クラス転移したけど俺だけステータス表記が違った 作:星野林(旧ゆっくり霊沙)
「なあミンナ」
「ん? どうしたのサイトウ」
「異世界……まぁ日本(ひのもと)のことなんだけど、日本から異世界人の幽霊を人材として集めてくるって聞いて、どう思った?」
「どう思ったか……神様みたいって思ったわね。実際、異世界に連れてきて転生させているわけだし」
「だよなぁ……これ、神様がやることだよなぁ……」
最初から農家の能力かって言われたら疑問を思わざる得なかったけど、冒険者やって、ダンジョン潜って金稼いで、ようやく農業ライフが始まると思ったら島作りをやらされ、最終的に異世界から人を転生させる。
一応ゲルマ王国との違いは、連れてきた人達に了承を取って転生させていることだけど、異世界から人を連れてきている時点で、ゲルマ王国の上層部と変わんねぇなって、ちょっと自己嫌悪に陥ったり……。
「でも連れてきた人に教師とか技術者が多くて助かったんじゃないエリーゼは? 子供を教育する人が足りてなかったし、3人も増えて、安心でしょ」
「数学は一緒だけど物理や科学に関しては魔法があるから教える内容も違うし、英語もこの世界は殆ど無い、社会は完全に別の歴史……国語と数学しかちゃんと教えられるのが無いけどな」
「それでも十分じゃない? それを教えるのも事欠いていたんだし」
ミンナが慰める。
ちなみに職人の転生者達は早速アリスから魔法を教わって目を輝かせていた。
「これなら夢だった車を全て自分の力で作るのも簡単に出来上がるんじゃ?」
「コストカットと言って熟練工を解雇した恨みは異世界で発散させてもらおう!」
「小さな魔石が巨大なバッテリー代わりになるなら、色々な物が作れるな! とりあえずイオン交換膜を作って海水から大量の塩でも作るか! 聞いた感じ塩の生産量は日本の比じゃないほど少ないらしいからな!」
高度経済成長を支えていた熟練技術者がスカウトした墓には多かったのか、20人ほどがアリスからこの世界の技術や錬金術、魔法を教わっていたが、目をキラキラさせていたし、
「なぁサイトウさんや。俺の昔の仲間も蘇生させねぇか? 墓の場所知ってるからよ」
「あ、教えてもらって良いですか? 何なら連れていきますが」
「お、いいのかい!」
「そりゃ気の知れた仲間がいた方がやりやすいでしょ」
て、俺が安請け合いしたせいで、俺は日本各地の関東周辺を巡ることに。
たまに完全に成仏してしまった人もいたが、墓場に行けば誰かしら人材は転がっているので、その技術者の家族だったり、技術者だけでなく、田舎の農家だった人とかを蘇生した人の伝手を使って集めていくと、1ヶ月ちょっとで最初80人だったのに、500人まで膨らんでいた。
こっちとしては異世界に来て、元爺さんや婆さんの職人達が青年姿で生き生きしながら機械を作ったりするのは、見ていて微笑ましいが、エリーゼから500人連れてきたあたりでストップがかけられた。
「人材を連れてきてくれるのはありがたいが、技術水準が一気に高まると、島民がついていけないし、彼らに支給するお金の用意ができない!」
俺が連れてくる職人達は確かな腕があるので、エリーゼ……というか異世界の人の常識では腕に見合うお金を支払うのが普通。
というか現状全ての産業が島営……島が管理している社会主義みたいな状態。
なので職人達に支払うお金が足りないからとエリーゼは異世界から住民を連れてくることのストップをお願いされた。
(あの職人達は生き返って自分の好きな物を仲間と笑いながら作れるだけで嬉しいんだろうけど……というかメタルスライムを見て、他にも素材が採取できるモンスター作るように言った職人達の目はマジだったな……)
職人が欲しいものを何とかするために俺やエリーゼは奔走した結果、ある程度納得のいく物資は集まったが、魔石で動く機関車を作り始めた時は、技術のある職人が集まれば何でも作れてしまうんだなーって遠い目をしていた。
町1つしかないんだから使い道ないでしょって思ったが、将来的に絶対必要になるだろ(作りたかったから作ってみた)で押し切られてしまった。
職人の熱意は恐れ入る。
エリーゼとソフィーは鉄の化け物(機関車)ができて腰抜かしていました、アリスは大興奮だったし……。
というか素材があったとはいえ、機関車を2週間ちょっとで作ってしまうとは……。
「ええい、やめやめ、今日は甘いものを作るって決めたんだ!」
「甘い物?」
「ああ!」
俺はスライムの進化先にハニースライムという、蜂蜜とスライムを合成できることを図鑑で眺めていたら発見し、上手く行けば養蜂の代わりにできるんじゃないかって思っていた。
様々な作物を作る上で蜂による受粉の働きは大きい。
