クラス転移したけど俺だけステータス表記が違った 作:星野林(旧ゆっくり霊沙)
ホノカ亭で皆と今後の話をし終わった後に、俺と綾乃は自宅に戻って、イチャイチャしながら1日を終えた。
翌日、俺はエリーゼの居る冒険者ギルドとして作ったけど、冒険者ギルドを呼ぶほど復興が出来てないから、建物は立派だったから八の島の行政を行う島役場として稼働している建物に入っていった。
「エリーゼいるか?」
「サイトウか? 扉空いているから入ってきてくれ」
「入るぞ」
中に入ると、大量の書類に埋もれているエリーゼとソフィー、他生き残っていた行政官が島民の配給計画やヤシマ王国の王族から必要な支援物資の嘆願書類の作成、島内で取れる作物や商品の販売計画の作成、俺に対して作って欲しい施設の要望書類など、色々作成している最中だった。
あとは島民の戸籍を再作成したりなどもある。
「忙しいなら別日にした方がいいか?」
「いや、私が決裁しなければいけない書類はもう少しで終わる。5分待ってくれ。それでケリを付ける」
俺は客室に移動してるぞ……と言って、執務室から移動して、待っていると、ちょうど5分後にエリーゼとソフィーが部屋に入ってきた。
「待たせたな」
「いや、全然」
彼氏彼女みたいなやりとりをするが、場所が役場なので、甘酸っぱい感じにはならない。
「昨日パーティーの仲間と話して、エリーゼと子作りしなければいけない理由を理解したけど、当面は待ってくれ。俺も綾乃の第一子が生まれるまでは不義理をしたくはない」
「うむ、1年2年なら全然待つ。ただ他の島の牽制が含まれるってのは理解しておいて欲しい」
「ああ、わかってる。でだ、今日来たのはダンジョンを作れるようになったってのは前に話したけど、それを他の島との政治的な利用ができないかって話だ。一の島の冒険者滞在問題……だいぶ揉めてるんだろ?」
「ああ、呼んでおいて、必要なくなったから、はいさよならって訳にはいかないからな。一の島の王族も頭を悩ませているよ」
「一の島にダンジョンを作るっていうのはどれぐらいの政治的なカードになりうる?」
「ふむ……ちょっと待ってな……考える」
エリーゼはテーブルを指でコツコツと突っつきながら、逆の手で顎に手を当てて考え込む。
「ソフィー、世界中から呼んだ冒険者で存命なのはどれくらいいる?」
「ざっと20万人は残っているかと……正確な人数を調べるなら時間がかかりますが」
「いや、大雑把な数字で大丈夫。20万人」
冒険者がいることで今までは治安が維持できていたが、各島の復興に協力して報酬を得ようとする者も多いが、戦うことしかできない冒険者も多い。
今は逆に冒険者が治安悪化の原因になりつつあるとソフィーが言う。
「ダンジョンと言っても規模は色々あると思うが、どれくらいの大きさのダンジョンが作れそうなのだ? サイトウ?」
「ジパング並みのダンジョンは作れる。キャパ的には50万人から70万人くらいははいるんじゃないかな? 20万人は余裕で賄えるぞ」
「ふむ……ダンジョン資源のジパングとの貿易摩擦とかを考えるのは王族達に任せれば良いか……八の島でも将来的にはダンジョンを作るんだよな?」
「ああ、その試運転というか問題点を先に一の島でダンジョンを作ることで洗い出そうって感じだ。八の島のダンジョンは後発になる分利益は少なくなるかもしれないが、八の島のダンジョン作る目的は、自前の強い兵士を育成できる環境が整えば良いだけの話だから、ダンジョンの資源は二の次」
「そうでなくても、各種スライム牧場みたいにサイトウが居れば様々な産業を起こせるからな。となれば、ダンジョンの利益は一の島にやっても八の島は問題ないか。というより一の島の王族に恩を売っておけば、サイトウ達英雄様を暴力装置として見る動きを牽制することができるな。うん、策士だね」
「まぁ、俺が考えた訳じゃないけどな」
「それを考えられる仲間がいる時点でなかなかよ。交渉はこっちがやっておくから、ダンジョンの中身をどれぐらい細かく指定できるかについて教えてくれない? それも交渉に使うから」
「分かった」
俺はエリーゼとソフィーにダンジョンで出現できるモンスターはおおよその傾向と地下深くになるほど、マジックアイテムの品質が高くなったり、モンスターの強さも比例することを説明する。
