【書籍化決定】クラス転移したけど俺だけステータス表記が違った   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

81 / 95
ヤシマ王族との交渉

 一の島に到着した俺はエリーゼにもうしばらく船に残っているように言われた。

 

 王族と交渉することは既に連絡のやりとりはしているし、日程調整も終えているが、本人同士のやりとりがあるらしい。

 

 ここらへんは王族と島長との立場の違いだったり、色々あるのであろう。

 

 船室でもキングスライムに乗って、エリーゼに取り寄せてもらったヤシマ王国の歴史や王族の自伝に関する本を読んで時間を潰していると、兵士から王宮に案内するので、衣服を着替えてくださいと、着替えさせられて、ヤシマ王国の王宮へと向かった。

 

 ヤシマ王国の王宮は西洋的な城造りではなく、中国の王宮……一番日本人に分かりやすいのは沖縄の首里城の様な宮殿になっていた。

 

 内装もどちらかといえば中華と東南アジアの文明が混ざった様な作りで、赤い内装が目を引く。

 

 今着ている衣装も、漢服に近い。

 

 部屋に案内されると円卓が用意されてあり、そこにエリーゼ含めて5名が座っていた。

 

 俺も兵の手引きで用意されていた座席に座ると、王族の方々から俺に対して礼を言われた。

 

「まずは遅くなりましたが、ヤシマ王国を魔王軍の魔の手から解放していただきヤシマ王国の代表として礼を言わせてもらいます」

 

 するとエリーゼ含めて5名は俺に頭を下げた。

 

 俺は静かにそれを見てから、頭を上げてくださいと言い、ヤシマ王国を解放したことについては冒険者として依頼されていた依頼を達成したに過ぎないこと、依頼報酬として八の島で土地をいただくことはエリーゼと話し合って決まっているから報酬も貰っていると説明する。

 

 あくまで今回来たのは今後ヤシマ王国の為の取引の為というのを強調する。

 

「我々としても英雄殿が理性的な人物で安心した。それと今回の取引関係なく、我々ヤシマ王族はサイトウ殿の権利を侵害しない……というのを約束しよう」

 

「王様、ありがとうございます」

 

 王様と思われる七福神の福の神みたいに長い福耳でぽっちゃりしていて、あの人よりも服装が豪華な人物が王様であると言われていたので、王様にお礼を言っておく。

 

 ちなみにここにいる王族は王妃と王子、王様の弟の副王の4人とエリーゼ、そして俺の6人である。

 

 王子様は王様というより王妃に似たのか細マッチョの体型のイケメンで、副王も含めて福耳の家系なんだと思う。

 

 やたら耳が長い。

 

 王妃はそんなことないんだけどね。

 

「では今回話し合いの場を設けていただいた理由の1つとして、ヤシマ王国が集めた冒険者問題についての解決策としてのダンジョンの建設許可をいただきたく」

 

「うむ、それに関してだが、確かにジパングのダンジョンやそれに及ばすとも世界にあるダンジョンと言われる施設は人工的に作られたとされていたが、サイトウ殿も作ることができるのか?」

 

「はい、私は元々ジパングのダンジョンの最深部まで探索を行いました。それ故にダンジョンの仕組みを知っていますので、短期間で新しいダンジョンを作り出すことが可能です。ただ参考にできるダンジョンがジパングしかないので、内部構造や出てくるモンスターは似てしまいますが」

 

「いや、それは構わない。ジパングのダンジョン産業を少しでも我が国でできるのであれば、膨大な利益が出ることは想像に難くない。王族と島長の関係も今回の魔王軍との戦争で今一度考え直さなければならない故に、一の島にダンジョンを作ってくれるのであれば万々歳だ」

 

「ええ、一の島でダンジョンを作りますが、それより規模を縮小して八の島でも後々ダンジョンを作りますが、それはお許しください」

 

「うむ、許す……というも何も我々王族では各島の民が作り出す産業までは口出しできない。それ故に、エリーゼが許可するなら自由に作っていただいて構わない」

 

「ありがとうございます」

 

 これで大きな懸念点は無くなった。

 

 あとは一の島にダンジョンを作る代わりに、八の島で今後色々な産業を興すと思うので、交易船の入港数を年々増やしてほしいことや俺達はヤシマ王国の防衛には手を貸すけど、八の島以外の復興や行政には手を出さないことを再明記したりなど、今までなあなあになっていた冒険者ギルド側に依頼達成の報告を行ったりというのもしてくれる事が決まった。

 

「冒険者ギルド側の規定で冒険者のランクがシルバーに上がるまでは、こちらからもランクの引き上げはできないが、王国を救ってくれた冒険者がシルバーなのはこちらの面子に関わるから、シルバーに上がれる年数が経過した段階で、自動的にプラチナランクに君達の仲間全員が上がれるようにしておこう」

 

 メンバーのリストに関しては後日提出する約束や、ステータスの閲覧は冒険者ギルドの幹部と王族の方々のみの閲覧に留めてくださいとお願いもしておいた。

 

 あと八の島での魔人族への扱いについての話題を出す。

 

 仲間の一部は魔王軍にもいる魔人族が含まれているため、八の島で俺の仲間(スライム娘とかラミア娘とかの外見的に魔人族と分かるメンバー)に関して迫害しない代わりに、彼ら彼女らもヤシマ王国防衛の時以外は八の島の外に出ないことを約束した。

