超闘争ALT プロジェクト・ファンタズマ -i 作:独立傭兵月兎(仮)
追憶せし、アナタの思い出。
「ーーー♪」
「ーー♫」
かぐやの為の歌を、かぐやと一緒に歌う。
「ーーーっ♪︎」
「ーーー♬…」
何度も何度も繰り返し歌いあう中で、
うっすらと感じていた違和感…"既視感"は確信に変わった。
あまりにも、似ているのだ。
歌い方も、フレーズも、メロディでさえ。
「…ふぅ…ねぇ、かぐや。」
「うん、彩葉。」
どうやら、かぐやも気付いたらしい。
「どうせなら、一緒に言ってみよっか。」
「そだね。
きっとかぐやも同じこと考えてるもん。」
せーのっ。
「「ヤチヨは、かぐやだ。」」
「ーーようやく気付けたか。」
イヤホンに割り込んできた声に、辺りを見回す。
まさか、とスマコンをつけてツクヨミを見回してみれば。
「…FUSHI!?」
ヤチヨのお供のウミウシが、単身で私の前に現れた。
「詳しい話は後だ、着いてこい。」
「わ、わかったーって速!?」
「彩葉、急ごう!」
私はツクヨミを抜け、慌ててスマコンを着けたかぐやと共に後を追いかける。
…そこに流れていたニュースには、
終ぞ気付くことは無く。
『不審者情報です。
只今、ツクヨミ「KASSEN」にて正体不明のユーザーが出没しています。
当該ユーザーは自らを「レイヴン」と名乗りーー…』
ーーーー
そうして、たどり着いた先にあったのは…
「なにこれ…光る、タケノコ…?」
水槽の中で胎動する筍だった。
いやに、見覚えのある光り方をしていて…
「ねぇ、いろは、これ…」
「かぐや?」
あり得ない、といった表情でかぐやは続ける。
「"もと光る竹"…なんで、こんなところに…
でも、壊れてる…?」
「ここから、ツクヨミに入れ。」
FUSHIに促されるまま、再び私達はツクヨミに入った。
そこは、見覚えのあるあのアパートの一室で…
「…やっほ。
待ってたよ、いろは、かぐや?」
隣の彼女のような空気を纏うヤチヨが、
私達を出迎えた。
ーーー
ーー果たして、その仮説は正しかった。
ヤチヨは、8000年前に落ちてしまって、ずっと私達に逢いたがっていたかぐやだったんだ。
「ちょっと待ってよ!
だとしたら、かぐやとヤチヨがここに存在するのは、変なんじゃーー」
「うん。だけど…この世界は私たちが思ってるのとは違うみたい。
少しずつ、ずれてるの。」
「ずれてる…?」
訳が解らない、といった様相を隠せない私を前に、ヤチヨは続ける。
「私の…かぐやの見てきた九朗は、あの日のリンに
勝ててない。卒業ライブの時だって、月の軍勢が二割を切ったくらいで倒されてた。
持っていた武器だって、あんな大きな機械じゃなくて。ただの柱を振り回して、月人たちを蹴散らしてたんだ。」
「そ、それでも二割は削ってるんだ…
待って。二割を残して倒れたってことは、さ」
九朗は、「前の周」では生き残っていたかもしれない。
でも、それなら、何でーー
「そしたら、何で九朗は消えちゃったの。」
かぐやは決定的な問いを、ヤチヨに投げ掛けた。
「それじゃあ、もう一つ昔話をしてあげる。
…黒い鳥のお話をね。」
黒い鳥…九朗の事だ。
私たちはそこに座り、その物語に耳を傾けた。