超闘争ALT プロジェクト・ファンタズマ -i 作:独立傭兵月兎(仮)
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「1羽の黒い鳥が産まれました。
鳥は大好きだったもの全てを喪って、失意のまま今日まで生きてきました。」
「そんな中、鳥はこの世界を知りました。
この世界でならずっと、闘い続けられる。」
この深い海の底でこそ、鳥は鳥でいられる。
「しかし、鳥はその度に邪魔をされました。」
鳥と戦ってくれた人間達は、彼を恐れ。
鳥の近くを飛んでいた烏天狗は、鳥ばかりと戦っていられるわけでもなく。
鳥と家族となった山猫は、鳥が自ら見放し。
鳥に守られていた少女は、果たして闘い以外の意味を与えること叶わず。
鳥のように強い力を持った黒鬼たちは、鳥から遠ざけられて。
鳥の思い出を引き出せた忠犬もまた、それ以上の願いを叶えることはできず。
鳥を最も理解できていた筈の乙姫も、深く関わることは赦されず。
鳥と最も近くで過ごしてきた狐は、されど鳥に近付けず。
そして、鳥に追い縋れる月のお姫様も、月の者達に連れられ、鳥から離れる運命にあって。
「…鳥は困惑し、そして絶望しました。」
「闘い以外の方法では幸せになれない自分自身に。
そして、唯一残った闘うことも、その相手すら、悉くを奪っていくこの世界に。」
「…鳥は思いました。
この世界に自分の居場所など無いのだと。」
だけど、鳥の周りには自分のために力を貸してくれた少女たちがいて。
「それでも皆のためにできることはないか、と一人悩みました。」
「…そして、鳥は決意しました。」
「鳥の望みは、たったひとつだけ。」
「鳥を満たしてくれた何かを、誰かを喪いたくない。それだけだったのです。」
「故に、鳥はーー」
「邪魔者を一人残らず殺すことにしました。
その代償として、自らの命を喪ったとしても。」
…ここまでは、皆も見てきた黒い鳥のお話。
「ーーでも、彼の物語は終わりませんでした。」
そう続けるヤチヨに、はっとする。
どういうこと?
九朗は、死んじゃったんじゃ…
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「…最初の鳥は、力及ばず斃れました。
しかしその戦い方を学んだ月のお姫様は乙姫となり、それは次の鳥へと受け継がれました。」
次の鳥もまた、あと数歩のところで斃れ。
しかしその戦い方は次の乙姫が次の鳥へと受け継いで。
「そうして世界は何度も巡り、前の鳥の力を受け継ぎ、少しずつ強くなっていった今日の鳥はついに、
月の者達を退けることが出来ました。」
「…しかしその時、戦う為の力をもたらし続けた彼の瞳から光は逆流して。
大切なものが出ていってしまいました。」
「鳥の魂は、その瞳を介してツクヨミに溶けてしまったのです。」
「それに気付いた鳥は歓喜しました。
これなら、何も気にせず永遠に闘い続けられると。」
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「ーーそして、鳥は月から落っこちた乙姫のもとに向かい。乙姫と鳥は寄り添うことが出来たのでした。」
ヤチヨは、そう締めくくった。
「…てなわけで。
九朗は私と同じ電子の存在になったの。
それでもって、今もず~っと楽しく戦ってるってわけ!」
そういって、ヤチヨは笑う。でも無理して笑っているのがバレバレで。
「…ヤチヨは、そのままでいいの?」
「…いいよ、それが私と九朗のーー「嘘だ」」
ヤチヨの言葉を遮って、かぐやは捲し立てる。
「かぐやそんなの嫌だよ。それじゃ九朗がまた一人ぼっちになっちゃう。
…一人にしないって約束したのに。
一緒に居るって、
九朗を幸せにしたいって思ってるのに。」
そうだ、かぐやは約束したじゃないか。
九朗を一人にしないと。
「それに、かぐや何も返してないっ!
折角、九朗が助けてくれたのに。
かぐやのやりたいこと…いっぱいある…
九朗と一緒に、色んな事がしたい…っ
こんなの、嫌だよぉ…」
「かぐや…」
涙をぼろぼろと溢しながら、かぐやは想いの全てを吐き出す。
…きっとかぐやが居なければ、泣いていたのは私だっただろう。
そんな私達を前にして。
「…あははっ、やっぱり誤魔化せないかぁ。」
少しの沈黙の後、ヤチヨは観念したように話しだした。
「うん。本当はね、私も嫌。
九朗には人として生きて欲しいよ。」
「…でもね?
今の九朗を見てると、もういいやって思うんだ。
ツクヨミなら、九朗はずっと闘っていられる。
ここに居れば、ヤチヨが九朗を見ていられる。
お金も、住む場所も、ご飯でさえ…
九朗は何も気にしなくていいの。幸せになれるんだよ?」
「なに、それ…かぐやは、そんなこと言わなかったじゃん…」
言った後に、後悔を覚えた。
目の前に居るのも紛れもなくかぐやなのに。
だけど、ヤチヨは…
「…そうかもね。でも」
否定せず、否定できず。
これでいいじゃないかって、妥協できてしまうほどに──
「─キラキラのかぐや姫は、
もうお婆ちゃんだから。」
かぐやは傷ついて、傷つけて、怖がっていたんだ。
…ふざけるな。
「…私決めたよ、かぐや、ヤチヨ。」
こんなところで終われるもんか。
「ヤチヨも、九朗も。私達でハッピーエンドまで連れていく。
まだなんだ。まだ、終わりじゃない。」
「かぐやもやるっ!
こんなところで、終わりたくないよ…っ!」
そう決意を固めた私たちに呆気に取られていたヤチヨは、だけど嬉しそうに口を開いた。
「…そっか。彩葉、かぐや。
君たちの決意は、本当に、固いんだね。
──ならばっ」
言い終わるや否や、ヤチヨは番傘を振りかぶる。
「ヤチヨ!?」
辛うじて受け止め、距離を取る。
辺りはいつのまにか、広大な平原…
チュートリアルで何時も見るあの場所へと変わった。
「まずはヤッチョと「KASSEN」しよっか!
二人が勝てたら、その話に乗ってあげる。
…もし負けたら、九朗とヤッチョの事はもう放っておいて欲しいな。」
ヤチヨは、番傘と…それから、月光を構えた。
「証明してみせてよ。
二人に、それが出来るのなら!」
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残念なお知らせです。
次回、全力ヤチヨとかぐいろのKASSENはフルカットとなります。
…ラストミッションは頑張ります。
07/08追記
…の、筈だったんですが、
書けたので次回はヤチヨとのKASSENが入ります。