したから、ここから負けるってことはないだろうがな」
俺達は魔王軍を消し飛ばすと八の島に戻り、エリーゼに報告するのだった。
「1日で侵略されていた魔王軍から解放してくれるなんて……救世主だ!」
「エリーゼ、俺達は別に有名になりたくは無いから……そこら辺は頼むよ」
「うむ、任せよ! 図々しいお願いなのは分かっているのだが、良いか?」
「なんだ?」
「八の島から難民として一の島に移住を余儀なくされていた民があと4800人くらいいるのだが、順次八の島に戻したいのだが……良いか?」
「それは別にいいが、食糧とか寝床はどうするんだ?」
「そこを図々しい願いと分かっているんだが……手伝ってくれないか? 私の体でしか返せないけど……」
「それは別にいいけどさぁ……」
図々しいというか図太いというか……いや、こういう人こそ政治家向きだわな。
というか体でしか払えないって……俺は現状綾乃一筋何だが……。
まぁ俺としても農家やるなら売り先というか消費先が無いと作った作物が捌けないし、農業やるなら労働力が必要だから……5000人近くの島民のうち数十名雇って、労働させればいいでしょう。
というか5000人でこの島の産業回るのだろうか?
「うーん、悩んでいても仕方がないか……とりあえず今ある素材で家を建てていくか。何かやってることが今度は箱庭内政ゲーム化した気がするけど……」
魔王軍を殲滅した冒険者が現れた……というのはヤシマ王国の王族や島長達の間でも話題になっていた。
「ソフィー殿、その話は本当か?」
「はい、私も各島を巡り、大半の魔王軍が壊滅状態に陥っていることは確認できました。耳の良い皆様にもその情報は入っているかと」
エリーゼの代わりとして王宮に赴いていたソフィーはヤシマ王国の上層部に詳細の情報を報告する。
魔王軍の反応が消失したのは王宮に居る者であれば分かっているため、話題は冒険者ギルドに島の統治権を担保に冒険者を呼んでいたので、解放した冒険者に島々を譲らなければならないのではないか……と権力者達は恐れたが、ソフィーは、
「ご安心ください。かの冒険者達は八の島の一部土地を領有することとエリーゼ様を娶る事を条件に、他の島の権利は放棄すると仰っています」
一応エリーゼが嫁ぐと言っておかないと、他の王族からも嫁を押し付けられるからと、エリーゼが斎藤を説得して、婚約状態ということにしておくという了承は得ているし、他の島まで管理は絶対できないから、元の権利者に返していいとも言質を取っていた。
「そしたら我が国の英雄として大々的に表彰をしなければ!」
「本人達がそれを望んでないので勘弁してあげてください。またかの冒険者達は八の島に住むらしいですが、再び魔王軍が攻めてくるような事があれば、率先して討伐に動くと約束してくれたので」
「おお、それはよかった」
自身の権益が守られることを聞いた島長達や王族は安堵すると同時に、国民の人気が爆発しそうな新しい英雄がそこまで姿を表に出たくない……というのも権力者的にはありがたかった。
ちなみにここらへんは東條とマリー、ミンナの入れ知恵である。
元王族、上流階級、王宮勤めで、上層部の考えそうなことはお見通しである。
(壊滅的な被害が出ている八の島の島長の娘を嫁がせるだけで、魔王軍の防衛を担ってくれる冒険者がヤシマ王国に定住してくれるなら安いもんだわな。それにその冒険者は権力欲とかも薄いって周りが思ってくれるなら上々)
ソフィーはニヤリと笑う。
(八の島を復興するにサイトウ様達の力が絶対に必要だし、島民が0.5%まで減少していて、島の土地は幾らでも有り余っている状態だ。何をされても文句言えない立場だしな……)
魔人と言われる人々が仲間にいるが、島民も英雄の仲間を邪険には扱わないだろう。
扱うような人物が居たら締め上げないと……。
(エリーゼ様は難民になった島民達を島に戻す手筈を勧めてくださっている。約5000人の住民を受け入れる住居を造るのに1週間は時間がかかるとサイトウ様方はおっしゃっていたが、普通1週間で5000人分の住居など揃うわけないのだがな……)
エリーゼとソフィーが一の島で奮闘している頃、俺達も奮闘していた。
「主〜、予定の木材運んでおいたぜ〜」
「こらペガ、もっと主様には敬意を持たないと」
「いや、一応前のご主人達は悪人だから討伐されたけど、それでまた捕まえて魔人にされて使役されてるんだからこれぐらいの感じで良いんじゃね?」
「本当ペガが申し訳ないです!」
人手が足りてないので、俺は魔人化できそうなモンスターをどんどん魔人化して、住民を増やしていっていた。
例えば、今目の前でペコペコしているのはユニコーン娘のユニとペガサス娘のペガ。
一応ユニコーン娘とペガサス娘のリーダー格で、ホムンクルスと合成したが、筋肉マッチョの巨女達である。
有り余るパワーで木材を伐り倒すのを手伝ってもらったり、木材や石材を運んだりしてもらっているし……
「おお、主様、あっし達の筋肉が唸っておりますぞ!」
エレキマッスルとオーガを合成し、エレキマッスル側の人格を残したら、マッチョマンという魔人になった。
ボディビルダーみたいに黒光りの肌をしていて、パンツ一丁で働いている変態共であるが、唸れ筋肉と叫びながら、彼らもペガサス娘やユニコーン娘と一緒に建材を運んでくれていたり、ストーンゴーレムのスポナーから湧き出てくるストーンゴーレムを倒して、石材を回収したりしてくれていた。
手持ちにいた合計70体のモンスターが魔人化した事で、作業は早くなり、俺はテンプレ住宅の壁の色や屋根の色を微妙に変えながら、住居を建て続けていた。
ちゃんと住みやすい様に中央に公園(現在資材置き場)を作って、その周りに円形で広がる様に家を建てていき、作業を始めて3日目で進捗率は60%くらい。
所々に無限水源の湧き出る井戸だったり、せっかくだからと上下水道も家々に通していたし、風呂場を作るのがテンプレ住宅だと難しかったので、公衆浴場を設置したりして……。
完全に街作りシミュレーションになっているが……。
ちなみに最初に建てた俺達の住居は街作りの場所的に邪魔な場所だったので移設し、街の端っこに固まっていた。
他にはモンスターが湧かないようにシンボルを設置したり、疫病予防のシンボルを設置したり……徐々に街が形成されながら、建てられていく住居に八の島に残された兵士達は唖然としながらも、
「さ、流石勇者様です!」
と、俺達を持ち上げながら、住民の住処の割り振りを決めていったり、食料や生活物資がどれだけ必要かの計算をするのだった。