超闘争ALT プロジェクト・ファンタズマ -i   作:独立傭兵月兎(仮)

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その魂に、願いが残ることはなかった。


ALT-4. Mechanized memories

ーーーーー

 

 

 

「1羽の黒い鳥が産まれました。

鳥は大好きだったもの全てを喪って、失意のまま今日まで生きてきました。」

 

 

 

「そんな中、鳥はこの世界を知りました。

この世界でならずっと、闘い続けられる。」

 

この深い海の底でこそ、鳥は鳥でいられる。

 

 

 

「しかし、鳥はその度に邪魔をされました。」

 

鳥と戦ってくれた人間達は、彼を恐れ。

鳥の近くを飛んでいた烏天狗は、鳥ばかりと戦っていられるわけでもなく。

鳥と家族となった山猫は、鳥が自ら見放し。

鳥に守られていた少女は、果たして闘い以外の意味を与えること叶わず。

鳥のように強い力を持った黒鬼たちは、鳥から遠ざけられて。

鳥の思い出を引き出せた忠犬もまた、それ以上の願いを叶えることはできず。

鳥を最も理解できていた筈の乙姫も、深く関わることは赦されず。

鳥と最も近くで過ごしてきた狐は、されど鳥に近付けず。

そして、鳥に追い縋れる月のお姫様も、月の者達に連れられ、鳥から離れる運命にあって。

 

 

 

「…鳥は困惑し、そして絶望しました。」

「闘い以外の方法では幸せになれない自分自身に。

そして、唯一残った闘うことも、その相手すら、悉くを奪っていくこの世界に。」

 

 

 

「…鳥は思いました。

この世界に自分の居場所など無いのだと。」

 

だけど、鳥の周りには自分のために力を貸してくれた少女たちがいて。

 

「それでも皆のためにできることはないか、と一人悩みました。」

 

 

「…そして、鳥は決意しました。」

「鳥の望みは、たったひとつだけ。」

「鳥を満たしてくれた何かを、誰かを喪いたくない。それだけだったのです。」

「故に、鳥はーー」

 

「邪魔者を一人残らず殺すことにしました。

その代償として、自らの命を喪ったとしても。」

 

…ここまでは、皆も見てきた黒い鳥のお話。

 

「ーーでも、彼の物語は終わりませんでした。」

 

そう続けるヤチヨに、はっとする。

 

どういうこと?

九朗は、死んじゃったんじゃ…

 

 

ーーーー

 

「…最初の鳥は、力及ばず斃れました。

しかしその戦い方を学んだ月のお姫様は乙姫となり、それは次の鳥へと受け継がれました。」

 

次の鳥もまた、あと数歩のところで斃れ。

しかしその戦い方は次の乙姫が次の鳥へと受け継いで。

 

「そうして世界は何度も巡り、前の鳥の力を受け継ぎ、少しずつ強くなっていった今日の鳥はついに、

月の者達を退けることが出来ました。」

 

 

 

「…しかしその時、戦う為の力をもたらし続けた彼の瞳から光は逆流して。

大切なものが出ていってしまいました。」

 

「鳥の魂は、その瞳を介してツクヨミに溶けてしまったのです。」

 

「それに気付いた鳥は歓喜しました。

これなら、何も気にせず永遠に闘い続けられると。」

 

 

 

 

 

「ーーそして、鳥は月から落っこちた乙姫のもとに向かい。乙姫と鳥は寄り添うことが出来たのでした。」

 

ヤチヨは、そう締めくくった。

 

「ーーてなわけで。

九朗は私と同じ電子の存在になったの。

それでもって、今もず~っと楽しく戦ってるってわけ!」

 

そういって、ヤチヨは笑う。でも無理して笑っているのがバレバレで。

 

「…ヤチヨは、そのままでいいの?」

 

「…いいよ、それが私と九朗のーー「嘘だ」」

 

ヤチヨの言葉を遮って、かぐやは捲し立てる。

 

「かぐやそんなの嫌だよ。それじゃ九朗がまた一人ぼっちになっちゃう。

 

…一人にしないって約束したのに。

一緒に居るって、

九朗を幸せにしたいって思ってるのに。」

 

そうだ、かぐやは約束したじゃないか。

九朗を一人にしないと。

 

 

「それに、かぐや何も返してないっ!

折角、九朗が助けてくれたのに。

かぐやのやりたいこと…いっぱいある…

九朗と一緒に、色んな事がしたい…っ

 

こんなの、嫌だよぉ…」

 

 

「かぐや…」

 

涙をぼろぼろと溢しながら、かぐやは想いの全てを吐き出す。

…きっとかぐやが居なければ、泣いていたのは私だっただろう。

 

そんな私達を前にして。

 

「…あははっ、やっぱり誤魔化せないかぁ。」

 

少しの沈黙の後、ヤチヨは観念したように話しだした。

 

「うん。本当はね、私も嫌。

九朗には人として生きて欲しいよ。」

 

 

 

「…でもね?

今の九朗を見てると、もういいやって思うんだ。

 

ツクヨミなら、九朗はずっと闘っていられる。

ここに居れば、ヤチヨが九朗を見ていられる。

お金も、住む場所も、ご飯でさえ…

 

九朗は何も気にしなくていいの。幸せになれるんだよ?」

 

 

「なに、それ…かぐやは、そんなこと言わなかったじゃん…」

 

言った後に、後悔を覚えた。

目の前に居るのも紛れもなくかぐやなのに。

だけど、ヤチヨは…

 

「…そうかもね。でも」

 

否定せず、否定できず。

これでいいじゃないかって、妥協できてしまうほどにーー

 

「ーキラキラのかぐや姫は、

もうお婆ちゃんだから。」

 

かぐやは傷ついて、傷つけて、怖がっていたんだ。

 

 

…ふざけるな。

 

 

 

 

 

「…私決めたよ、かぐや、ヤチヨ。」

 

こんなところで終われるもんか。

 

「ヤチヨも、九朗も。私達でハッピーエンドまで連れていく。

まだなんだ。まだ、終わりじゃない。」

 

「かぐやもやるっ!

こんなところで、終わりたくないよ…っ!」

 

そう決意を固めた私たちに呆気に取られていたヤチヨは、だけど嬉しそうに口を開いた。

 

「…そっか。彩葉、かぐや。

君たちの決意は、本当に、固いんだね。

 

ーーならばっ」

言い終わるや否や、ヤチヨは番傘を振りかぶる。

 

「ヤチヨ!?」

辛うじて受け止め、距離を取る。

 

辺りはいつのまにか、広大な平原…

チュートリアルで何時も見るあの場所へと変わった。

 

 

「まずはヤッチョと「KASSEN」しよっか!

二人が勝てたら、その話に乗ってあげる。

…もし負けたら、九朗とヤッチョの事はもう放っておいて欲しいな。」

 

 

 

 

ヤチヨは、番傘と…それから、青い月光を構えた。

 

 

「証明してみせてよ。

二人に、それが出来るのなら!」

 

 

 

 

ーーーー




残念なお知らせです。


次回、全力ヤチヨとかぐいろのKASSENはフルカットとなります。

…ラストミッションは頑張ります。
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