超闘争ALT プロジェクト・ファンタズマ -i   作:独立傭兵月兎(仮)

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星を眺める者。

あるいは、世捨て人、とも。




ALT-9. Stargazer

烏丸研 サーバー内開発環境

 

それは数日前の事。

あと少しでこの研究所が潰れるかもしれないというのに、職員は誰一人として絶望していなかった。

寧ろ、誰もが情熱と野望に燃えていた。

 

「ダメだ、どうあがいても15秒で処理落ちしちまうッ!」

 

「やはりエフェクトを削るべきでは?」

 

「そうするだけなら簡単だ。

だがそれで九朗のヤツが喜んで戦うと思うか?」

 

「バーカ♡」

 

「…これを人の身で使おうと思ったのは何故ですか?」

 

「ちょっと質問の意味が解らない。

使っちゃ駄目なの?」

 

そんな軽口を叩きながら火薬庫の技師と烏丸研の職員達が「規格外兵装」を調整する傍らで。

何時ものように特訓に明け暮れる私たちは、少し休憩を挟んで談笑していた。

 

 

 

 

 

「…そういえば、「FUSHI」って、かぐやの作った「犬DOGE」の未来の姿なんだっけ?」

 

私の何気ない質問に、FUSHIが答える。

 

「そうだぞ。ボクはもともとおまえが作ってくれたこの犬っころだったんだ。」

「へぇ~…面影、殆ど無いですね…。」『ワフッ』

 

カヨコの目線の先に居る犬DOGEは何も知らずに、芦花の膝の上で身を預けていた。

芦花はそんな犬DOGEのお腹を撫でながら、何気ない一言を漏らす。

 

「にしても、8000年もの記憶をよく保存できてたよね…」

 

そんな他愛もない会話を聞き流していたレイが、ボソリと呟いた。

 

「…この演算、

その犬DOGEってのにやらせられないか?」

 

「「「…それだッ!!」」」」

 

「…へ?」『?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

─────────────────

犬DOGEの中に眠っていた最後の武装が、目を覚ます。

 

 

 

 

『オーバードウェポンの接続を確認』

 

それは私の右腕に絡み付き、その姿を現した。

 

 

『演算コスト、及び上限値再設定』

 

右腕より伸びるは、赤熱する6本の刃。

目の前の黒い鳥を喰らわんと、唸りを上げるそれは。

 

 

『出力オーバーロード状態を維持』

 

 

私を救い出してくれた、最強の力。

 

 

『稼動可能時間、残り60秒』

 

 

───これがかぐやの、グラインドブレードだ。

 

 

「こうなるか!新しい、惹かれるな…!

 

来い、かぐやッ!!」

 

「行くよッ、九朗!!」

 

啖呵を切ると同時、私は「タメ」の動作に入る。

このツクヨミには似つかわしくない、あまりにも鈍重で物々しい武装。

でも、だからこそコレが、九朗に追い縋れる可能性なんだ。

起動方法は彩葉に言ってなかったけどね?

 

「…っ!」

 

九朗の動きが、より激しく、捉えにくくなる。

グラインドブレードは隙が大きい。

ひとたび避けられてしまえば、あとは木偶の坊になってしまう。

 

だから、狙うんだ。一瞬の隙を、九朗の「癖」を…!

 

私は、その瞬間を待って、待って、待ち続けて──

 

 

 

「──ぁ。」

いつの間にか、私の前から九朗以外の全てが消えていた。

唸りを上げるブレードの爆音も、彩葉の声も、九朗の撒き散らすジェットの音も聞こえない。

まるで世界から色が抜け落ちたようだ。

 

だけど、透明で、すごく気持ちがいい。

 

嗚呼。これが、九朗の───

 

「…ふふっ」

 

九朗は嗤っていた。

きっと同じ顔を、私もしているのだろう。

 

九朗…やっと並び立てたよ。

 

だから私が───かぐやが、九朗を墜としてあげる

 

 

─────────────────

決着はたった一瞬だった。

 

飛び回りながらも、確実に弾丸を当てる九朗と、構えたまま微動だにしないかぐや。

そうしてかぐやの体力が底をつきる瞬間に───

 

 

 

 

あの日とまったく同じように、

ターミナルアーマーがかぐやを包んだ。

 

 

 

 

その瞬間、九朗の思考が切り替わる一瞬を、かぐやは待ち望んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

「ぅぁぁあああああああッッ!!!!」

 

 

 

 

限界まで熱され続けた刃は解き放たれ、

空に炎の道を描き。

 

 

 

 

 

「…終わり、か」

 

 

高く跳んだ月の兎は、ついに鴉の翼を捥ぎ取った。

 

 

 

 




次回でオシマイです。
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