クラス転移したけど俺だけステータス表記が違った 作:星野林(旧ゆっくり霊沙)
「おおお!? これミンナが手伝ったの?」
「いや、彼らが優秀でね」
「へぇ……異世界人って能力を持っているって聞いていたけど、想像以上に優秀なのね。まぁそうでなかったらこの王国の先人達みたいに伝説にはならないか……あっちの受付で素材の買取をしているから、そっちに持っていくといいよ」
夕方になるまで狩りを続けた? いや、キングスライムの蹂躙を見守りながら、ミンナに戦い方を習っていた俺と藤原さん。
俺には魔法の才能が無いって断言されてしまったが、藤原さんは多少は魔法を覚えることができるらしく、洋服を素早く乾かす事ができる魔法を教わっていた。
どうやら日常生活を便利にする系の魔法が藤原さんは得意らしい。
キングスライムを増やすことにも注力して、現在7体まで増え、俺のレベルも18まで上げることに成功したのであった。
まぁレベルが上がるための必要経験値が高くなり、雑魚モンスターではレベルが上がるまでに時間がかかるようになっていたが……。
あとやっぱり5レベル上がるごとに技を覚えるらしく、15レベルを超えた時にも技を覚えることができた。
それは図鑑という機能で、捕まえたモンスターや人物を登録することにより、数値のステータスだったり捕獲率や合成によって産まれるモンスターの大まかな傾向だったりが分かるようになった。
これによってキングスライムのしっかりとしたステータスの数値が分かるようになったのは大きい。
穴抜け部分が無くなったキングスライムのステータスがこちら
キングスライム
名前 なし
年齢 0
性別 不明
職業 なし
HP 1000〜1450
MP 450〜600
パワー 500〜750
ガード 600〜800
マジック 250〜450
スピード 1000
ラック 65
〜ってなっているのは個体差によるもの。
で、図鑑登録して分かったが、スライムの進化先が滅茶苦茶多い点。
ヒントみたいなのが図鑑には書かれていて、例えば
・知性のあるモンスターと合成すると……
とか
・鉄の塊と合成すると……
みたいな感じで進化先が色々表記されていた。
ちなみにキングスライムにしてしまうと逆に合成先の幅が減る結果に。
それでも強力なモンスターが生まれてきそうではあるが……。
技の図鑑が解放されたことで、ますます合成の幅が広がった。
あとミンナと藤原さんを登録して分かったが、人族も合成先がスライム並みに多い事が判明……合成する気はないけど、一応覚えておこう。
そんなこんなで換金するカウンターでモンスターの素材とスライムの魔石を換金させてもらった。
ミンナから倒したモンスター(角うさぎとかデブスズメみたいな魔石を落とさないモンスター)は小動物だったら良いけど、基本は解体してから換金するのがマナーらしい。
なので、今度モンスターの解体のやり方を教えてくれるとのこと。
「解体専門職の人も居なくはないけど、出来ておいて損は無いから覚えよう!」
一応解体専門職の人が居ることは頭に入れておく。
換金額は5万8200シンク。
アイアンの冒険者ランクの人は5000シンク以下の報酬の場合は10%国から報酬の上乗せが入るらしいが、超えてしまっているので、上乗せは無し。
で、5万シンクはステータスの種の購入に充てるので、8200シンクを分配して、1人約2730シンク。
端数は俺が貰っていいってことになったので、ちょっと多めに貰った。
2730シンクでも初心者冒険者にしては十分稼げていることになる。
宿代が600シンク、消耗品や多少の娯楽代金を合わせても1000シンクいくかどうかなので、結構な貯金にはなる。
「こちらがステータスの種になります」
俺は手に持ってみるが、一見ヒマワリの種にしか見えない。
とりあえず紙に包んでから収納で異空間に入れておく。
そして宿へと戻るのだった。
宿に戻る途中で植木鉢を購入し、宿の女将さんに許可を貰って、宿の庭の一角に置かせてもらった。
先ほど購入した5万シンクもするステータスの種を植えてから大豊作の技を使用する。
それから水をかけて夕食を食べに食堂に移動するのだった。
「「「乾杯!」」」
ミンナは普通に酒を俺と藤原さんは麦茶にして、今日の成果を喜んだ。
他にも宿で泊まっている人達も居るので具体的な金額の話はしないが、何となく俺達の今後の方針が見えた気がする。
「いやぁ、サイトウのモンスターテイムは格別だね。キングスライムが居ればここらのモンスターは狩り放題でしょ」
「これで生活費以上は稼げるって分かってよかったよ。藤原さんも魔法が覚えられそうでよかった」
「うん。本当に斎藤君と組んでよかった……」
「そう言ってもらえると俺も組んでよかった」
「あ、洗濯物は私が皆の分をやっておくよ。洗濯板で洗濯するのは初めてだけど、要領は何となく分かるし」
「私の分もやってくれるの? 助かる〜洗濯ってダルいからね」
「あはは」
今日の夕食はゴロゴロ肉の入ったチャーハンみたいな料理とラーメンに近い麺料理、それにピクルスっぽい漬物。
麺料理は藤原さん曰くタンメンの方が近いとのこと。
野菜が結構入っていて、具沢山である。
俺はいっぱい食べるので追加料金支払って大盛りを、藤原さんはやや少なめ、ミンナは普通盛りをチョイス。
「ああ、うめぇ~異世界に来た時は美味しい料理に期待してなかったけど、普通に美味しい料理に元の世界に近い生活水準で安心したわ」
「異世界がどんな感じの世界か逆に私は気になるな。教えてくれない?」
