超闘争ALT プロジェクト・ファンタズマ -i   作:独立傭兵月兎(仮)

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あと半分でこのALTもおしまいです。

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ALT-5.thinker

 

私とかぐやの二人対、全力を出したヤチヨ。

果たしてその勝負を制したのは、私たちだった。

 

「あははっ、勝った、勝っちゃったっ!!!」

 

目の前には、ぴょんぴょんととび跳ねて喜ぶかぐや。

そして、

 

「う"ーーー!!!

ぐやじぃ~~っ!!!」

 

倒されて地団駄を踏むヤチヨ…いや、

かぐやが居た。

 

 

 

「ハァ、ハァ…ホントに、アイツの戦バカが、

かぐやに、移っちゃってるじゃないの…

 

…ま、私も、人のことは言えないか」

息も絶え絶えになりながら自嘲を挟み…仮想空間で息切れなどしないのでは、と気が付いた。

 

「それで、かぐや。

どう?いまの私たちは。」

 

「うん!

サイコーだよっ、いろは!」

 

 

 

ーーー

 

長くて短いヤチヨ(かぐや)とのKASSENも終わり、私たちはあの一室に戻ってきた。

 

「…戻ったんだね、ヤチヨに。」

 

「うん。この方が落ち着いて話ができるから。

それに…これからはいつでも、

彩葉に甘えられるもんね♪」

 

「ちょっと!

彩葉はかぐやと九朗のなんだけどっ!?」

 

「ヤッチョもかぐやだよ~?」

 

「ヴグッ!!そ、そうだった…!!」

 

ガビーン!と聞こえてきそうな程愕然とするかぐやと、したり顔のヤチヨ。

 

そのやり取りが何だかおかしくって、

少しだけ笑えた。

あとは、ここに九朗が居れば…。

 

 

 

 

 

ーーー

「…それじゃ、二人とも。おさらいをしようか」

コホン、と軽く咳払いをして、ヤチヨは続ける。

 

 

「電脳化した九朗は、今も戦ってる。

 

あの日だけ、九朗はヤッチョの所に顔を出してくれた。けど…」

 

 

「それ以降は音沙汰無しだ。

ボクがギリギリ、彼と交信が出来る。でも、それだけ。」

 

「な、何で!?九朗ってヤチヨの事を解ってた筈じゃ…」

 

 

言いにくそうに、ヤチヨとFUSHIは続ける。

 

「多分、不完全に電脳化されちゃってるんだ。

 

九朗の魂と、それから…闘争心だけが増幅されて。

それ以外の全部が掠れてしまってる。」

 

 

 

 

「…実はヤッチョね、52時間毎に眠っているの。

ツクヨミの…それから、この8000年にあったことのせいで壊れてしまわないように。」

 

「電脳化された直後はまだ大丈夫だった。

でも人間だった九朗は、それのやり方が分からない上に(もと光る竹)も無い。だから…」

 

FUSHIは一呼吸置いて、結論を話す。

 

「九朗は戦う以外の全部を無意識の内に封じることで、魂をツクヨミに繋ぎ留めているんだ。」

 

 

自分から、あの頃の…

「KASSEN以外知らない九朗」になってる、

ってことか。

 

 

「つまり九朗を…あの戦バカを止める方法はひとつだけ。」

 

「かぐや達で戦って、負けさせる。

それで圧し殺した想いを引っ張り出して、

人の器(九朗の身体)に送り返せばいい…そういうことだね!」

 

 

やるべき事は解った。

…でもそのためにも、まずは。

 

 

 

「FUSHI。全部、ぜんぶ見せて。」

「な…っ」

 

「い、「彩葉っ!?」」

 

 

 

「九朗はスマコンを介して、ツクヨミに溶けることが出来たんだ。

だったら、その逆も…

ヤチヨの記憶の全てを私に書き込める筈でしょ?

 

…私、ヤチヨの、かぐやの全部を見なきゃ」

 

驚くのも無理はないだろう。だって私は、

九朗以上に危険な橋を渡ろうとしてるのだから。

だけどこのままじゃ、かぐやも、ヤチヨも…

 

九朗も救えやしない。

 

だから…!

 

「…わかった。危ういと思ったらすぐ止めるからな。」

 

FUSHIの目に光が灯る。

 

 

 

「…ヤチヨ、ありがとう。

きっとボクは、このときの為に産まれたんだ。

 

 

 

ーーー行くぞおぉぉぁあ!!!!!

