クラス転移したけど俺だけステータス表記が違った 作:星野林(旧ゆっくり霊沙)
「東條、そろそろ宝くじの当選発表日だよな?」
島民の子供達に、学校の先生みたいなことをやったり、俺が頼んだ品を日本から買ってきてもらう作業をしていたが、そろそろ宝くじの当たりの日じゃないかって確認すると……。
「確かに今日抽選発表があるみたいだね。確認してみようか」
俺と東條、あと興味を持っていた山本の3人で日本の東條が借りているアパートの部屋に行き、パソコンで抽選結果を確認する。
「えっと100枚連番で買ったから……」
俺と東條、山本は当たり番号を確認しながら、宝くじの記入番号を確認していくが、最初から1等の番号にだいぶ近い。
「これ、もしかしたらもしかするんじゃ……」
「かもしれないね!」
3人で手分けして番号を見ていくと……やっぱりあった1等と前後賞2本が。
「1等5億円に前後賞1億円……合計7億円!」
「こ、これ本当に当たってるのか! す、すげぇ……どれだけ幸運何だよ……」
山本は驚きながらも、幸運特化かつレアリティを★3に上げた事で幸運の値が693と常人の数十倍も幸運になっている東條なら当たるだろうな……とは思ったが……。
早速、東條は銀行に行って宝くじの換金を行い、高額当選者がもらうとされる非売品のその日から読む本を確認。
東條は冷静に手持ちの銀行口座に分散して入金し、それで株を購入することに決めた。
「いやぁ……本当に宝くじ当たるとはね」
「たぶん競馬、競輪、ボート、パチンコ、スロットとかでもある程度の当たりは出せただろうけど、宝くじは非課税なのも大きいよな」
「確かに……」
これで株をやる元手は手に入れた。
「さてと……じゃぁちょっと牧場見学できる場所に連絡を入れてほしい。あと俺と山本のスーツも」
「「牧場見学?」」
「ああ、牛を手に入れる為にね」
数日後、牧場見学の許可が降りた牧場に俺、東條、山本の3人はレンタカーを借りて向かった。
アパートに車を駐車しておくスペースが無いのでレンタカーで済ませるしかない。
一応俺と山本が大学で酪農や畜産について研究していて、東條は親族で車を出してくれる人っていう扱いになっていた。
「「「よろしくお願いします」」」
「ああ、よろしくね。うちみたいな小さい牧場の見学で良かったのかい?」
「ええ、家族経営の牧場について研究していたので、助かります!」
「そうかそうか。ルールを守ってくれるならこちらからとやかく言うつもりはないからね」
「「「ありがとうございます」」」
牧場長は気の良いおじさんって感じで、学生にでも気さくに押してくれる良い人だった。
一応山本が通っていた大学の生物研究会というお誂え向きのサークルがあったので、そこの名義を借りていた。
おかげで怪しまれずに侵入することに成功。
「ここからどうするの?」
「適当に良さげな雌の牛を1頭俺の能力で捕まえる」
山本が牧場長の気を引いている間に牛を1頭捕獲して、速攻ホワイトマンと交配を行う。
5分間時間がかかるので、そこは施設をぶらぶらしながら時間を潰し、時間が経過して子牛が誕生したら速攻で牛を元の柵の中に返す。
本当は肥育された牛ではなくて繁殖用の雌の方が手を出したいのだが、大抵ガードが硬かったり、体内に脱走防止用だったり体温管理をするセンサーが取り付けられているので、外に出ると一瞬でわかる仕組みになっているので、そちらには手は出さない。
1頭手に入れてしまえば、遺伝子情報をゲットしたのも同然。
そこから更にホワイトマンと配合を繰り返す事で個体数を増やしていけばいい。
「短い時間ですがありがとうございました」
「いや、こちらも経営とかの詳しい事情は話せずに申し訳ない」
「いえ、写真を撮らせていただけただけでもありがたいです」
合法的に牛舎の設計テンプレートも入手。
これで日本式の牛舎を異世界でも作ることができる。
完全にやっていること産業スパイであるが、異世界で活用するからセーフ。
あとは異世界の牛と掛け合わせて、より地域の気候に適した品種にすればOK。
乳牛はヤシマ王国にいる牛の質が高かったので問題無し。
まぁ品種を手に入れても、生育環境が整ってなければ質のよい肉牛や乳牛にはならないので、そこら辺は工夫が必要であるが……。
とりあえず母体はゲットしたのでちゃっちゃと撤収するのであった。
宝くじ当選後、東條に株取引を始めてもらった。
東條自身学生時代に株はやっていた事があったらしいので、やり方は問題ない。
「たぶん、今の幸運状態だと直感に合わせて銘柄を購入したほうが利益になると思うから、それでいこうか」
「了解。まぁ元本は結構あるからね、ハゲタカ(弱ったり不祥事で株価が下がった企業株を購入して高くなったら売却する短期売り逃げの方法)じゃなくて農家(株を長く保持して配当金と株主優待で得をする株の用語)で十二分に利益が出ると思うけどね。あと一応仮想通貨にも手を出してみようか」