特に野菜もそうだが、果樹園とかはわざと蜂を解き放って、受粉の手伝いをしてもらう農家があるくらい、蜜蜂の働きは大きいのであるが、日本から蜜蜂を持ってきても、この世界に適応するか分からない。
この世界の蜜蜂も仕入れようとエリーゼが頑張っているけど、養蜂は四の島の根幹産業だったこともあり、利権が結構ガッチガチ。
仕方がないジパングから蜜蜂の巣を箱ごと購入して持ってきたのであるが、残念ながら気候に適応できずに病気になって全滅してしまった。
なので養蜂産業は難しいかなーって思っていたところにハニースライムなるモンスターが合成で作れると知って、作ってみることに。
「どうなるかなー」
俺はスライムと日本から買ってきた安い蜂蜜を合成すると、ハニースライムが生まれてきた。
外に出してみると、蜂の羽が生えたバスケットボールサイズの黄色いスライムであった。
「これがハニースライム?」
不思議に思っていると、ハニースライムは小さい蜂サイズに体を分裂させて体を崩しながら四方八方に飛び立ち始める。
当たりの木々の蜜や花の花粉を身にまとい、周りを飛び回ること数十分。
分裂した個体が再び集まりだして1体のハニースライムに戻る。
こころなしか更に黄色い感じになっていて、試しに絞って見ると、大量の蜂蜜が採れるではないか。
「なるほど……これはハニースライムだわ……」
俺は早速このハニースライムをスポナーに登録して個体数を増やし、マリーに協力してもらって、魔法の力で花畑を作りだし、その近くに養蜂場を作った。
ハニースライムが生活しやすいように木箱の巣を作って、近くに無限水源の池を作り、あと管理人の家を設置。
趣味で養蜂をやっていたっていう日本から連れてきた夫婦と農家やるには幼い子供達を集めて、ハニースライムの養蜂場の管理を任せた。
仕事としては花畑の整備、無限水源の整備、巣箱の整備、そして蜜でパンパンになったスライムを雑巾のように絞る。
ギュッと絞るとボタボタっと蜂蜜が出てくるので、それを桶やバケツで受け止めて、集めてから綺麗な布で濾す。
それを壺に詰めて、アイテムボックスの中に入れて、運送業の人に町に運んでもらう。
これなら子供達でもできるし、子供達も学校から帰ってきて数時間作業すればいい。
管理する夫婦には子供達の面倒を見ながら、空いている土地は自由に使っていいって言ったので、畑でも趣味に走ってもいいとした。
夫婦は律儀にハニースライムの生産性向上の為に、巣箱を改良したり、魔法を覚えて、ハニースライムに負担をかけないで絞る方法を生み出したりしてくれた。
普通の蜂の数百倍の蜂蜜を作ってくれるハニースライムの登場で、壊滅していた四の島の養蜂産業に変わって、ヤシマ王国産の蜂蜜は八の島産のが増えていくことになるのだった。
シルクやゴムと並んで輸出する品になり、蜂蜜は八の島に沢山のお金をもたらしてくれることになり、八の島復興資金の重要な資金源となる。
「スライムって無限の可能性があるな……なんでゴムスライムがいないのか謎ではあるけど……」
ハニースライムを見てから、色々なモンスターについての資源化についてもう一度考え、あるモンスターを見つけた。
爆弾岩。
ゲルマ王国からジパングに行く途中の山で捕まえたモンスターで、つよい衝撃……剣やハンマーで叩くなどの物理攻撃をすると爆弾の様に爆発する……というゴーレムに近いモンスターがいた。
地元の人はこいつを水に濡らすと爆発しないことを知っていたので、水魔法で濡らしてから、岩を砕くと、硫黄と硝石が大量に取れるとしていた。
硝石は俺の空気から肥料を作るときに大量に作り出すことができるが、硫黄はゴムの性質を変化する時に使うことができる。
職人達からも車のタイヤに硫黄で硬化させたゴムを使いたいって要望が上がっていたので、爆弾岩の産業に組み込むことができないか……アリスに尋ねると、アリスの下で魔法を教わっていたゲーム好きな兄ちゃんがモンスタートラップを作ればいいじゃんって教えてくれた。
スポナーの位置を無限水源の中にすることで爆弾岩のスポーン場所を水中にし、水流の流れで爆弾岩を水路に流して別の場所に転がす。
それを職人達が作れる粉砕機で粉砕してしまえば、硝石は水に溶けやすいけど、硫黄は溶けないから、水流の流れのままに集めることができて、魔法で乾燥、不純物の除去をすれば工業用の硫黄ができるんじゃないかって教えてくれた。
「お前凄いな」
「実際に作らないと分からないけどね」
「名前聞いてもいいか?」
「ん? ああ、斎藤さんは覚えてないか。まぁ確かに蘇生した大量の人物の1人だからな……俺は細田球児。恐らくメインで蘇生させた職人の爺さんや父さんの息子だよ」
ゲームとプラモ作りが趣味という細田との出会いだった。