超闘争ALT プロジェクト・ファンタズマ -i 作:独立傭兵月兎(仮)
…それでも、憎たらしい程に日常は続いていく。
07/08 九朗視点追加。
最後の一節を次話の冒頭に。
SIDE:彩葉
かぐやを守りきって、九朗を喪ったあの日から、
一週間が経った。
私達が今やっていることは…
「ん~…やっぱりまだ何か違う気がする…。」
「そうかな?かぐやはこのメロディも好きだよ♪」
未完成だったかぐやの為の歌「Reply」
それを完成させようとしていた。
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九朗が居なくなった直後は、私達は何もできなかった。
…いや、なにもする気が起きなかったと言うのが正しいか。
病院に運ばれて、主の居なくなった九朗の部屋で。
…私達は、九朗の遺書を見つけた。
九朗は、あの場所で死ぬ気だったんだと、漸く気付いて。
皆して、声をあげて泣いて。
「鳥籠」はもはや、九朗がいなくなって空いたキズを舐めあうだけの集まりになってしまった。
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…それでも、時間は無情にも進み続ける。
カヨコは、呉服屋のシフトを多く入れて。
同時に広実も「オタ公」としての役目を増やして…
だけどそれは、九朗の居ない世界から目を逸らし続けるという事でもあった。
リンちゃんは、何時も九朗の病室に通っている。
いつか目を覚ますかもしれないという淡い希望にすがっている。
…一番酷いことになったのは、芦花だろう。
目を離した隙に九朗が死んだという事実。
芦花は怯えてしまっていて、私やかぐや、真実が…誰かが付いてないと泣き出してしまうようになった。
今は真実と瑛斗が、学校までの道を付き添ってくれて…夜は私たちと一緒に寝泊まりしている。
かくいう私もかぐやも、もう終わってしまってもいいやって、そう思っていた…でも
「あの最後の一文。
あれをハッキリさせないと、
私は九朗に合わせる顔が、ない。」
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文章データ:九朗の遺し書き
遺書の最後に走り書きされた文章
卒業ライブの前日に追記されたようだ
一つだけ、荒唐無稽な仮説がある。
それはヤチヨの正体についてだ。
完成途中とは言え、彩葉の作った「Reply」を聞いてそれは確信に変わった。
彩葉。どうか、「Reply」を完成させて歌ってみて欲しい。
そうして、気づいたら、ヤチヨに。
彼女に会ってやってくれ。
彩葉とかぐやには、
その権利と義務があると、思うから。
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そうして、「命より大事」とまで宣った学校すらサボって向き合うこと数日。
「よ、ようやく…」
「完成した、ね!」
…かぐやのための歌「Reply」が遂に完全な形となった。
「それじゃあ、かぐや。」
「うん、歌おっか。
九朗にも届くように!」
かぐやのヘッドホンに、私のイヤホンに、
「大切なメロディ」が流れ出す。
私たちはその音色に導かれるままに、
何処までも響くようにと、
その口を開いた。
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SIDE:九朗
ー管理者専用エリアー
泣き疲れたのか、自分に身体を預けて眠ってしまった
それは、暗き青の月光…
「…暗月の大剣。
8000年もかけて自分のために拵えてくれたのであろうこの輝きは、ずっと眺めていたくなる。
何よりも美しく見えた。
「…だけど、
それは今の俺には受け取れないなぁ。」
…視界に走り続けるノイズ。
それはあの日から存在し、今も少しずつ大きくなっている。
理由も、なんとなく理解していた。
「…不完全なファンタズマ、か。」
ジョシュア・オブライエン。
ACFAにて、
「…消える筈だった命の最期の猶予としては、寧ろ贅沢すぎるかもな?」
意識が少しずつ、解離していくのを感じる。
戦いたいという本能ばかりが、むき出しになっていく。
それはまるで、ツクヨミに来たばかりの頃のようなーー
「クハハ…はぁ…」
本当に、初めてヤチヨに逢ったのがあの時で良かったと心底安堵する。
それ以前の俺は、見ていられないほどに最低の人間だったから。
…そして俺は
ヤチヨをそっと床に寝かせて、立ち上がる。
「…俺みたいな
この小さな思い出から立ち去りながら、小さく自嘲した。
「でも、皆は違う。」
薄れていく感情は、それでも忘れるなと言わんばかりに沢山の友人たちの姿を思い出させていた。
「この
俺みたいなロクデナシよりも、
もっと相応しい人が居る。」
俺は俺が完全に消え去る前にそれを、あるアカウントへと送付した。
宛先はーーーいろP。
アイツならきっと、
「
その言葉を最後に、人として残った自分は死んだ。
「…九朗…オマエ…」