 

二人が止める間もなく、FUSHIから光が逆流してくる。

 

その奔流はこの部屋を、私たちの衣服を、身体を、

輪郭すらもバラバラに崩していく。

 

 

 

 

『ヤチヨ、どっかに居るんでしょ…出てきて、たすけて…』

 

 

「かぐやっ!!!」

ーーー

長い、永い夢を見ているようだった。

かぐやが、ヤチヨになるまでの8000年間の追憶、そして…

 

 

 

『これが、今度の実験体かね?』

 『はい、資料では元レイヴンだとか…』

 

ツクヨミに溶け込んでいた、九朗(おれ)の追憶。

九朗(おれたち)が愛した物語。

その断片が、私の頭に流れ込んできた。

 

『だまして悪いが、仕事なんでな…死んでもらう』

 『俺は…何か、された、ようだ…』

 

何度も何度も、異なる戦場を巡った。

 

     『遅かったな…言葉は不要か』

 『考えてみてください、貴方達の戦う理由を…』

   『良かったぜ、お前とは…』

 

いろんな姿(ちがうアセンブル)で、勝てるまで何度だって挑み続けて。

 

 『あぁ!?やってみろよォ!!!』

  『戦いこそが、人間の可能性なのかもしれん』

 

物語の中の話だって、笑い伏せる事はできたかもしれない。だけど

 

『明日は雨らしい。

辞めるのは晴れた日だって決めてる』

 『ここが、この戦場が!私の魂の場所よ!!』

 

九朗(おれ)にとっての魂の場所は、確かにここなんだ。

 

 

『621、火を点けろ…燃え残った全てに。』

 『レイヴン。共に、新たな時代を…!』

 

 

 

 

 

 

 

「『…身体は、闘争を、求める…。』」

 

<<ーーメインシステム、戦闘モード起動ーー>>

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーー

「っは…!!」

 

目覚めたときには、二人が居た。

ヤチヨと…それから、かぐや。

「彩葉、大丈夫…?」

「いろは、無茶しちゃ駄目だよ…っ!?」

 

 

「…大丈夫。

私、全部見えたよ。」

 

私の中に燃え残っていた何かに、火が点いた。

 

 

 

 

別に九朗を救わなくていい。

そんな思い上がりはもう言わない。

 

 

私たちの為だけに、九朗を楽園(果てなき闘争)から引きずり下ろしてやる。

 

 

 

昂る心のままに、二人を抱き寄せる。

「い、いろは…?」

 

 

 

 

 

 

 

「…ありがとね、かぐや。大好き。」

 

「うん…かぐやも、だいすき。」

「…私もだよ、彩葉。」

 

私たちなら、きっと、九朗を取り戻せる。

ーーーー

 

        ーマンションー

「漸く戻ってきたか…」

「彩葉…遅かったじゃん。」

 

玄関前で待っていた、真実と瑛斗。そしてーー

 

「いろはっ、かぐやぁ!!

良かった、私、二人まで居なくなっちゃったのかと思ってぇ…っ」

 

 

泣きじゃくる芦花を宥めながら、私は続ける。

 

「大丈夫。私もかぐやも生きてる。

…それから、九朗も生きてたよ。」

 

「…え、九朗が、いきてるの?本当に?」

 

芦花の目に光が戻ってきた。

だけど、まだ信じられないようだ。

 

大丈夫。

 

 

「皆を集めよう。

今度は、九朗を取り戻すよ。」

 

ーーー

 

 

ー幕間ー

二人と抱き合って、暫くして。

「…あとさ。」

ギリギリギリ、と音が立つほど力を込めた。

「い、彩葉?そろそろ、離して…」

「ど、どうしたのかな?声が怖いよ…?」

 

 

 

「抜け駆け、しようとしたんだ?」

 

 

 

 

 

「…(目を逸らす)」

「な、なんのコトかな~」

 

「暗月の大剣。」

 

「…ゲッ。」

「バレテーラ…」

ーーーーー




彩葉
ヤチヨも、かぐやも、九朗もみんな欲しい。 
だから、全部モノにする。
…それはそうと、
抜け駆けする悪童には教育が必要だよね?

かぐや
彩葉のおかげで世界が変わって、九朗のおかげでここに居られたんだ。今度は九朗が幸せにならなきゃダメ。
…ねぇ彩葉?それそろ許して?だめ?

ヤチヨ
燃え残った私も、今から幸せになっていいんだね。
それはそうと、現実の身体が出来た時がちょっと怖いな~なんて…

FUSHI
8000年もの記憶だって話だが、「超人」が負けるわけねェだろ!!

犬DOGE
ワンワン!(またしても何も知らない)






ーーーー
情報ログ:今の「九朗」の状態について
(作者の勝手な解釈も含むためぼかし加工済)

FUSHIにより制御された情報の流入とは違い、スマコンを介して情報の奔流にサポートもなく投げ出されたのでツクヨミに意識が散逸しかかっている状態。特に色濃く残った「闘争」の部分が辛うじて九朗の魂と結びつき、ツクヨミ内で形を持って現れている。乱闘騒ぎやKASSEN等「闘争」の気配があるとそこに意識が集まり形を取る。一通り戦って熱が冷めると再び消える。

…「エア」に良く似た特性を持っていたFUSHIは九朗と交信が出来るが実体化した時のみである。また、ヤチヨに会いに来た「九朗」は闘争以外の部分の残滓であり、ヤチヨに会った後はツクヨミに溶けていった。
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