ミンナが俺と藤原さんの元いた世界が気になるようで、教えると、モンスターや魔法がないのに生活水準がこの世界よりも高い事、そして電子通貨っていう硬貨を持たなくても決済ができる仕組み、そして義務教育があることに驚いていた。
「得に義務教育は凄いね。この世界でも導入しようとした王や宰相は居たらしいんだけど、予算と人員の都合、貴族や教会からの反発、何より農村の人達が教育を受けても冒険者の年齢が上がって、新規流入が少しでも滞れば、村落に大きな被害が出る可能性から義務教育導入に失敗したって聞いているよ」
「なるほど……モンスターと権益による失敗……」
「私学校は普通にあるんだけどね。豪農や成功した冒険者を両親に持つ子、商人、貴族、王族の子供なんかも入学するし……」
「ミンナも入ろうと思えば入れたんじゃない?」
「いや〜、学力は足りたと思うけど、その頃はお金が足りなくて……でも見習い宮廷魔道士として学校を出るくらいには勉強することができたけどね。出世コースからは外れたけど」
「やっぱり俺らの監視役って出世コースではないんだ」
「勇者の監視役なら別だけど、他の転移者の監視役は確実に出世が遅れるからね。まぁ1年後見習い宮廷魔道士の役職を辞退してサイトウとフジワラと共に冒険者やっても良いって思えることを期待するよ」
「おう、そうだな」
「ところで……多分生活費を稼ぐっていうのはキングスライム軍団のおかげで何とかなると思うけど、今後の目標みたいなのを決めないか?」
ミンナがそう言うが、俺と藤原さんは困った顔をしてしまう。
「目標……うーん、それを決められるほど情報が集まりきってないんだよな」
「そうだね……」
いきなり目標と言われても、異世界に来て生活を整えるのが直近の目標で、次に自身のレベル上げ、2人のレベルも上げて能力の向上。
あとは彼女を作ってこっちの世界でも農家やれたらなぁ……。
大農園の主って夢があると思うけど。
「か、彼女って」
「大農園かぁいい夢じゃん」
「あれ? 口に出てた?」
「うん、普通に喋っていたけど……」
「参ったな……まぁ俺はそんな感じで。色々なモンスター仲間にしたいってのもあるけど」
「ふんふん、なるほどねぇ……いい夢だと思うよ。それに確かにサイトウの能力や技がどれだけ増えるかも気になるし」
「藤原さんは何か夢はあるか?」
「い、いい人のお嫁さんになりたい」
「ふーん」
ミンナがニヤニヤして、藤原さんを見る。
まぁ今は俺は候補にも入ってないだろうからな。
「ごちそうさまでした」
飯を食い終わり、食器を返却し、俺は風呂に入りに行く。
「服は後で纏めて渡すわ」
「うん、分かった。後でもらうね。私もお風呂に入る」
混浴ではないので、風呂に入るといっても別々であるが……。
タオルを借りて、風呂に入りに行くのだった。
「うわ……めっちゃガタイいいじゃん」
「チンコでけぇ……」
「若いのに良い体付きしてるのぉ……」
風呂に入っていて寛いでいると、宿に泊まっている人が俺をジロジロ見てくる。
確かに農業してたし、牛と格闘していたからしっかりとした体付きはしていたが……。
3年のクラスメイトからはツッコまれなかったが、中学や高校1、2年のクラスメイトからは着替えの時によくツッコミを入れられていたっけ。
園田からもラグビーやらないかって誘われたりはしたな……生憎実家が忙しくてそんな暇はなかったが……。
「ああ~いい湯だ」
異世界に来てから初風呂……めっちゃ疲労が抜ける感覚がする。
美味い飯があって、ゆっくりつかれる風呂もあって……ベッドの質もなかなか良い。
「快適過ぎてヤバい……スマホやゲームができないくらいじゃないか? 異世界来て辛いの」
それでもモンスターを倒したり、合成したりと能力開発ができる快感で苦痛ではない。
「しっかしなんで俺だけステータスが違うんだ? もっとこう……園田みたいな勇者がステータス違うってのだったら分かるが」
そんな呟きをしても答えてくれる人は居ない。
風呂場が混んできたので、十分に浸かったことだし風呂場から撤収。
脱衣所を出たところに長椅子があるので、そこで涼んでいると、藤原さんも新しい服に着替えて出てきた。
いつも前髪で目を隠しているから気が付かなかったけど、今髪をヘアピンみたいなので留めている。
「可愛いじゃん」
「か、かわ!」
「あ、いや……ヘアピンどうしたの?」
「ミンナさんから貰って……せっかくなんで付けてみたんですけど似合わないですよね?」
「いや、めっちゃ似合ってるよ。可愛いから」
「は、恥ずかしいです」
手で顔を覆って恥ずかしそうにしてしまった。
洗濯物はまた今度で良いよといい、今日はゆっくり休むと聞くと、できれば捕獲状態になって時間がかかる鍛えるをやってもらえるとって言われた。
「でも俺も寝たいんだけど……」
「斎藤君は寝てて構わないです。それに自分の力で出ることができるんで、時間が経てば勝手に自分の部屋に戻るんで……」
「なるほど……じゃあどうする? 今捕獲状態になる?」
「はい!」
というわけで藤原さんを捕獲状態にし、鍛えるを選択。
俺のレベルが現在18なので、4レベルから18レベルに上げるのに3時間かかるようだ。
俺は藤原さんにお休みと呟き、鍛えるを選択。
03:00:00とタイマーが動き出し、俺は自室に戻って自分のステータスを確認してから眠るのだった。
名前 サイトウ・タカシ
年齢 17
性別 男
職業 農家/ファーマー
レベル 18
体力 D
気力 E
知力 E
器用 D
筋力 D
技
・捕まえる
・合成する
・鍛える
・道具を作る
・収納する
・大豊作
・図鑑