 

「うむ、兵士の中にはゴーレムに助けてもらったと話す者も多かった。サイトウはモンスターテイマーの能力もあるのか?」

 

「ええ、それがメインの能力で、ダンジョンを作れるのは副次的な能力ですので」

 

「なるほど……それで魔人族も仲間としてテイムしていると」

 

「そういうことになります」

 

「分かった、八の島に向かう商人や冒険者には忠告をするようにギルドに伝えておく。英雄の仲間に害を与えるのはこちらとしても問題だからな」

 

「ありがとうございます」

 

 俺が言いたい事は終わったので、あとはエリーゼと王族での交渉に移る。

 

 ちゃっかり俺や俺の仲間に関しては八の島の象徴として振る舞ってもらうため、外部からの婚姻、婚約の押し付けは無いようにと釘を刺しておくのをエリーゼは忘れない。

 

 エリーゼ自身がしていることなのになーって俺は思うが、口出しはしない。

 

 約2時間に及ぶ話し合いも終わり、書記を務めてもらった副王の書かれた条約一覧を確認して、俺、エリーゼ、王様がそれぞれサインを書く。

 

「契約は成された。王族、島長として契りを千切らんことをここに誓う」

 

 契約書が光出して、文字が浮かび上がると、王様とエリーゼ、そして俺の体に文字が中に入っていった。

 

「違わないと思うが、王族との契約は、契約の魔法で不義理が起きないようにしてある。この契約の魔法が使えるからヤシマ王国の王をやっているようなものだがな」

 

「なるほど」

 

 確かに契約を絶対に履行してくれるって信頼感があるから、島長という各島の代表とヤシマ王族の関係性が成り立ち、連合王国として連携できているのだろう。

 

「では宴会を……と普段ならいくのだが、サイトウ殿は八の島でやらなければならないことが多いと聞く。私の弟にダンジョンを作ってもらいたい場所に案内させるから、早速ダンジョンを作ってもらっても良いか?」

 

「はい、構いません……配慮助かります。その代わりエリーゼを島長代理から正式に島長への引き上げを他の島長へ通達することをよろしくお願いします」

 

「うむ、心得ておる」

 

 王様とのやりとりを終えて、副王と共に部屋を退室する。

 

「いや……サイトウ殿初めてですよね? この様な会合の場は?」

 

「ええ、初めてですよ」

 

「緊張なされないのですか? 私は王弟なのにいつも島長達との会合は失敗が無いように緊張して」

 

 そう言いながら副王はお腹を擦る。

 

 彼なりにフレンドリーに接する気遣いなのだろう。

 

 勿論俺も滅茶苦茶緊張しているし、手汗で手のひらはベトベトである。

 

 これほど緊張したのは高校の入試面接の時くらいか? 

 

 副王と雑談をしながら、王宮を出て、場所を移動するが、馬を用意されていたが、俺はキングスライムで移動する方が楽なのでと言うと、副王もキングスライムに乗っての移動が気になったのか、家臣達の制止を振り切って、俺のキングスライムに乗り込む。

 

「おお、凄いふかふかで、体が沈み込むような……心地よい座り心地ですな」

 

「良ければ友好の印にキングスライムを1体譲渡しましょうか。適度に飲水を与えているだけで喜ぶので、移動も楽ですし」

 

「よろしいのですか?」

 

「ええ、万が一の護衛にもなるので、後でこの子をお譲りしますよ」

 

「おお、ありがたい」

 

 そんな会話をしながら王都の郊外に移動すると、目印のために木の柵で囲いが作られていた。

 

「ここにダンジョンを作ってもらいたいのですが」

 

「わかりました」

 

 俺は技のダンジョン生成を選択して、事前に要望を聞いて組み上げていたダンジョンを生成する。

 

 すると立派な地下に続く石畳の階段が現れ、囲いギリギリの塔が出現する。

 

 塔と言っても3階建ての砦くらいの大きさで、ジパングの巨大な塔ほどの大きさではないが、ダンジョン周囲の地上のモンスターの湧きを抑制したりするシンボルの代わりにはなる。

 

 兵士達がダンジョンの中に潜り、数十分。

 

 中から戻ってきた兵士達が中がダンジョンになっていることの確認ができたと副王に報告すると、副王は俺に改めて感謝を伝えられた。

 

「では俺は八の島でやることがあるので、ここのダンジョンの運営はヤシマ王族の皆さんでお願いします」

 

「ああ、任された」

 

 俺はその後、一の島にある仮設で作った拠点から転移クリスタル経由で八の島の自宅に帰り、用件を達成した。

 

 この2週間後にヤシマ王族はダンジョンを新しく創り出すことに成功したと大々的に発表し、国内で屯していた冒険者達にダンジョンに潜ることで富を得られよと声明を出した。

 

 冒険者達はジパングのダンジョン並みの規模があると流布されると、地図を作成して先行利益を得ようとする者、純粋に冒険や戦闘を楽しむ者、冒険者が回収してくるモンスターの素材を加工しようと職人達や商人も集まり、魔王軍を追い出したと同じくらい明るい話題として捉えられた。

 

 各地の島長達も一の島にダンジョンが作られたことを好意的な声明を出し、ダンジョン利益で得た金の一部を復興資金の上乗せしてくれればと本音が漏れるのだった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。