あとこのダンジョンは最深部までこの世界の住民に踏破されることを目的とするので、ジパングのダンジョンにあったボス部屋の廃止や71階層以下の不思議のダンジョン形式は取らないこと。
100階層に理不尽に強いモンスターを置くことをしないこと、即死トラップは設置しないことなど、ジパングのダンジョンよりも資源回収がしやすく、不評だった場所をオミットしたダンジョンにするつもりである。
基本モンスターの湧き出したり宝箱が出るバランスはジパングと同等にしておくし、ダンジョンを作ることで広範囲地上のモンスターの湧きを抑制できるとなれば経済効果も大きいだろう。
「なるほど……一応サイトウにも付いてきてもらっていいか? 王族の人達はサイトウと会いたがってもいたし」
「ああ、構わないが、俺がいなくても島の産業回るか?」
「勿論交渉が終わったら直ぐに帰ってもらって構わないから」
「了解」
ということで、俺は数日後に船に乗って一の島に行くことが確定するのであった。
数日後、俺は船に揺られているが、普通に船室に居ると、揺れで酔ってしまうので、甲板でキングスライムに乗っかることで、揺れを相殺して、快適な船旅にすることに成功。
なんならキングスライムを貸して、横でエリーゼもキングスライムをクッション代わりにして疲れを癒していた。
「はぁ……客室にいるよりも快適……キングスライムってこんな使い道があったなんて……」
「馬車とかよりもずっと速く移動できるからな。キングスライム達は。乗り物としても愛用しているよ」
ちなみに今座っているキングスライム達はダンジョンとかで頑張ってくれていた個体達とは違い、2世代目。
初代達は30体全員クイーンスライム娘にして、街の警備を担っていたり、子供達と遊んでいたり、コットンスライムから吐き出される毛糸玉を回収する作業をしている。
ヤシマ王国は一の島ほど大陸に近く、八の島ほど外海よりになっている円形の島国。
その円形で内海ができている関係で海流が渦を巻いており、海流に乗れば片道半日で一の島に行くことができる。
距離的には東京から福岡くらい離れているのに半日で到着できる船の性能も高い。
海流があってこそだが、船の性能が高いことで、ヤシマ王国は魔王軍に人類側の海運の重要拠点として目をつけられて攻め込まれたのであるが……。
エリーゼと半日間は仕事のことを忘れて、互いのことを知るためにお互いの話をしたが、エリーゼもエリーゼで苦労しているのだな。
エリーゼの父親……本来の島長は子供ができにくい体質だったらしく、あと島長の家系が先細りしていたことで、後継者問題が度々噴出していたらしいが、島中の錬金術師や薬師が動員されて、体質改善で、正妻、側室含めて唯一健康に育ったのがエリーゼだけだったらしい。
他の子供は生まれてきて直ぐに亡くなってしまったりが殆どで父親に似ずに頑丈かつ、正妻から生まれたエリーゼは特に両親から溺愛され、英才教育を叩き込まれた結果、こんな有事になっても、なんとか島長代理の立場の体裁を保てるくらいはできていると、しみじみ語っていた。
「私も優秀だけど、私が生まれなかったらソフィーが血縁的に島長になってたんじゃないかしら」
エリーゼとソフィーは曽祖父が同じらしく、一番本家に近い分家かつ、その中でも特に優秀で、幼い頃から他の島の王族、島長との外交の場に連れて行かれて、教育を受けていたので、重要な外交を任せられる唯一の存在かつ、自身にとっては姉のような存在とエリーゼは語る。
本家、分家含めて島長の家系は残りはもっと血が遠い存在になるので、エリーゼかソフィーの2人が居なくなれば、長年続いた八の島の島長の家系は途切れてしまうのだとか。
「だから私達は八の島が壊滅しても、ある程度の生活を一の島ですることはできたんだけど、影響力は皆無になっていたわね。今は少しだけ交渉できる立場に戻れたのだけど」
「大変だな」
「大変よ……まぁサイトウに聞かせる話かって言われたら微妙だけど、私の生い立ちはこんな感じね。サイトウは異世界の農家出身って聞いたけど……」
「家系をどれだけさかのぼっても俺は農家の一族だな。それが異世界に来て英雄ってもてはやされているんだから分からないものだけど」
「ふふ、面白い話よね……将来自伝でも書いてみれば? たぶんヤシマ王国内で飛ぶように売れるわよ」
「そうか? まぁ気が向いたらな」
そんな会話をしていたら一の島が見えてくるのであった。