「あれ税金で結構持ってかれるんじゃ?」
「持っていかれる以上の利益が出せれば問題ないよ。あとそういうのはネタコインって言われる奴で、ネタコインを換金できるコインに交換するのに手数料が掛かって、それを現金化するのにまた税金と手数料が掛かって……結果赤字に陥るってことはあるけど、そうではなく最初から資産運用目的のネット通貨だったら、現金化するときの手数料と税金だけで済むから……利益の20%とか25%は持っていかれるけど、赤字に陥ることは少ないよ」
とのこと。
俺はそこら辺は詳しくないので東條に丸投げするが……。
あとは日本で苗木や種、資材などを集めておくための空き地の購入とプレハブ小屋を建てて拠点化を行う。
これで大量の苗木を購入したとしても置いておく事が出来る。
あと俺が作っているハンドメイドのバック、財布、革ジャケットとかは東條も忙しくなったので、山本が管理を行なっている。
何なら東條と山本は付き合ってる事になって同居している事にもなっていた。
「山本、ちなみに俺の商品って売れてるのか?」
「めっちゃ売れてる。1日2万円くらい利益出てるぞ。あとフリマサイトから個人事業主になってネット出店してくれって連絡来てたから、東條と一緒に出店しておいたぞ。色々な出店できるサイトに登録したから……これからもう少し売れる個数増えるんじゃないかな?」
「分かった、在庫は作ってアイテムボックスに収納しておくよ。引き続き頼むわ」
「了解」
後々の話になるが、それで稼いだ金で、コーヒーやカカオの苗木(種だと熱殺菌されていて発芽しないため)を大量に購入し、異世界には無かったので、新しい特産物になるのだが、それはもう少し先の話。
東條と山本と一緒にパラレルワールドの日本で色々行いつつも、八の島の開発作業は続ける。
島に来てから1ヶ月が経過したことにより、作物が実って収穫となっていた。
というか食料品だけでなく生活物資含めて配給制になっている八の島。
ここは戦国直後でGHQに占領されたばかりの日本かって言いたくなるような惨状であるが……うん、戦争で焦土化されて、生活基盤が崩壊しているってことを考えれば似たり寄ったりだな……。
エリーゼも島民の統制を頑張ってくれているし、島民も死者に対して鎮魂の儀式を定期的に行ったりしているが、農作物が収穫できたことで、ようやく目減りしていく備蓄食料に怯えなくて済むと喜んでいた。
凄まじい状況だな……本当。
「エリーゼ、これが収穫できた作物のリストだ」
「助かるサイトウ……本当にこの島の救世主だ……んん? 量がおかしくは無いか?」
「あー……遺伝子組み換えとか土壌を整えたりしたから……収穫量が凄いことになってだな……」
「にしても多すぎる気がするぞ!」
現在耕している畑の広さは現在50ヘクタール……具体的に言うと千葉にあるネズミの国全体の面積とほぼ同等を俺は短期間で開発して栽培していたが、そこからおおよそ480トンほどの作物の収穫をすることができたのである。
内訳の比率的に芋3割、穀物類4割、野菜3割って感じであるが、技を使って収穫の日数を短縮しているとはいえ、この量はなかなか。
米で計算するが、1食で食べる米の量を200グラム時計し、穀物類4割のうち米が3割を占めているので、144トンが今回収穫できた米の量。
1日3食で600グラム、1ヶ月で28倍で約17キロ。
現在の島民が1000人なので、1ヶ月の消費量は17トン。
この調子だと4回から5回は収穫できるので144トン掛ける4.5倍で648トン。
島民5000人を養うにはまだたりないが、農地を広げれば良いだけだし、農地を倍にすれば5000人の島民を養えてしまう計算になる。
ネズミの国2つ分の農地面積でだ……。
米だけでなく、ほかの作物も同量くらい育てられているので、問題は少ない。
「で、英雄様におんぶに抱っこな農業は健全ではないが、どれぐらい農業従事者がいれば5000人の胃袋を養えそうか?」
「うーん、1000人いらないと思うな。今の感じだと。800人くらい居れば俺の力やテイムしているモンスターを使えば養えるぞ」
「本当、サイトウが敵でなくて良かった……」
「あとは畜産方面や漁業とかの食料供給源を増やしつつ、安定してきたらダンジョン作るから」
「ダンジョンも作ることができるのか!?」
「ああ、作れるようになった。ダンジョンあれば職にあぶれるって事はなくなるだろ?」
「そうだな……本当に助かる」
「おう、俺もスローライフを送りたいから、それができる環境の整備には手を抜かないからな」
「まめよな……でもそれで八の島は生き返ることができる」
「エリーゼも俺に嫁ぐとか考えてないで、当面は島の象徴としての職務を全うしてくれや」
「島の英雄がなんかいっているな……」
なんだかんだ島を実際に統治するエリーゼと、島の基盤整備を行う俺との間で確かな絆は芽生えていたのだった。